平成二十五年 四月十九日
たかね川柳会 定例句会
於 アイセル静岡
参加者(順不同)田中憲幸、曽根田しげる
尾崎好子、飯塚澄人、滝田玲子、松田夕介
山田浩則、望月弘、荒牧やむ茶、勝又恭子
市川重雄、渥美さと子、増田信一、加藤鰹
畔柳晴康、池田茂瑠、石上俊枝、川村洋未
杉山光代、八木益代、山本智子、石田竹水
中野三根子、林二三子、南天子、成島静枝
奥宮恒代、内山敏子、西垣博司、森田安心
石田竹水、酒井可福、毛利由美、薗田獏沓
長澤アキラ、藪﨑千恵子、佐野由利子、中
司、永田のぶ男、斉尾くにこ、外側としみ
小林ふく子、岡村廣司、中矢長仁、南天子
鹿野太郎、川口亘、川口のぶ子、濱山哲也
安田豊子、毛利由美、鈴木まつ子、川村美
智代、鈴木千代見、山本ますゑ、山本野次
馬、谷口さとみ、提坂まさえ、宮浦勝登志
▽愛知県武豊町の取引先で良くして頂いていた田中憲幸さんの定年記念にたかね誌を差し上げたところ、なんと句会案内を見て来て下さった。ビックリ&嬉しかったです。
席 題 「 音 」 勝又 恭子 選
角出した妻が茶碗を割っている 千恵子
パチパチと火花を散らす恋敵 千恵子
彼の声うるさくなって倦怠期 洋 未
靴音で家族見分ける母の耳 益 代
音無しの構えで入る朝帰り 信 一
足音で今日の機嫌がよくわかる 二三子
カラオケは好きですだけど音痴です やむ茶
山登り熊よけ鈴に足軽く 光 代
えとの馬今年の音がするようだ 憲 幸
共鳴は新婚時代だけ響く 信 一
恋の音耳をすまして聞いている 弘
朝が好き花もめざめる春の音 智 子
音も無し友の訃報が身に応え 光 代
お隣りがガシャンバタンと騒がしい やむ茶
お隣りのピアノでメシがまずくなり 鰹
一円を落とした音が響かない 弘
点滴の音なきしずくエール受け 俊 枝
心音が聞こえてきますプロポーズ 信 一
トントンがドンドンになる待つトイレ アキラ
家計簿を叩くと赤い音がする 弘
熊よけの足しにはなるかしら音痴 夕 介
五 客
聞こえない音が聞こえてくる夜中 信 一
春先の音色サクラのピンクかな 浩 則
音楽家眉に唾つけ聞いてみる 信 一
騒音に慣れて田舎で落ち着かず 二三子
入金と出金軋む預金帳 アキラ
人 位
座禅組む心の隙に風の音 千恵子
地 位
オクターブ外れた声でプロポーズ 信 一
天 位
豆腐屋のラッパ今日から冷奴 好 子
宿 題 「甘 い」 川村 洋未 選
辛党も茶席銘菓に手が伸びる 好 子
またやった一歩手前で舐めた蜜 太 郎
良薬の苦い時代はもう来ない 弘
新婚の甘さ期限も胸に秘め 重 雄
甘かった誘いの言葉荷が重い 晴 康
ダイエットよりも目先のバイキング 夕 介
お汁粉で妙に気の合う夫婦仲 澄 人
産直の四季の味覚に親心 さと子
おれおれに気が緩んだか親心 長 仁
青汁が甘いダイエットも佳境 太 郎
甘い汁上手に吸ってのし上がる 千恵子
夜勤明け春の香りに癒される 敏 子
親離れする子へ甘さ控えてる 竹 水
徒歩十分たしかに だけど山だった さとみ
だとしても孫の手綱はゆるすぎる 弘
狭いけど甘い巣箱の中の愛 茂 瑠
甘党も三日続けば横を向く 敏 子
甘党がニッコリ笑い酒交す のぶ男
上げ底で果報寝て待つ甘い汁 のぶ男
糖衣錠きのうの嘘が溶けてくる アキラ
甘辛を適度に使い子の躾 廣 司
合鍵へ甘い時間を夢見てる ふく子
口あけてアーンの甘い日はいずこ 恒 代
甘い蜜うっかり舐めて蟻地獄 益 代
自転車は免許無いから甘く見る 浩 則
たっぷりと口説き文句に蜜を塗る 哲 也
五 客
ドロップ缶振って詐欺師の電話口 野次馬
好きだよと今も聞こえる折に触れ 豊 子
甘いもの胃から駄目ですメールくる 天 子
甘口に仕上げましたと嫁に出す 千代見
ぼた餅が落ちてくるのをいつも待つ 恭 子
人 位
五分五分はいつも味方と甘い読み 恭 子
地 位
甘い風乗って蛇行を繰り返す ふく子
天 位
甘いもの食べて体が柔らかい 長 仁
宿 題 「しみじみ」 永田のぶ男 選
初恋の頃の女房に戻したい 弘
母となりしみじみ思う母の愛 益 代
しみじみと見れば愛しい反抗期 博 司
生きて来た昭和平成振り返る 竹 水
しみじみと友と語らう涙つぼ 敏 子
妻の留守妙にセンチになる一人 さと子
しみじみと初恋の日の古日記 可 福
しみじみと津波のこわさ思い出し しげる
柱の傷しみじみ思う子の育ち ますゑ
しみじみと姉の生前ネガでみる のぶ子
スマートな頃もあったと見る写真 恭 子
背で聞いた亡父の苦言が効いてくる 哲 也
里帰りするたび母の背に ごめん さとみ
大病を抜け出て思う親の恩 千恵子
師の立ち日悲喜こもごもがある墓前 静 枝
しみじみと家族と暮す円満に しげる
ウクライナ平和を思い酒を酌む 由利子
書道展しみじみさせる枯れた文字 ますゑ
コンビニのおにぎり分けた日もあった 太 郎
しみじみと犬にドレスの値札見る 光 代
あの頃が良かった一次反抗期 由 美
しみじみと悟る頃には墓の中 信 一
風呂上がり鏡見つめる古タヌキ やむ茶
花見酒遺影の妻の肩を抱く 野次馬
無事生還しみじみ海の怖さ知る 由利子
五 客
しみじみと健康思う退院日 益 代
ばあちゃんが時おり見てる預金帳 まつ子
皺の数頑張ったねという鏡 俊 枝
ふるさとの野山を消した近代化 やむ茶
夕焼けが美し過ぎて皆無口 まつ子
人 位
チンをして男上位の演歌聞く 鰹
地 位
老老のどちらが先に介護する 長 仁
天 位
あぁ俺は生きているんだなあ酒よ 夕 介
軸 吟
園遊会陛下しみじみ世は平和 のぶ男
宿 題 「い、な、か」(折り句) 望月 弘 選
いいよもう泣くな忘れろ過去は過去 さと子
今僕は七つの星を描いている 浩 則
言っちゃった内緒の話風に乗せ 俊 枝
いさぎよく泣いて笑って過去にする 益 代
いいよねぇ何度やっても乾杯は 夕 介
意地悪な雪崩が続く寡婦の身に 茂 瑠
今時の流れに乗れず蚊帳の外 としみ
一緒なら涙のあとも輝ける としみ
いつからか内緒話の傘の中 野次馬
胃カメラに内助の功をからかわれ 野次馬
入れ知恵をなおざりにして風を待つ 豊 子
生き様をなぞれば奥に刀傷 太 郎
いい加減泣き真似はよせカメレオン 夕 介
生きてゆく泣いて笑って風邪引いて 美智代
いい娘だが内緒話をカラス聞き 静 枝
育メンも泣いた妻にはかなわない 信 一
生きるとは涙の量を喝破する アキラ
意味深な涙を見せるかすみ草 恭 子
如何にせん奈落の底も金しだい ますゑ
勇み肌なあにおいらは風邪引かぬ 長 仁
言い訳は舐めかけた飴噛んでから 千代見
いい感じ菜の花摘んで家族愛 のぶ子
伊万里焼き撫でて切り出す金のこと 鰹
いつだってなけなしの智恵駆り出され 亘
いい風へ波乗り越えて果報待つ ふく子
五 客
いじめっ子泣いたあの娘が可愛くて 可 福
いつだって何かしている母ちゃんだ 好 子
いくつもの悩み抱える影法師 やむ茶
生き恥を何度も晒し返り咲く 恒 代
今はもう何も言わない風になる アキラ
人 位
何れまた何かの折に返す義理 ますゑ
地 位
彩りは七色がいい紙吹雪 由利子
天 位
一匹の懐かぬ犬を飼い慣らす 二三子
宿 題 「自 由 吟」 互 選
⑪こだわりを溶かして春の川になる アキラ
⑩綺麗な目言われてマスク外せない 益 代
⑨お遍路のように病院巡りする 博 司
⑥正論に噛みついている臍曲り まつ子
⑥何処見てもカタカナ言葉生きづらい智 子
⑥強がりを言ってる腰に貼り薬 竹 水
⑤わたくしのロマン見ていた天の川 としみ
⑤なるようになるさ人生おもしろい 三根子
⑤身贔屓の話はさっと聞き流す 千恵子
④生きていく今日のリズムは四拍子 義 子
④いいとものない昼食の味気なさ やむ茶
④朝帰り柱時計にジャブを食う 安 心
③現実は甘い夢から見離され 亘
③花博の陰で汗するボランティア ますゑ
③消費税買溜めしたが邪魔になり 光 代
③穏やかな川で主張をしてる石 弘
③春なのに浮いた話は冬のまま 信 一
③雑魚にエサ与えて多数決可決 鰹
②思い出を秤にかけて今捨てる 洋 未
②増税も社会保証と云われちゃあ 好 子
②言い出して何か気になる金縛り のぶ子
②三才児天気予報は無関係 澄 人
②休日が恋しい水曜のクラゲ 夕 介
②セールスの手口が客を手放さず 敏 子
②分かってる我が家は妻が仕切るのだ 長 仁
②毒を盛る話の隅に加わろう 茂 瑠
②まだ米寿小さな望抱き続け 晴 康
②悪友も人を笑わす見えもある しげる
②来年も増税前のお買い物 由 美
②ホーホケキョ声聞き惚れる水芭蕉 俊 枝
②大声の出る人きっと守られる 天 子
②コート脱ぎ軽やかに出る春の旅 二三子
②人を何故こうも酔わせる桜花 さと子
②立ち読みもいつかの時の料理本 由利子
②指なめなめ数えてみたい札の束 玲 子
②話し合い蹴ってノドンをぶっ飛ばす 恒 代
②小企業を相手にしない天下り 廣 司
②桜好き国民性が出る花見 静 枝
②定位置の黄味箸で転がしている 千代見
②天然の明るい嫁が家に来る 可 福
②スパイスを効かせヨイショと立ち上がる ふく子
②花筏たわむれ散らす鯉の群 豊 子
②山菜と呼ばれ慣れないつくしの子 さとみ
②二枚貝閉じて夫婦劇終演 野次馬
句会終了後は恒例の「お葉見」(笑)桜はとうに散っていたけど楽しかった♪