「泳 ぐ」 藤田 武人
トビウオもバサロも金と自慢する 大 阪
政界を泳いで来たと自負がある
犬かきでオリンピックを目指します
蛙には負けるもんかと犬が言う
「彼岸の方へ」 栃尾 奏子
鬼灯の朱よ私の胸の方 大 阪
あの世からようこそ迎え火を灯す
あっけないもの送り火に手を合わす
彼岸花あなたを忘れてはならぬ
「星飛んで…」 外側 としみ
ターコイズブルーの夏を閉じ込める 磐 田
紫のバラに絡まる好奇心
告白にカンナの赤が揺れ動く
星飛んで小さな秋を受け入れる
「八月のあじさい」 斉尾 くにこ
夜の奥飛べない鳥が起きている 鳥 取
望まれて肉食獣のキャラも着る
置き去りにされて八月のあじさい
投げたのに追いかけてくる捨て台詞
「道 具 箱」 戸田 美佐緒
破られたページに残す白い蝶 さいたま
結論が見えてきましたあみだくじ
十年目茶碗が割れた日の小雨
らっきょうの皮を剥いてる四面楚歌
「ふ と」 石田 竹水
幾とせの阿修羅と思う髪の白 静 岡
向日葵の海に溺れている至福
目玉焼きふと安楽死考える
見ない振りするのも難儀疲れます
「グ ラ ス」 山本 野次馬
ため息もグラスに仕舞うハイボール 函 南
言い訳を考えてますワンショット
飲み干したグラスの底にある嫉妬
水割りのグラス バカラか百均か
「冗 句」 鈴木 まつ子
二度三度覗くヘソクリご満悦 島 田
ゴミ出し日スッピン顔で鉢合せ
付けたブラ寄せては上げて持ち上げる
つきたてのお餅のような下っ腹
「暴 走」 濱山 哲也
放言の自由でござる自民党 つがる
メタボ腹箸が暴走した証拠
若ぶって危険な店について行く
人類は破滅に向かいまっしぐら
「自 由 吟」 孝井 栞
良い方へ回るマリモがよく育つ 富 山
逆算に余裕持たせた避難場所
鏡拭くキュキュッと笑顔戻るまで
錠剤に痛さを埋めた朝の月
「冤 罪」 毛利 由美
体重でペットボトルをプレスする つくば
Wi‐Fiという蛸足のいらぬもの
憲法を語るAKBもいる
冤罪のような割烹着メーカー
「嘆くことばかり」 新貝 里々子
この空のどこまで平和なのですか 袋 井
チキンナゲットうちのワンコもそっぽ向く
大の男がなに考えているのやら
祈ることばかり多くて見るテレビ
「夏 の 味」 成島 静枝
うす緑芋羊羹は母の味 千 葉
初恋の顔も見ないでかき氷
心外な噂に悩む心太
花形のビキニが挑むスイカ割り
「若 さ」 馬渕 よし子
水着から若さ溢れて目が眩む 浜 松
食欲を褒めて財布が気にかかり
ばたんきゅう所構わずもう寝息
子育ての頃は疲れを忘れてた
「波 紋」 薗田 獏沓
一呼吸おけば波紋も泡になる 川根本町
羽化をして蝶は自由な視野を得る
バスを待つ大島紬大欠伸
長髪をばっさり切った日の波紋
「似て非なるもの」 増田 久子
うなぎなら平気でヘビはおっかない 焼 津
半分は百合でカサブランカの束
食材のニセモノ見抜けないグルメ
万国旗逆さにすればほかの国
「ユーモア川柳」 岡村 廣司
カルテには命尽きる日書いてない 焼 津
地獄にも有るんだそうな指定席
顔見せただけで諭吉はもう居ない
敬老日遺産の話子等で決め
「誤 算」 鈴木 千代見
紙コップのように捨てられた情け 浜 松
曲がる竹いつかは天を向くだろう
鍋の中とても相性よいごぼう
花束の薔薇から挿し木の若い芽
「自 由 吟」 奥宮 恒代
ぴったりとピンクの影がついてくる 森 町
ありがとうだけで治まる元の鞘
ポリープと仲良く生きていくつもり
空回りそんな会話で日が暮れる
「クルーズ」 井口 薫
幸せな船だ笑顔を満載に 袋 井
出港のテープ大きな虹を描き
終日航海さぞ退屈と思いきや
大河なりデッキで仰ぐ天の川
「初 秋」 鹿野 太郎
迷い癖叱ってくれる夏の雲 仙 台
食退いてたまに警報機が響く
テンカウント聞いた一途のメモの束
旅浴衣何か求めて開けるドア
「昼 寝」 真田 義子
生き抜いて神になりたや夜叉の面 仙 台
バラが咲く人生論が終わらない
平凡がなにより今日も昼寝する
ほろ酔いの私を照らす月明かり
「 蚊 」 酒井 可福
なめた蚊の羽音耳打挑戦状 北九州
僕の血で太りフラフラ蚊が泳ぐ
生きる為黙った啜る血も不味い
痒く無く刺す蚊であればハイどうぞ
「みちのく夏祭り」 山本 ますゑ
カッパ着てねぶた見物する熱さ 磐 田
竿燈の大技披露できぬ雨
雷で花笠止める最終日
ビショビショの雨が邪魔した夏祭り
「八 月」 鈴木 恵美子
どっしりと重いトマトに朝の庭 静 岡
八月の雲戦後へと呼び戻す
富士山と朝の笑顔の散歩道
つる草と綱引きをする猛暑です
「横 文 字」 小林 ふく子
横文字が軋んだ脳を刺しに来る 袋 井
横文字の店で味覚がマヒをする
横文字も理解が出来るアイラブユー
横文字の句に戸惑いが隠せない
「自 由 吟」 竹内 みどり
優しさは優しい人のそばが好き さいたま
この国を元気にしてる高齢者
ブレーキが利かなくなった頭です
夏の夜月を見上げてかき氷
「自 由 吟」 内山 敏子
太らせた養殖うなぎよく稼ぎ 浜 松
共白髪空気の様な愛といる
家計簿も赤点ばかり悲鳴あげ
誘われて花と向き合うお弁当
「 情 」 安田 豊子
路地裏に得がたい情知る散歩 浜 松
母さんの人柄が呼ぶ道の駅
独り居のこころ癒やさる友がいる
清貧に生きて弛まぬ情知る
「自 由 吟」 森 だがやん
嫌なこと忘れるはずが夢に出る 島 田
忘れると立たされたっけあの廊下
ゲームなら覚えが早いすいすいと
言い訳はすいすい出るぞ慣れたもの
「自 由 吟」 恩田 たかし
ケアハウス忘れる事のプロ集う 静 岡
忘れるも悪い事ほど思い出す
すいすいと敵の裏抜けゴール決め
天からの授かりものが宝物
「太 陽」 阿部 天気
太陽の熱と勢い渦を巻く 横 浜
お仲間を同心円に引き寄せる
精神の渦を目元に巻いている
太陽と台風の目に成っている
「自 由 吟」 川口 のぶ子
朝ドラに心惹かれる日々がある 藤 枝
毎日をスーパー通いダイエット
ミニ畑のきゅうりトマトも採り収め
白ゴーヤ苦さひかえめ膳にのる
「秋の気配」 岩永 圭二
プカプカと海を占領するクラゲ 大 阪
裸族から風を感じて衣をまとう
落ち葉舞う仕事を増やさないでくれ
ナフタリンの任期満了そろそろか
「雑 詠」 中矢 長仁
真っ盛り夏の土用だうな重だ 松 山
友が来た命の水を飲み交わす
山登り達成感は雲の上
楽隠居なのに何かと子を思う
「 鳥 」 提坂 まさえ
肩甲骨翼があった記憶持つ 静 岡
近頃の日本は避けるコウノトリ
床の間にガラス細工の青い鳥
渡り鳥帰巣本能拒絶され
「 鳥 」 安藤 千鶴子
人不足すぐここへ来てこうのとり 静 岡
国籍が無いから自由渡り鳥
大空に境界は無く白い鳩
おしどりを演じ疲れた離婚劇
「 鳥 」 萩原 まさ子
過疎の村子は帰らぬがツバメ来る 静 岡
不死鳥のようにオレオレ進化する
文鳥が肩に戻った嬉しい日
フォアグラは鳥にあやまってから食べる
「 風 」 山田 浩則
そよ風が女の顔をそっぽ向け 島 田
いたずらを風にされても憎めない
パターゴルフ風の向きを確かめる
風が吹く未だ気になる放射能
「自 由 吟」 菅原 花子
うな丼を食べて元気に乗り切るぞ 盛 岡
考えることより先に行動だ
庭に来る雀の仕草愛らしい
散歩時はペットボトルが離せない
「 夏 」 川口 亘
暑気払い安倍川畔でよく遊び 藤 枝
登校の途中まぎれる山が有り
夢でしか語れぬ夏が恋しかり
せがまれて苦悶して書く夏の記事
「 夏 」 畔柳 晴康
暑さ除け緑カーテン風に揺れ 浜 松
風鈴が少しだけよと涼を呼ぶ
涼しさを求めて孫と川と海
秋隣り待ち兼ねてるよ爺と婆
「自 由 吟」 南 天子
スーパーで名句が浮かびレジで消え 焼 津
反論と弁解ずるな相棒よ
夏負けで頭の中も一寸へん
字余りの会話を避けて暮らしてる
「自 由 吟」 飯塚 澄人
お中元メロンの値段は計らない 静 岡
信心も最後のハナシは金目なり
安倍さんの閣議に怯える中韓が
ガードマン気安く呉れと水道水
「ふりかえる」 川村 洋未
もどれない折り紙でさえ跡が着く 静 岡
リセットをしてもボタンは覚えてる
つまづいた石の大きさ忘れない
すじ書きを微調整して日記風
「研究者って…」 尾崎 好子
年齢は歯は寿命はと見逃さず 藤 枝
鯨では日本断然リードする
声までも語る言葉も地道地味
大まかにしたり○大卒したり
「離 陸」 谷口 さとみ
あなたとの距離を太鼓が知らせてる 伊 豆
また恋をしてしまったわ楽しいわ
落ちつくと私の恋は脱皮する
タンポポに風は来てるとささやかれ
「時 計」 多田 幹江
いい人になり過ぎました鳩時計 静 岡
まだ少し余熱ありそう花時計
婚活のお相手時計ばかり見る
ボケていません変なのは腹時計
「獅 子 座」 池田 茂瑠
眉細く引きます翔べた花だけど 静 岡
合い鍵を渡してからのドア軋む
たてがみを持たない獅子座生まれです
夕虹へ逃げるスピード落します
「自 由 吟」 林 二三子
水育み安らぎくれる自然林 富士宮
人も田も潤す富士の旨い水
無人駅爽やかに風吹き抜ける
盆参り済んで心も軽くなる
「夏の終わりのハーモニー」 伊藤 豊志
猛暑日でスルーをされる誕生日 宮 古
小便の隙に亀井のホームラン
九月号なんだかんだと言って秋
虫の音に日本人で良かったと
「いろいろ」 永田 のぶ男
暑がりと寒がり屋とが同じ部屋 静 岡
可愛いと言って産んだ児なぜ泣かす
記憶にはありませんから夢でしょう
社会悪ドラマにしたら面白い
「 夏 」 滝田 玲子
駆ける夏ねぷたが跳ねるラッセラー 浜 松
大仏がお身ぬぐいする東大寺
絵日記の日付けが合わず四苦八苦
採り忘れ太いキュウリに度肝抜く
「自 由 吟」 薮﨑 千恵子
器から今昔を知る食器棚 焼 津
幸せの尺度は今のままでいい
良い祖母にされて飲み込む愚痴一つ
白旗を出して引っ込む祖母の知恵
「 友 」 中野 三根子
友からのおいしい物が届く夏 静 岡
久しぶり友が白髪でやって来る
天国の友へメールを打ってみる
友からの手紙のくせ字踊ってる
「暑い暑い」 石上 俊枝
あぶら蝉鳴き孫も泣きなお暑い 静 岡
我儘で暑けりゃ暑い冬がいい
ひまわりが太陽握手ひとりじめ
朝夕の野菜にかける虹の水
「真 夏」 森下 居久美
ゴーヤチャンプル君は夏バテ知らずだな 掛 川
もぎたてのトマトにかぶりつく至福
麦わらを透かして夏が攻めてくる
愚痴ばかりこぼして喉がカラカラだ
「五 十 歳」 荒牧 やむ茶
討ち死にも覚悟で開く突破口 小 山
鬼の目に涙を見つけ安堵する
ちょっとだけマヌケに生きて面白い
五十歳鎧兜はもう要らん
「筆記用具」 真理 猫子
擦れてく撥ねと払いで秋がくる 岡 崎
クレヨンの青を探して旅に出る
鉛筆の芯は戯言語らない
ボールペン笑い転げて出るインク
「定 年 後」 増田 信一
毎日が日曜日でも腹は減る 焼 津
定年後暇は余るが金が無い
買い物も旅もしないが金は出る
年金は動かなくても消えていく
「秋 風」 佐野 由利子
服を着た近所の犬がじゃれて来る 静 岡
母が逝き田舎の味が届かない
同級会わたしの過去が暴かれる
秋風が音楽隊を連れて来る
「風 船」 松田 夕介
自由だと叫び風船とんでいく 静 岡
吐き出して風船ヒトの顔になる
もういいかいまあだだよっと化粧中
留守ですか愛サヨナラがノックする
「ゆ れ る」 勝又 恭子
平均のあたりで揺れている野心 三 島
青空に届くブランコこいでいる
揺れている私の中の黒い水
踏み出した日から私は揺れている
「ふるさと」 渥美 さと子
CMで見るふるさとは他人顔 静 岡
稜線も変えてふるさと背伸びする
望郷の思い日毎に着脹れる
墓参り素地の自分を取り戻す
「自 由 吟」 長澤 アキラ
この夏も生き抜く覚悟ビール飲む 静 岡
上を見て左右よく見て穴に落ち
味付けは覇権に頼る中華鍋
本質は何であろうと金が要る
「リセット」 望月 弘
私の影でパンクをするカメラ 静 岡
ハイヒール脱いでお肌の曲り角
ごちゃごちゃを脱いでリセットする女
舞い上がる妻で羽衣着せられぬ
「僕と雪の女王」 加藤 鰹
天ぷらとスイカと妻と母親と 静 岡
ゴジラってメスなんだって 成程ね
エアコンのリモコン妻に支配され
口応えすると兵糧攻めに遇う