去年のレコード大賞は誰が取ったんだっけ?紅白はどっちが勝った?夏の甲子園の優勝高はどこだった?と訊かれてもすぐに答えられない。というか記憶の引き出しに無いのだ。それは単に自分が年を取ったとか、興味が無くなったというだけではなく、日本国民全体が多様化している証拠なのだそうだ。

 

戦後から高度成長期の日本は一丸となり目標に進んでいた。だから紅白視聴率は80%超。甲子園で優勝したり、レコード大賞を取った歌手は「栄光のシンボル」として全国民からヒーローとして崇められた。

しかしそれはテレビやスポーツの世界だけではなく川柳界でも同じようなことが言えるのではないだろうか。日本全国の川柳結社が高齢化を嘆き、口を開けば「若い人が入ってこない」と言うが、川柳そのものが廃れたわけではない。テレビやラジオ、雑誌や企業公募の川柳には何百、何千という句が寄せられている。いわゆる「座」としての川柳の面白さを知らないだけなのだ。若い人が人との関わりを嫌う傾向があることも否めないだろうが、それは今に始まったことではない。自分自身がそうだった。ラジオから川柳を始めて静岡市内に「川柳会」というものがあることすら知らなかった。たまたま新聞で川柳大会というものが開催されることを知り、飛び込みで行った清水マリンビルでの大会(結果は全ボツ)。その会場で何名かの方に声を掛けられて、句会にも行くようになり、現在に至る。

利害関係のない人と人との付き合いはいいものだ。川柳は紙と鉛筆さえあれば年代も性別も越えて、心から笑えて美味しいお酒が飲める。こんな素敵な「座」の世界があるということを一人でも多くの人に教えてあげようではないか。

 

さて、今年はたかね誌500号を記念して久々に全国誌上川柳大会を開催する運びとなった。その次は600号記念までやる気は無いので、8年後になるだろう。選者の先生方も伝統、革新、結社の大小に拘らず、現在日本の川柳界第一線で活躍している人ばかり、最高の面々を揃えたつもりである。

実は第一回誌上大会(300号記念)では参加者100名以下とコケて、悔しくて第二回誌上大会(350号記念)で一気に参加者300名と飛躍した。今回は第三回、500名超を目標にしている。どうかこの記念すべき誌上大会を成功させ、来年の新年会では美味しいお酒を皆で酌み交わしたいと考えている。メンバー各位、知人への声がけとPRのご協力を心からお願いしたい。

 

2014年1月号