霜石コンフィデンシャル84   高瀬 霜石

「百 人 一 集」

川柳は、短歌や俳句に比べてレベルが低い文学だと思われて、現在に至っている。

川柳とは一口に言っても、まずは「江戸時代の川柳(古川柳)」がある。庶民の心を代弁してズバリ斬り込む、反骨精神丸出しの「時事川柳」は、新聞や週刊誌でお馴染みだ。《川柳は一行詩なり》と感じ入る、時には難解な句も混じる。「詩性川柳」もある。

ユーモアを最優先させるあまり、川柳で一番大切なルール――庶民同士傷つけあわない。つまり、弱い者いじめをしない――を無視して、品のない句が並んだりする「サラリーマン川柳」などもある。とっても幅の広い分、まだまだ誤解が多いのも事実だ。

短歌や俳句に比べて、全国誌がなかったのも残念なことであった。あったにはあったが、浮かんでは、すぐ消えた。

8年前に発刊された川柳総合雑誌「月刊・川柳マガジン」。これがビックリ。頑張っているのだ。とうとう100号を超えた。そこで編集部が企画したのが、同一装丁による――川柳マガジン・通巻100号記念企画『川柳作家全集』――の発刊である。

 

「本企画にご参加いただく100名は、弊社から直接依頼させていただいた著者様に限らせていただいております。従いまして、お知り合いの作家様の自薦・他薦には応じかねますので、あらかじめご了承ください」などど、僕をくすぐってきた。

正直、全国100人の中の一人となれば、それは光栄なことである。参加をすれば、この全巻全集入りのオリジナルボックスをくれるというのも魅力だった。

僕もこの業界(?)に古い。ラインナップの半分ほどの人は知り合いだ。句集を編んだら、お互いに《送りジョッコ》するのが習わし。今回は、その手間が省ける。これがとても助かる。思い切って参加を決めた。

1月17日(日)、僕の所属する弘前川柳社主催の「第74回 新春川柳大会」がプリンスホテルで開かれる。寒いのに、例年百数十人が集う県内随一の規模。

大会に参加してくれる方々に、その句集――僕の唯一の持ち味である「ハンカクサイ句」ばかりがズラリ並んでいる手軽なポケットサイズ――を進呈しようと思っている。

初笑いのネタにでもなってくれれば嬉しい限りだ。