平成二十五年度  たかね川柳会年間賞受賞作品 

 

正 賞

冬銀河少しあなたが近くなる       外側としみ

 

準 賞

  死ぬほどの快感もなく生きている     長澤アキラ

  目を洗うまだ青空が見たいから      望月  弘

  教科書にない母さんの褒め言葉      曽根田しげる

  開け方を忘れてしまいました 愛      谷口さとみ

 

 

平成二十五年度 年間賞選者プロフィール

 

千島 鉄男(ちしま てつお)

201401_chishima弘前川柳社主幹、青森川柳社所属

1969年川柳と出会う。著書「葡萄一

粒が転がっている僕の夕暮れ」

 

 

佐藤 美文(さとう よしふみ)

201401_satoh昭和四十八年清水美江に師事

平成九年一月「風」創刊。著書「川柳

文学史」「川柳を考察する」他

 

 

駒木 一枝(こまき かずえ)

201401_komaki川柳能因会会長

日川協常任幹事。

編集発行「五花村句集」「能因歳時記」

 

 

酒井 路也(さかい みちや)

201401_sakaiこまつ川柳社代表

石川県川柳協会顧問

句集「路也」「路」「家路」ほか五冊

 

 

真弓 明子(まゆみ あきこ)

201401_mayumi番傘川柳本社同人

いわき番傘川柳会会長

川柳葦群同人、月刊「家」発行人

 

 

徳永 政二(とくなが せいじ)

201401_tokunaga「川柳びわこ」編集人、滋賀文学会理事

京都朝日カルチャーセンター講師

フォト句集「カーブ」、「大阪の泡」など

 

 

田中 新一(たなか しんいち)

201401_tanaka番傘川柳本社主幹。番傘わかくさ川柳会

代表。句集「生きる」で第五回日本現代

詩歌文学館館長賞受賞。

 

 

梅崎 流青(うめざき りゅうせい)

201401_umezaki川柳葦群編集発行人

「水の郷」「葦」川柳教室講師

句集「蟹の足」

 

 

弘 前 川 柳 社        青森県   千島 鉄男 選

特 選

 死ぬほどの快感もなく生きている    長澤アキラ

  佳 作

教科書にない母さんの褒め言葉     曽根田しげる

 開け方を忘れてしまいました 愛     谷口さとみ

 筋道を立てれば転ぶ人もいる      内山 敏子

 化粧した妻の行き先わからない     西垣 博司

 

 

▽還暦を2年過ぎた私には、癒される句に惹かれりことが多い。

  つくづく老化した自分が情けない。

 

 

 

柳 都 川 柳 社       埼玉県   佐藤 美文 選

  特 選

 ジョバンニの切符を僕も持っていた   松田 夕介

佳 作

肝心な刻にまばたきしてしまう     井口  薫

 まな板の範囲で踊り疲れます      池田 茂瑠

 冬銀河少しあなたが近くなる      外側としみ

 あなたしか見えない今がお買い得    栃尾 奏子

 

 

▽年間賞であるから、ある程度の風格と「たかね」らしさを念頭に

置いて選んだ。推薦句はいずれもそれを満たしている。

 

 

 

川 柳 能 因 会      茨城県    駒木 一枝 選

特 選

 目を洗うまだ青空が見たいから     望月  弘

  佳 作

脱税をしたくなるほど稼ぎたい     増田 久子

 青春の道で落した白い布        増田 信一

 冬銀河少しあなたが近くなる      外側としみ

 アルバムの一枚ごとにある花火     高瀬 輝男

 

 

▽川柳界の高齢化と言われますが、句の内容は若さが一杯詰まっています。作者の想いが溢れる一句一句にドラマ性を感じ、じっくり鑑賞しながら選句させて頂きました。感謝申し上げます。

 

 

 

こ ま つ 川 柳 社    石川県    酒井 路也 選

 特 選

 冬銀河少しあなたが近くなる      外側としみ

佳 作

 無理のない笑顔幸せなんですね     勝又 恭子

 教科書にない母さんの褒め言葉     曽根田しげる

 筋道を立てれば転ぶ人もいる      内山 敏子

 慰めの言葉の中にある小骨       馬渕よし子

 

 

▽皆さんなかなか本格派で、無理がなく、優しさが嬉しいです。

 

 

いわき番傘川柳会       福島県   真弓 明子 選

特 選

 開け方を忘れてしまいました 愛      谷口さとみ

  佳 作

ふるさとに警笛を吹く赤とんぼ     濱山 哲也

 無理のない笑顔幸せなんですね     勝又 恭子

 哺乳瓶あれば男は立ち直る       戸田美佐緒

 教科書にない母さんの褒め言葉     曽根田しげる

 

 

▽可笑しくも愛しい川柳たちのショート・ドラマに私なりの脚本を楽しく心に描かせて頂きました。

 

 

 

びわこ番傘川柳会       滋賀県   德永 政二 選

 特 選

 赤ちゃんを囲む笑顔のあいうえお    鈴木千代見

  佳 作

 ごめんねが素直に聞ける春の色     勝又 恭子

 荒祭り神が神輿にしがみつき      岡村 廣司

 肥満児の背中をポンとたたく癖     濱山 哲也

 魚屋の魚さかなっぷりを褒め      尾崎 好子

 

 

▽あたたかいものを感じる句、ユーモアのある句、情景が浮かぶ句を選びました。

 

 

番傘川柳本社主幹      大阪府    田中 新一 選

特 選

 死ぬほどの快感もなく生きている    長澤アキラ

佳 作

落ち葉踏む骨の砕ける音たてて     馬渕よし子

 生きていることがうれしいシクラメン  真田 義子

 冬銀河少しあなたが近くなる      外側としみ

 肝心な刻にまばたきしてしまう     井口  薫

 

 

▽特選句は人間の生きる意味を本能的に捉え、老いぼれてゆく

人間の寂しさを訴える。

 

 

 

川  柳  葦  群      福岡県    梅崎 流青 選

 特 選

 目を洗うまだ青空が見たいから     望月  弘

佳 作

 アルバムの一枚ごとにある花火     高瀬 輝男

 冬銀河少しあなたが近くなる      外側としみ

 悲しみに出合って咲いた花言葉     石田 竹水

 死ぬほどの快感もなく生きている    長澤アキラ

 

 

▽いい川柳に出会うと心が浄化される。候補作品群は私にとって

青空そのもの。目を洗って選句に臨んだ。