平成二十四年 年頭吟特集 賀状より

珠抱いた竜にことしの夢をかけ     浅野 滋子

この国に疑念を抱いて初春に居る    浅利猪一郎

苦も楽も味わいながらまた一里     渥美さと子

ドラゴンを真似て家宝の皿を割る    荒牧やむ茶

辰年のあの人の様にはゆかないが    飯塚すみと

苦は楽の種としみじみ喜寿の春     五十嵐 修

昇竜になって日本を守りたい      いしがみ鉄

世の中が平穏なれと願う龍       石上 俊枝

つつがない日々祈るのみ竜の年     石沢 久子

初春に感じる龍の息遣い        石橋 芳山

ともかくも生きることへの夢放つ    石田 一郎

竜神に伴い夢の旅へ出る        石田 竹水

初御空超々肥満の龍を叱る       石田 柊馬

竜神へ絆の幸を初日の出        市川 重雄

絵馬堂に大きく書いた昇り龍      伊藤 泰史

川柳家の長寿新記録を狙う       犬塚こうすけ

竜神の寝息静かに初春の海       岩田 笑酔

年男イメチェンをして立ち上がる    上野 楽生

人生の余白に描く初春の虹       内山 敏子

あたらしき酸素はこんでいる鼓動    梅﨑 流青

今年こそいい夢見よう鶴を折る     遠藤みゆき

恐竜も俺の干支だと風に吠え      近江あきら

上昇の気流を掴むまで堪える      大河原信昭

竜が来る仮説を信じ初春の夢      大坂 斗昇

蛍も雪もみんな五七五でした      大野 風柳

辰年の竜の落し子竜になる       大橋 政良

惚けもなく新年迎う有りがたさ     岡村 廣司

阿と吽の呼吸で傘寿の橋渡る      奥田 一星

復興の思いを絵馬に託す春       奥宮 恒代

たった今辰立った舞いたった(回文)  落合 正子

冬の影消して春の戸を開ける      鍵山 裕樹

五十代半ばで龍に立ち向かう      門脇かずお

ふる里もヒトも必ず蘇る        鹿野 太郎

オトシゴもその気になれば天翔る    川上 大輪

瑞雲が棚引き龍で年が明け       川口  亘

本年は普通を願う初詣         川島 五貫

龍の目に不安だらけの世が写り     河内沙智子

春の風背中ふうっと押して来る     川村 洋未

立つ座るどっこいしょーの応援歌    川村美智代

生きている限りシャキッと前を向く   北村 吾朗

幸せの羽化まで守り抜く拳       孝井  栞

目を覚ませ私の中の青き龍       小島 蘭幸

放射能浴びて美人になったかな     こはらとしこ

賀状書く筆に新春ジャンプする     小林 笑楽

八起き目の年だね固い絆だね      小林信二郎

龍に眼をその一文字で句が光る     小林ふく子

川柳の海に溺れて幸ぞ辰        小林満寿夫

龍年の女 男を雲にのせ        小林 良恵

さあ行こう宙から龍が呼びに来る    斉尾くにこ

煩悩もそのまま残し初日の出      酒井 可福

肩を組む脱原発へ肩を組む       桜井 閑山

龍の背に勇猛果敢乗ってみる      提坂まさえ

北斎の竜に追いかけられている     佐藤 岳俊

辰年のどぜうは辰になるかしら     佐藤 孔亮

辰の陽へことさら映ゆる葦の恋     佐藤美枝子

健康と平穏祈る初日の出        佐野由利子

龍の背に乗る夢をみるピーターパン   柴崎 昭雄

欲少し減らせば今のいい暮らし     四分一周平

初詣ユーロの賽銭も混じり       島田 駱舟

開かない扉 開けない扉 勝負     樹萄 らき

辰年へ翔び立つ夢を温める       新貝里々子

辰年だゆっくり行くぞマイペース    鈴木恵美子

被災地の空に輝く昇り竜        鈴木千代見

ゆるぎなき母の座ありて去年今年    鈴木まつ子

天駈ける竜にあやかりたい運気     妹尾 安子

辰年に地球平和を祈ります       曽根田しげる

青龍の紫雲かき分け降りて来る     薗田 獏沓

笑顔には笑顔で返す募金箱       高瀬 霜石

いいなあ一家そろって新春の膳     高瀬 輝男

同じ夢また繰り返す阿呆で有る     高橋はじめ

北風に負けない龍の凧揚げる      瀧  正治

ささやかな幸せ妻も屠蘇の酔      瀧   進

一筋の光はきっと竜だろう       竹内ゆみこ

辰の年乱が漕ぎ出す春の海       田制 圀彦

気がつけば随分世話になってます(絆) 谷口さとみ

自画像を描いたあなたも龍になる    千島 鉄男

かみ合わない話 かまわない二人    塚本 純子

半年で後期気持は未だ前期       津田  暹

炬燵には鎧を脱いだ顔が寄り      土屋 渓水

春の朝青竜刀の眼に出会う       てじま晩秋

光は線になりなりたくさんの線になり  徳永 政二

私の龍よ目覚めの時は今        栃尾 奏子

平和への一本道は太く描く       長尾 美和

あやかってみたい今年の昇り龍     中島 久光

気分屋は気を分けられりゃほんまもん  中曽根恭子

初日の出有象無象を過去にして     長澤アキラ

新春へ凛と仲良く辰日の出       永田のぶ男

希望とは今ゆらゆらと陽が昇る     中村 広志

竜宮で女子会釣女うらうらら      中山 恵子

福耳の優越感に背を押され       成田 孤舟

初春は見馴れた顔が新しい       西垣 博司

昇り竜夢みるきょうの詩ごころ     西潟賢一郎

マンションの窓雲に乗る竜に乗る    西來 みわ

元気です昇り龍にたち向かう      野中とし子

あの海に向かって竜のレクイエム    濱山 哲也

前向きに生きよう竜とかけ上る     林 二三子

いい予感抱きつつ春へ屠蘇を酌む    深澤ひろむ

また一つ馬齢重ねてつつがなし     藤沢 岳豊

夢一途目指す天あり昇り竜       藤田 武人

胸底に野心を抱いた竜がいる      藤原 鬼桜

昇り竜夢で見ようと寝正月       増田 信一

氏神へ一年ぶりの初詣で        増田 久子

卒寿なお齢を忘れて励む趣味      増田まさし

余命表こんなにあっていいのかな    松尾 冬彦

不景気を龍のショットでぶっ飛ばせ   松川多賀男

耳掃除こんな竜宮城もある       松田 順久

今日もまた無事へ感謝の年女      馬渕よし子

生きてまーすと顔あげる冬菫      真弓 明子

竜年の朝だシャキッと髭を剃る     丸山 健三

生きてればティッシュをくれる人がいる 丸山  進 

破顔一笑人間らしく雑魚らしく     三浦 蒼鬼

昇り竜の尻尾つかんで老いを飛ぶ    三島 淞丘

竜宮のママが帰してくれません     水品 団石

昇竜に願いをかける好景気       御田 俊坊

盛運の竜の登りに望む春        宮浦勝登志

新しい朝です夢が湧くような      宮村 典子

家族みな無事がずしりとありがたい   村井 規子

幸せに寄り添う初春の酒に酔う     村松はじむ

なんであれリセットできるお正月    毛利 由美

夢が舞う活飛活歩と河童竜       望月 邦昭

いみじくも想定外の福を待つ      望月  弘

川柳を浪曲調で吠えてみる       森田 安心

徳島で踊って来るぞ初春の夢      八木田幸子

今年こそ笑う事だけ考える       安田 豊子

恙無く迎えた初春に夢を足す      薮﨑千恵子

年男絆を武器にして生きる       柳沢花王子

龍よりもドラゴン的な太っ腹      山口 兄六

龍頭のこの世を開く音たてて      山口 早苗

龍になるつもりの青大将だよ      山崎 蒼平

出来合いのおせち並べて除夜の鐘    山本 智子

八起き目の春に目出度い風が吹く    山本野次馬

パパ友と会話はないが分かちあい    横田輪加造

ああ余生種も仕掛けもあらばこそ    横村 華乱

龍の尾をつかんで天をかけ巡る     吉道航太郎

空仰ぐ龍の飛翔に会いたくて      渡辺  梢

混迷の世相を睨む昇り龍        渡辺 貞勇

やがて来る春を信じて待つ夫婦     渡辺 松風

★そのほか、たくさんの賀状ありがとうございました。