六月二十八日朝7時、静岡駅発富山行きのたかね号はメンバーを待っていた。弘さん、アキラさん、由利子さん、そして車掌は夕介。こうして僕らの「全日本川柳富山大会への旅」はスタートした。

途中、愛知県のサービスエリアで追加メンバー真理猫子さんを加え一行は五箇山を目指す。長い道中だが、絶え間ないおしゃべりのせいであっという間に到着。

五箇山。写真家さんは雪景色が好きらしいが、僕には緑の水田を前景に雨降りの合掌集落がベストショットに思えた。初めての紙すきも体験した。出来上がった和紙に僕が取る予定である大会賞の句を書いてあげようと心に決めて五箇山を後にする。

 

二十九日。朝五時に起きてしまったので富山市内の散歩。朝食を済ませて川柳大会の会場へ。たまにしかお会い出来ない人達に挨拶だけ済ませ、一筆入魂の句箋を投句。これでバッチリ。昼食を済ませ富山城を散策。突然の雨のやられ、ふたたびび会場へ戻ると間もなく披講の時間である。

普段の句会とは違う緊張感の中披講は進む。前抜きでの呼名はなし。ということは…まさか!特選かも!などという夢を見ること三回。残念ながら当日句撃沈。しかしお仲間数名が大会賞をゲット。再高の気分であった。

 

しかし、富山大会。これで終わりではない!夜には懇親会に参加。人知れず「真の文部科学大臣賞」が決められる事になっている。課題は詩(ポエム)。根っからのポエマーである僕はこれに全てを賭ける。しかも選者は我らがレジェンド弘。ここで全没ならばどさくさに紛れて静岡に帰ろう。特に弘さんは富山に置いて帰ろうと心に決めていた。句会が始まるまでしばしの談笑。恒例の自己紹介がはじまる。僕の前には大会賞の団石さん。レジェンド弘が並ぶ。何故か自己紹介イコール笑いを取るみたいな空気に。ここは持ちネタの加藤鰹体型を生かして切り抜ける。そして句会の始まり。レジェンド弘は僕の呪いを恐れてかしっかり抜いてくれた。これで静岡に還ることができる。楽しい夜は更けていく。

 

翌日。富山観光をしながら静岡に帰るが、これは書ききれないので省略。

帰宅した僕の荷物には、上手に作った大会句の入っていない綺麗な和紙が。

次は迷句を入れてやるからと心に誓ったのであった。

 

2014年8月号