平成二十四年 六月十五日
たかね川柳会 定例句会
於 アイセル静岡

 

参加者(順不同)滝田玲子、曽根田しげる

勝又恭子、山田浩則、増田信一、川村洋未

中野三根子、加藤鰹、市川重雄、八木益代

望月弘、林二三子、長澤アキラ、石上俊枝

佐野由利子、山本智子、中田尚、尾崎好子

藤田武人、栃尾奏子、永田のぶ男、南天子

成島静枝、畔柳晴康、池田茂瑠、岡村廣司

奥宮恒代、石田竹水、中矢長仁、酒井可福

鈴木まつ子、川口亘、毛利由美、安田豊子

小林ふく子、鈴木千代見、三島紀久子、中

司、外側としみ、山本ますゑ、山本野次馬

渥美さと子、川口のぶ子、藪崎千恵子、那

須正、薗田獏沓、荒牧やむ茶、谷口さとみ

鹿野太郎、真田義子、西垣博司、松田夕介

 

▽サプライズゲスト。新年句会以来の藤田武人さん、奏子さん夫妻が大阪から来てくれました。ようこそようこそ♪

 

席 題 「迷  う」  石上 俊枝 選

五十年まだ迷ってる離婚印      弘

迷っても生まれる子には罪はない  信 一

この家の墓へ入るかまだ迷う     弘

どっちかな最後の二つ迷い出す   三根子

台風よ迷って東翔んで行け     重 雄

迷路にも出口はあると生きてみる  信 一

三本の矢が迷ってる兜町       弘

迷う程深く妖しく美しく      奏 子

迷ってるうちに油揚さらわれる   信 一

満塁のチャンスに迷う四番打者   武 人

親と子を後ろから呼び間違えた   のぶ男

迷ったら大きい方と決めている   恭 子

欲しいものなくて困った迷い箸   恭 子

今宵また止めるか飲むか支度する  のぶ男

一途ではないから迷うアイライン  奏 子

言い訳を迷ってしまい視野の果て  しげる

愛を知り僕はロダンになりました  奏 子

三才児迷う事なくママが好き    洋 未

子で迷子年を取ったら徘徊し    洋 未

重心の移動で迷う多数決      重 雄

考えて考え抜いてカスをひく    信 一

迷わないそれは若気の至りです   奏 子

花迷路そっとあなたの手を握る   奏 子

丸バツのふたつにひとつでも迷う  武 人

迷い道してこの人と歩む坂     好 子

迷うほど未練はないと言った妻   信 一

付けまつ毛追い掛け方を考える   アキラ

一人娘に婿八人と言うけれど    好 子

迷ったら女房の後ついていく    信 一

迷うのはデザインじゃないサイズです 信 一

あれこれと迷い貧乏くじを引き   好 子

信号の点滅足が動かない       弘

レジの列どこに並ぶか迷っちゃう  浩 則

迷っても同じところへ出る不思議  奏 子

梅干しかシャケか私はハムレット   鰹

好きな柄迷わず値札見ずに決め   二三子

広報で名前呼ばれるお婆ちゃん   由利子

迷うほどないけど迷う今日の服   恭 子

気が多くまだ独身の息子です    武 人

決断が出来ず残ったババをひく   信 一

五 客

まだ女切り上げ時を思案する    アキラ

迷ったら神と仏と家の妻      信 一

モテたいな誰にしようか迷うほど  夕 介

食べてから慌てて迷うのは男    奏 子

酔っぱらい迷わず家に着く不思議  二三子

 人 位

決断をしてからずっと迷い出す   三根子

地 位

優しさか金持 迷う婿選び      由利子

 天 位

建て増しの温泉旅館ややこしい    鰹

 

 

宿 題 「場 違 い」  川村 洋未 選

病室に坊主が見舞い持ってくる   野次馬

場違いな祝辞で肝を冷やされる   玲 子

その会話場違いなんて気がつかぬ  天 子

三回忌茶色の靴も引っ掛かり    好 子

気軽さに参加をしてはみたものの  千代見

革靴の中にひとりのスニーカー   益 代

オバサンの場違いな服あきれられ  二三子

本当に平服きまり悪い席      静 枝

ミニスカがハイヒール履く山ガール  弘

場違いな言い方が人傷つける    二三子

愛人のすすり泣く声通夜の席    やむ茶

場違いな化粧を薄く変えたいが   茂 瑠

一人だけオロナミンC飲んでいる   尚

代理では座る場所すらまごまごと  晴 康

通夜の席似ても似つかぬ顔が寄り  まつ子

場違いな意見に部屋は氷点下    恭 子

場違いな言葉を選ぶ両党首     としみ

悪餓鬼がたまに良い事して隠れ   好 子

参観日人目を引いた派手な服    まつ子

フレンチを僕だけ箸で食べてます  武 人

場違いな席に座って腰が浮く    玲 子

そうでしたここで笑うと爪弾き   恒 代

場違いの音で狂わすハーモニー   ますゑ

平服でどうぞと書いてあったじゃん  鰹

場違いの質問空気白くなる     益 代

場違いの君へエールが送れない   ふく子

すすめられ上座にすわり祝辞羽目  俊 枝

バーベキュー背広姿でやってくる  千恵子

家柄を特売場で自慢する      博 司

なんでやねん貧乏神がいる挙式   やむ茶

御歴々居並ぶ中になぜか僕     恒 代

五 客

ケーキ屋に親父がいてもいいじゃない 夕 介

神妙な顔で葬儀へクールビズ    アキラ

参観日儲けた話する父兄      廣 司

ギンギラの時計が通夜の席にいる   弘

おしゃれしてドレスコードを踏み外す としみ

 人 位

お見舞いに終活の本持っていく   信 一

 地 位

三回忌寺で再婚すすめられ     博 司

 天 位

披露宴 離婚話が盛り上がる     竹 水

 

 

宿 題 「がたがた」  永田のぶ男 選

少しでも揺れるとすぐに押し入れに 三根子

女房の後から行けば怖くない    信 一

がたがたになって人間らしくなる  奏 子

食欲は旺盛だけど歯が痛い     恭 子

笑われているのも知らずつい本気   亘

手作りの味が出ている木の机    恭 子

筆箱がダンスしているランドセル   弘

バスの旅がたがた揺られ酒を飲む  浩 則

値上りで我が家の暮らし震度3   智 子

使いすぎ足腰きしむ音がする    長 仁

建て付けの悪さを風のせいにする  益 代

ガタガタになって芽生える血の絆  ますゑ

やぶ医者の入れ歯どうにも噛み合わぬ 博 司

角出した妻ががたがた言い始め   千恵子

油切れ働き身体廃車なみ      俊 枝

がたがたと下る坂道何時止まる   のぶ子

ガタガタだ家と俺 築五十年      鰹

自分史にでこぼこ道を越えた跡   義 子

褒められて身分違いと震えくる   晴 康

孫の休日がたがたしても皆笑顔   しげる

婆々の部屋は帰省の孫の運動場   さと子

方言でがたがた話し聞き違い    しげる

不器用と不慣れ重なりぎこちない  獏 沓

失恋で壊れたままの胸の奥     さと子

人生のがたがた道にある美学    奏 子

差しておく油歪んだ非常口     茂 瑠

一度だけ父を騙した日の震え    武 人

大勢の人前に出て手がふるえ    三根子

オッなんだ隣の雨戸早く開き    静 枝

がたがたとふるえ止まらぬ事故現場 玲 子

化粧落ち赤い日ざしをにらみ付け  洋 未

復興へがたがた道をひた走る    としみ

お化けだな真夜中ゆれる屋根の上   尚

五 客

がたがたと言うなお山は俺の城   重 雄

富士山もストレスたまり震え気味  まつ子

女子会もみんな更年期の話題    由 美

婿殿も呑んでがたがた酒を借り   重 雄

内紛が起こり始めたトップの死   由利子

 地 位

反省をしてもガタガタ言う上司   竹 水

 地 位

音立てて絆崩れる遺産分け      鰹

 天 位

株価ゆれ折れ線グラフエレベーター 俊 枝

 

 

宿 題「こ、さ、め」(折り句)

望月  弘 選

こんな題さっぱり出ない迷惑だ   夕 介

今月の財布の中身名刺だけ     恒 代

広告に誘われて行く目の保養    千恵子

こんにちはさよならだけの姪と甥  三根子

小姑の猜疑に満ちた目が痛い    由利子

恋歌は囁くようにメゾピアノ    益 代

恋心寂しさつのり目を腫らす    可 福

心地よくさびに酔いだすメゾフォルテ としみ

こだわりをさらりと流し飯をくう  アキラ

これっきりサヨナラですかメンチカツ 鰹

子ども等の騒がしい声目が覚める  紀久子

好奇心最前列で目立ちすぎ     益 代

この頃はささやく程で目が覚める  ますゑ

恋焦がれ三三九度で目が覚めた   好 子

昆布かな鮭もいいけど明太子    さとみ

恋の花咲いてうれしいめぐり合い  豊 子

コーヒーに砂糖を入れて目が冴えた 浩 則

米が無く薩摩の神に恵み乞う    のぶ男

この猫はさかな嫌いで目をそらす  しげる

コーヒーを冷ます魅惑のメロドラマ 夕 介

今宵また酒の肴にメザシ焼く    のぶ子

こんなにも寂れてしまい面喰らい  しげる

こうせいと指図されたが面倒だ   好 子

この人と最後までとは面倒だ     尚

恋人が去って初めて目が覚める   千代見

恋仲と騒ぐが私面食いよ      竹 水

恋人のさみしい嘘に目をそらす   恭 子

恋心悟られぬよう目を伏せる     鰹

こっそりと細工していた目鼻立ち  さとみ

公園で桜吹雪が目に映える     玲 子

こびを売る参院選のメッセージ   としみ

懲りもせぬ詐欺師の手口眼を見張る 廣 司

コーヒーに砂糖はいつも目分量   由 美

五 客

好物は最初に食べる目いっぱい   洋 未

こんこんと諭してもだめ目が空ろ  信 一

困るのよ逆立ちしても芽が出ない  恒 代

恋の歌さあ午後からはメゾフォルテ 奏 子

校庭の桜 校舎が愛でている     由 美

 人 位

恋人を探し続ける名刺入れ     恭 子

 地 位

此の人を支えて行こう冥土まで   竹 水

 天 位

こりもせず最高峰を目指してる   武 人

 

 

宿 題 「自 由 吟」 互  選

⑨口内炎出来て静かな妻になる   博 司

⑦スイッチは手動に換えて自立する 洋 未

⑥長電話うわさ話は今佳境     奏 子

⑥まあいいかジャンケンポンで負けただけ やむ茶

⑥宇宙から見れば小さな事で泣く  信 一

⑤恥かいて覚えた事は忘れない   益 代

⑤情のある辛口だから受け入れる  千恵子

⑤父は背に昭和を貼って生きている 獏 沓

⑤しくじた釘は元には戻らない   千代見

⑤子と同じ目線で夢を聞いてやる  由利子

④サバ読んだ歳がとうとう戻らない  弘

④ほどほどの相槌を打つ立ち話   智 子

④鉛筆が私の本音書きたがる    義 子

③辻褄の合わぬ言い訳してばれる  廣 司

③慰めてくれた友にも同じ傷    アキラ

③旅立ちは彼が操る櫂のまま    武 人

③無職とは言わせぬ主婦の料理本  ますゑ

③人並に歩きたいのに杖が邪魔   長 仁

③そら豆の莢からおかめこんにちは 俊 枝

③ざまあみろもう言わないよお月様 夕 介

②子より手がかかる亭主の解熱剤  としみ

②雑談で忘れたレシピ蘇生する   さと子

②あと幾つ待っているやら丸木橋  太 郎

②笑わせて体調をみる見舞い客   静 枝

②雨を待つ心にゆとり欲しい時   三根子

②暇という苦痛に耐える大あくび  野次馬

②戻れない昔を思い目に涙     のぶ男

②水を得た魚です母は未亡人    由 美

②ネクタイを直し呼び鈴押している 晴 康

②散らかった我が家団欒吊し鍋   重 雄

②欠点が似ている夫婦仲が良い   しげる