平成二十五年 年頭吟特集 賀状より

脱皮して蛇もわたしも恋をする     相田 柳峰

嵐が丘を越えると幕がひらきます    赤松ますみ

晴れやかに絆が祝う屠蘇の味      秋本トヨ子

巳年はる運を信じる陽を仰ぎ      浅野 滋子

還暦の二字のしかかる春の空      浅利猪一郎

ソコソコの言葉遊びに底がない     渥美さと子

イメチェンへオールナイトでヘビダンス 阿部闘句郎

ハッピーが蛇行しながらやって来る   荒牧やむ茶

駅伝へ寝正月とはいかぬ初春      安藤 紀楽

ヘビ年の母の教えが懐かしい      飯塚すみと

生き甲斐の趣味が余生をなお燃やす   五十嵐 修

脱皮してみよう翔んでもみようかな   池 さとし

狂いなく初日が丸い顔を出す      池田 茂瑠

脱皮して飛躍を誓う年男        いしがみ鉄

夢多き青大将で元気です        石上 俊枝

白蛇の五福授かる佳期が来る      石田 竹水

くちなわも若草色も道化の手      石田 柊馬

幸せを探してワイルドな蛇行      石橋 芳山

元気病気元気病気のくりかえし     五十川 操

鎌首をもたげたお札財布入れ      市川 重雄

空の色風の音にも好い予感       伊藤 我流

蛇のもつ執念真似て生き伸びる     伊藤 泰史

足腰が萎えても燥ぐ蛇踊り       伊藤三十六

年の瀬の水を豊かに使ふかな(俳句)  伊藤  眠

脱皮する蛇も見ている初日の出     伊藤 良彦

新しい布団を買ったガン保険      犬塚こうすけ

充電の終わらぬままの今朝の春     岩淵 黙人

初夢は世界一周する六十路       上野 楽生

大吉のみくじに新春の深呼吸      内山 敏子

元朝の航跡沖へおきへ伸ぶ       梅崎 流青

世のため人のため川柳のため生きん   江畑 哲男

笛の音に踊りコブラも生きてゆく    近江あきら

不二の夢高鳴るものを解きはなす    大石 一粋

泰然と乱世の風を生き伸びる      大河原信昭

瓦礫かき分け前向きの若き蛇      大坂 斗昇

冬眠の藪をつつけば蛇わらう      大橋 政良

一月一日無名作家として生きる     岡信かず男

初春の脳細胞に活を入れ        岡村 廣司

夢もってきっと大蛇になれるから    奥宮 恒代

年食えば出来ない事がまた一つ     尾崎 好子

妻と母役目終わって脱皮する      垣野 佳子

雑用に食べられている僕の初夢     鍵山 裕樹

神様が私にくれた丸い鼻        勝又 恭子

恐ろしい夕餉とろろに赤まむし     加藤  鰹

原発を呑み込む蛇よ出ておいで     門脇かずお

還暦の岐路で家族を振り返る      鹿野 太郎

脱皮して斬新な句の作りたき      鎌田 一尾

巻かれたらあかん巳年だまき返せ    川上 大輪

細長く巳年にかけて強く生き      川口  亘

守れなかった誓いを書体変えて書く   川島 五貫

立ちあがる蛇のウロコが光りだす    河内沙智子

遇うことは約束でした花輪廻      きさらぎ彼句吾

魅せられにおいで下さい全日本     北山まみどり

埋れ火に新たな炭を足し候       久保田禎一

夢一つ叶えるために脱皮する      熊谷 岳朗

家守る蛇と一度だけ目が合った     小島 蘭幸

美しく老いて花野の風になる      小林 笑楽

不戦勝少し笑える年でよい       小林信二郎

巳の抜がら財布に入れて福を待つ    小林ふく子

春夏秋冬花が見られて酒が飲め     小林満寿夫

情に酔い蛇も人肌なってゆく      斉尾くにこ

新春に夢いっぱいの酒を酌む      酒井 可福

句集発刊こころ豊かに初春の酒     桜井 閑山

カレンダー吉吉吉と書いている     提坂まさえ

新雪を背に浴び白い蛇になる      佐藤 岳俊

蛇含草ないので人を食われない     佐藤 孔亮

六度目の干支が冬眠から目覚め     佐藤 灯人

クチクラに少しこだわる古希の旅    佐藤美枝子

幸せな一日回り道をする        真田 義子

願い事一つと決めて初詣        佐野由利子

蛇口全開いざ顔洗う年男        柴崎 昭雄

幸せな雲が流れる三が日        四分一周平

連休へ一月四日悩ませる        島田 駱舟

へびの道それもまた良しくねり良し   志村まさ尋

その笑顔ロイヤルストレートフラッシュ 樹萄 らき

這ってでも生きる気骨を巳に習う    新貝里々子

聞かれたる苗字の由縁おでん酒     神  一男

新しい舟新しい日を歩く古都      杉野 陸朗

廻り来る初春に思う今年こそ      杉山 光代

燃えるものあり新春へダッシュする   鈴木恵美子

ロンドンの今の気温はヘイジュード   鈴木  茂

太陽の大きさを知る初日の出      鈴木千代見

年金で今年も生きる生かされる     鈴木まつ子

今年こそお越し下され福の神      妹尾 安子

年頭に願うはひとつ痩せる事      芹沢穂々美

大波小波笑い袋は離さない       髙瀬 霜石

八度目の巳年へ昇る初日の出      高橋はじめ

笛吹けば魔法の蛇が踊り出す      高橋 朗風

不景気の沼を大蛇が泳ぎ切る      瀧  正治

恙無襷をつなぐ去年今年        瀧   進

今年こそが三日坊主で終わる計     滝田 玲子

夢を書くため6Bの芯がある      田辺 進水

きょう何を喰ったかヘビも考える    千島 鉄男

老いてなお蛇に倣って脱皮する     津田  暹

コンパクト捨てずに生きて年女     土屋 渓水

丸木橋渡る元気のある夫婦       てじま晩秋

まだ生きる読みたい本がたんとある   寺田 柳京

花の下私の中を開けてみる       徳永 政二

海という画布を広げている大志     栃尾 奏子

健康を願い巳年に運かける       長尾 美和

ひとすじにただひとすじに君と行く   中野三根子

議事堂を描くとピサの塔になる     長澤アキラ

一日の重さ今年は古希となる      中島 久光

蛇の皮財布に入れて年を越す      永田のぶ男

初詣わが家でお神酒上げている     中矢 長仁

リベラルに生き天職に支えられ     成田 孤舟

新しい年新しいこと一つ        成島 静枝

へびの目がやさしくなった要注意    浪越 靖政

心にも明るい花を咲かせよう      南  天子

新たなる決意鉛筆6Bで        西 恵美子

巳年だでのらりくらりと行かざあよ   西垣 博司

蛇伊呂波仮名となりぬる初春の酔い   西潟賢一郎

タラタラリン蛇口が春を語りかけ    西來 みわ

孫たちにおもちゃのヘビでからかわれ  野中とし子

地吹雪へ肋を開けて立ち上がる     八戸むさし

ツチノコは今も元気に生きている    濱山 哲也

今年こそが守れるだけの計をたて    林 二三子

政権交代僕の頭も衣替え        樋口 一杯

なにもない声を掴んでいるばかり    ひとり 静

大らかに生きよう六度目の巳年     深澤ひろむ

巻かれずに伸び伸び生きた半世紀    藤田 武人

おカネには縁が無かった蛇の皮     藤原 鬼桜

春という大地家族の輪の中で      真島久美子

巳の年はぬるりするりの処世術     増田 信一

また転ぶもう起きなくていいのかも   松尾 冬彦

地を這って幸せ色の穴を掘る      松川多賀男

新年の抱負今年もヘビー級       松田 夕介

美人絵の小道具になる蛇の目傘     松田 順久

初笑い去年の皺がひとつ消え      真弓 明子

僕であるための脱皮を繰り返す     三浦 蒼鬼

まだ胸に満ちるものあり喜寿の初春   三島 淞丘

ご自由にどうぞとヘビ女が来る     水品 団石

初春の夢羽ばたけと鈴を振る      御田 俊坊

屠蘇気分舌へ転がす養命酒       宮浦勝登志

初夢は白蛇 今年を実らせる       宮村 典子

両の眼が横縦一本孫の前        村井 規子

外孫の来襲賑やかな初春        村田 大志

神様に無理強いをする初詣       村松はじむ

さあ撮れと麗峰富士の仁王立ち     望月  弘

ダイエット出来ない僕はヘビー級    森だがやん

ささやかな夢を奏でる初日の出     森下居久美

ゼロ金利それでも貯める蟻の意地    森田 安心

六度目の巳年迎えて紅を引く      八木 益代

ポケットに待たせたままの夢がある   八木田幸子

奥天城紆余曲折の冬木かな(俳句)   矢澤 賢一

焦らずにそれなりに行く初春の路    安田 豊子

景気良くなるか巳年に期待寄せ     薮﨑千恵子

ヘビだねと言われるくらい伸ばす首   山口 兄六

新天地蛇も株価も上を向く       山口 早苗

欲張りな夢が押し合う予定帳      山下 和一

七巡の辰もどうにか通り抜け      山田 敏夫

原発やあれはけもののねむったかたち  山田 迷泡

蓮根を覗けば復興やり残し       山本 智子

いっぽからあすという日はやって来る  山本野次馬

咀嚼する蛇になろうかなあゾロ目    横田輪加造

あなたより驚いたのは蛇の方      横村 華乱

新風に翔んで弾んで春に入る      横山 昌利

大空へ平和と書いたお正月       米島 暁子

わたくしに挑戦状の届く春       米山明日歌

福招くスネークダンス振りまいて    渡辺  梢

果報待つ形に巻いているとぐろ     渡辺たかし

くねくねと上り下りの古希の坂     渡辺 貞勇

初春の空へ駆け出す古希の夢      渡辺 松風

原発はゼロに弱者に温い手を      渡邊 美幸

 

★そのほか、たくさんの賀状ありがとうございました。