三月卒業の季節になると、自分達の卒業の日を思い出します。戦中戦後を過ごし、それぞれに別れて行きました。残った者は数名、其の折看護部長が「貴女から笑顔と素直を取ったら何も残らないのよ」「其の笑顔決して忘れないでね」と言われたことが今でも脳裏から離れません。

以来六十年余り、友人三名で今だに年二回は旅しています。その都度青春時代に戻り、三人三様の花が咲きます、そしてまた次の約束をしてお別れ。

其の後私が経験したこと二つ、三つ思いつくままに…。リハビリは根気よく急かさず、少し努力すればできる所に目標を置き、それができた時の喜び一緒に褒めてあげ、患者さんと介護者の間に人間関係を作っておく事が大切で、介護者は「私がやる事なのだ」という自覚を持ち、決して恩着せがましい態度を取らない。自分より弱い者への労りの気持ちが態度の中に自然に出なければならない」また自分の過ち、または患者さんからの注意に「ごめんなさい」と軽い笑顔で受け入れることが大切であることを寝たきりの方から学びました。

まだまだ日常生活の中にたくさん有りますが、介護されるより、する身でなければと、努力の日々を重ねて居ります。仲良し三人ともよく「実行できている?」と話し合い、笑い合っています。

昨年五月頃から夫が寝付くようになり、また入退院を繰り返していますが、頭の中で理解していても、お互い我儘になってしまい、カチンと来ることも度々。

時間を置き、上手に話すことも必要かと…。慣れている筈の介護も自分の事となるとさっぱり。友達に助言されながら、また息子達に助けられながらの日々を過ごして居ります。

文字通りの老々介護、「笑顔」「ごめんなさい」つい忘れてしまいます。まだまだ頑張らなくっちゃ

 

 一病と話す言葉に苦悩する

 マニュアルの通り動かぬ介護の手

 ユーモアが緊張感をときほぐす   敏 子

 

 

2013年6月号