六月十日徳島市西新町 活魚水産
参加者 伊藤良彦(北海道)北山まみどり
高瀬霜石、高瀬ゆき子、濱山哲也、菊池京
(青森)、荒牧やむ茶(栃木)、小桧山文恵
南かほる、北れい子、しろ章子、西恵美子
(宮城)江畑哲男(千葉)望月弘、加藤鰹
米山明日歌、水品団石、中前棋人、中村虚
路狸、稲森ユタカ、松田夕介、勝又恭子、
(静岡)真理猫子(愛知)上野楽生、藤田
武人、栃尾奏子、赤松ますみ(大阪)
席 題 「着 る」 江畑 哲男 選
着痩せしたカツオを一度見てみたい ユタカ
腹巻きがやけに似合った鰹です 武 人
いいんですパパに息子のお古ある 虚路狸
うたがいを着てしまった死刑囚 弘
しょうもない男に着せる長じゅばん 明日歌
ぬぎっぱなしではわたし困ります 棋 人
さみしくてただ着こんでる私です 明日歌
着ぶくれと言うが脱いでも太ってる 哲 也
一枚を脱げば私の良さわかる 奏 子
上品を纏ってすれ違うあなた 奏 子
喪服とは女が美しくなる涙 れい子
ハッピ着て一人前の子ども達 章 子
とりあえず着てみましょうかSサイズ夕 介
ウエディングドレス着てからまた迷い章 子
見栄虚栄着ているからやせられない 恭 子
わたくしのこころを見せているドレスますみ
おもちゃ箱ですか羽衣なんですか ますみ
キラキラのTシャツで行く校長室 恵美子
ドレスアップ君に抱かれるちょっと前恵美子
母の着た晴着で彼と挙式する 弘
へそ出しのスタイル服が着られない 弘
着れば脱ぐだってとっても暑いんだもん 団 石
酔っ払い正装しても酔っ払い 猫 子
月光や二人羽織のユートピア 京
着飾った私に紅は似合わない まみどり
幸せになれるよ風をまとったら まみどり
むき出しの私に誰も気付かない まみどり
逢いに行く夕日一枚身にまとい まみどり
てんぷらの衣私みたいです 恵美子
プライドはきちんと守りますゆかた ますみ
天ぷらの衣願いは叶えます ますみ
着ぐるみを着て命がけ消費税 楽 生
うそを着る重ね着をしてすまし顔 虚路狸
秀 句
逢いに行く服を選んでいるところ かほる
スーツ着る遊び人とは言わせない 団 石
たっぷりの衣まとったエビフライ 奏 子
青森にハダカで来てもいいですよ 良 彦
軸 吟
謎数多着衣乱れてなどいない 哲 男
なんというタイミングの一日 加藤 鰹
▽徳島大会は楽しかった。自分自身四国は二十年前に友人の結婚式で高松に一度行っただけで徳島は「通っただけ」だったから、ほとんど未踏の地だった。見るもの聞くもの食べるものみな新鮮で驚きの連続。鳴門の渦潮に肝を冷やし、眉山を眺め、川沿いを散歩すればもう気分は松嶋菜々子と大沢たかお(笑)
徳島ラーメン、鳴海鯛、ハモ、阿波尾鶏、すだち酒、どれもこれも美味しかった。天気にも恵まれ、大会では三句も抜け(昨年は当日句全没)気分上々で帰路に着こうとした三日目の朝。(そうだ、昨夜飲み会でお世話になった濱山哲也さんたち青森組にたかねを読んでもらおう)と思い立ち、散歩がてら駅前の阿波国際ホテルを訪ねた。茶封筒に入れた冊子をフロントに預け、渡してもらおうとすると「濱山さんという方は泊まっておりませんが」と言う。あれ?おかしいな?早朝ではあったが、濱山さんのケータイに電話を入れてみると、泊まっているのはプリンスだと言う。駅から歩いて行ける距離ではないらしい。半ば諦めかけたがタクシーの運転手さんに「プリンスホテルって遠いですか?」と訊ねたら「歩いて行ける距離じゃないねえ、乗ってくかい?」乗りかかった船だからと思いプリンスホテルへタクシーで直行。フロントに茶封筒を渡そうとすると「濱山さんという方は泊まっておられませんが…」ガチョーン!
もう一度濱山さんに電話をすると「あ!悪りい悪りい、ここワシントンだっきゃ」表で待っていてもらったタクシーで今度はワシントンに直行(トホホ)ワシントンのフロントには昨夜宴会で選者をやって下さった江畑哲男さんやたかね誌友の成島静枝さんたちがいて、僕はさもお別れの挨拶に来たのさ、みたいな顔をしてフロントに茶封筒を預けた。
運転手さんに今度は僕らが泊まっていた東横インまで送ってもらい、部屋に入ってヤレヤレとコーヒーを飲んでいたら大阪の栃尾奏子さんからメールが入った「昨夜、徳島から大阪に帰るとき駅にバッグを忘れて来ちゃった…」ある筈がないと思いつつも「ではダメもとで帰りに駅を見てきてあげるよ」と返信。
徳島駅に行ってみるとベンチになんだか見たことのある面々。団ちゃん、棋人さん、明日歌さん、恭子さんが鳴門渦潮行きのバスを待っていた。なんというタイミング。
そして、何と!忘れもののバッグがあった!ひゃほ~♪三日目の予定は何も入れていなかったので「じゃあ、大阪の奏ちゃんちまでバッグを届けよう」という事になった(笑)
奏ちゃん&武人さんの新居に到着すると「上がって上がって~」と招かれた。そこにはお好み焼きと焼きそばが用意されていた。思いがけぬ昼飯にありつき、新婚家庭ですっかりくつろぐたかね御一行様(笑)
大阪を後にして「何か一か所だけでも観光したいね」ということになり奈良の法隆寺へ。「そういえば板垣孝志さんって奈良の人だったよね」と「法隆寺なう」みたいなメールを真理猫子が送ってみたら…板垣さん、わざわざ会いに来てくれました。たかねメンバー6人+板やん=7人でいきなりお茶タイム。
法隆寺を後にして「さあ、静岡へ帰ろう」と名阪国道を走っていたら三重県亀山市の川柳結社“翔”代表、宮村典子さんから電話。「鰹ちゃんお元気?いま皆で集まって冊子の発送やってるんやけど、次号の鑑賞コーナー久々に担当してくれへん?」「いいですよ、それより今すっごく近くにいるんですけど」という具合にトントン拍子に会話が弾み、今度は三重県亀山市で翔の皆さんとたかねメンバーとのご対面~。なんというナイスタイミングの続いた一日であったろうと、思い出しただけでも可笑しくなってくる。(加藤 鰹)
2012年7月号