霜石コンフィデンシャル114   高 瀬 霜 石

 

「 続 続 続 ワ ー プ ロ 難 民 」

― 救 整 手 の 巻 ―

義弟に頼んで再生ワープロを探して貰ったが、ワープロが壊れて困っていたオヤジをも助けて感謝されたって話を前回報告した。その再生ワープロは、妹の名前をとって「愛人4号・トモコ」と名付けた。

開局以来もう十三年にもなるアップル・ウェーブの番組「霜石のやじうま川柳」の中でお願いをした。

「ワープロが壊れて大変難儀をしております。不要なワープロをお持ちの方、是非おゆずりくださいな」と。

とあるリスナーから手紙が添えられて、修理済みのワープロが、局に届いた。

「私のワープロはもう二十年ものですが、このまま捨ててしまうのはもったいないという気持ちから、修理に出した物です。よかったらお使い下さい」とあり、今年の1月1日の朝日新聞のコピーが同封されていた。

―ワープロが社会の最前線から姿を消して、十年以上たつ。「時代遅れだ」と言われても、いまも愛用している人がいて、修理を請け負う人がいる。

前橋市に、自宅を兼ねたワープロ修理専門店「福島ビデオ」がある。店主・丹治さん(58歳)がワープロを開き、聴診器で異音を確かめたり、ドライバーで部品を取り換えたりする。床には修理待ちのワープロが、段ボール箱のまま山積みに。修理できるのは1日4台程度だが、依頼の電話は全国から毎日5件以上ある。

依頼はほとんどが高齢者から。「おかげさまで、また使えます」。お礼の手紙も毎日届く。奥さんが1通1通、返事を書く―とある。

彼は、福島県いわき市生まれ。地元の工業高校を卒業後、独立し家電全般の修理を手掛けていたが、じり貧に。ワープロ修理に活路を求め、手ごたえを感じた時に、東日本大震災が起きた。店の再開は無理かと諦めかけていたら、全国から救いの手があがり、夫婦は地震から4カ月後、前橋市で店を再開。いわき市での店名は残したという。

彼の手でよみがえったワープロは、局に届けてくれた女性の名前から「愛人5号・シズカ」と名付けた。

その後運よく、入院歴のない健康なワープロを頂戴した。その女性の名前に因んで「愛人6号・マサコ」と名付けたと、感謝をこめて報告した。

折り返し返事が来て、驚いた。「ワタシは後妻に入ったつもりですが……」とあった。

―ワープロの章・完結―

 

2012年10月号