平成二十二年 十一月二十日  定 例 句 会

於 アイセル21

 

参加者(順不同)曽根田しげる、山本智子、稲森ユタカ、望月弘、増田信一、林二三子、加藤鰹、川村洋未、杉山光代、森下居久美、薮﨑千恵子、中野三根子、高瀬輝男、瀧進、渥美さと子、南天子、西垣博司、池田茂瑠、大塚徳子、岡村廣司、畔柳晴康、薗田獏沓、内山敏子、奥宮恒代、石田竹水、成島静枝、酒井可福、井口薫、杉山とんぼ、中矢長仁、鈴木まつ子、鹿野太郎、毛利由美、川口亘、安田豊子、川島五貫、濱山哲也、尾崎好子、栃尾奏子、松田夕介、市川重雄、森田安心、八木益代、深澤ひろむ、鈴木千代見、小林ふく子、山本野次馬、斉尾くにこ、川口のぶ子、谷口さとみ、永田のぶ男、真田義子、荒牧やむ茶、森だがやん、馬渕よし子

 

▼どしゃ降りの雨で久々に出席者は少なめでした。そして、句会の翌日はナント夏日。忙しいったらありゃしない(笑)でも、和気藹々で楽しい句会でしたね。

 

席 題  「落 葉」  望月  弘 選

焼き芋もみんなでやれば恐くない  智 子

腐葉土も格差が付いた震災後    智 子

目の保養させた落葉が邪魔になり  千恵子

趣味楽し濡れ落ち葉とは言わせない 居久美

芸術のようにちらちら舞う落葉   千恵子

落葉にも言い分のある落下場所   千恵子

古い葉を脱ぎ捨て春を待つ並木   ユタカ

子は走る落葉くるくる風を見て   洋 未

秋近く私のコート落ち葉色     三根子

落ち葉踏むセシウムなんか恐くない 居久美

むつ言はもう沢山と落葉達     輝 男

踏みしめる葉っぱ厚くて地が温い  さと子

金色の落葉よ不況ふっとばせ    輝 男

シャンソンを鼻歌にして励む家事  さと子

火葬場へ続く銀杏の並木道      鰹

五 客

枯れ落葉なんて言わせぬ肌の艶   輝 男

カタカナの都会の落葉夜に舞う   洋 未

鮮やかな栞代わりにする落葉    千恵子

濡れ落葉ひがむな世界中病気    さと子

落葉舞い木枯し小僧やってくる   信 一

人 位

絨緞の落葉に癒し貰う足      千恵子

 

地 位

君去りし街は落葉のアラベスク    鰹

天 位

落葉焚く煙に浮かぶハイネの詩   さと子

 

 

宿 題 「大好き」  稲森ユタカ 選

ケーキなら別腹二つ有りますよ   竹 水

目が光るケーキ売場のお客様    とんぼ

ふわふわのでかいマシュマロ君の胸 洋 未

眼差しを感じてますか背中から   さと子

口には出さぬが諭吉に惚れている  野次馬

反抗をしまくったけどお母ちゃん  好 子

大好きな金にとことん縁が無い   ひろむ

大好きな妻で年金貢がされ     博 司

おひさまに熟睡貰う布団干し    智 子

緊張の場面ジョークでほぐす人   五 貫

大好きとチューをしてから送り出す 千恵子

大好きと言われた昔色あせて    光 代

大好きといまだに言えぬ片想い   千恵子

お金って何より好きよ愛してる   輝 男

お小遣いくれるおじ様だーい好き  やむ茶

釣りに行く為の早起きなら平気   二三子

バーゲンと聞いたらすぐに飛んで行く三根子

 

五 客

菓子が好き底の賄賂はもっと好き  信 一

大好きと妻には言ったおぼえ無い  博 司

焼き芋の笛にスイッチオンの妻    鰹

鍋底のカレー集めてもう一杯    洋 未

大好きと言われて乗った口車    重 雄

人 位

アダルトをしこたま借りてお留守番 哲 也

地 位

大好きなあなたと見つめ合うこたつ 奏 子

 天 位

ご近所も家族も敵にして くさや    鰹

 

 

宿 題 「大嫌い」  川村 洋未 選

お友達主人を呑みに誘い出す    長 仁

毛嫌いが高じ嫌いに大が付く    千恵子

ブツブツと同じ模様のサンゴ礁   とんぼ

二兎を追う見え見え男大嫌い    重 雄

普段着の母さんがいる参観日    静 枝

来ないでねあなたが来ると座が割れる  ふく子

大嫌い言って始まる鬼ごっこ    夕 介

ゴキブリホイホイ誰か処分をしてちょうだい   由 美

鼻つまみ持ち込むなよと横を向く  晴 康

大嫌い言った言葉に目が笑い     亘

大嫌いきらいと思う負の連鎖    千代見

上目線人を小馬鹿にしてかかる   千恵子

握手した白い手袋うす汚れ     恒 代

自惚れの笛や太鼓の乱れ打ち     進

ピーマンが残さないでと攻めて来る 奏 子

稲穂にはなれぬ自分が大嫌い    天 子

振っといて振られ戻ってくる男   信 一

名前出すだけでも嫌な奴がいる   とんぼ

腐れ縁腐ってからがしつっこい   くにこ

謝罪より長い言い訳されました   奏 子

天敵と逢いそうだから遠まわり    薫

金運の蛇の衣が拾えない      智 子

テレショップ好きな役者の照れ笑い 五 貫

受信料払って見たくない濡れ場   太 郎

微笑んでヒールが告げる大嫌い   夕 介

髭痛いただそれだけで孫が逃げ   可 福

大嫌い言葉の裏を知った時     のぶ子

色白でなよなよしてる奴はいや   三根子

ダイッキライ拗ねたつもりが仇になり静 枝

融通がきかぬ直線好む人      茂 瑠

大嫌い言えない義理のある辛さ   のぶ子

女の胸食い入るように見る男    安 心

 五 客

私を嫌いな人は大嫌い        弘

食べるのが好きで太るの大嫌い   哲 也

ゴキブリが出た夜違う部屋で寝る  ユタカ

殺す程ではないけれど厭な奴    廣 司

屁理屈を並べて注射から逃げる   二三子

 人 位

口数の多いオームがそばに来た   ふく子

 地 位

奥さんがいるからあなた大キライ  博 司

 天 位

妻がボクを青虫にする盛野菜    さと子

 

 

宿 題 「中途半端」 加藤  鰹 選

二枚目と半分 鰹ちゃんみたい    奏 子

大人でも子供でもないそんな僕  だがやん

大人でも子供でもない少女A    やむ茶

不完全燃焼だった好奇心      夕 介

不完全燃焼だったある日の夜    ユタカ

一つまみ塩をケチッた栗汁粉    さと子

すき焼きを食べる所で目が覚める  長 仁

デパ地下の試食に酒が付いてない  五 貫

二、三本なんて注文しないでよ   とんぼ

現在のままじゃ鰹のたたきだぜ   哲 也

節電へ煮えそこないも我慢する   恒 代

熱い仲水をさされて秋となり    のぶ子

好きでなく嫌いでもなく共に住み  光 代

中退という学歴を持て余す     ひろむ

イエスともノーとも取れるその笑顔 輝 男

近すぎて幼馴染みで終わりそう   洋 未

お互いが中途半端ですぐ別れ    二三子

二股の恋の一人が僕らしい     竹 水

編みかけのセーター出来ず年を越す のぶ子

冷めた恋レンジに入れて温める   長 仁

キス体勢想定外のブザー鳴る    恒 代

サビ前に鐘で終了のど自慢    だがやん

未完成交響曲のまま棺       太 郎

幹事には言えず隣に言って抜け   獏 沓

タイトルを付けてそのまま原稿紙  敏 子

パスポート渡航しないでまた切れた のぶ男

決めかねて迷いグレーの旗を振る  益 代

目移りが何をやるにも宙ぶらり   千恵子

良い夢のまた目をつむりあとを追う 重 雄

二世帯のまん中にいて揺れている  益 代

やりかけの仕事納期が追ってくる  静 枝

いい返事するが丸投げ知らん振り  竹 水

パパとママどちらが好きと言われても 弘

ノラに餌ほんとの愛がありますか   薫

予算では此処まで橋が渡れない   輝 男

リバーシブル善と悪とを持ち歩く  野次馬

クラス会隅に固まる離婚組     茂 瑠

助けてと言えず唇半開き      くにこ

原発はノー エアコンのオフもノー  薫

日記帳いつも三日であと白紙    三根子

店員が来て立ち読みの本閉じる   千代見

笑顔でも眉間に皺が寄っている   信 一

習い事どれも成就をしていない   二三子

借家でもブランドまとい外車乗る  信 一

催促のしづらい額を貸してある   博 司

五 客

終電の時間気にするアンコール   居久美

混浴でいくら待っても男だけ    五 貫

合い鍵を渡されたけど家はどこ   洋 未

おすそ分け五人家族に四人分    居久美

七度五分これじゃ会社は休めない  さとみ

 人 位

時間あり健康あってお金無し    くにこ

地 位

トルストイ毎回いつも途中まで   三根子

天 位

子育ての失敗作が寝ころがる    智 子

 

 

宿 題 「自由吟」  互 選

⑥人情とテレビが薄くなり過ぎた  廣 司

⑥寝てしまえ何時もと同じ朝が来る 可 福

⑤嫌なこといっぱいあって早く寝る 三根子

⑤座禅組み足るを知っても疼く欲  信 一

④薄味に慣れて海馬が作動せず   よし子

③肩パット抜いて優しく会いました 茂 瑠

③母さんの知恵が呼び込む道の駅  豊 子

③侘しいね秋の夜長を抱き枕    長 仁

③逢いたいを今日も積んでる未送信 くにこ

③小皺まで写して隠すオリンパス  五 貫

②ナツメロに心のトゲを抜かれてる ふく子

②点と線結び付かない時事用語   智 子

②運ばれて行こうか風も来る頃だ  洋 未

②友情を越える体温阻止出来ず   輝 男

②心配をしたら寿命が伸びますか  居久美

②ちょっとしたミスで翌日からニート  ユタカ

②ヤングマン歌える人は若くない   鰹

①羽化できぬ私は暦かじり虫    哲 也

①今日からは魔女と箒を渡される  野次馬

①モッタイナイとことん使うエコロジー  徳 子

①まだ過去を引きずっている同病者 まつ子

①立ち止まり振り向いてみる秋の草 義 子

①よそ行きの服が叱ったふとり過ぎ 益 代

①初恋をチンして向かうクラス会  やむ茶

①絆さえあればまあるい絵は描ける  弘

①筋道じゃないが結局親が負け   二三子

①良き事の続いた後の落とし穴   光 代

①ケータイもペンも達者な話好き  竹 水

①子が悔いる本気の涙美しい    敏 子

①大好きという人がいる嘘でしょう 天 子

①庭いじり余生の首にタオル巻く  博 司

①不景気の財布オケラの今日も生き 重 雄

①臭すぎる句だがとっても温かい  太 郎