「近  況」             濱山  哲也

官兵衛を観ているときは留守電だ           つがる

増税の分だけ増えた妻のグチ

私のカネでオバマと安倍が喰った鮨

大穴狙い小保方さんの肩を持つ

 

 

 

「おっちゃん」            伊藤  豊志

女形話せばちょっと長くなる             岩 手

おっちゃんの靴が片方脱げました

風立ちぬ達筆になるから不思議

男の背つまみは何にしましょうか

 

 

 

「ユーモア川柳」           岡村  廣司

軋む戸を開けるにコツの要る我が家          焼 津

値下げする時間いつもの顔ばかり

女房がこれ見よがしに空財布

胃の薬飲めど治らず死にもせず

 

 

「パニック」             奥宮  恒代

四月から急に冷えだす台所              森 町

美しい縄目になってきた夫婦

置物ではありませんよね配偶者

若い血を少し注入今日はマル

 

 

「無 礼 講」             寺田  柳京

どんな餌食べたか鰻喋らない             静 岡

また一人大臣級が金で消え

節穴を覗けば向うも目ん玉

無礼講いい気になると弾かれる

 

 

「自 由 吟」             真田  義子

過去すべてリセットします桜咲く           仙 台

一生を名もない花で過ごす幸

どこまでも図太く強く生きる葦

続編でクレオパトラになるつもり

 

 

「徒然なるままに」          毛利  由美

食欲はあるが口内炎もある              つくば

私の男らしさは母譲り

へそくりはどうするエンディングノート

恥のかき捨てはネットのない時代

 

 

「無理はムリ」            新貝 里々子

甘い恋とろける肉も忘れたな             袋 井

深呼吸してももとには戻らない

五本指ソックスそれがなんなのさ

バーチャルの中でおとこをもて遊ぶ

 

 

「わだかまり」            鈴木 まつ子

わだかまり孤独でないと書けません          島 田

もう駄目と思いめぐらす片想い

かりそめの指切りだとはつい知らず

思いきる人の気持は変えられず

 

 

「自 由 吟」             南   天子

ぼけたのか人と会話が風車               焼 津

五月病毎年悪化アイウエオ

テレビ見て涙ほろほろ老いたなあ

クラス会私以外は皆元気

 

 

「湯船の深呼吸」           斉尾 くにこ

イヌ科に犬のヒト科に人の接続詞           鳥 取

敗北感クールダウンのひとり風呂

切なさは濡れたしゃもじでかきまぜる

想いごとあって湯船の深呼吸

 

 

「自 由 吟」             成島  静枝

真っ白も真っ黒も嫌迷う髪              千 葉

ワンコイン頂きたいな家ランチ

パラポラの向いてる方にあるツリー

ドクダミが生命力を見せる雨後

 

 

「迷うこと」             増田  久子

私との同じ着メロバスの中              焼 津

スピードを出したくさせる黄信号

健診という赤ちゃんのくらべっこ

迷い箸させるほどにはない夕餉

 

 

「寿  司」             川口 のぶ子

スシローに家族が集う五月空             藤 枝

束の間の憩いを寿司にたわむれる

寿司ネタの鮪に心癒される

えび天のほっこり感に笑みこぼれ

 

 

「主婦Aの一日」           菅原  花子

笑顔添えポンと背を押す稼ぎ人を           盛 岡

昼御飯残り物でもバイキング

ネコくんと昼寝を競う家事どこへ

夕寝して帰るコールで大慌て

 

 

「  声  」             藤田  武人

下々の声を拾って天守閣               大 阪

うぐいすの声で代打を告げられる

受話器から聞こえる声がパパに似る

頂はヤッホーと叫びたくなる

 

 

「リーダーは辛いよ」         恩田 たかし

派遣さん正社員よりよく休む             静 岡

呪いかな社員が未だ決まらない

新人もあっと言う間によく辞める

勤務表嫌という程組み直し

 

 

「梅  雨」             岩永  圭二

長ぐつを履くと農家に思われる            大 阪

じっとりと肌にはりつく満員車

学生服梅雨の時期はなぜ臭う

部屋の中洗濯物のシャンデリア

 

 

「自 由 吟」             山本 野次馬

ひょっこりと息子都会の砂をあび           函 南

靴紐が解けぬままの三次会

トイレ紙の芯の部分に課税率

白旗に男の見栄が溶けていく

 

 

「白いバラのうつ」          外側 としみ

解凍をするとロマンがあふれだす           磐 田

欲深い日は滑ったり転んだり

秘密とは無縁な白いバラのうつ

再生のチョコバリバリと前を向く

 

 

「  愛  」             馬渕 よし子

愛という形で自由奪われる              浜 松

ふる里を愛し訛りの心地良さ

母からの愛のボールは子へ渡し

金婚へ愛だ何だの面倒だ

 

 

「自 由 吟」             鈴木 恵美子

目を閉じてふるさとを恋う山を恋う          静 岡

難局に当る勇気を子にもらい

景気良い話に踊る四月馬鹿

シルバーのロマン風船ほど軽い

 

 

「電  話」             井口   薫

ボケ加減へ聴診器めく子の電話            袋 井

スマホにも試されている認知症

病後の一日一日が愛おしい

歯磨き粉絞る執念なら負けぬ

 

 

「雑  詠」             山本 ますゑ

次世代に味を引き継ぐ母の腕             磐 田

画一化思い出せない母の味

反抗期忘れていないお弁当

飼い犬が獣医だけには牙を剥く

 

 

「母の日へ」             小林 ふく子

躓いた石を今でも暖める               袋 井

シャープ付けた足が楽しく跳ねている

母親へ真面目に暮し返す恩

亡母が好きな花わたしも好きになる

 

 

「雑  詠」             孝井   栞

切れ味を沢庵タックル組んで告げ           富 山

バクチクで熊に入山許可貰う

雪国で育ち四駆の歩き方

雷が家電にカツを入れて落ち

 

 

「やさしくなりたい」         栃尾  奏子

悲しみが私に嘘をつけという             大 阪

かなしみのぶんだけ強くなれますか

空白を神が満たしてゆく祈り

導きが礼拝堂に舞い降りる

 

 

「自 由 吟」             中矢  長仁

ふっくらと美人の風情八重桜             松 山

杖突いてもう終わったか花盛り

来た道は誰も通らぬ僕の道

特技無し趣味は昼寝と書いておく

 

 

「自 由 吟」             酒井  可福

今寝ると起きれば明日が待っている          北九州

今日は今日明日は明日の夢を観る

明日着る衣裳が未だ決められぬ

取り敢えず明日の覚悟は決めて寝る

 

 

「  涙  」             安田  豊子

誰にも見せぬ涙は人を強くする         浜 松

思い切り泣いても癒えぬ傷うずく

子の苦労人事でない胸さわぎ

あの涙嘘ではないと信じてる

 

 

「  札  」             戸田 美佐緒

失脚の椅子に迷子の札を貼る         さいたま

だとしても未遂で終る午前二時

悪縁と決めつけている背後霊

母の日に母が不在の花手桶

 

 

「梅  雨」             石上  俊枝

七色に蜘蛛の巣光る雨上がり          静 岡

雨雨ふれふれやめてよ八代亜紀

水たまり孫はジャンプで濡れ鼠

紫陽花の移り気まとい雨上がり

 

 

「雑  詠」             内山  敏子

思い出の道をひとりで歩かされ            浜 松

はた迷惑またも女の軽い口

約束が無いのに誰か待っている

痴話げんか箸も茶碗も当り役

 

 

「雑  詠」             野中  雅生

嫌な奴何を言っても勘繰られ             静 岡

いいもんだ仲良く入る家族風呂

あのピンチ留守を守ってくれた奴

駄菓子屋は会津若松日本一

 

 

「ラ ム ネ」             宮浦 勝登志

グリコなめ三百跳べるナゾひとつ           静 岡

パンの耳食べられる幸口の中

ラムネ瓶イッキ飲み込む玉の音

いとはんとなにわの恋の隠れ宿

 

 

「駄 菓 子」             川村 美智代

駄菓子屋から今だに続くハズレくじ          静 岡

風船ガムはじけて顔にしがみつく

怒るなよ金平糖のようなママ

駄菓子屋で泣いたカラスが笑ってる

 

 

「留  守」             萩原 まさ子

お留守番できた大きくなりました           静 岡

春ですね頭が留守をして困る

ベッド抜け初めて父がトイレ行く

留守の家来て線香をあげる子等

 

 

「自  戒」             西垣  博司

尤もな意見心の糧にする               静 岡

三分の一は老後の人生譜

通行人Aで余生をしめくくる

たしなめてくれる人こそ神仏

 

 

「自 由 吟」             提坂 まさえ

メッセージ長くなりすぎ春うらら           静 岡

神様が今日も居留守を決めている

エプロンが妻の顔して椅子にいる

脳ミソは留守ばかりなり昨日今日

 

 

「花  博」             鈴木 千代見

トゲのない香りに酔ったバラの園           浜 松

噴水の五月の空に踊り出す

一斉に咲いて個性のない私

着飾った花よりきれいヒメジオン

 

 

「自 由 吟」             竹内 みどり

葉桜の下にタンポポ春うらら            さいたま

ダイエットおから料理で満腹に

連休は旅の計画練っている

デパ地下で女三人徘徊し

 

 

「雑  詠」             飯塚  澄人

モッツァレラローマ娘に敵はない           静 岡

草津の湯万座も夢か宝クジ

顔分かるなのに名前が浮かび来ぬ

音沙汰のない子がガイド言ってくる

 

 

「雑  詠」             川口   亘

何故そんなこんなで決めた自由意思           藤 枝

身にかかる火の粉は払う心意気

対処する心をいつも持ち合わせ

出来ないと云う事だけは差し控え

 

 

「浜松まつり」            畔柳  晴康

浜風に初子を祝う凧揚げる               浜 松

賑やかい昼は凧揚げ夜屋台

連休は浜松祭り明け暮れる

爺孫と祭り衣裳を着飾りぬ

 

 

「四  月」             山田  浩則

春風に押されて季節逆戻り              島 田

巻き戻しボタンが欲しい私生活

ランドセル今は赤黒だけじゃない

春先にコート忘れて風邪をひく

 

 

「しみじみとつくづくと」       尾崎  好子

親孝行できず子らにも求めない          藤 枝

手も口も歳には勝てぬそう思い

まだ同じ空気吸ってるオーム教

年頃のニキビの男子女子を見ず

 

 

「くり返す」             川村  洋未

新しい靴が馴染まずころげ落ち          静 岡

ころげ落ちこんな時だけ人が見る

人が見るわざと忘れた花束を

花束をぶらさげゆれる終電車

 

 

「初  夏」             増田  信一

新緑がまぶしく見える年になる            焼 津

寒いのも暑いのもいや初夏が好き

鴬も夏まで鳴いている日本

水田でこの頃蛙鳴いてない

 

 

「ぽ と り」             中野 三根子

鼻水がぽとりとたれて追いつかず        静 岡

形見分け母の手鏡涙する

ひと粒の雨が私を急がせる

通夜の席故人を偲びついぽとり

 

 

「自 由 吟」             滝田  玲子

放たれるホタル元気な園児の手             浜 松

難聴の耳も乗り出す立ち話

歩く夢いつも杖なし闊歩する

青い空自由のびのび飛行雲

 

 

「無 抵 抗」             谷口 さとみ

忘れても困らぬことは覚えてる            伊 豆

晩酌とウサギの餌は忘れない

採れた日は一汁三菜全部茄子

雨だれを数えていたら眠くなる

 

 

「七  坂」             多田  幹江

あやふやな噂尋ねる風の旅           静 岡

まだ少し余熱でたどるひとり旅

峠七坂おんな泣かせの曲り角

どの花もきれいなうちに散りたがる

 

 

「揺 れ る」             石田  竹水

僕の晩年いつにしようかまだ決めぬ          静 岡

思い切りピエロに成ってずっこける

ぶらんこを落ちないように撤去する

盗み酒直ぐにばれちゃう赤い顔

 

 

「私の自慢は…」           渥美 さと子

雨風に耐えて歩ける軽い靴              静 岡

バラ色の夢まだ詰まる肩カバン

転んでもこぼれ落ちない好奇心

旬の味届けてくれる友の笑み

 

 

「しみじみ」             林  二三子

今ならば何でも出来る介護でも            富士宮

しみじみと父母を偲んで墓碑洗う

一周忌母の衣類を処分する

里帰りしても両親もういない

 

 

「軋む椅子」             池田  茂瑠

花の身に残る風とのたたかいが            静 岡

定位置の椅子の軋みがひどくなる

保てない美貌淋しいことですが

輪の外の乾きの隅で風邪を引く

 

 

「華道展 その2」          永田 のぶ男

木も花も自由自在に鎮座する             静 岡

美貌武器雅名に合って調和する

剪定に水を吸ってる音聞え

赤や白生花映えて喜寿が立つ

 

 

「五月晴れ」             薮﨑 千恵子

前向いて歩こう今日は五月晴れ            焼 津

五月晴れ風が誘ったショッピング

チャリンコで買い物をする五月晴れ

店主からお叱り受ける早とちり

 

 

「ユーミン様」            森下 居久美

素っぴんで出会ってしまうDESTINY      掛 川

助手席のシートに落ちているピアス

想い出の景色に貴方だけ居ない

温度差を小さな嘘で埋めている

 

 

「自 由 吟」             荒牧 やむ茶

心臓がリズムを刻むファンファーレ          小 山

飛び散った汗が本気を見せている

舞踏会かぼちゃの馬車がまだ来ない

意地だって夢だってある不良品

 

 

「写  真」             勝又  恭子

カメラって嫌い正直者だから             三 島

パスポート更新ぐっと写真老け

いい写真だから免許を見せたがる

笑い声までも写っている写真

 

 

「ベルマーク」            佐野 由利子

旅景色どんな名画もかなわない            静 岡

アジサイの色で始まるジュンブライ

ジャスミンの香りに心癒される

少しでもお役に立てばベルマーク

 

 

「猫に小判」             真理  猫子

我輩の誕生石は真珠です               岡 崎

そう言っていつもあなたはラッパ吹く

サルビアの花が怖くて逃げてます

Tシャツが乾く 濡れ衣晴れていく

 

 

 

「ひ・み・つ」            松田  夕介

お忍びのデート見ていた拡声器            静 岡

カクテルに秘密浮かべている二人

秘密分け合うように飲む瓶ビール

イナバウアーしながらしゃべりたい秘密

 

 

「自 由 吟」             長澤 アキラ

よれよれが斜めになって歩いてる           静 岡

摘みやすいところに付いている乳首

夕茜バケツの水が澄んでいく

今月の赤字もきっと俺のせい

 

 

「このごろ」             望月   弘

読みかけの本で居眠りする栞             静 岡

リハビリで会得している転び方

血流をよくする為の酒の味

買い置きの切手にあかんべえされる

 

 

「民間療法」             加藤   鰹

すり傷にペタッと貼ったイシャイラズ         静 岡

オロナミンCに生玉子のパワー

風邪よりも首輪のネギが臭すぎる

体にはいいかも知れないがマズイ