平成二十五年度 たかね川柳会年間賞受賞作品
正 賞
冬銀河少しあなたが近くなる 外側としみ
準 賞
死ぬほどの快感もなく生きている 長澤アキラ
目を洗うまだ青空が見たいから 望月 弘
教科書にない母さんの褒め言葉 曽根田しげる
開け方を忘れてしまいました 愛 谷口さとみ
平成二十五年度 年間賞選者プロフィール
千島 鉄男(ちしま てつお)
弘前川柳社主幹、青森川柳社所属
1969年川柳と出会う。著書「葡萄一
粒が転がっている僕の夕暮れ」
佐藤 美文(さとう よしふみ)
昭和四十八年清水美江に師事
平成九年一月「風」創刊。著書「川柳
文学史」「川柳を考察する」他
駒木 一枝(こまき かずえ)
川柳能因会会長
日川協常任幹事。
編集発行「五花村句集」「能因歳時記」
酒井 路也(さかい みちや)
こまつ川柳社代表
石川県川柳協会顧問
句集「路也」「路」「家路」ほか五冊
真弓 明子(まゆみ あきこ)
番傘川柳本社同人
いわき番傘川柳会会長
川柳葦群同人、月刊「家」発行人
徳永 政二(とくなが せいじ)
「川柳びわこ」編集人、滋賀文学会理事
京都朝日カルチャーセンター講師
フォト句集「カーブ」、「大阪の泡」など
田中 新一(たなか しんいち)
番傘川柳本社主幹。番傘わかくさ川柳会
代表。句集「生きる」で第五回日本現代
詩歌文学館館長賞受賞。
梅崎 流青(うめざき りゅうせい)
川柳葦群編集発行人
「水の郷」「葦」川柳教室講師
句集「蟹の足」
弘 前 川 柳 社 青森県 千島 鉄男 選
特 選
死ぬほどの快感もなく生きている 長澤アキラ
佳 作
教科書にない母さんの褒め言葉 曽根田しげる
開け方を忘れてしまいました 愛 谷口さとみ
筋道を立てれば転ぶ人もいる 内山 敏子
化粧した妻の行き先わからない 西垣 博司
▽還暦を2年過ぎた私には、癒される句に惹かれりことが多い。
つくづく老化した自分が情けない。
柳 都 川 柳 社 埼玉県 佐藤 美文 選
特 選
ジョバンニの切符を僕も持っていた 松田 夕介
佳 作
肝心な刻にまばたきしてしまう 井口 薫
まな板の範囲で踊り疲れます 池田 茂瑠
冬銀河少しあなたが近くなる 外側としみ
あなたしか見えない今がお買い得 栃尾 奏子
▽年間賞であるから、ある程度の風格と「たかね」らしさを念頭に
置いて選んだ。推薦句はいずれもそれを満たしている。
川 柳 能 因 会 茨城県 駒木 一枝 選
特 選
目を洗うまだ青空が見たいから 望月 弘
佳 作
脱税をしたくなるほど稼ぎたい 増田 久子
青春の道で落した白い布 増田 信一
冬銀河少しあなたが近くなる 外側としみ
アルバムの一枚ごとにある花火 高瀬 輝男
▽川柳界の高齢化と言われますが、句の内容は若さが一杯詰まっています。作者の想いが溢れる一句一句にドラマ性を感じ、じっくり鑑賞しながら選句させて頂きました。感謝申し上げます。
こ ま つ 川 柳 社 石川県 酒井 路也 選
特 選
冬銀河少しあなたが近くなる 外側としみ
佳 作
無理のない笑顔幸せなんですね 勝又 恭子
教科書にない母さんの褒め言葉 曽根田しげる
筋道を立てれば転ぶ人もいる 内山 敏子
慰めの言葉の中にある小骨 馬渕よし子
▽皆さんなかなか本格派で、無理がなく、優しさが嬉しいです。
いわき番傘川柳会 福島県 真弓 明子 選
特 選
開け方を忘れてしまいました 愛 谷口さとみ
佳 作
ふるさとに警笛を吹く赤とんぼ 濱山 哲也
無理のない笑顔幸せなんですね 勝又 恭子
哺乳瓶あれば男は立ち直る 戸田美佐緒
教科書にない母さんの褒め言葉 曽根田しげる
▽可笑しくも愛しい川柳たちのショート・ドラマに私なりの脚本を楽しく心に描かせて頂きました。
びわこ番傘川柳会 滋賀県 德永 政二 選
特 選
赤ちゃんを囲む笑顔のあいうえお 鈴木千代見
佳 作
ごめんねが素直に聞ける春の色 勝又 恭子
荒祭り神が神輿にしがみつき 岡村 廣司
肥満児の背中をポンとたたく癖 濱山 哲也
魚屋の魚さかなっぷりを褒め 尾崎 好子
▽あたたかいものを感じる句、ユーモアのある句、情景が浮かぶ句を選びました。
番傘川柳本社主幹 大阪府 田中 新一 選
特 選
死ぬほどの快感もなく生きている 長澤アキラ
佳 作
落ち葉踏む骨の砕ける音たてて 馬渕よし子
生きていることがうれしいシクラメン 真田 義子
冬銀河少しあなたが近くなる 外側としみ
肝心な刻にまばたきしてしまう 井口 薫
▽特選句は人間の生きる意味を本能的に捉え、老いぼれてゆく
人間の寂しさを訴える。
川 柳 葦 群 福岡県 梅崎 流青 選
特 選
目を洗うまだ青空が見たいから 望月 弘
佳 作
アルバムの一枚ごとにある花火 高瀬 輝男
冬銀河少しあなたが近くなる 外側としみ
悲しみに出合って咲いた花言葉 石田 竹水
死ぬほどの快感もなく生きている 長澤アキラ
▽いい川柳に出会うと心が浄化される。候補作品群は私にとって
青空そのもの。目を洗って選句に臨んだ。