平成二十三年 十一月十七日
定 例 句 会
於 アイセル21

 

参加者(順不同)長澤アキラ、佐野由利子

稲森ユタカ、望月弘、増田信一、林二三子

加藤鰹、川村洋未、杉山光代、森下居久美

薮﨑千恵子、中野三根子、曽根田しげる

三島紀久子、南天子、西垣博司、山本智子

山田浩則、勝又恭子、石上俊枝、尾崎好子

市川重雄、岡村廣司、畔柳晴康、薗田獏沓

内山敏子、奥宮恒代、石田竹水、成島静枝

中田尚、井口薫、小林ふく子、中矢長仁

鈴木まつ子、鹿野太郎、毛利由美、川口亘

安田豊子、栃尾奏子、濱山哲也、池田茂瑠

滝田玲子、松田夕介、八木益代、森田安心

鈴木千代見、斉尾くにこ、谷口さとみ、中

司、渥美さと子、山本野次馬、川口のぶ子

永田のぶ男、荒牧やむ茶、森だがやん、那

須正、滝田玲子、恩田たかし

 

 

席 題  「 海 」  稲森ユタカ 選

海が好き女も酒も好きな人     俊 枝

家の妻海水よりも塩辛い      信 一

海よりも深い愛など無い夫婦    信 一

秋の海合鍵ひとつ捨てに来た     鰹

思いきり泣いて枕が深い海     智 子

失恋は海に捨てたよでかい声    好 子

冬の海演歌の世界入り込む     三根子

海の幸溢れる鍋にすすむ酒     恭 子

海は好きだけど魚は苦手です    恭 子

尖閣の海に漢字が浮いている     弘

尖閣を中国船が脅かす       千恵子

今日もまた言葉の海で溺れそう   恭 子

一本釣り港へ向かう大漁旗     千恵子

蒼い海毎日違う顔を見せ      由利子

桜えびピンクに染める由比の海   紀久子

群青の海は知ってる波と風     アキラ

焼津港深層水に衣替え       信 一

北の海墨絵の様な雪景色      三根子

初日の出山より海は一人じめ    好 子

夏終り海ひっそりと淋しがり    千恵子

五 客

血の海で人が溺れるミステリー    弘

海原の母厳しい山は父らしい    俊 枝

一日として同じ顔見せぬ海     信 一

駿河湾ゆっくり渡るお月さま    由利子

B4版ほどの車窓に海景色     由利子

人 位

佇めば吸い込まれそう海の青    千恵子

地 位

海に陽が溶ける隙間に二人きり   恭 子

天 位

子供らが犬かきをする母の海     弘

 

 

宿 題  「手抜き」  尾崎 好子 選

ちょっとだけ楽をしている無洗米  竹 水

お互いの手抜き認めている平和   恒 代

慣らされた手抜き料理が口に合う だがやん

デパ地下が手抜きしなよとやかましい俊 枝

手抜きした言葉が傷を深くする   アキラ

築五年もう雨漏りの手抜きぶり   さと子

手抜きした掃除の後へ急な客    敏 子

手抜きした料理が皆に受けている  恭 子

張りぼての愛から漏れるすきま風  野次馬

コンビニに僕を預けて妻旅行     薫

手抜きしたツケ晩年の請求書    くにこ

手抜きにも抵抗しない綿ぼこり   恒 代

手抜きしたけれど優しい子に育ち  やむ茶

下見せず手抜き観光事故を呼ぶ   紀久子

オデン種たっぷり足して旅支度   智 子

共稼ぎ家事の手抜きが上手くなる  千恵子

吉野家で済ます戦士の昼ご飯     鰹

お湯入れて三分待って出来上がり  ユタカ

即席とレンジをうまく使う妻    信 一

手抜きした工事で家がよく揺れる  博 司

義理チョコも手抜している気楽だね しげる

夕食を手抜きしたのか店屋物    晴 康

卵かけご飯ブームに乗る夕餉    やむ茶

野菜だけ切って入れれば鍋できる  たかし

今日もまた健康食と冷やっこ    俊 枝

インスタントに暇を出された調理器具 薫

子沢山手抜き育ての優良児     重 雄

五 客

作りおき旬蓄える冷凍庫      居久美

たまに手を抜いて介護の長い道   太 郎

ほどほどに手抜きを覚え若返る   さとみ

神様はいつも只今準備中      哲 也

手抜きした掃除のつけが暮れにくる 益 代

人 位

手を抜いた花は正直顔に出す    光 代

地 位

黙認の手抜きへ埃舞い上がる    智 子

 天 位

手抜きして打つカスガイの子が逃げる重 雄

 

 

宿 題  「 赤 」   川村 洋未 選

信じてる赤い金魚も縁起物     哲 也

恋すれば白い雪まで赤くなる    安 心

酔った夜は赤に触ってみたくなる  くにこ

真っ赤な嘘まるで見て来た様に言い 好 子

老け顔へ女のあがき赤を足す    智 子

幼稚園ピンクの次に赤が減る     弘

自信作添削されてまっかっか    廣 司

赤札へ財布の紐がゆるみ出す    恭 子

ネオン街真っ赤な嘘も通り過ぎ   さと子

赤ペンの花丸踊るランドセル    玲 子

赤い服売り場でじっと立ち止る   長 仁

絵手紙の雅印が憎い位置にある   静 枝

赤チャリで娘送迎幼稚園      たかし

詐欺師にも赤い血だってきっと有る 竹 水

晩秋へ真っ赤な嘘も彩どられ    まつ子

白い糸赤く染まって縁結び     紀久子

洋皿に赤いパプリカ派手に舞う   俊 枝

金のこと言うと信号赤になる     鰹

十月になったサインの赤い羽根   獏 沓

朝帰り口紅ついてないだろな    由利子

誘惑の赤に思わず手を伸ばす    奏 子

赤信号別の景色が見えてくる    アキラ

お祝の赤飯爺に硬すぎる      晴 康

赤信号家庭の中も乱れそう     天 子

赤っ恥掻いた昔を夢で見る      亘

還暦は赤いフェラーリ乗るんだもん さとみ

赤い爪奥の手二つほど握る     茂 瑠

今日こそは決めてやるぞと赤を着る 三根子

赤シャツで天皇賞を馬が取る    しげる

山門に紅葉京都へ行くチラシ    静 枝

手筒花火男のロマン赤く燃え    光 代

 五 客

勢いを付けて勝負の赤を着る    千恵子

赤い糸結び直して別の人     だがやん

国会の秋のファッション赤い羽根  益 代

赤い糸年月過ぎて灰の糸      廣 司

赤ペンで個性こわしていく教師    尚

 人 位

野良からの帰りは夕日しょってくる 博 司

 地 位

爪切って赤ちゃん抱っこしに行こう 由利子

 天 位

東大は無理と赤門見て帰る     千恵子

 

 

宿 題  「し  わ」  加藤  鰹 選

コラーゲンたっぷり塗って顔の皺  由利子

顔のしわ努力我慢の金メダル    光 代

しわたるみ私の顔に馴染み出す   三根子

アイロンをかけてお顔のしわ伸ばす のぶ子

太りすぎパンパンだから皺出来ず だがやん

おしろいが笑い皺なかかくれんぼ  俊 枝

小じわでも気になる今日の厚化粧   亘

お互いに皺見比べるクラス会     薫

しわたるみ無理に隠せばなお目立ち 二三子

皺ばかり笑顔がとてもチャーミング 三根子

しわくちゃの顔でも孫がカメラ向け しげる

しわ伸ばしメイク中です笑えない  長 仁

整形医止めときなさいとも言えず  智 子

世の女性カラスの足跡が嫌い    安 心

アイロンのかかる鏡で化粧する    弘

アイロンが効いてきました脳のしわ 恭 子

脳だけはしわがふえれば嬉しいさ  洋 未

笑っても泣いてもしわが付いてくる しげる

一言が多くて顔にしわ作り     光 代

ストレスを溜めないための笑いじわ 居久美

しわの数だけ苦労した父と母    信 一

しわの手を見れば苦労の数を知る  安 心

浮世路を老いた辛苦のしわに聴く  重 雄

人生の襞を纏って紙オムツ     アキラ

自販機が皺を拒んで入らない    益 代

客足へ眉間にシワのまねき猫    ふく子

しあわせも辛い日も知る札の皺   益 代

諭吉様ごゆっくりねと皺のばす    薫

しわ同士お手々繋いでニューヨーク のぶ男

近いうち言った言わないしわ寄せて 恒 代

消費税民にしわ寄せ野田総理    紀久子

脱水に負けた形状記憶シャツ    由 美

人生のドラマのあとのしわの数   紀久子

履歴書を眉間の皺に突かれる    哲 也

しわ寄せは子供に及ぶ夫婦仲    二三子

うっかりがまたも大事なメモ丸め  千恵子

食べ頃の干し柿仰ぐ日向ぼこ    居久美

しわくちゃに丸めて男一人消す   恒 代

しわしわになるまで君と居たいんだ 奏 子

五 客

孫の九九しわ三十二連呼する    静 枝

しわのないお札は高そうに見える  恭 子

しわの数反比例する顔と脳     信 一

老眼も悪くはないなしわ見えず   洋 未

尖閣のそばかす東シナのしわ    くにこ

 人 位

母のしわひとつは私かも知れぬ   千恵子

地 位

しあわせの形にシーツしわが寄り  アキラ

天 位

笑いじわ勲章だもん気にしない   好 子

 

 

宿  題 「自 由 吟」  互  選

⑨老木もライトアップで若返る   益 代

⑧再会に幸せそうでホッとする   千代見

⑥急用といつもその手で呼び出され 千恵子

⑥忠告を無視して悔いがまた一つ  よし子

⑥缶切りを必死で探す妻の留守    鰹

⑤不貞寝では取れぬ疲れの空財布  さと子

⑤心にもSMLとあるサイズ    哲 也

②黙ってて片目つぶりて釘を差す  晴 康

②下足箱入れ間違えたラブレター  奏 子

②丸木橋渡って若くなる二人    太 郎

②イエスノー二股妥協した懺悔   竹 水