「自 由 吟」                   奥宮  恒代

皮算用ばかりしている棒グラフ              森 町

加速して脱線こわい新政府

縁側の特等席に猫の髭

ありがとう解凍されていく妬心

 

 

 

「初 笑 い」              勝又  恭子

冷凍庫から見つかった小銭入れ          三 島

新しい手帳にまずは飲む予定

今年こそ使い切りたい日記帳

小吉のみくじ厳しいことを言う

 

 

 

「帰 省 客」               中矢  長仁

のんびりの静けさ破り帰省客           松 山

帰省客迎え婆ちゃん嬉しそう

嬉しいな好きなお酒を子や孫と

子や孫の去って静かな日が戻る

 

 

「酒いろいろ」                  鈴木 千代見

嘘混ぜた酒にわさびの効いた蛸              浜 松

酒交す自慢話も聞いている

イケメンの話になると旨い酒

割り勘と聞いて控える酒の量

 

 

「うっかり」                    酒井  可福

閉め出されオートロックに愚痴が出る           北九州

左遷とは知らずに祝う友も居る

コップ酒うっかり漏らす娘の秘密

顰蹙の笑顔うっかり葬儀場

 

 

「年末年始」                  川口 のぶ子

年の暮あれもこれもと金が舞う            藤 枝

年越しのそばに家族の夢たくす

明けまして今年も頑張る年の坂

お雑煮はやっぱり旨い母の味

 

 

「年末年始」              恩田 たかし

垢落とし年を明かした風呂の中         静 岡

夢のくじ年の最後に夢覚める

墓参り動物園にお買い物

あっちゅう間諭吉様方飛んで行く

 

 

「自 由 吟」              竹内 みどり

一年を感謝感謝で暮の旅            さいたま

ストレスをよき友として受け入れる

初もうで甘酒飲んでうれしいな

辛い時笑顔で生きる春になる

 

 

「時空を越えて」           外側 としみ

永遠の別れに止まる砂時計           磐 田

冬銀河少しあなたが近くなる

ひとつずつ星を丸めて船に乗せ

震災忌時空を越えて会いにいく

 

 

「一  念」             石田  竹水

完熟にさせない夢を賞味中            静 岡

今日やって明日の楽しみ倍にする

星座から外れ好奇の流れ星

一念は夢を叶えるブーメラン

 

 

「ふ わ り」                 戸田 美佐緒

止まり木で思いつめてる恋ごころ            さいたま

盃の月が崩れて月に酔う

ほろ酔いのふちでふわりと蝶が舞う

紅椿少女が羽化を始める日

 

 

「標準装備」              毛利  由美

空き部屋を占拠している受験生          つくば

上々の加湿器 ストーブに薬缶

車2台標準装備する田舎

髪染めはアンチエイジングの基本

 

 

「雑  詠」               濱山  哲也

母曰く「病気じゃないよただの風邪」       つがる

私利私欲なんとも言えぬ良いリズム

名物を無理やり食って旅心地

裸よりスッピン拒む適齢期

 

 

「自 由 吟」                 孝井   栞

快方の芽をネットから探し出す                 富 山

病む孫へ家族輪になる強くなる

おんぶしたい腰を筋力アップする

嫌なニュース回避 落語とティータイム

 

 

「自 由 吟」               真田  義子

声かけて力になってくれる友             仙 台

もう一度たぐり寄せたい赤い糸

脱皮する度に希望が見えて来る

生きていることがうれしいシクラメン

 

 

「新  年」              岡村  廣司

一年の義理を賀状で済ましとく           焼 津

年末も新年も顔変らない

喪中など忘れ新年おめでとう

賀状着きしぶとく生きているを知り

 

 

「いちにち」              新貝 里々子

脱皮する如くパックの紙はがす         袋 井

目の前で売り切れました今日の運

酒場放浪記と夜は呑んでいる

はらりはらりとわたしの初春はいびつ

 

 

「衆議院選」              三島 紀久子

突然の解散劇の衆議院              静 岡

選挙カー師走の街をざわめかす

民主党大惨敗の薔薇散らす

薔薇咲いて日本どうする自民党

 

 

「うっかり」              馬渕 よし子

断捨離へうっかり恋も捨てちゃった             浜 松

言い返す言葉しっかり貯える

投稿を終えていい句がふっと出る

鈍行でゆっくり余生楽しもう

 

 

「日向ぼこ」              安田  豊子

つい洩らす愚痴で昔が筒抜ける            浜 松

色褪せた箱へ余生の夢を詰め

言い訳を堪えて馬鹿になってみる

嫌なこと流しひとりの日向ぼこ

 

 

「誕 生 日」              小林 ふく子

嬉しいとは冬が去るまで言えません        袋 井

秘め事を輪ゴムで止めて春を待つ

追うものがあるから今日も陽に会える

誕生日迷わず直線を引こう

 

 

「  女  」             松橋  帆波

演歌ですおんなの性が歪められ          東 京

妻という女ですものテレパシー

泣いている影にも嘘がある私

終電を逃すと女強くなり

 

 

「惜しいね」              増田  久子

あの美人女優と一字違いの名          焼 津

身贔屓が惜敗にした三点差

好きでないものから食べて食べ残す

異常なし手ぶらで帰る内視鏡

 

 

「踏  む」             藤田  武人

足跡をしっかりひとつもうひとつ           大 阪

四股を踏み静寂の中鬼になる

サヨナラのホーム歓喜の輪の中へ

真実の踏み絵白から語り始め

 

 

「初  春」              石上  俊枝

今年こそ三日坊主が誓う朝                 静 岡

正月がときめきもなく逃げていく

子も孫もお年玉にはせじ笑い

寄せ植えの鉢から春が顔を見せ

 

 

「春  よ」              栃尾  奏子

愛の詩綴って春を待ってます           大 阪

遺伝子がざわざわ春が来る予感

一斉に新芽が春に招かれる

やっと出会えた運命を抱きしめた

 

 

「自 由 吟」              成島  静枝

我が家系美男美女には遠くいる            千 葉

集まればジョーク応酬血の絆

ご近所に棲んでる蛇が守り神

結婚へファイナルアンサーまだ言えず

 

 

「時代おくれ」            野中  雅生

デコンプの時代おくれのバス走る         静 岡

股引きに時代おくれのおじいさん

秋の雨時代おくれの傘想う

クリスマスサンタになった怖い父

 

 

「自 由 吟」             川村 美智代

犬用ケーキ犬も俄かにクリスチャン           静 岡

プレゼント百貨店からニセサンタ

年明けを冬眠中で知らぬヘビ

春よ来い いい年であれ祈るヘビ

 

 

「ナ ウ イ」             安藤 千鶴子

怖いもの代表なんて巳はショック             静 岡

メール出す返事はいつも電話です

ナウイって思わずでかい声出ちゃう

駄菓子屋は昭和のままでホッとする

 

 

「年 明 け」             提坂 まさえ

リセットをしよう一人のイヴだもの       静 岡

信じる子そうでない子もサンタ来る

足あれば世界変っていただろう

嫌われ者ですが巳年の姉は好き

 

 

「手  紙」                   鈴木 恵美子

筆まめの友の代筆気にかかり                 静 岡

メカ弱くオール手書きの賀状書く

丹念な手紙やすらぎ持って来る

恵まれた容姿に裏の顔がある

 

 

「雑  詠」                   内山  敏子

おとぼけの笑顔残して今日終る              浜 松

朝毎の鏡に聞いて眉の位置

言い訳を並べ自分に負けている

負けてこそ心の糧となる涙

 

 

「空(くう)を抱く」               斉尾 くにこ

逃げることばかり考え立ち向かう         鳥 取

悪意なき無邪気をそっと遠ざける

むぎゅっと淋しくなって空を抱く

楽しもう両手いっぱい時はある

 

 

「自 由 吟」                    滝田  玲子

ゼロからの出発怖いものはない           浜 松

まだ夢は捨てず未来へ虹を追う

円熟の芸途中で逝った悔し泣き

歌舞伎座の唐破風青シートに泣く

 

 

「新  年」                    菅原  花子

初詣甘酒飲んでほっとする                  盛 岡

夢をもち笑って生きる一年に

ととのえて顔も心もすっきりと

強くなる心と身体雪かきで

 

 

「アナログの血」            萩原 まさ子

手がないじゃん龍がバトンを渡せない       静 岡

まむし酒サプリメントが後ずさり

紙芝居アナログの血が騒ぎだす

鈍行で気付く過疎地の息づかい

 

 

「自 由 吟」                    山本 野次馬

前向きに歩けば虹が寄ってくる          函 南

余白にも精一杯の絵を描く

ブラックを飲み干すジレンマの入り口

ハグしても戻らぬままのシャボン玉

 

 

「自 由 吟」                    鹿野  太郎

女々しさよサラバ決意の餅を搗く          仙 台

一族の花に埋もれて百が逝く

居酒屋のメニューが俺を包み込む

精鋭を束ねる笛の一呼吸

 

 

「野良ねこ」                南   天子

お人好しねこも私を見抜いたな              焼 津

野良ねこもグルメの味が好きらしい

ハムスター五年も生きてネコ飼えず

野良ねこも運が悪いと寒い夜

 

 

「暮れの風景」             飯塚 すみと

いるんだね日本語あやつる異邦人         静 岡

丁寧な歯医者に通い不満言う

買ってくれ賀状ハガキのレイアウト

明細書まだまだ見せぬ低い額

 

 

「期  待」              畔柳  晴康

多党化もきれい事だけ並べたて         浜 松

期待する新内閣も苦は多い

内閣も新しい顔 古い顔

総理殿経験活かし期待する

 

 

「  山  」                 川口   亘

山を張り答出る間の気のもだえ             藤 枝

楽書きに山を描いた孫を誉め

山鳩が餌欲しいのか庭に舞う

嬉しいと山ふところに抱かれる

 

 

「年 賀 状」              山田  浩則

年が明け早くも届いた年賀状           島 田

年賀状下手でも版画で刷ってみる

パソコンよりも手書きの年賀状

味が有る年賀状は版画刷り

 

 

「雪 景 色」               中野 三根子

北国の雪が輝き照りかえす              静 岡

眩しくてサングラスする雪の道

バスの窓日本海から波の花

永平寺墨絵の様な雪景色

 

 

「ワイルドだ税~」            谷口 さとみ

二ヵ月に一度のアレが軽すぎる            伊 豆

毎月のアレはドロンとのしかかる

毎日のアレはどんどん膨らんで

年末にアレがちょびっと詫びにくる

 

 

「雑  詠」              薮﨑 千恵子

おめかしの指輪が何か言いたげな         焼 津

羽伸ばす熟女ひらりと夜の街

クイズ好きテレビの前を離れない

解答者気分になっているクイズ

 

 

「自 由 吟」              宮浦 勝登志

宝くじ長蛇の列もいとわない                静 岡

賛美歌を歌えぬ人がクリスマス

年金に合わせ小振りのクリスマス

流行語やっと使えばもう新語

 

 

「私の経済学」               尾崎  好子

スーパーの三割引きをまとめ買い               藤 枝

薬局の次は百均ほっかいろ

これがまあ100円だとは目が硬貨(コイン)

年金も下がるデフレの今を生き

 

 

「自 由 吟」              林  二三子

年毎に月日の流れ早くなる                 富士宮

グラウンドゴルフ楽しみ若くいる

飲んで食べ喋って女五人旅

正月太り一寸ぐらいじゃ戻れない

 

 

「雑  詠」              荒牧 やむ茶

雨上がりポンポン跳ねる手毬唄          小 山

神様の手のひらに乗る破天荒

一滴の憂いダイヤを曇らせる

大好きと思える人が側にいる

 

 

「  蛇  」               真理  猫子

ウエストとサイズ記した蛇の目傘         岡 崎

DNA 私の母は蛇使い

遊び癖五十の坂で蛇行する

ウヒャヒャぐふっキャッキャ流れてくる蛇口

 

 

「新  年」              増田  信一

巳の年は難をすり抜け福を飲む          焼 津

子の頃に掘った巳の図を孫使う

年男酒を飲まずにトグロ巻く

変わらない事がめでたいお正月

 

 

「初 夢 と」              長澤 アキラ

初夢の中で足し算ばかりする           静 岡

バアさんやまた三億が当たりそう

選挙区で龍馬と書いた投票日

デモ隊を薬味に使う中華鍋

 

 

「運  命」               永田 のぶ男

出逢いには夜霧の雨に傘一つ           静 岡

運命のいたずらだろう擦れ違い

異次元で裏切者の顔を見る

振向いた男に女 砂をかけ

 

 

「  金  」                 多田  幹江

身の丈のオイル交換しています              静 岡

重ね着の胸の辺りの金縛り

わたし金属アレルギーなの判る

春を待つ金の成る木はスッポンポ

 

 

「生 き る」              川村  洋未

球根に生きるしぶとさ教えられ          静 岡

2センチの金魚バケツで冬を越す

目が落ちた拾わなくても手編みなら

行列に並ぶ目玉は曇らない

 

 

「同 級 生」                    森下 居久美

思い出のページを捲るクラス会              掛 川

久しぶり変わらない人・・?

それぞれの人生があり今があり

再会は五年後シアワセで居たい

 

 

「憂さ晴らし」              佐野 由利子

憂さ晴らし饂飩へパッと唐辛子                 静 岡

あと一歩下がれば視野が広くなる

絵手紙に大輪の花自己顕示

割り勘となって気の毒ウーロン茶

 

 

「鬼面の踊り」                池田   茂瑠

邪魔だった過保護の枠の釘を抜く            静 岡

逃げ腰の私に合った低い靴

失恋の祭り鬼面と踊ります

この先は無理が絡んでくる話

 

 

「自 由 吟」             松田   夕介

三日月がみなとみらいに落ちていた             静 岡

差し伸べた手に蟻ほどの下心

僕を見て大盛りにするのは無礼

三が日ころに落としてきたやる気

 

 

「豆腐の角」                 望月    弘

居酒屋の刺客は豆腐だけでいい             静 岡

いくつもの気をすり抜けてきた病

骨のある豆腐だ角が崩れない

妻と俺リバーシブルで生きている

 

 

「ラストダンス」            加藤    鰹

干し芋よお前もメイドインチャイナ            静 岡

七輪でラストダンスをするスルメ

どか雪に大パニックとなる都心

もちづきの最後花火は揚がらない