七月十六日、梅雨明け間近の空には真夏の太陽が照りつけていました。

“ap bank fes”数年前から、掛川のリゾート施設「つま恋」で行われている音楽のイベントです。三日間行われるイベントの参加者は八万人超、一週間程前から会場準備が始まり、リハーサルの音が響きます。

つま恋から数キロ離れた我が家にもドラムの音が届き、『いつか必ず行ってみたい』毎年思っていたそのイベントに、今年娘と行って来ました。

シャトルバス乗り場になっているJR掛川駅周辺はいつもの風景とは異なり、派手な装いの若者達で溢れ、バスを待つ長蛇の列。つま恋に入ってからも周囲は若者だらけで、なんだか来る場所を間違えてしまった感じでした。

正午になりお目当てのライブが開幕です。Mrチルドレンの桜井さんがステージに登場すると会場のボルテージは上がり、クリスタルケイ、ジュジュ、ゴスペラーズとパワフルなステージが繰り広げられます。

四時近くになって、私が一番楽しみにしていた“小田さん”(小田和正)登場!少しだけ西に傾いた太陽が立ち見ゾーンの芝生に容赦なく照りつけ、ステージの小田さんも思わず「こんなに暑いと思わなかった」と言っていました。

 

六十才を過ぎているとは思えない高音で聴衆を魅了します。豆つぶ程の小田さんとスクリーンの小田さんを見比べながら一緒に歌い踊り、夢の様な時間はあっという間に過ぎて、ラストステージはミスチル。

その頃になると立ち見ゾーンは超満員。大きく拍手をしようとすれば隣の人とぶつかりそうになります。炎天下六時間以上立ちっ放しで、少々疲れ気味の私とは違い、周囲の若者は飛び跳ねています。終了間際、今日の出演者がステージに勢揃いすると、会場の熱気は最高潮に達し喚声が飛び交います。

暮れかけた空に花火が打ち上がり、再会を約束してライブは終わりました。

帰りのシャトルバスの中で、同世代と思われる女性から「立ち見ゾーンで大丈夫でしたか?」と声を掛けられました。(立ち見ゾーンの後方に、座って見られる「ゆったりゾーン」があり、スタッフから色の違うブレスレットを巻いてもらって入場します)「はい、大丈夫です」と言ってはみたものの、次の機会には「ゆったりゾーン」にしようと思った私。

小田さんの歌と、初めて見た桜井さんの爽やかさに大満足の一日でした。

 

2012年11月号