平成二十六年 年頭吟特集 賀状より

残り火が駄馬のハートをかき乱す    相田 柳峰

噴水のように桜が咲くように      赤松ますみ

午どしの夢さわやかに天翔ける     浅野 滋子

この年もケンタウロスの如く跳ね    浅利猪一郎

道行きはオルフェを止めて駄馬とする  渥美さと子

懐かしい竹馬の友とコップ酒      荒牧やむ茶

老いてなお拾う夢あり古稀の春     安藤 紀楽

初夢は福が白馬に乗って来た      安藤千鶴子

うま年の妻が今年は駆けそうだ     飯塚すみと

会う人へお蔭さまでを言える春     五十嵐 修

思い切り駈けたい絵馬の春狭い     池田 茂瑠

こだわりを持った見事な駄馬である   いしがみ鉄

馬乗りの孫の重さが幸せ度       石上 俊枝

丸顔の馬に出会えて得た多福      石田 竹水

なにもかも馬に見られているらしい   石田 柊馬

大志ならあるぞ駄馬ではあるけれど   石橋 芳山

念仏を解る馬齢の初日の出       市川 重雄

いい予感馬の蹄がやわらかい      伊藤 我流

空を征く天馬を目指す初詣       伊藤 泰史

縞馬に乗って描き足す笑い皺      伊藤三十六

歌留多とる声大きかり坂の町(俳句)  伊藤  眠

ペガサスのように未来を切り拓け    伊藤 良彦

一病が人を哲学者に変える       犬塚こうすけ

NEW YEAR今年も続く探しもの  岩淵 黙人

主役です歌も踊りも小咄も       上野 楽生

年明くる樹勢みちびく荒縄に      梅崎 流青

たてがみと姿勢整えつつ駈けん     江畑 哲男

大家族馬が稼いで食べさせる      遠藤 木犀

風の道駄馬と幻追って行く       近江あきら

誰ァれも居ない素晴らしい光る海    大坂 斗昇

御来光ハードル上げて誓い立て     大田かつら

心には龍を抱いて初春迎え       太田紀伊子

放牧の親馬子馬春うらら        大橋 政良

初春の笑顔は深き皺の慶        岡村 廣司

月夜ですおいしくなっていくわたし   岡本  恵

よく遊びよく笑うべし馬の年      奥宮 恒代

丈夫すぎだゃあじにされる事もにゃあ  尾崎 好子

馬抱きダービーだ期待舞う(回文)   落合 正子

初春の神馬に賭ける夢賭ける      鍵山 裕樹

青空がポンと生まれてくる卵      勝又 恭子

G1でこうべを垂れる親父かな     加藤  鰹

着実な一歩を刻む馬になる       鹿野 太郎

名物に塩鰹あり胸をはる        川上久美子

おみくじは吉何事もウマくいく     川上 大輪

自分史を見つめ直すか寒立馬      河内沙智子

新年の風は光って降りてくる      川村 洋未

草食で笑う歯並び馬に似る       川村美智代

年寄りを経験豊富者と訳す       北出 北朗

コンビニの灯りを目指す漂流者     木本 朱夏

天高くどこまで肥ゆるまた一年     北山まみどり

花は咲く夢は大きく諦めず       葛岡ヒデ子

馬の瞳の深さに影を洗われる      熊谷 岳朗

イザとなれば友の窮地へ出る馬力    孝井  栞

天翔る手綱を緩めてはならぬ      小島 蘭幸

弥陀の掌にすがる余生の花暦      小林 笑楽

天狗どの税も身体も重くなる      小林信二郎

何事も馬力次第でうまくいく      小林ふく子

残雪のあすは稜線駆ける馬       斉尾くにこ

馬っこと今年の風を走り出す      酒井 可福

生き甲斐は生きる証しの一行詩     桜井 閑山

良く走る馬の燃費が気にかかる     佐藤 明美

ゆっくりと馬とゆくわれ雪の中     佐藤 岳俊

ストーンズとともに午年やってくる   佐藤 孔亮

あせらずにのんびりと行く駄馬いっぽ  佐藤 灯人

今年また翼広げて飛ぶつもり      真田 義子

初詣で神の尻尾を撫でてくる      四分一周平

年賀状世界遺産になる予感       島田 駱舟

春にしか走らぬ馬でよしとする     志村まさ尋

そのときはそのときでいいトンボ切る  樹萄 らき

馬の顔長いというがあれでよし     白勢朔太郎

風に逢うまだたてがみのあるうちに   新貝里々子

初富士や宮鳩肩へ餌請ふる       神  一男

老馬でも夢は見ます咲かせます     杉山 光代

今年こそ信じていれば馬くいく     鈴木恵美子

新年会飲んで赤く会計青く       鈴木  茂

初春の陽を信じて夢が動き出す     鈴木千代見

消費税ウマく活かせと願う民      鈴木  昇

目も鼻も口も笑って馬が合い      鈴木まつ子

駆ける足萎えて初春迎えたり      芹沢穂々美

本年も平和な地球手を合せ       曽根田しげる

初詣で午の柏手パッコンパッコン    薗田 獏沓

365日上手に使い切る        髙瀬 霜石

齢一つ足しただけです元気です     高橋はじめ

新雪を蹴って馬橇が走り出す      高橋 朗風

駄馬の背に翼が生える年にする     瀧  正治

また一年夢と希望を追いかける     瀧   進

何ごともうまくいく事願う春      滝田 玲子

駆け抜けて行こう天馬になる日まで   竹内ゆみこ

小窓前開ひとり芝居の大あくび     多田 幹江

頌春を天馬となって駆け抜ける     田辺 進水

たてがみの無い馬の絵を走らせる    千島 鉄男

午真似て嘶いてみる喜寿の丒      津田  暹

馬齢にも五七五の杖を持ち       土屋 渓水

両目明け月から白馬駈けてくる     てじま晩秋

天翔ける遙かな夢を追いかけて     外側としみ

天翔ける蹄鉄をいま打ち直す      栃尾 奏子

空翔ける白馬の夢を今も追う      中野三根子

道産子の背に新雪が降り積る      長澤アキラ

聞こえない振りに疲れる馬の耳     中島 久光

あせらずに五00号へとたかね丸    中田  尚

もう一度白馬に乗った夢を見る     中前 棋人

健康でご多幸祈るうまの年       永田のぶ男

七度目の干支肩の荷を軽くする     成田 孤舟

二三回嘶いてから立ち上がる      成島 静枝

DNA鑑定すると馬の足        浪越 靖政

おめでとう心を込めておめでとう    南  天子

仰ぎ見る富士は世界の民のもの     西垣 博司

馬の脚なれど未来図へと疾る      西潟賢一郎

駈けてくる白馬に景気祈る初春     萩原 典呼

馬に水飲ます幸せ噛みしめる      萩原まさ子

また挑むために蹄鉄打ち直す      濱山 哲也

うまくいく年でありたい一つでも    林 二三子

午年だも少し跳ねてみる構え      樋口 一杯

なくしたのだろうかありふれた水を   ひとり 静

ひだりうま昔ばかりが懐かしく     尾藤 三柳

天翔ける夢を抱いてる駄馬の意地    深澤  弘

ペガサスになり追いかける志      藤田 武人

開戦前夜ひづめは紅くなっている    藤田めぐみ

お祭りが好きな姉妹の小銭入れ     真島久美子

飛んだって跳ねてみたって馬は馬    増田 信一

手作りのおせちに偽造なんてない    増田 久子

しょせん駄馬たまには嘶いてみるが   松尾 冬彦

生涯を無冠のままで走る駄馬      松川多賀男

ぶら下げる人参決めるのはあなた    松田 夕介

秀吉も最初は馬の骨だった       松田 順久

嘶いて元気やる気の年が開け      馬渕よし子

景気楊々弾け戦士になる馬よ      丸山 健三

軽トラの荷台で跳ねている菜花     丸山  進

福の神蹄の音をさせて来る       三浦 蒼鬼

夢を追う天馬の尻っぽつかまえて    三島 淞丘

ばんば馬のように今年も働こう     水品 団石

只管に健康祈る初詣で         御田 俊坊

足らぬとこ互いに埋めて馬が合い    宮浦勝登志

つらぬいて生きるシンプルイズベスト  宮村 典子

スマホからはみ出している馬の脚    む さ し

競争馬馬刺しにならぬ意地がある    村井 規子

賑やかな正月孫のお年玉        村田 大志

お年玉袋が福袋に化け         毛利 由美

旨く生くこんめえ馬に教えられ     望月 邦昭

家系図に稔らせている播いた種     望月  弘

虹を駆け天馬の風が逞しい       望月 鐘雄

また一つあっといウマに年をとる    森だがやん

願い事氏神様に始終御縁        森下居久美

三保の宿四人姉妹と初日見る      森田 安心

初夢は白馬の王子お出迎え       八木 益代

叶う気で夢を描きましょ初春の筆    八木田幸子

毎日の吉春と思ふ初明り(俳句)    矢澤 賢一

列島を繋ぐ絆の灯が温い        薮﨑千恵子

祖父からの便りが眠る馬来西亜     山口 兄六

新書買うマリン通りの蹄音       山口 早苗

濃い味の時に恋しい倦怠期       山下 和一

馬跳ねる国家狂乱ギャグのはて     山田 迷泡

蹄鉄よあと一周を耐えなさい      山田ゆみ葉

物忘れ許し許され馬齢積む       山本 智子

ガッツだぜ天馬に乗った年男      山本野次馬

駄馬もよし天かけめぐる馬もよし    横村 華乱

誰にでも初春には春の詩がある     横山 昌利

古稀になることを黙っておれぬ初春   吉崎 柳歩
淡々と田んぼ耕す馬が良い       吉道航太郎

たてがみはいま光ってる靡いてる    米山明日歌

リタイアの馬に恋しいファンファーレ  渡辺  梢

秘密保護法で露わす馬の脚       渡辺たかし

福笑い家族みんなに春がきた      渡辺 松風

★そのほか、たくさんの賀状ありがとうございました。

 

 

2014年2月号