平成二十四年 一月十九日
たかね川柳会 新年句会
於 ラペック静岡 和室
参加者(順不同)曽根田しげる、藤田武人
栃尾奏子、西垣博司、真理猫子、奥宮恒代
水品団石、中前棋人、望月弘、荒牧やむ茶
増田信一、山田浩則、勝又恭子、松田夕介
森田安心、山本智子、八木益代、杉山光代
佐野由利子、加藤鰹、石上俊枝、池田茂瑠
林二三子、伊藤泰史、多田幹江、尾崎好子
新貝里々子、小林ふく子、鈴木千代見、中
司、長澤アキラ、藪﨑千恵子、米山明日歌
中野三根子、森下居久美、稲森ユタカ、那
須野正、渥美さと子、谷口さとみ、川口亘
畔柳晴康、岡村廣司、中矢長仁、内山敏子
成島静枝、酒井可福、石田竹水、毛利由美
鹿野太郎、濱山哲也、安田豊子、市川重雄
鈴木まつ子、斉尾くにこ、外側としみ、川
村一、三島紀久子、山本野次馬、野中雅生
川口のぶ子、永田のぶ男、提坂まさえ、川
村美智代、萩原まさ子、野中とし子
宿 題 「蛇 足」 谷口さとみ 選
言い足しがなけりゃ感動的でした 恭 子
赤い爪シッポも付けてしゃしゃり出る
恒 代
魂胆がサービストークからぽろり 哲 也
メール入れ着いたかどうか来る電話 静 枝
改革という名で迫る負担増 まつ子
美人だなうっとり飲ませたら酒乱 奏 子
買ったけど出来ぬ蛇足の参考書 浩 則
断捨離を知って私がいなくなる アキラ
蛇に足書いても孫は褒められる 博 司
何や彼やひとこと余計おせっかい 益 代
一言が多くて彼が逃げて行く 可 福
親切な蛇足冷たい目が刺さる 千代見
ふるさとの便り追伸には小言 夕 介
もう二度と別れないでと言う祝辞 信 一
辞任劇あの一言が命取り としみ
つい口が滑って大臣首になる 長 仁
言い訳が多くてついに尻尾出す 三根子
説明は御免こうむるピカソの絵 棋 人
違反キップ切られ巡査のスネを蹴る 安 心
子の描いた絵に親バカが色を足し 千恵子
リビングが無駄に広くて落ちつかず 二三子
君のためなんて余分な嘘加え 二三子
ひとことで捨ててしまった社長の座 野次馬
悩ませているはカタチという蛇足 くにこ
五 客
喋り過ぎ目立ち過ぎては嫌われる 竹 水
おばあちゃんママが悪口言ってたよ 鰹
深入りの蛇足一言気にかかる 重 雄
今年こそ蛇足省いてするり抜く 晴 康
自由という蛇足の位置のここち良さ くにこ
人 位
木目出す木彫りの像にペンキ塗る 安 心
地 位
穴あきのジーンズ縫ってくれた母 夕 介
天 位
つけまつ毛とればかわいい顔なのに 里々子
宿 題 「おめでたい」 水品 団石 選
何もかも妻の手作り誕生日 武 人
再婚の妻の若さをひやかされ 博 司
エッサッサ社交辞令に舞う男 夕 介
札入れは千円札ではち切れる 弘
桜湯の香りたち込め結納日 敏 子
孫生れめでためでたのお正月 紀久子
女房が逃げた話がうけている 棋 人
与太郎も僕も似ているとこがある アキラ
高砂や三十路がやっと嫁に行く 可 福
騙される事も承知でついて行く 野次馬
愛されていると信じている小指 里々子
嫌味だと気づかないのか照れている 恭 子
生きているただそれだけでおめでたい くにこ
昇格の話じゃなくてリストラか 廣 司
脳天気くらいに生きてちょうどいい としみ
嘘一つ言えぬ頑固を自慢する 竹 水
幸せを抱っこしてます宮参り 奏 子
世の中のオスは私のことが好き 明日歌
伝統の技を受け取る人がいる ふく子
過剰過ぎ義理人情を守る父 竹 水
できちゃった婚おめでとうおめでとう 由 美
おめでたい中の一人にしてもらう くにこ
おけげさま苦労を糧に喜寿の膳 智 子
ワンルーム鯛一切れの祝膳 智 子
六億円ずばり当選全部寄付 のぶ男
いいとこは俺似俺似と元のカレ さとみ
神様もお屠蘇に酔っている平和 千恵子
五 客
遺言を白紙に戻す誕生日 居久美
おめでたい数だけ鯛が殺される 哲 也
人間に生まれる前は鯛でした 明日歌
木に登る男は知らぬ美辞麗句 幹 江
歓声がビニールハウスから上がる 太 郎
人 位
正月は金が無くてもやってくる アキラ
地 位
西郷どん日本の夜明けまだ来ない 鰹
天 位
毎週の金土日はおめでたい 浩 則
軸 吟
人質はさて置き俺は句会です 団 石
宿 題 「時代おくれ」 森田 安心 選
義理人情弱くて涙もろい奴 泰 史
セピア色時代遅れも乙な味 さと子
給料は現金に勝る重みあり 俊 枝
酌み交す時代遅れの友と酔う 紀久子
本棚に父の汚れた辞書座る 千代見
煮豆炊き時計の針を巻き戻す 野次馬
また出番来ると万年筆は待つ 恭 子
割烹着たたんで仕舞い湯に入る 奏 子
スマホって食えるものかとお爺ちゃん 鰹
ジーパンのほつれが老いた目に寒い 茂 瑠
コマネチのギャグで子供に馬鹿にされ 可 福
シンプルな電話横目で見るスマホ 千代見
旧友と話す昭和へきりがない 豊 子
日だまりのベンチは今を語らない アキラ
ポマードでオールバックのお兄さん 武 人
アナログのリズムに合せ生きている 信 一
六尺の褌じいじお気に入り 恒 代
嫁姑時代遅れが交差する 恒 代
結婚式仲人なんて古臭い しげる
姑は昭和昭和と責めてくる 哲 也
現役で活躍足踏みのミシン 二三子
薪で焚く五右衛門風呂であったまる 由利子
ケータイを持たない主義で生電話 好 子
スマホから昭和一けた置き去りに のぶ子
下駄が好き音で母さんすぐ解る 光 代
手引き書を読んでわからぬ品がふえ 亘
齢取ると年功序列口にする 廣 司
紅白についていけずに観る演歌 静 枝
ファッションや言葉ダサイと子に言われ 竹 水
出来ちゃった婚 結納は昭和まで 竹 水
手巻する時代遅れの古時計 紀久子
あなどると時代遅れのもつ力 くにこ
時代遅れもったいないが先に出る 光 代
電話するだけのケータイ持っている 恭 子
持ち唄の歌手は鬼籍の人ばかり 智 子
薪で炊く母のにぎった焼むすび 二三子
五 客
ふる里の母は昔のままで居る アキラ
助手席の地図を頼りにマニュアル車 居久美
若いとき覚えた歌が十八番です 長 仁
無洗米今日も洗って炊いている 里々子
優勝へ体罰賭けている教師 弘
人 位
お母ちゃん毛糸のパンツもうやめて 夕 介
地 位
妻はまだ三歩下がってついてくる 弘
天 位
きっちりとソロバンはじく母が居る 三根子
席 題 「印 象 吟」 加藤 鰹 選
※薬のビンを見ての印象吟。前面には「ハート」裏面には「ドクロ」が描かれている。
愛されてげっそり痩せてしまったの 千代見
その昔毒を盛りたい人がいた 智 子
トキメキが止まると毒になるハート さとみ
副作用悪魔が出ると書いてある 里々子
二、三粒毒も混ざっているサプリ 恭 子
少しずつ入れてるパパの料理だけ 奏 子
盛られても生命保険かけてない 好 子
おくすりのせいで崩れたこの美貌 里々子
恋愛が成就しそうな薬ビン 二三子
蝶になるためにビタミンかかせない 明日歌
幸せの小瓶僕にも貴方にも 居久美
人の夢毛生え薬に惚れ薬 奏 子
ドロンジョはうっふんドクロベーむふふ やむ茶
避妊薬飲んで不倫の恋燃える 由利子
愛してはいけない人を閉じ込める 千代見
びん詰めの中味ヒ・ミ・ツと笑う妻 博 司
不気味だな妻が差し出すまむし粒 博 司
土産にと蝮の瓶に度肝抜き 光 代
サプリだとこっそり飲ますマムシ酒 千恵子
赤マムシお世話になってありがとう 棋 人
今夜の彼きっと飲んだよすごいもん 安 心
適齢期紅茶に混ぜておく媚薬 居久美
ときめきを一口試飲しませんか 奏 子
飲み会で媚薬忍ばせ下心 武 人
危険物見落とすハート無我夢中 俊 枝
愛と憎くるりと包むお月さま 由利子
一振りで美人にしてねアキラさん 智 子
歳の差婚命を懸けて臨みます 奏 子
愛に生き愛に死のうかジュリエット 奏 子
心だけ残して波と消えた人 ふく子
ミイラ取りミイラにされる惚れ薬 やむ茶
致死量を越えてしまったホレグスリ 夕 介
瓶ふればあなたと私弾けだす 明日歌
恋薬鼻の低さは変らない 茂 瑠
恋という劇薬に命を落とす 奏 子
この愛を透かしてみればしゃれこうべ 千代見
禁酒中夢でワインが攻めて来る さと子
青春の美輪明宏も妖怪に 里々子
年かしらサプリに興味湧いてきた 恭 子
どさっとね朝のお通じ一粒で 安 心
日本がおくすりづけになっている 棋 人
味しめておりますだけどバイアグラ 団 石
iPS若いあの日へ帰りたい 里々子
骨壺はおしゃれな瓶がいいと言う 千代見
長生きの秘訣に父の医者嫌い 団 石
世の中の甘い話の裏は罠 信 一
エンマから請求される消費税 弘
流されて来ました本音だけの瓶 さとみ
五 客
ユンケルに妻のお誘いメッセージ 奏 子
年金を貰い続ける髑髏 弘
痩せますよそんな薬に騙されて 由利子
後から睨みきかせている姑 ふく子
僕には毒 君には薬ショッピング 夕 介
人 位
副作用看護婦さんに惚れられる 団 石
地 位
俺以外飲まぬ薬が減っている 博 司
天 位
開け方を忘れてしまいました 愛 さとみ