201411_katsuo静岡 静岡たかね川柳会 加藤 鰹 選

 

入 選

魚好き身包み剝す箸捌き         久保田禎一

あの頃は秋刀魚半分嬉しくて       鮫田 律子

腕白の魚眼レンズが夢を追う       瀧   進

ふる里を想い興して跳ねる魚       小林ふく子

ボスの輪に溶けた魚は泳げない      藤 あかね

隠れ蓑つけてメダカの吐く豪語      荒 雄二郎

恥の実を吊すと雑魚が群れてくる     瀧  正治

竜宮のクーデターかも深海魚       成島 静枝

金目鯛美味と美色が仇となり       杉山 光代

釣り損ねた魚話はでかくなる       林 二三子

少子化のメダカが過疎へ移住する     石田 竹水

沈艦の遺骨弔う深海魚          菅沼 道雄

凍魚の目誤解が解けて青く澄む      杉井 紅緒

一時代雑魚なり泳ぎ切った自負      十二 佳句

リュウグウノツカイ来るわ来るわ来るわ  吉田 吹喜

空と海泳ぐ魚の目はきれい        丸山 健三

深海魚浮世見たくて水面へ        田原せいけん

鮎跳ねる少女の赤がゆれるたび      句 ノ 一

養殖の鮪寿司屋で箔を付け        薮﨑千恵子

汚染水流せば魚神化けて出る       永田のぶ男

雑魚なりにポリシー持ってすーいすい   山口 光久

夢遥か僕は回遊魚で居たい        森下居久美

熱帯魚喜怒哀楽は捨てた顔        多良間典男

千匹が尾頭を付けシラス丼        田中 堂太

回遊魚に連いてゆけないサブマリン    間瀬田紋章

高望み人魚に思い寄せる雑魚       米田 恭昌

金魚鉢午前様にも愛想なし        白神 晋市

立ち位置を金魚の糞に真似ている     渥美さと子

魚眼持つ妻はへそくり捜しあて      熱田熊四郎

改革へ雑魚の意見へ陽が当たり      本山千代子

雑魚だけど意地もあるからまだ悩み    五十川千賀子

愛妻は雑魚の中から釣った鯛       斎間 六夫

故郷が恋しと鮎のUターン        村田 大志

ちぎれ雲木彫りの鮭が待つ領土      丸山 健三

若鮎の跳ねて出会いの夏の恋       山下 和一

釣れてくれ魚おかずに待つキャンプ    宮浦勝登志

初デート金目の煮付け作戦に       飯塚 澄人

のんびりと自由に泳ぐ海に空       岩永 圭二

泥の海虹を眺めるムツゴロウ       三好 光明

ライバルはジムキャリー似の半魚人    青砥 英規

回遊魚行きつく先は妻の胸        奥山  京

めいめいの夢を集めて雑魚群れる     豊福地佳平

婚活へ雑魚もいいなあ子沢山       藤島たかこ

売り声が夏を担いでゆく金魚       竹村紀の治

貴族めく姿で沙魚が魚籠の中       小林 良恵

鯛さばく鯛より赤い紅をひく       藤  咲子

いつからか鰯すっかり高級魚       平田 耕一

骨の無い魚から届く直訴状        森吉留里惠

七輪のサンマ恋しい昭和の日       河住ふさ子

いけずした鮫住所録から外す       佐野由利子

故郷で取れた魚に合いに行く       櫻﨑 篤子

聞く度に魚拓の尾ヒレ増えている     佐々木和江

悠々と目刺しを焼いている刺客      松尾 冬彦

クロマグロ大学卒で勝負する       柴橋 菜摘

いいですか子持ちシシャモになりますよ  西澤 知子

解ったわ貴方はオコゼだったのね     吉道航太郎

二次会で終らずまたも回遊魚       八木 益代

雑魚として自由に生きてよく笑う     真田 義子

疑似餌でも魚は釣れるマニフェスト    柴垣  一

餌食わぬ魚ただ今募集中         荒牧やむ茶

多数決イワシの群れを抜け出せず     松田 夕介

デパ地下をメインルートに回遊魚     井口  薫

生き様を語る鱗を剥ぐように       牧野 芳光

カワハギの口で遅刻を待つ彼女      石川  忠

百選の水ありメダカ掌に掬う       樋口 一杯

魚なら僕はチリメンジャコである     新家 完司

コンビニの鯖の味噌煮が美味すぎる    鈴木 順子

なあ鰯人もそんなに楽じゃない      村井 規子

盛り場をさ迷っているマーメイド     伊藤三十六

出世魚中途半端な僕がいる        鈴木さくら

フィッシュアイ男女のもつれかと思う   伊藤 豊志

言い勝って魚眼レンズの欠けた夜     菊池  京

うつし世の隅に背鰭を立てている     たむらあきこ

土壇場でまさか人魚になるなんて     栃尾 奏子

生き方はこれでいいのだ小判鮫      森 ふみか

蒲焼きの衣装さんまにばかり着せ     勝又 恭子

泣き虫の魚は水の中が好き        岡本  恵

釣った魚なのにせっせと餌運ぶ      中矢 長仁

尖閣のサカナ日本語中国語        深澤  弘

佳 作

万能細胞アジの開きが咳をする      山田 迷泡

そうだけどしあわせなのよ金魚鉢     ひとり 静

脱皮して少年鮎の香を放つ        木本 朱夏

ワンピース脱いで魚になるところ     笹田かなえ

抱いていてあげよう眠れない魚      平井美智子

キミにだけ見せる鱗があるのです     丸山あずさ

鯖缶の手軽さほどの愛だった       河内沙智子

消費税トロール船が追う鰯        濱山 哲也

キビナゴを噛み噛みハローワークまで   水品 団石

河豚提灯言いたいことがありそうな    多田 幹江

 秀 逸

純愛に見せ掛けている小判鮫       岡  遊希

おでこにはバンドエイドが似合うサメ   真理 猫子

家庭内別居を見てる熱帯魚        相田みちる

 特 選

幸せもうなぎもうまく摑めない      菊地 政勝

 

▽選後感・全国から本当にたくさんの魚が集まりました。

 メダカからシーラカンスまで色んな種類の魚がいるん

だなあと。その中から僕の呼びかけに応えてくれた魚

たちを選ばせて頂きました。

 

 

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