平成二十一年 四月十七日
た か ね 定 例 句 会 於 アイセル21 |
参加者(順不同)薮崎千恵子、稲森ユタカ、谷口さとみ、曽根田しげる、佐野由利子、高瀬輝男、尾崎好子、池田茂瑠、川村洋未、中田尚、永田のぶ男、杉山光代、勝又恭子、林二三子、中野三根子、望月弘、畔柳晴康、瀧進、鈴木まつ子、小林ふく子、大塚徳子、薗田獏沓、岡村廣司、中矢長仁、成島静枝、内山敏子、奥宮恒代、今井卓まる、加藤鰹、石田竹水、戸田美佐緒、井口薫、川島五貫、濱山哲也、増田信一、安田豊子、滝田玲子、市川重雄、鈴木千代見、川口亘、鹿野太郎、小野修一、酒井可福、栃尾奏子、毛利由美、芹沢穂々美、川口のぶ子、山本野次馬、中川司、萩原まさ子、提坂まさえ、石上俊枝、川村美智代、荒牧恵三、那須野正明
▽たかね川柳会ピッチピチの新人、稲森ユタカ君(二十八才)の選者デビュー。選句内容も披講も堂々たるものでしたよ。また曽根田しげるさんの紹介で杉山光代さんが句会初参加。いきなり五客入選。パチパチパチ。
宿 題 「 豊 」 稲森 ユタカ 選
豊かさの中で溺れている平和 千恵子
豊食に慣れた子供の太り過ぎ 二三子
豊満な胸が邪魔だと妬ましい 由利子
ぐっすりと眠れた朝に有る豊か 好 子
バーボンと君と豊かな刻の中 鰹
威勢よく父が帰ってくる豊漁 千恵子
万札が溢れるような財布持ち 千恵子
金と髪 豊富にあったのは昔 鰹
髪の毛は豊か無視するコマーシャル 輝 男
豊かではないが寄付には見栄を張る 茂 瑠
豊漁の港暫く生臭い 茂 瑠
両親の豊かな愛で子は育つ さとみ
豊かさが見えないほどの平和ボケ さとみ
僕んちは豊かな家系細胞が 洋 未
ゆたかって言うと笑顔があふれるね さとみ
五 客
友達が財産ですと言う豊か 好 子
効き目ある豊かな胸を罠にする 茂 瑠
就活のために豊胸手術する 鰹
豊かでも次の世代が払う借り のぶ男
花育て心豊かに日を重ね 光 代
人 位
豊胸へ時に実父の目が燃える 輝 男
地 位
豊作と約束をした春の雨 弘
天 位
いつ時も豊かであれと命名を 由利子
宿 題 「ルンルン」 佐野由利子 選
ルンルンねとんでもないわ付き添いよ重 雄
花見酒下戸も浮かれて二次会へ しげる
そんな年に見えませんよに浮かれてる二三子
娘にも春が来たのか機嫌いい 由 美
嬉しいな夫も子等も出かけてる 二三子
お化粧ののりへ跳ねてるイヤリング 弘
スキップの百点の笑み軽い足 可 福
ノリノリでスキップしたら足つった ユタカ
春色の靴でついついまわり道 さとみ
ルンルンが急に途切れる五月病 哲 也
またの日を約束出来た別れ際 五 貫
春色のスカートゆれて駆けて来る 洋 未
ルンルンと家路を急ぐエコバッグ 徳 子
栄転の内示ルンルン弾む靴 敏 子
カルテから解き放たれて見るメニュー 薫
孫の手を握りルンルン花見する 晴 康
幸せを独り占めする初デート 野次馬
春風に乗ってルンルン赤い靴 玲 子
うれしいな旅行の朝の日本晴れ 三根子
新学期新人美人前の席 尚
彼来る日ルンルンルンでパンを焼く 洋 未
あこがれたサイズの服に収まった 恭 子
初デート彼の手作りお弁当 恵 三
デートの日鏡の中も弾んでる 敏 子
就職も決まり新車も手に入れる 千恵子
スランプを抜けて次々句が浮かぶ 鰹
別腹に入れるケーキにゆるむ頬 竹 水
ひとり旅心浮き浮きネオン街 進
スキップを踏むピカピカのランドセル千恵子
菜の花の海で帽子がよく笑う 美佐緒
スカートの裾をなびかせ春の風 居久美
入試合格今日の太陽一人占め 輝 男
五 客
君に会う朝は車を二度洗う 卓まる
合鍵をそっと彼女が握らせる 弘
パパになり帰宅の歩幅広くなる のぶ男
春色のスキップで行く待ち合わせ 奏 子
けんけんぱ熟女は春へジャンプする まつ子
人 位
朝が来た 脳梗塞はまだ来ない 尚
地 位
心がけ良いから旅も日本晴れ 好 子
天 位
春ラララ二つ並んだマグカップ 鰹
宿 題 「カチカチ」 永田のぶ男 選
笑顔まで引きつっている初舞台 恭 子
面接はどうも苦手で口も下手 亘
鋸で引く冷凍マグロ血も出ない 竹 水
義理チョコでカチカチ頭悩まされ しげる
リストラの近づくような胸さわぎ 修 市
先輩を前に固まる新部員 二三子
目くばせは四次元的な音で鳴る 博 司
脳トレで脳の硬さを思い知る 由 美
羊千匹秒針だけが先を行く 穂々美
迷い箸愛がだんだん干乾びる 鰹
地球儀の裏で目覚める独裁者 美佐緒
ツーアウト満塁なんだ僕の番 穂々美
秒針が伝えるアナログの鼓動 野次馬
緊張に打ちのめされた鐘一つ 豊 子
レトルトの餅と会話のない夫婦 鰹
お説教古時計までヘの字口 奏 子
カチカチの心溶かそうチンをして 千恵子
どうしよう隣が社長 食事会 三根子
カチカチに押し込められた予算案 のぶ子
石頭愚図な頭と喧嘩四つ 進
悲しいなミイラと化したメロンパン 恵 三
カチカチの父に昔のエピソード しげる
真夜中の時計鼓動と同化する 恭 子
オイ時計腹立つことはないのかい 尚
初キッス勢い過ぎて歯が当たり 廣 司
門限は十時タバコは認めない 居久美
終末の時刻んでる核兵器 進
失敗も許そう我が社のニューフェイス居久美
渋滞にカチカチ上がるタクシー代 獏 沓
カチカチと歯が鳴っている寒稽古 長 仁
カチカチの頭錆止め差して置き 好 子
拍子木の音懐かしい紙芝居 恵 三
五 客
孫でなきゃ説得出来ぬ石頭 二三子
連休の三日目悪い噛み合わせ 太 郎
花嫁の父の歩幅がぎこちない 弘
カチカチの頭で答える平和論 可 福
家を出る妻のキッスは火打ち石 哲 也
人 位
時効へのカウントダウンああ無常 静 枝
地 位
童貞が緊張してるハネムーン 由利子
天 位
朝帰り春雷落とす山の神 重 雄
軸 吟
カチカチと核の秘密が時刻む のぶ男
宿 題 「まだまだ」 望月 弘 選
まだ燃える残り火色香忍ばせる まつ子
いま負けを認めたくない片思い 卓まる
苛めではない新人へ飛ぶノック 静 枝
老体にムチ打つ道は譲れない 恭 子
半世紀見飽きた顔と至近距離 のぶ男
妻メイクまだまだ終る気配なし 博 司
恋の思慕重ね濃くなる女いろ 豊 子
あと一歩この一歩の差プロとアマ 信 一
そよ風を信じてあなた待ちわびる ふく子
地図帳にまだ見ぬ国を追いかける 恒 代
くたばってたまるかやっと傘寿だぞ 廣 司
ポンコツと旅がしたくてとる車検 哲 也
夫婦別姓 女の進化止まらない 由利子
ジャンプしてみよう何かが見えるかも 鰹
まだまだだ風になるのはもっと先 長 仁
まだ行ける渋茶をグッと飲み干して 鰹
誤作動はあるが胃腸は太鼓判 恒 代
あこがれの彼には今日も近づけず 三根子
傷口へ妻の助言が終わらない 野次馬
長老が四股を踏み出す永田町 五 貫
ひこばえに遺志を託して大銀杏 薫
沖縄の移転計画宙に浮く 修 市
かくれんぼ小さな足でよく走る 尚
まだ二十夢を掴みにいくファイト 千恵子
ネクタイをしても口調は十五歳 由 美
自信作師匠は首を横に振る 恭 子
戦争と平和論争まだ続く のぶ男
もう少しバカになれよと諭される 輝 男
まだ続く二人羽織のロードショー 太 郎
五 客
正論をじょじょにはみ出す青りんご 野次馬
ラテンまだ踊れぬ腰が熟れなくて 茂 瑠
赤ちゃんとママも一緒に泣いている 長 仁
深海魚春を想って春を待つ 美佐緒
春遠しダウンコートが仕舞えない 居久美
人 位
ペアルックまだまだ若さ匂わせて まつ子
地 位
意地があるから白旗はまだ上げぬ 千恵子
天 位
九十でピアノの音がはねている 三根子
軸 吟
豊沃な畑があれば種子を播く 弘
宿 題 「自由吟」 互 選
⑦あと一歩届かぬものが欲しくなる 恭 子
⑦どうしてもマナーモードにならぬ口 弘
⑥手のひらでだんだん丸くなる夫 奏 子
⑥スッピンで駅まで走る春の朝 修 市
⑥削除キー夢も余韻もない別れ 五 貫
⑤花の夢叶えてやろう種を蒔く 竹 水
④笑ってから理由を探すひとり者 さとみ
④計算ができれば君といないだろ 洋 未
④バレバレの嘘と分かっていても母 鰹
③何色を選んでみても冬景色 しげる
③割り勘で飲んで介抱してる下戸 長 仁
③子供部屋に住んでいるのはもう大人由 美
③直球の刺はやんわり抜いておく 恒 代
③損得に触れずジャンケンポンをする太 郎
②ケータイと車を置いて一人旅 信 一
②晴れのち雨人生ってこんなもの 輝 男
②かわいいと思うわがままきっと恋 千代見
②さくらさくら私の胸に火をつける 美佐緒
②恋をして桜の花も雪化粧 恵 三
②年金も背負っておくれランドセル 可 福
②不器用が笑いの渦を作り出す ふく子
①スカートをめくる風とは友だちだ 哲 也
①宝くじ当たったと言う四月馬鹿 徳 子
①元気かと問われて少し口ごもり 獏 沓
①キャベツの芯までを食べなきゃ値が上がり 好 子
①歳問われ貴方決めてと返事する 晴 康
①カリスマのあぐら自由な絵が描けるまつ子
①桜散り少しさみしいバスの窓 三根子
①金を貯め使いきれない夢の中 のぶ男