「ひまわり」              濱山  哲也

母さんが小さな庭に夏を蒔く           つがる

絵日記のひまわりゴッホより上手

ヒマワリも恋もやがてはうな垂れる

向日葵がおやつの種をくれて秋

 

 

 

「歯 医 者」               中矢  長仁

飴玉は歯が溶けるから止めなさい         松 山

総入れ歯昔贅沢したらしい

痛ければ手を上げてねと言う歯医者

歯磨きに目覚めて歯医者好きになる

 

 

 

「コーヒー」                山本 野次馬

カフェラテの泡にまんまと騙される          函 南

休日のアイス・オーレにホッとする

ブラックコーヒー生きざまなんか入れないで

じゅもんまで解いてしまったアメリカン

 

「雑  詠」                    寺田  柳京

お説教聞くのに何で金が要る                静 岡

極楽はいいのか誰も帰らない

百発百中チュウチュウタコカイナ

長生きがしたくてまずい物も食う

 

 

「  恋  」                     芹沢 穂々美

水枕あなたに恋をしています                沼 津

君が住む街の空気を吸いに行く

逢う夜の傘が邪魔してつき離す

小抽出し微笑みの意味教えない

 

 

「選  挙」                村越  精也

誉められた駄犬戸惑う事務所前            静 岡

俺悩む 個人は好きだ 党嫌い

いつもです知らぬ知人が増えまする

不都合を棚に上げすぎ今に落つ

 

 

「雑  詠」              馬渕 よし子

掃除機は私の不満吸い込まず          浜 松

蜂蜜の甘さ忘れてまだ夫婦

顔は母頑固は父の血に染まり

旅が好き独り旅なら更に良い

 

 

「現在進行形」             新貝 里々子

その声にしびれ尻尾を振っている         袋 井

チチンプイあなたに魔法まだ利かぬ

萎えてきた脳も手足も色艶も

玉手箱開けた記憶はないのだが

 

 

「高齢者的怒り」            増田  久子

黒い鯉だけ泳いでる禁漁区           焼 津

たまごかけごはん専用醤油だと

難解なものパソコンの説明書

デジタルにいつでもできるからしない

 

 

「雑  詠」             酒井  可福

布団干し明日は大きな夢を見る          北九州

意味の無い喧嘩になった自己主張

露地物を買って腐らす不経済

新機種は僕に指示する機能持ち

 

 

「無欲・野心大会余ん句」        西垣  博司

飄飄と生きて名刺を作らない               静 岡

末席で風に任せる葦になる

野心から書き出してゆく立志伝

窓際へずれる野心のアミダくじ

 

 

「倦 怠 期」               畔柳  晴康

倦怠期雨戸を締める音高く            浜 松

根くらべどちらが先に口を利く

背を向けて互いの趣味に時過ごす

友の愚痴夫までぐちる長電話

 

 

「砂 の 城」              小林 ふく子

約束を必ず守る茄子の花             袋 井

花火消え前よりもっと深い闇

潮風と遊んで海を持ち帰る

万札が崩れるような砂の城

 

 

「鉛  筆」                 石井   昇

損得を云わず鉛筆身を削り                 蓮 田

迂回路を行って鬼門に突き当たり

未練など東へ捨ててホイサッサ

信念の花が開いた日本晴れ

 

 

「らくがき」              瀧    進

執着を捨てて己の器知る                  島 田

偉そうな言葉に気付くカタカナ語

ふれあいに愛と理解がコラボする

再会も神の計らい片思い

 

 

 

「対  極」             毛利  由美

ブブセラはないけど日本ユニフォーム         つくば

PKはじゃんけんぽんと変わらない

ベスト4ビッグマウスじゃなかったね

それにひきかえてなんたる相撲界

 

 

「止まり木で」             真田  義子

止まり木で安らぎがあり恋があり         仙 台

止まり木で気軽に歌う演歌です

止まり木でネクタイ外す心地良さ

止まり木で嘘もちょっぴり混ぜている

 

 

「自 由 吟」                  鹿野  太郎

カモメール津軽海峡ひとっ飛び            仙 台

ヒトゲノム再生力を見せつける

楽天が勝った寝酒と洒落込もう

いい風のようだ焼却炉の煙

 

 

「タイの旅」              成島  静枝

デモ騒ぎ傷跡も見るタイの旅               千 葉

涅槃仏願いは足の裏で聴き

微動だにせぬ衛兵とツーショット

バンコクで迷子土産になる話

 

 

「自 由 吟」                      戸田 美沙緒

トーストにへつらっている苺ジャム            さいたま

蜘蛛の糸握れば騒がしい奈落

水道の水にも媚びる水中花

捨てるもの棄てる奪ってくれますか

 

 

「テノヒラガエシ」           横田 輪加造

期待してないから一勝も奇跡               東 京

岡田ジャパンをテノヒラガエシして讃え

ニッポンって勝てば官軍だったのか

予選突破そしてJリーグが痩せる

 

 

「だれかを想う時」          栃尾  奏子

きっとねと別れて信じてるきっと               大  阪

また韻を踏んで雨雨梅雨ごもり

君とならきっと素敵な未来形

春夏秋冬あなたの為に揺らす羽根

 

 

「好きな人」              松橋  帆波

花の名を覚えて 好きな人がいる         東 京

この程度では酔わないが酔ったふり

プロポーズされそうな日のワイン抜く

カフェオレへ垂らすバニラがあなたかも

 

 

「夏 の 恋」              森 だがやん

打ち上げたこの恋花火咲くだろか              島  田

夏の君心の衣そっと脱ぎ

夕立に誘う休憩散った恋

秋の声聞くまで待たずまた独り

 

 

「梅雨最中」              提坂  まさえ

不揃いのいい子たちですサクランボ             静  岡

兄の掘る無骨じゃがいも兄に似て

嫁できて父の日少しランク上げ

B面をよく聞いている梅雨最中

 

 

「自 由 吟」                       川村  美智代

深緑の下でゆっくり殻を脱ぐ               静 岡

損得に迷う足もと見破られ

老いの足若い会話につんのめる

こっそりと種をこぼした鳳仙花

 

 

「夏休み!」                      藤田   武人

ペケ印つけて痒みを散らす夏                   大  阪

きっかけがひょんなことから波に乗る

初恋の君を見つめるクラス会

きっと来るいつもの場所で待っている

 

 

「夏が来た」                    石上   俊枝

朝採りのキューリのトゲが大いばり             静  岡

許される新婚さんの焦げた鍋

紫陽花の顔色変わる今朝の雨

日本だな流しソーメン夏が来た

 

 

「夏 模 様」                   荒牧  やむ茶

ひまわりが見てた君との初キッス               小  山

汗キラリ空に真っ白旗を揚げ

風鈴が終止符つげる夏の恋

水槽の赤と黒とが交差する

 

 

「新  鮮」                   萩原  まさ子

新鮮なはず生え変わる妻の角                  静  岡

とげとげのキュウリが見せた自尊心

とげのあるナスビ揉まれて丸い味

新鮮さが売り銀行の窓の顔

 

 

「夏の日の恋」                    恩田  たかし

花火より君の横顔眺めてる                    静  岡

見ていても涼しげ姿浴衣美人

甘酸っぱい夏の恋よりアルバイト

国のドン バンバン弾け続かない

 

 

「雑  詠」              深澤   弘

誘惑に迷い義理にも惑わされ           甲 府

他所の水飲んで心を遊ばせる

混浴で男ごころを覗かれる

歳いくつ聞かれりゃ孫へ鯖読めず

 

 

「自 由 吟」               滝田  玲子

バクチには強い力士で足りぬ塩         浜 松

足元の地盤くずれる選挙戦

落語ブームバブルですかと小三治氏

百倍の元気をもらう母の知恵

 

 

「その向こう」             斉尾 くにこ

見つめてる光るガラスのその向こう        鳥 取

種まいて花が咲かない花畑

抱きあって咲く朝顔と見てるバラ

キラキラと炭酸の泡だった夜

 

 

「強  い」               薗田  獏沓

強い強いと坊やは我慢させられる       川根本町

毒舌のペンが強いとコラム欄

父に無い母の強さを見て育ち

国訛り武器に世間を煙に巻き

 

 

「マイペース」                  加茂  和枝

好きな事本気で頑張るくせがある             岩 沼

もう少し頭を冷し輪の中に

勝手だね自分も勝手マイペース

面白い悩んだ事はすぐ忘れ

 

 

「奇  跡」                   安田  豊子

窮極の勘が思わぬ的を射る                浜 松

真っ当な暮らし揺さぶる当りくじ

身に合わぬ奇跡夢見て踊らされ

婚活へやっと止まったキューピット

 

 

「いたずら」                    鈴木 千代見

春の風スカートの裾遊ばせる           浜 松

ピロリ菌元気が過ぎて困らせる

幼な子の床にはみだすでかい夢

五七五音の世界に遊ばせる

 

 

「自 由 吟」                         鈴木 恵美子

夕茜花も眠りにつくだろう             静 岡

ふんわりと支えてくれた蓮の花

ひたむきに風にうなづく山野草

夕焼けに染まり明日の日を想う

 

 

「オイのメカ」                井口   薫

パソコンの悲鳴私もまた悲鳴          袋 井

パソコンの警告マークがすりきれた

見つけたよ恋文ペンというフォント

Iパット老いも魅惑の指使い

 

 

「ロスタイム」             岡村  廣司

人生の最後貴重なロスタイム           焼 津

矍鑠とロスタイムですマイペース

有意義に使ってやるぞロスタイム

ロスタイムうまく燃えよう年金で

 

 

「自 由 吟」              内山  敏子

口止めをする程でない重い口            浜 松

胃がさわぐうなぎの匂い隣りから

冷凍魚人間不信の目でにらむ

手伝えばきげんよくなる母の声

 

 

「酔い心地」             鈴木 まつ子

古賀メロディ涙ながらに酔いしれる           島 田

バタやんの男泣き節胸を打ち

イントロのギターにのせてかえり船

こんなにもわたし酔わせてどうするの

 

 

「隠 し 玉」               大塚  徳子

鈴虫の音色涼しいノクターン              仙 台

日誌帳話の種をメモってる

くさむらに虹の根っこを植えておく

隠し玉ひらのくぼみに温める

 

 

「心  境」                  川口   亘

考えの及ばぬ先がふと浮かび                藤 枝

言わないでいるより言って楽をとり

逃げる手でいつも自分を隅に置く

なぜなどと言うから奇異の目で見られ

 

 

「雑  詠」              川口 のぶ子

この暑さ恵みの雨にややほっと            藤 枝

梅雨入りを喜ぶ野菜深呼吸

朝採りのトマトキュウリに感謝する

ゴーヤ苗のびるにのびて実もつかず

 

 

「雑  詠」              飯塚 すみと

協調のこころでつかんだ初勝利           静 岡

見くびった理ではないが罷免する

おめかしのアジサイ写真輪に入る

視力落ち緑の色が欠かせない

 

 

「自 由 吟」                稲森 ユタカ

足元の影が私を見張ってる              静 岡

草花をとっさに避けて足ひねる

足元にある探し物見つからず

影ばかり気にして壁にぶち当たる

 

 

「今夜は七夕」             松田   夕介

井の中のこいは渡れぬ天の川                   牧の原

薄雲が銀河の中の恋隠す

短冊に願いはかけど名は書けず

たまに逢うだから余計に愛おしい

 

 

「盛  夏」              森下  居久美

一石二鳥グリーンカーテンからゴーヤ             掛 川

太陽のようにひまわり咲く盛夏

石ころを蹴飛ばしプール帰りの子

蝉時雨夏に負けるな草を取る

 

 

「城 下 町」               山口  兄六

おもちゃの亀じゃ余程歩みが早すぎる       足 利

メールするあなた ゲーム中なわたし

ゲームなら上手だというレトロたち

おはよう おやすみ 大好き ちょっと好き

 

 

「はやぶさ」              増田  信一

はやぶさの犠牲の成果目に涙           焼 津

はやぶさの勇気を貰え日本国

政界は七年間で成果ゼロ

はやぶさで日本の力見直した

 

 

「雑  詠」              林  二三子

どんな秘め事包んでるのかこの蕾              富士宮

野心などない幼子の綺麗な目

すぐ其処にある幸せに気付かない

リハビリで克ち得た足で大地踏む

 

 

「  夏  」              谷口 さとみ

他人の恋ばかり見ているアルバイト         伊 豆

焼きそばが焼ける頃にはキスの中

花火見る君の瞳の中に見る

焼きそばを食べたら夏は終わってた

 

 

「浴 び る」                      真理   猫子

ぬるま湯を浴びてふやけた民主主義       岡 崎

脚光を浴びる龍馬は天国で

注目をどこで浴びよう引きこもり

大雨が無料洗車をしてあるく

 

 

「ね ご と」                永田 のぶ男

欲の山零れ落ちてもまた昇る            静 岡

金のなるこの指止まれボンヒット

世の中を金で征服鼻高し

次の世もすべて金だと寝言いう

 

 

「このごろ」                    尾崎  好子

家に居る友はテレビと向い合い                 藤 枝

朝ドラのゲゲゲの女房昼もみる

ゲゲゲから焼夷軍人思い出す

つなぎ合う結び直しの会に出る

 

 

「自 由 吟」              石田  竹水

結論は血圧下げてからにする                静 岡

二人三脚無言で解る妻と組む

言い訳を飲み込んでから正座する

起き上がり小法師も傷む梅雨の腰

 

 

「占  い」               池田  茂瑠

言い勝って握る愚かな夜の安堵            静 岡

はっきりと出せぬ答えでつなぐ愛

占いの通り輝き足りぬ週

美しい流れを雑魚の群れが待つ

 

 

「暑中お見舞い申しあげます」          高橋  繭子

ひぐらしが思い出させてくれる夏          大河原

ひまわりが猛暑の人間を笑う

やっとひと心地の音だけの花火

クーラーを社長が切って休業日

 

 

「茶  碗」               薮崎 千恵子

毎年のこと冷房病になる三日           焼 津

夜行性なって私の過ごす夏

高級な茶碗私の手に負えず

派手な音たてて茶碗が泣きくずれ

 

 

「健  康」              小野  修市

健康はあなたまかせの煎じ薬            静 岡

消費税上げると聞いて目がまわる

派遣の身首を気にして肩が凝る

金と暇足りて虚しい不眠症

 

 

「自 惚 鏡」              多田  幹江

泣きそうな私を映す水鏡             静 岡

万華鏡おんなは変るものですね

二日酔いの鏡はバカを連呼する

自惚鏡いい夢見せてくれました

 

 

「スランプ」                  中野 三根子

落ち込んで鏡もすててしまいたい          静 岡

母の前少し甘えてぐちを言う

悩んでる時はせっせと床をふく

落ち込んでやっぱり食べることばかり

 

 

「無  駄」               川村  洋未

まとめ買い最後の一つ邪魔になる         静 岡

昼ごはん腹減らないが食べておく

お財布のカードたまには整理した

色ちがいやっぱどっちか忘れてる

 

 

「ひ と り」              勝又  恭子

人込みにころがっている孤独感           三 島

あの場所へあなたの影に会いにいく

本心を吐き出し深く埋めておく

夢見鳥望む私はそこにいる

 

 

「だれだっけ」             中田   尚

だれだっけニコニコしてるだれだっけ       浜 松

肩たたきオレオレオレと言われても

白髪の恩師に頭下げられる

名前など知らぬ名札が見えません

 

 

「露天風呂」              佐野  由利子

しゃぼん玉パチンと弾けエピローグ        静 岡

修飾語除けば見えてくる本音

満腹のあと甘い物まだ余裕

過去の垢じっくり落とす露天風呂

 

 

「生 活 譜」                  望月   弘

欲を捨てあっけらかんと生きている           静 岡

中流の下に安心させられる

大切に消費している今日の旬

ふるさとのテレビは九時で寝に入る

 

 

「遠い日の夏」                加藤   鰹

クマゼミの羽根 夏の日はクリスタル             静 岡

河童寝そべってオセンベヤケタカナ

絵日記にキングギドラを描いた夏

夏休みの友に月末襲われる

 

 

「自 由 吟」                 高瀬  輝男

人間の専売特許かいくさとは              焼 津

やっと来たチャンス前例くつがえす

時折りは本心少し覗かせる

許せない罪も時効で陽の下に