霜石コンフィデンシャル115   高 瀬 霜 石

 

「 オラ、東京さ行っただ 」

 

ロンドン・オリンピックは、ポール・マッカートニーで始まり、ジョン・レノンの映像で幕を閉じた。

ビートルズ旋風が吹いた1964年(昭和39年)からのファンである僕―当時中学3年生―としては、日本のメダル獲得数以上に嬉しい出来事であった。

そのビートルズよりデビューが1年ほど早いビーチ・ボーイズなるバンドをご存知だろうか。

「サーフィンU・S・A」や「グッド・ヴァイブレーション」、トム・クルーズ主演の映画「カクテル」の主題歌「ココモ」など、数多くのスーパーヒット曲があるウェストコースト・ミュージックの代表選手。

「洋楽ヒットチャート辞典」(小学館)には―躍動感溢れるサウンドとハーモニー。ビートルズに匹敵する史上最高のアメリカン・ポップ・バンド―とある。

ビーチ・ボーイズは、リーダーのブライアン・ウィルソンと、彼の2人の弟を含めた5人組。デビューして間もなく、ブライアンは引きこもり、曲作りに専念。次男が海で事故死。長い間グループを引っ張っていた3男も世を去って、あとはバラバラ。ビーチ・ボーイズは事実上壊滅したと、誰もが思っていた。

そのビーチ・ボーイズが、復活したから驚いた。

「お父さん。大変だ!」との息子のメールで知った。新しいアルバムも発売し、デビュー50周年を記念して日本公演もあるという。すぐに切符を手配して貰った。

会場は「QVCマリーンフィールド」。聞いたこともないので調べてもらったら、ナンのことはない、ついこの前まで「千葉ロッテマリーンズ球場」と呼んでいた所。

最近、このテがやたら多い。青森市文化会館も「リンクステーションホール青森」になったしねえ。

盆休み中の東京では、あの有名なブルーのターバンの「真珠の耳飾りの少女」と、有名ではない?「真珠の首飾りの少女」のまぎらわしい2つのフェルメール展や、「ツタンカーメン展」も開催されていたのだが、どこだって行列は必至、そんな疲れるコトは避けて、ひたすら体力を温存し、コンサート会場に向かった。

トイレで、28歳の青年と話をした。親の影響ではなく、好きなアーティストを逆上っていったら、ビーチ・ボーイズにぶつかったと言うからメゴイ若者でしょ。

福岡から来た彼は、次の日大阪公演も見てから帰ると言う。あーそのテもあったか、負けたと思った。

2012年11月号