平成二十四年 三月十六日
たかね川柳会 定例句会
於 アイセル静岡

 

参加者(順不同)佐野由利子、長澤アキラ

尾崎好子、石上俊枝、杉山光代、勝又恭子

山田浩則、山本智子、望月弘、中野三根子

八木益代、川村洋未、藪﨑千恵子、加藤鰹

松田夕介、市川重雄、林二三子、増田信一

曽根田しげる、鈴木まつ子、鈴木千代見、

畔柳晴康、中矢長仁、岡村廣司、成島静枝

南天子、小林ふく子、奥宮恒代、薗田獏沓

内山敏子、安田豊子、石田竹水、西垣博司

真田義子、酒井可福、鹿野太郎、毛利由美

濱山哲也、川口のぶ子、川口亘、池田茂瑠

渥美さと子、三島紀久子、外側としみ、中

司、山本野次馬、谷口さとみ、恩田たかし

荒牧やむ茶、森下居久美、藪﨑千恵子、河

村一、提坂まさえ、萩原まさ子、伊藤泰史

川村美智代、宮浦勝登志、安藤千鶴子、山

川豊、野中雅生、野中とし子、森だがやん

 

宿 題 「期 待」  林 二三子 選

期待値と偏差値いつも反比例    信 一

期待した孫は外国転勤す      光 代

あまりにも大きな期待くずれ去る  三根子

金食いのサプリメントを信じてる  洋 未

プロポーズ期待外れのそっけなさ  三根子

ひ弱妻期待外れの子沢山      重 雄

三億円期待を掛けてまたも買う   由利子

宝くじ期待外れの夢のあと     三根子

結婚の期待外れも金婚で      重 雄

期待する人程くじも当たらない   三根子

注ぎ込んだ玉がかえってこない台  信 一

カツ弁当真心こめて作る朝     益 代

期待した曾孫の試験笑顔くれ    しげる

ランドセル期待ずっしり重くなる  由利子

大器だと言われ続けている息子   信 一

一流の大学を出てホームレス    信 一

期待したホワイトデーになにもなし 三根子

結婚の前の期待値総崩れ      信 一

期待するのは半分でちょうどいい  恭 子

相続を期待する子の計算機     智 子

行列が期待外れのワンコイン    智 子

新築の家で期待の家具配置     浩 則

スイーツを断って体重計に乗る    弘

期待した程でなかったのし袋    由利子

期待した分だけガッカリが強い   恭 子

原石のままで一生終わりそう     鰹

明日咲く花に期待を掛けている   由利子

五 客

頭は俺 顔は嫁にと胎教に      俊 枝

えびね蘭エキスを塗って春を待つ   鰹

此の胸に収まりきれぬ子へ期待   好 子

晩成と言われ続けてもう五十     鰹

桜咲く孫へ期待のありったけ    好 子

 人 位

子に託す鳶が鷹と願う親      信 一

 地 位

いつか芽が出ると死ぬまで信じてる 恭 子

 天 位

脱皮してあなたと広い空へ跳ぶ   アキラ

 

 

宿 題 「父ちゃん」  中野三根子 選

父ちゃんに憧れ同じ職に就く    二三子

父ちゃんがネオンの海で活きがいい 夕 介

義理人情何はさておき通す父    獏 沓

父ちゃんのパンツが向かい風に耐え やむ茶

嫁さんの前はやさしいお父ちゃん  廣 司

幼稚園お迎えパパは人気者     たかし

父ちゃんに兄弟四人ぶら下がり    鰹

父ちゃんの出稼ぎ帰るふとん干す   重 雄

父ちゃんは塵の日だけは忘れない   しげる

寡黙だが酒が入ると喋り出す     好 子

父ちゃんの言葉が今も道標      居久美

父ちゃんは偉いと思う耐えている   長 仁

表札は父の背中に貼ってある      弘

父ちゃんに似て来た声と禿げっぷり  廣 司

好好爺なって父ちゃん孫の守り    千恵子

金はパパ 共に暮らすはお父ちゃん     さとみ

嫁ぐ日に頑固な父の目が曇り     光 代

父ちゃんのあの日の拳固今にいき   敏 子

好き嫌い言えば父ちゃん好きな方   可 福

父ちゃんの思い出どれも汗くさい   哲 也

父ちゃんがいつもどこかで見て御座る  亘

父ちゃんの時代は終り空仰ぐ     恒 代

ベランダへ父とタバコは追いやられ   鰹

父ちゃんのごまかし笑い真似てみる  紀久子

無精髭我が家を守る面構え      俊 枝

父ちゃんの威張る茶碗と湯呑み酒   俊 枝

父ちゃんに長さあわせた抱っこひも  由 美

父ちゃんに反発してる一人っ子    しげる

生意気に外じゃ親父と言うらしい   静 枝

父ちゃんは働き好きで頑固者     野次馬

父ちゃんは地位と看板守り抜く    晴 康

父ちゃんとママで相性いい夫婦    恭 子

父ちゃんが泣いた私が嫁ぐ時     野次馬

五 客

父ちゃんの自慢でっかい仕事だこ   博 司

父ちゃんは捻りはちまきよく似合う  義 子

手のかかる父ちゃんだけど居てほしい ふく子

父ちゃんのイビキが僕の子守唄    可 福

ちゃぶ台の父ちゃんの席恐かった   千代見

人 位

父ちゃんが女系家族の隅に居る    智 子

 地 位

底力見せて父ちゃん見直され     千恵子

天 位

父ちゃんの握りこぶしは愛無限    まつ子

 

 

宿 題  「母ちゃん」 永田のぶ男 選

おかんの手に嫁と息子を握らせる   太 郎

特売へ行く母ちゃんは勇ましい    博 司

女偏使い分けてるお母ちゃん     さとみ

ヨイトマケ母ちゃんの唄洟すすり   静 枝

母ちゃんは笑顔の返事して呉れる   竹 水

母ちゃんの苦労影から見て育ち     亘

母ちゃんの声が聞こえる電気釜    豊 子

塩むすび母ちゃんだけの代名詞    野次馬

母ちゃんは美人じゃないがよく笑う  義 子

一等賞取ると涙で抱き締める     安 心

母ちゃんは昭和の初期に消えてった  洋 未

仏壇にでっかいおはぎ母の味    居久美

母ちゃんと叫んでみたい千の風   のぶ子

母ちゃんの鼾にナマズ飛び起きる  やむ茶

足の爪切っておくれとよく言われ  好 子

おふくろと呼んで自立の羽が生え   弘

父は呼ぶ自分の妻を母ちゃんと   洋 未

母ちゃんのスカート持って離さない 千代見

母ちゃんは猛獣使いかもしれぬ   夕 介

母ちゃんと呼んで夫は甘えん坊   由利子

母ちゃんが女に化ける参観日    やむ茶

しわ寄せて笑う母ちゃん福の神   紀久子

何かある母ちゃん余計かんをつけ  重 雄

針箱を開けると母ちゃんの匂い    鰹

丸い顔母に貰った宝物       光 代

母ちゃんは一歩退がったことがない 博 司

母ちゃんの抜け殻悲し車椅子    重 雄

母の手は鳥の足よりごつい指    安 心

痩せたいとせんべいかじる母が好き  鰹

母ちゃんに似てきた古希の泣きボクロ まさ子

母ちゃんが選んだ人に似た夫    まさ子

母ちゃんの作るみそ汁世界一    千鶴子

母ちゃんの声のトーンで知る機嫌  千恵子

五 客

母ちゃんはいつも羊の顔でした   哲 也

母ちゃんの特効薬はいつも酒    三根子

母ちゃんの星の隣を予約する     ふく子

肉じゃがは母ちゃんの味俺自慢    俊 枝

母ちゃんのポッケは二つアメとむち  敏 子

人 位

ヨイトマケ聞くと母ちゃん思い出す  益 代

 地 位

消灯をすると母から妻になる      弘

 天 位

仕舞い風呂だけが息抜きできた母   信 一

 

 

宿 題 「ま、う、す」(折り句)

望月  弘 選

真面目すぎ浮いた話はすれ違い   勝登志

マイウェイ歌えば彼女すすり泣く  恒 代

幻か宇宙の果てがすばらしい    のぶ男

ままならぬ浮世の風が少しだけ   天 子

まだつぼみ内に秘めてる凄い奴   勝登志

まだ若いうちの夫がすばらしい   三根子

また行くぞ浮世の習いストリップ  のぶ男

またとない嬉しい話すぐ嫁ぐ    しげる

ませた目が後についてすばしこい  益 代

待つ事も嬉しいんです好きだから  二三子

待ったなし鰻上りをする原油    俊 枝

末席に移り情の隙埋める      茂 瑠

まき餌して浮きを見つめるするどい目 亘

マスコミが浮き彫りにするスキャンダル  としみ

また今日も嘘かまことかスキャンダル とし子

饅頭は旨いが酒も好きですよ     竹 水

幻の美味い酒だと勧められ      千恵子

真昼からうまいお酒とするめいか   夕 介

万華鏡うつしておくれ過ぎた恋    夕 介

間の悪さ嘘で固めてすり抜ける    さと子

真人間浮いた話に隙が出る      信 一

負けたのは運のせいだと捨て台詞   信 一

豆知識うわべだけですすぐバレる   居久美

待ち呆けうまい話にすぐに乗り    晴 康

守る島売られたケンカ素手で受け   智 子

マスクしてうっかりお茶を啜りかけ  由 美

五 客

前置きでうっかり口を滑らせる    静 枝

まだ酒もうまいタバコも捨てられぬ  美智代

またひとり姥捨山に捨てられる    哲 也

丸い月うさぎがきっと住んでいる   三根子

まだ生きるうす紅色のスーツ買う   ふく子

人 位

また今日もうさぎと亀が住む心    ふく子

 地 位

窓を開け鬱な気分を捨てている    恭 子

天 位

マニュアルがうまく私を捨てていく  千鶴子

 

 

宿 題 「自 由 吟」  互 選 

⑧死ねばみな捨てられそうな物ばかり 由利子

⑦まろやかな言葉が返る田舎道    敏 子

⑥身の丈に合った暮らしに見栄はない二三子

⑥どのドアを押そうか春の入り口で  茂 瑠

⑤あれこれと名前出なくて手話になる 益 代

⑤縄のれん出世払いの客ばかり    やむ茶

⑤笑い合う方言里の味がある     しげる

④柔軟剤ちょっぴり多く効いて春   さとみ

④まだ少し欲があるから見栄を張る  千恵子

③大声を出して虹色引き寄せる    野次馬

③園児の名クラス丸ごとアニメです  博 司

③新しい波に乗りたい四月号     としみ

③震災のビデオへ逃げ場見失う    智 子

③いつやるの今でしょ妻が煽り立て  静 枝

③丁寧に噛めと胃袋怒ってる     廣 司

③頷いて着いて来ました長い旅    長 仁

②きりの良い年で時間を止めてみる  信 一

②待ってたよ君も仲間だ花粉症    洋 未

②もう春ねペアールックで弾む足   俊 枝

②致死量の汗で家族を守り抜く    アキラ

②交尾した真面目な顔でアナウンス  夕 介

②母ちゃんを参観会で自慢する     弘

②春嵐路上に椿蹴散らかせ      光 代

②土が舞い子どもが黄砂舞うと言う  浩 則

②約束は片目達磨を抱いてする    さと子

②弱腰の政府肝っ玉がない     獏 沓

②葉桜の頃には夢がしぼみだす   恭 子

②宿題が富士山よりも高いです   天 子

②放し飼いされてますます甦る   まつ子

②御言葉に被災二年を噛み締める  太 郎

②弱虫が棒を握って騒いでる    可 福

②選抜の高校野球春近い      紀久子

②ばあちゃんと呼んで甘えるお父ちゃん 竹 水

②目標ができ失ったものがある   ふく子

②モノクロのまたねと言ったその響き 千代見

②病院の内知り尽くし縁切れず   義 子

②茶柱に願いを託し靴を履く    晴 康