平成二十四年度

たかね年間賞 候補作品

口下手の愛は豊かであたたかい    薫

聞くだけは聞いて一本釘を打つ   野次馬

車椅子我が人生のキャデラック   雅 生

聞かぬふり忘れ上手な午後のお茶  義 子

茶に混ぜた父の小言のほろ苦さ   やむ茶

ボジョレ・ヌーボ甲州産がお気に入り里々子

キヨコって名のペットにも発情期  兄 六

指名料そうかこの子も棒グラフ   帆 波

上役の犬までウチにマーキング   哲 也

先に逝ったのはくたくたのスニーカー幹 江

飲み会で埋める愉快なカレンダー  里々子

ハイボール酔いつぶれたら恥ですわ 久 子

年金を担保に妻は飯をくれ     博 司

コンビニで龍の着ぐるみ買い求め  猫 子

迷っても北極星はそこにある    恭 子

愛してるアイしてるルビをふる   美佐緒

友星に 背骨砕ける音を聞く     洋 未

純真へ効いた少しの毒ですが    茂 瑠

帰りたくないです赤い風車     帆 波

神様が味方大吉つれてくる     恒 代

子どもとの約束だから命がけ    哲 也

春キャベツザクザク美女になるつもり里々子

踏まれても芽吹く野草の気をもらう 恵美子

家を出る手にはあなたの予約券   くにこ

人生は飛ばし続けたシャボン玉   好 子

クレヨンは燦燦として笑みかける   弘

その嘘に微笑みひとつ返します   くにこ

どしゃ降りを裸足で駆けた遠い過去 敏 子

駄洒落でも言えばそれだけ気がまぎれ 亘

あなたなら法には触れぬ羽交い絞め 徳 子

背伸びして生きているからよく転ぶ やむ茶

ゆっくりと等身大を受け入れる   奏 子

ゆっくりと満ち潮を聞く誕生日   義 子

輪の中に風がまあるく座ってる   千代見

仮設住宅建つ公園も花吹雪     繭 子

家族自慢 笑顔で聞いてムカついて    鰹

洗っても拭いても白に戻れない    弘

旅に出て空一枚を持ち帰る     義 子

ただ今と言えるところをここにする のぶ男

天婦羅にしてあげましょう春の風  さとみ

他人より遅い時計で生きてます   猫 子

居酒屋で治外法権謳歌する     博 司

半熟の男と遊ぶ昼の月       美佐緒

悪口は風と一緒について吹く    天 子

庭の石眺める雨のペットロス    兄 六

毒抜けばわたしも白い灰になる   幹 江

あじさいの秘密は雨が知っている  敏 子

句読点外せば飛べる明日がある   野次馬

暑い夏始まる前の口合わせ     雅 生

風水に懲りヘンテコな家に住み    鰹