霜石コンフィデンシャル87   高瀬 霜石

 

「不思議なことがアリス」

 

三月三日に、FMアップルウェーブ(以下、AW)

開局十周年の記念パーティーが開かれた。

その席上、僕の「やじうま川柳」(月から金まで毎日放送)が、なんと、放送番組審議会が選んだ《優良番組》ということで、表彰されたのだった。

二千六百回の内、母の葬儀で二週間休んだ。いや、あと一日。風邪を引き、声が出なくなって、パートナー・倉田和恵が一人で放送したことがあったっけ。

十年間で休んだのは、たったこれだけだから、自分でもたいしたものだと思うのだが、彼女は一度も休んだことがない、パーフェクト出勤。前号で、彼女のことを魔女と呼んだが、《鉄の魔女》と訂正したい。

一度アブナイ時があった。彼女が、仕事で十日ほどフランスへ行った時だ。飛ぶ直前に録音し、帰ってすぐ本番で、どうにか切り抜けた。時事川柳は、鮮度が命。アメやすい(腐りやすい)ので気を遣うのだ。

賞を貰っておいて、こんなことを言うのもナンだが、審議会の人たちは、本当に番組を聞いているのだろうか。放送禁止用語を連発したりする番組だから《不良》なら納得だが、《優良》とは不思議な話である。

不思議な話コ、もう一つ。

紀伊国屋書店・弘前店の売り上げベスト10に、僕の《はんかくさい句集》が入ったのだ。

勿論、瞬間風速なのだが、とにかくビックリした。

1週目は、6位。1位は大川隆法であった。2週目に入ったら、なんと3位になり、大川隆法を抜いたのだが、池田大作に抜かれた。これは仕方はない。相手が悪い、じゃなく、相手にとって不足はな~い。負けて悔いなしである。ハッハッハ~。

「タガセ。お前の本なんか売れるわけネーべ。だって、買ってくれそうな人に、みーんなあげてしまうんだもの」と友達が言った。

確かに、このテのものは、オヤグ(親戚)、ケヤグ(友人)、仲間(柳人)に、まずは配る。

前述のAWの「やじうま川柳」の中で、「欲しい人にオラの句集をプレゼントしますよ」と言ったのだが、なんと、一人も応募者がなかったのだ。これは正直、ショックだった。でも、でも、句集は売れているのだ。

一体、どんな人が買っているのか?誰が買ってくれているのか?不思議で、しょうがない。