平成二十一年 十七

於 アイセル21

 

 

 

参加者(順不同)薮崎千恵子、稲森ユタカ谷口さとみ、曽根田しげる、佐野由利子、高瀬輝男、尾崎好子、池田茂瑠、川村洋未中田尚、永田のぶ男、杉山光代、勝又恭子林二三子、中野三根子、望月弘、畔柳晴康瀧進、鈴木まつ子、小林ふく子、大塚徳子薗田獏沓、岡村廣司、中矢長仁、成島静枝内山敏子、奥宮恒代、今井卓まる、加藤鰹石田竹水、戸田美佐緒、井口薫、川島五貫濱山哲也、増田信一、安田豊子、滝田玲子市川重雄、鈴木千代見、川口亘、鹿野太郎小野修一、酒井可福、栃尾奏子、毛利由美芹沢穂々美、川口のぶ子、山本野次馬、中川司、萩原まさ子、提坂まさえ、石上俊枝川村美智代、荒牧恵三、那須野正明

▽たかね川柳会ピッチピチの新人、稲森ユタカ君(二十八才)の選者デビュー。選句内容も披講も堂々たるものでしたよ。また曽根田しげるさんの紹介で杉山光代さんが句会初参加。いきなり五客入選。パチパチパチ。

 

宿 題 「 豊 」 稲森 ユタカ 選

豊かさの中で溺れている平和    千恵子

豊食に慣れた子供の太り過ぎ    二三子

豊満な胸が邪魔だと妬ましい    由利子

ぐっすりと眠れた朝に有る豊か   好 子

バーボンと君と豊かな刻の中     鰹

威勢よく父が帰ってくる豊漁    千恵子

万札が溢れるような財布持ち    千恵子

金と髪 豊富にあったのは昔     鰹

髪の毛は豊か無視するコマーシャル 輝 男

豊かではないが寄付には見栄を張る 茂 瑠

豊漁の港暫く生臭い        茂 瑠

両親の豊かな愛で子は育つ     さとみ

豊かさが見えないほどの平和ボケ  さとみ

僕んちは豊かな家系細胞が     洋 未

ゆたかって言うと笑顔があふれるね さとみ

五 客

友達が財産ですと言う豊か     好 子

効き目ある豊かな胸を罠にする   茂 瑠

就活のために豊胸手術する      鰹

豊かでも次の世代が払う借り    のぶ男

花育て心豊かに日を重ね      光 代

人 位

豊胸へ時に実父の目が燃える    輝 男

地 位

豊作と約束をした春の雨       弘

天 位

いつ時も豊かであれと命名を    由利子

 

宿 題 「ルンルン」 佐野由利子 選

ルンルンねとんでもないわ付き添いよ重 雄

花見酒下戸も浮かれて二次会へ   しげる

そんな年に見えませんよに浮かれてる二三子

娘にも春が来たのか機嫌いい    由 美

嬉しいな夫も子等も出かけてる   二三子

お化粧ののりへ跳ねてるイヤリング  弘

スキップの百点の笑み軽い足    可 福

ノリノリでスキップしたら足つった ユタカ

春色の靴でついついまわり道    さとみ

ルンルンが急に途切れる五月病   哲 也

またの日を約束出来た別れ際    五 貫

春色のスカートゆれて駆けて来る  洋 未

ルンルンと家路を急ぐエコバッグ  徳 子

栄転の内示ルンルン弾む靴     敏 子

カルテから解き放たれて見るメニュー 薫

孫の手を握りルンルン花見する   晴 康

幸せを独り占めする初デート    野次馬

春風に乗ってルンルン赤い靴    玲 子

うれしいな旅行の朝の日本晴れ   三根子

新学期新人美人前の席        尚

彼来る日ルンルンルンでパンを焼く 洋 未

あこがれたサイズの服に収まった  恭 子

初デート彼の手作りお弁当     恵 三

デートの日鏡の中も弾んでる    敏 子

就職も決まり新車も手に入れる   千恵子

スランプを抜けて次々句が浮かぶ   鰹

別腹に入れるケーキにゆるむ頬   竹 水

ひとり旅心浮き浮きネオン街     進

スキップを踏むピカピカのランドセル千恵子

菜の花の海で帽子がよく笑う    美佐緒

スカートの裾をなびかせ春の風   居久美

入試合格今日の太陽一人占め    輝 男

五 客

君に会う朝は車を二度洗う     卓まる

合鍵をそっと彼女が握らせる     弘

パパになり帰宅の歩幅広くなる   のぶ男

春色のスキップで行く待ち合わせ  奏 子

けんけんぱ熟女は春へジャンプする まつ子

人 位

朝が来た 脳梗塞はまだ来ない    尚

地 位

心がけ良いから旅も日本晴れ    好 子

天 位

春ラララ二つ並んだマグカップ    鰹

 


宿 題 「カチカチ」 永田のぶ男 選

笑顔まで引きつっている初舞台   恭 子

面接はどうも苦手で口も下手     亘

鋸で引く冷凍マグロ血も出ない   竹 水

義理チョコでカチカチ頭悩まされ  しげる

リストラの近づくような胸さわぎ  修 市

先輩を前に固まる新部員      二三子

目くばせは四次元的な音で鳴る   博 司

脳トレで脳の硬さを思い知る    由 美

羊千匹秒針だけが先を行く     穂々美

迷い箸愛がだんだん干乾びる     鰹

地球儀の裏で目覚める独裁者    美佐緒

ツーアウト満塁なんだ僕の番    穂々美

秒針が伝えるアナログの鼓動    野次馬

緊張に打ちのめされた鐘一つ    豊 子

レトルトの餅と会話のない夫婦    鰹

お説教古時計までヘの字口     奏 子

カチカチの心溶かそうチンをして  千恵子

どうしよう隣が社長 食事会         三根子

カチカチに押し込められた予算案  のぶ子

石頭愚図な頭と喧嘩四つ       進

悲しいなミイラと化したメロンパン 恵 三

カチカチの父に昔のエピソード   しげる

真夜中の時計鼓動と同化する    恭 子

オイ時計腹立つことはないのかい   尚

初キッス勢い過ぎて歯が当たり   廣 司

門限は十時タバコは認めない    居久美

終末の時刻んでる核兵器       進

失敗も許そう我が社のニューフェイス居久美

渋滞にカチカチ上がるタクシー代  獏 沓

カチカチと歯が鳴っている寒稽古  長 仁

カチカチの頭錆止め差して置き   好 子

拍子木の音懐かしい紙芝居     恵 三

五 客

孫でなきゃ説得出来ぬ石頭     二三子

連休の三日目悪い噛み合わせ    太 郎

花嫁の父の歩幅がぎこちない     弘

カチカチの頭で答える平和論    可 福

家を出る妻のキッスは火打ち石   哲 也

人 位

時効へのカウントダウンああ無常  静 枝

地 位

童貞が緊張してるハネムーン    由利子

天 位

朝帰り春雷落とす山の神      重 雄

軸 吟

カチカチと核の秘密が時刻む    のぶ男

 


宿 題 「まだまだ」 望月  弘 選

まだ燃える残り火色香忍ばせる   まつ子

いま負けを認めたくない片思い   卓まる

苛めではない新人へ飛ぶノック   静 枝

老体にムチ打つ道は譲れない    恭 子

半世紀見飽きた顔と至近距離    のぶ男

妻メイクまだまだ終る気配なし   博 司

恋の思慕重ね濃くなる女いろ    豊 子

あと一歩この一歩の差プロとアマ  信 一

そよ風を信じてあなた待ちわびる  ふく子

地図帳にまだ見ぬ国を追いかける  恒 代

くたばってたまるかやっと傘寿だぞ 廣 司

ポンコツと旅がしたくてとる車検  哲 也

夫婦別姓 女の進化止まらない   由利子

ジャンプしてみよう何かが見えるかも 鰹

まだまだだ風になるのはもっと先  長 仁

まだ行ける渋茶をグッと飲み干して  鰹

誤作動はあるが胃腸は太鼓判    恒 代

あこがれの彼には今日も近づけず  三根子

傷口へ妻の助言が終わらない    野次馬

長老が四股を踏み出す永田町    五 貫

ひこばえに遺志を託して大銀杏    薫

沖縄の移転計画宙に浮く      修 市

かくれんぼ小さな足でよく走る    尚

まだ二十夢を掴みにいくファイト  千恵子

ネクタイをしても口調は十五歳   由 美

自信作師匠は首を横に振る     恭 子

戦争と平和論争まだ続く      のぶ男

もう少しバカになれよと諭される  輝 男

まだ続く二人羽織のロードショー  太 郎

五 客

正論をじょじょにはみ出す青りんご 野次馬

ラテンまだ踊れぬ腰が熟れなくて  茂 瑠

赤ちゃんとママも一緒に泣いている 長 仁

深海魚春を想って春を待つ     美佐緒

春遠しダウンコートが仕舞えない  居久美

人 位

ペアルックまだまだ若さ匂わせて  まつ子

地 位

意地があるから白旗はまだ上げぬ  千恵子

天 位

九十でピアノの音がはねている   三根子

軸 吟

豊沃な畑があれば種子を播く     弘

宿 題 「自由吟」 互 選

⑦あと一歩届かぬものが欲しくなる 恭 子

⑦どうしてもマナーモードにならぬ口 弘

⑥手のひらでだんだん丸くなる夫  奏 子

⑥スッピンで駅まで走る春の朝   修 市

⑥削除キー夢も余韻もない別れ   五 貫

⑤花の夢叶えてやろう種を蒔く   竹 水

 

④笑ってから理由を探すひとり者  さとみ

④計算ができれば君といないだろ  洋 未

④バレバレの嘘と分かっていても母  鰹

③何色を選んでみても冬景色    しげる

③割り勘で飲んで介抱してる下戸  長 仁

③子供部屋に住んでいるのはもう大人由 美

③直球の刺はやんわり抜いておく  恒 代

③損得に触れずジャンケンポンをする太 郎

②ケータイと車を置いて一人旅   信 一

②晴れのち雨人生ってこんなもの  輝 男

②かわいいと思うわがままきっと恋 千代見

②さくらさくら私の胸に火をつける 美佐緒

②恋をして桜の花も雪化粧     恵 三

②年金も背負っておくれランドセル 可 福

②不器用が笑いの渦を作り出す   ふく子

①スカートをめくる風とは友だちだ 哲 也

①宝くじ当たったと言う四月馬鹿  徳 子

①元気かと問われて少し口ごもり  獏 沓

①キャベツの芯までを食べなきゃ値が上がり 好 子

①歳問われ貴方決めてと返事する  晴 康

①カリスマのあぐら自由な絵が描けるまつ子

①桜散り少しさみしいバスの窓   三根子

①金を貯め使いきれない夢の中   のぶ男