平成二十五年 二月十六日
たかね川柳会 定例句会
於 西部学習センター

 

参加者(順不同)石上俊枝、曽根田しげる

増田信一、尾崎好子、滝田玲子、松田夕介

長澤アキラ、山田浩則、望月弘、勝又恭子

八木益代、望月弘、市川重雄、渥美さと子

佐野由利子、加藤鰹、畔柳晴康、池田茂瑠

中野三根子、林二三子、南天子、成島静枝

岡村廣司、奥宮恒代、内山敏子、西垣博司

石田竹水、酒井可福、毛利由美、薗田獏沓

中矢長仁、安田豊子、山本智子、川村洋未

鈴木まつ子、川口亘、真田義子、杉山光代

小林ふく子、鈴木千代見、やまぐち珠美、

斉尾くにこ、外側としみ、川口のぶ子、中

司、山本野次馬、谷口さとみ、荒牧やむ茶

濱山哲也、野中雅生、森田安心、野中とし

子、森下居久美、提坂まさえ、萩原まさ子

宮浦勝登志、安藤千鶴子、川村美智代、永

田のぶ男、藪﨑千恵子、山本ますゑ

 

席 題 「傷 あ と」 中野 三根子 選

戦災の傷は尾を引く平和でも    重 雄

失恋歌古い傷あとまたえぐる    さと子

見るたびにズキン小指の傷のあと  恭 子

傷あとのこれは勲章だと威張り   好 子

胃カメラの傷はクッキリ呑み過ぎと 重 雄

傷跡がなかなか消えず歳を知る   由利子

傷あとを見せっこしてる外科医院  由利子

古傷が泣きたくなった雨の夜    益 代

初恋の傷カルピスに負けている    弘

震災の心の傷あと治せない     由利子

傷あとの疼きが今日の天気当て   玲 子

転んでもママの占いチチンプイ   由利子

えらい目にあったと見せる手術跡   鰹

尻尾振るたびに背骨に響く傷    アキラ

どれだっけもうわからない恋の傷  夕 介

若い日の傷あと老へ尾を引いて   重 雄

すねに傷あるから沁みる優しさが  信 一

居酒屋に置いてきました恋の傷    弘

言訳は猫の爪痕ですと言う     信 一

傷あとを見せて掴んだハネムーン  益 代

五 客

傷あとを見せよう君にだったらば  夕 介

胸の奥いまもときどき痛む傷    恭 子

お互いに傷なめ合って今の幸    好 子

山頂でたがいの傷を語りあう    アキラ

俺の方がすごいと傷を自慢する   由利子

 人 位

手袋が小指の傷を慰める       弘

 地 位

寒いからハートの傷が治らない   さと子

 天 位

魂を少し汚したかすり傷      アキラ

 

 

 

宿 題 「も し も」 渥美さと子 選

知恵の輪をもしももしもが行き来する ふく子

過去形のたられば話悔いばかり   由 美

万一の時パニクってしまいそう   静 枝

青春のときめく恋をもう一度    竹 水

笑む彼女赤い糸端チョット見せ   重 雄

保険屋のもしもの時を聴き飽きた  廣 司

仮にだよなどと踏み絵を出してくる アキラ

宴会で靴間違えて来ませんか    敏 子

もし私美人だったらもう居ない   二三子

人生に悪いもしもと良いもしも   哲 也

空想の世界楽しくなるもしも     千恵子

あの世あるなら死んだって怖くない   弘

もしもからホロコーストは生まれない 珠 美

もしもなどいらぬ人生まっしぐら   ふく子

花粉症もしも治ればパリへ行く    洋 未

ドレミから始め天才ピアニスト    としみ

お墓にはあなたと別で良いかしら   のぶ男

世が世なら俺もSMAPだったかも  夕 介

宝くじ皮算用が止まらない      哲 也

宝くじ売り場で今日も買うもしも   夕 介

五 客

眉二本剃れば悪女になれるかも    茂 瑠

蜃気楼追いかけている青い春     アキラ

もしも今子育てしたらうまくいく   益 代

もしひとつ交換できるなら夫     恭 子

未亡人になった話で盛り上がる    由 美

 人 位

仮定形つけると過去がくしゃみする  珠 美

 地 位

勝算はあるがもしもの危惧もある   博 司

天 位

カプセルはもしもの時にとってある  恒 代

 軸 吟

バラ色のもしも枕にして眠る     さと子

 

 

宿 題  「我  慢」 佐野由利子 選

ないがしろされて我慢の糸が切れ  千恵子

ひとくちの我慢を強いるダイエット ますゑ

我慢して一度はやせたダイエット  恒 代

嫁姑今は姑が我慢する       好 子

ショートケーキ我慢と数値にらめっこ  益 代

待ってれば外食したと平気顔    光 代

そのくらい我慢しなよとお仲人   廣 司

下積みの汗成功の道拓く      千代見

体重計意志の弱さを示す針     哲 也

我慢した先にあるのはリバウンド  さとみ

食欲が天敵となるダイエット    博 司

リハビリへ我慢が溶けている快気  ふく子

消費税上げて我慢を強いられる   廣 司

国会の睡魔に耐えるカメラアイ   としみ

我慢していますお互い様ですが   恭 子

白木蓮寒さ暑さも耐えてこそ    豊 子

我慢して貯めた臍繰り「おれおれ」へ  長 仁

ゴールまで明日は我が身とする介護 居久美

何ごとも我慢がまんで育てられ    亘

風船のもう限界と割れる音     千代見

いい嫁でいる我慢などもうしない  二三子

やせ我慢束ねた男のサウナ風呂   野次馬

我慢ならいつもしている家会社   信 一

笑い泣きこらえています別れ道   しげる

耐え抜いた女の城はたじろがず   豊 子

ダイエット我慢しすぎてぶっ倒れ  三根子

我慢より頑張らなくていい暮らし  のぶ子

酒たばこさらば健診終わるまで   夕 介

節約をモットーにする戦中派    長 仁

我を捨てて一歩譲れば丸く行く   ますゑ

女房の尻の重さに我慢する     可 福

五 客

もう限界我慢している拉致家族   義 子

金婚へどちらが我慢したのやら    弘

我慢して済むことならと目を瞑る  千恵子

我慢にも限界線をひいておく    天 子

もう限界男トイレに飛んで行く   益 代

人 位

どれ程を犠牲にしたか金メダル   居久美

 地 位

足クロスして我慢するお手洗い   由 美

 天 位

我慢していたら鳶に先越され    やむ茶

 

 

宿 題 「駄 菓 子」 望月  弘 選

駄菓子にも四季折々の花を添え    亘

内緒ごと子が駄菓子屋へ置いてくる 千恵子

十円玉握って駆けた昭和の子    まさえ

間食の駄菓子仲良く孫と分け    晴 康

駄菓子屋のおばさん子等の中に住む 敏 子

駄菓子屋に昭和の匂いきな粉飴   益 代

駄菓子屋の糸引きくじにある昭和  野次馬

駄菓子屋にスキップしてた五円玉  哲 也

駄菓子屋で我慢覚えた五円玉    アキラ

インフレやデフレにも勝つうまい棒 まさ子

フルコース食べた気分のうまい棒  野次馬

ココアシガレットで大人ぶった日々 由 美

駄菓子屋にロマンがあった子の世界 ますゑ

風船ガムはじけて顔にしがみつく  美智代

不況にも負けない駄菓子屋のお釣り 夕 介

ポン菓子の音に妹飛び上がり     鰹

チロルチョコ一個のバレンタインデー 鰹

駄菓子屋で子どもを泣かす消費税  さとみ

懐かしい舌が真っ赤になる駄菓子  可 福

当たり棒息せき切って来る子ども  静 枝

花ござに駄菓子の膳のおままごと  恒 代

子の夢が三角くじに詰まる菓子   千代見

百円で燃える駄菓子屋パラダイス  夕 介

駄菓子屋に行くと子どもの顔になる 二三子

五 客

駄菓子屋にちょっと道草通学路   浩 則

駄菓子屋で学ぶ小銭のありがたみ  ふく子

年とって駄菓子つまみのコップ酒  雅 生

乗るとすぐ駄菓子が回るバス旅行   益 代

駄菓子屋で計算力を身につけた    恭 子

人 位

ドロップ缶振れば三丁目の夕日    哲 也

 地 位

コンビニが出来て駄菓子屋店閉める  由利子

天 位

駄菓子屋で子らの善悪育てられ    俊 枝

 

 

宿 題 「自 由 吟」 互 選 (1月分)

⑩働かぬ日にも晩酌ちゃんと飲み   廣 司

⑤まとめたら妻の言い分愚痴だった  長 仁

⑤新年へ引き算だけの家計です    よし子

④初夢が女難の相の腕枕       可 福

④旅の宴女性上位で締めくくり    まつ子

③手拍子で恥をかくまで踊らされ   よし子

③曲るだけ曲げて轍をはいあがる   敏 子

③カリスマのオーラ巧知を躍らせる  まつ子

②まだここに一縷の望みかける意地   亘

②ぼけ進み漢字忘れる情けない    天 子

②万歩計遠く未来を駆けていく    のぶ子

②寒くとも息フウフウと雑煮食べ   晴 康

②偶然を理由こじつけ納得し     洋 未

②潜在の意識が醸す怖い夢       亘

 

 

宿 題 「自 由 吟」 互 選 (2月分)

⑧順風に忘れてしまう恩返し    ますゑ

⑦少しだけくもったままでみる鏡  三根子

⑤花粉症梅より早く春を告げ    重 雄

⑤お若いと若い人には言いません  静 枝

④胃カメラに腹の虫まで写される  玲 子

④友見舞う肩にジョークを置いてくる 豊 子

④お寿司でも取ろうか鬼の居ない間に 鰹

③弱点を突かれ化粧が崩れだす   由利子

③愛こわれそう掌の中のミルフィーユ  千代見

③冬なのに耳に住みつくあぶら蝉  智 子

③反論へ除々に空気が張りつめる  まつ子

③とばっちり受けて家族に八つ当たり 千恵子

②デイサービス行くと老化が進みそう 益 代

②ソチ五輪体内時計狂い出す    光 代

②愛嬌は無いが性別女です     博 司

②神ならばマグマ御神酒で手なずける さと子

②脳トレは積木を高く積み上げる  浩 則

②満月が我が部屋覗くガラス窓   晴 康

②ホームには消化試合の日が流れ  由 美

②慣れぬ雪後の始末に腰いため   二三子

②心まで濡らさぬようにかぶる笠   弘

②春野菜声から先に売れる朝    敏 子

②再生の春待ち望むみちのく路   としみ

②別れましょ磁石は北を指したまま 野次馬

②笑わせるピエロ失敗派手にやる  竹 水

②生きてやる三年連の農日記    獏 沓

②傷心に追い討ちかける親父ギャグ 夕 介

②土造りかけた分だけ出る答    信 一

②化粧して私も春を隅で待つ    茂 瑠

②気まぐれで鳥居を見ると鈴を振る しげる

②花の一生見守ってます万歩計   ふく子

②寒さにも負けそうになる老化中  天 子

②自分史の足音どんな音だろう   義 子

②大統領史実風化の恨み節     可 福

②TOKYOの夏が世界を熱くする やむ茶

②新聞に曾孫の写真一面に     のぶ子

②踏ん切りの付けぬところが野党通 のぶ男

②水仙のきれい慎まし中に毒    好 子

②何時までも吸取紙のバカ野郎   アキラ

②空高く舞い上がったまま安倍総理 さとみ

②ジム通い女ますます強くなる   安 心

 

 

落 ち 穂 ひ ろ い

▽句会ボツ句の束を読み返してみたらなかなか面白い句がありましたので敗者復活(笑)

もう溶けていいよ名残の雪だるま

座禅する鼻の頭に止まるハエ

米は無い給料日まであと三日

染み付いた貧乏性を笑い合い

自分だけ我慢した気で聞いて来る

腹ぺこに染み入る駄菓子屋のおでん

舌を噛む早口言葉すもももも

いり大豆噛めば戦時の音がする

少女の手金平糖が歌い出す

ソチ五輪もしももしもの眼を腫らす

片道の切符で君といく火星

一瞬のことかも天国と地獄

万が一逢えたらきっと泣くだろう