五月八日~二十一日、三島で亡父の遺作写真展を催した。父は昨年十二月三十日に急逝したが、父が二十年にわたり趣味で撮りためた写真があまりにも多く、全部保存できるはずがないとわかっていても、そのまま処分するには胸が痛んだ。幸い私の友達にプロのカメラマンがいて、とりあえず姫路から伊豆に作品を運んでくれた。運ぶ途中でふと私が「広い所で全部並べて見たいな。でもド素人の作品なんか個展とか無理だよね」とつぶやいたら「そんなことはない、やるべきだよ」と。そこからはまず日程、案内状に使う写真のセレクト、挨拶文、とアッという間だった。

そして不安いっぱいで初日を迎えた。なにしろ父は伊豆には知り合いもなく、一番近くて東京に現役時代の年上の仲間がいるだけだ。だから来場者数については全く不安だった。

それなのにまず、次々と花が届いた。直前まで会員として撮影会に参加していた全国写真連盟から、次に各地にいる友達から。そしてもうひとつ、差し出し人にピンとこないものがあった。が、あ!とわかった瞬間、籠を抱きしめたまま涙が溢れて止まらなかった。この人こそ、父のガンをきちんと摘出して下さったあとも、ずっと何から何まで看て下さった主治医である。その他にも九州や、父が初任給をもらった時代の大阪の仲間や、退職までいた埼玉からもかけつけて下さった。会場にした地元周辺のカメラマンの人たちも見て下さり、もったいないほど写真をほめていただいた。

正直、ただ父の趣味としか思わなかった私は、ちゃんと見てほしい時に見てあげていなかった!と悔やまれる。父にとって私は、どんな娘のままの別れになってしまったのだろう。もう決して聞くことはできない。せめて旅立ってからまだ4ヶ月ほどの所から会場に来ていてくれたと思いたい。

最後に、応援して下さった皆さん、来場して下さった皆さん、本当にありがとうございました。