平成二十一年 十九

於 アイセル21

 

 

 

参加者(順不同)松田夕介、曽根田しげる尾崎好子、高瀬輝男、池田茂瑠、杉山光代薮崎千恵子、林二三子、川村洋未、中田尚勝又恭子、中野三根子、望月弘、増田信一加藤鰹、佐野由利子、長澤アキラ、稲森豊永田のぶ男、小林ふく子、鈴木千代見、中司、鈴木まつ子、山本野次馬、斉尾くにこ大塚徳子、酒井可福、西垣博司、畔柳晴康深澤ひろむ、薗田獏沓、成島静枝、川島正岡村廣司、内山敏子、中矢長仁、毛利由美瀧進、荒牧やむ茶、谷口さとみ、森田安心川島五貫、濱山哲也、市川重雄、安田豊子石田竹水、小野修市、加茂和枝、鹿野太郎栃尾奏子、森下居久美、提坂まさえ、川村美智代、萩原まさ子、石上俊枝、真田義子

▼20代、30代の参加があって句会が若返っています。嬉しいことです。毎回満員御礼で句会場が狭くなって来ましたので、十月は試しに広い会場を予約しました。そしたらいきなり人数減ったりしてね(笑)

 

宿 題 「あつい」(表現自由)

曽根田しげる 選

淑女の名脱げば暑さもやわらぐが  茂 瑠

厚いのは腹の回りと顔の面     信 一

暑いからちょっと離れて寝てくれよ  鰹

人間に厚みが出たよ顔と腹     信 一

あ~旨い暑さ忘れる生ビール    由利子

ステテコで家の外出て叱られる   由利子

風鈴が揺れてる夏の風物詩     千恵子

はやぶさの偉業に心熱くなる    信 一

夏本番お化け屋敷に湧く興味    千恵子

甲子園また感動の熱い夏      好 子

暑苦しいあなた好きでも離れたい  洋 未

ハワイから暑中見舞いを出す嫌味  由利子

サムライのブルー日本中が熱い   恭 子

熱そうな二人のそばに近寄れず   二三子

大好きな君と布団を離す夜     夕 介

暑さぼけ思考回路がショートする  三根子

熱風と格闘をする扇風機       弘

甲子園目指し熱戦くり拡げ     二三子

太陽に苦情は言えぬこの暑さ    輝 男

W杯応援団も熱く燃え       千恵子

暑すぎて頭の中も臭い出す     三根子

暑かった部屋で怪談怖く聞く    茂 瑠

暑いなど言ってはおれぬ資金繰り  由利子

慌てもの猫舌忘れやけどする    二三子

この時代熱い心を持て余す     夕 介

分厚くて意味もわからぬ六法書   千恵子

五 客

あつくなる度に傷口増えて行く   アキラ

胸板の厚さやっぱり頼れるな~   二三子

厚化粧なだれのごとくくずれ落ち  洋 未

この厚さたぶん百万手切れ金    洋 未

エコですと団扇使って涼を取る   千恵子

人 位

暑くても正念場です受験生     由利子

地 位

熱闘が続く球児の甲子園      千恵子

天 位

晩学を取り戻そうと厚い辞書    輝 男

軸 吟

ありがとう厚いメールがスタミナに しげる

 

宿 題 「そっくり」 永田のぶ男 選

父ゆずり爪の形が瓜二つ      三根子

嬉しくないあの芸能人に似ていても 恭 子

そこそこのこの母と娘の男運    五 貫

僕の子に間違いはない瓜二つ    奏 子

年頃のパパそっくりがふてくされ  洋 未

新卒の鋳型で作る社会人      アキラ

電話口母と間違えられている    居久美

毒のある所がやはり母さん似    太 郎

姑の癖を夫も持っている      静 枝

里帰り野菜そっくり持ち帰る    可 福

明日もまた今日と変わらぬ日が流れ  尚

泣き顔も怒る顔まで親ゆずり    安 心

電話口妻か娘か解らない      二三子

似たような場所で転んだ夫婦ごま  ふく子

師の技をそっくりまねた弟子の作  安 心

悪いくせばかり血を引く子や孫に  信 一

負けん気も涙もろさも似て親子   奏 子

おや失礼妻とそっくりでしたので  博 司

よくもまあ悪いとこだけ親に似て  千恵子

スキャンダル何と我が家にそっくりだ廣 司

喋りかた声まで似てる電話口    好 子

良くもまあ悪いとこだけ俺に似る   弘

疲れると母に良く似た声が出る   洋 未

似てほしくないところだけ似る親子 ユタカ

額見て一目で分かる父子孫     夕 介

日の丸を振れば右翼と間違われ   獏 沓

父ちゃんに間違えられて電話切れ   尚

そっくりと受けた遺産に悩まされ  豊 子

そっくりさん本職負かす芸達者   光 代

電話口娘さんですかと問われ    千代見

無器用までそっくり貰う親ゆずり  しげる

五 客

踊りの手白く揃った盆踊り     茂 瑠

隣国へ技をそっくり盗まれる    由利子

抱いた子と俺の顔みてみな笑う   長 仁

父親と並んで酒を飲む背中     夕 介

父さん似言われ傷つく女の子    廣 司

人 位

父も子も鼻クソほじる癖がある    弘

地 位

影武者の秘書が学んだ裏政治    竹 水

天 位

拾得金そっくり貰う果報者     由利子

軸 吟

凸凹がそっくり合って世は平和   のぶ男

 

宿 題 「おいしい」 佐野由利子 選

ケーキなら減量中を忘れます    竹 水

プランタートマトの味を自慢する  竹 水

おいしいね話に尾ひれ付いている  和 枝

おいしいの一言だけが聞きたくて  ユタカ

山登りパノラマ眺めむすび解く   光 代

新婚の妻と食べてる朝ごはん    修 市

おいしい話に裏がある嘘がある   徳 子

真夏日に氷で冷し飲むビール    修 市

妻の味今はほんとに美味しいよ   長 仁

垂れさがる旨い話に釣られてる   千恵子

リポーター笑顔笑顔で食べ尽くす   尚

俺流の好みになった妻の味     長 仁

人肌の酒一合と煮ころがし     まつ子

もぎたての旬な言葉を食べてみる  くにこ

踊り食い喉こそばゆい味の良さ   のぶ男

顔ゆるみ酒倍になる初鰹      千恵子

検査後に食べた昼めし超うまい   洋 未

おいしいか聞かれる前に言うお世辞 ひろむ

単身赴任なんといっても妻の味   千代見

ぬか漬けの茄子と胡瓜が光ってる  三根子

飯よりも空気が美味い山歩き    可 福

路地裏のうなぎの匂いついくぐる  千代見

愛情が溶けておいしくなる料理   ふく子

シナリオの通りに味をほめている   弘

おいしさにとりつかれたか皆無口  奏 子

雑炊が一番うまい戦中派      のぶ男

とれたてがおいしい庭の茄子胡瓜  居久美

レポーターおいしい仕草うまくなる 重 雄

選挙戦おいしい餌に票釣られ     進

おいしい物カロリー頭の外に置く  光 代

手づかみで喰う漬物とにぎりめし  敏 子

五 客

とれたてのきゅうりへ塩が遠慮する  弘

炎天での仕事を終えて生ビール   二三子

降って来たうまい話に火傷する   アキラ

旨い話乗って返らぬ金を貸し    ひろむ

おいしいと云って食べれば丸く済む 博 司

人 位

食べるものみんなおいしいのが悩み 恭 子

地 位

器からおいしさ見せる盛り合わせ  しげる

天 位

法の裏おいしい話たんとある    輝 男

 

 

宿 題 「そわそわ」 望月  弘 選

そわそわとけんかの後のふとん敷く 重 雄

的中の馬券審議が長過ぎる     五 貫

消し忘れメールを思うにわか雨   太 郎

ちょっと脈あって覗いた女文字   ひろむ

生まれたと電話来る迄先ず座れ   博 司

マーキング前日までは覚えてた   野次馬

へそくりの傍で家内が捜し物    信 一

俺の嘘見透かす君と向かい合い   夕 介

夕焼けがそわそわさせる赤のれん  しげる

まず初戦九回の裏ツーアウト    居久美

そわそわの耳に聞こえぬ警報器   由利子

妻はもう寝たかチラチラ酒のビン  アキラ

愛された形でもがき止まらない   のぶ男

浮かれてる私羽衣着た気分     茂 瑠

嬉しさは口には出さず胸を撫で   晴 康

二次会を断わるネタにする亭主   静 枝

また出してまた眺めてるパスポート 由 美

落ち着かぬ産婦人科の男たち    由 美

宿題を忘れた授業参観日      さとみ

着順の写真判定待つ馬券       進

プロポーズ今夜あたりはありそうだ 安 心

代役で急に私が司会する      三根子

宵まつり浴衣見せたい人がいる   哲 也

ネクタイを何度も外し締め直す   やむ茶

再会へ胸の振り子が鳴りやまぬ   まつ子

再会の駅はもうすぐひと呼吸    豊 子

初デートトイレひたすら目で探す  さとみ

彼が来る父はトイレの掃除中    太 郎

ダイエット体重計に乗らぬ足    竹 水

プロポーズ待っていましたとは言えず豊 子

婚活へ親がそわそわしてしまい   好 子

フィアンセを一人娘が連れてきた  信 一

初めての外遊荷物また調べ     輝 男

初デート着て行く服が決まらない  廣 司

五 客

座っても立っても寝ても血が騒ぐ  のぶ男

ああ次だ歯医者のイスににらまれる  尚

気はすでにビアガーデンの席に居る 竹 水

税関の目には普通の汗でない    由利子

母ちゃんの目が追ってくる参観日  千恵子

人 位

恋文の二行目からは蝶になる    ふく子

地 位

いい返事来そう立ったり座ったり  二三子

天 位

宿帳に妻と書かれている私     茂 瑠

軸 吟

寝ない子へ時計の針をいらつかせ   弘

 

 

宿 題 「自由吟」 互 選

⑪スリッパの音で機嫌のわかる妻  博 司

⑦帰り道だんだん腹が立ってくる  由利子

⑦無駄骨をせっせせっせとコレクション

哲 也

⑤すぐそこに居る親の背が越されない二三子

④反り合わぬ人に笑いの変化球   信 一

④ゆったりと一人で過ごす砂時計  三根子

④余力まだあるのに定年おしつける 敏 子

④マニフェスト明日の見えないメガネかけ

④ライバルへビックリ箱をプレゼント竹 水

④止まり木で飛び立つ前の羽繕い  義 子

③七夕へ禁酒ぶら下げ呑み納め   重 雄

③歌う鳥梅雨が美声を曇らせる   安 心

③家庭内別居を考える鼾      由 美

③猫かぶり言い逃れする小さい嘘  晴 康

③激辛のカレー夫婦で睨み合う   よし子

②大波小波あって楽しい我が暮し  ふく子

②これも恋あっさりメールでの別れ 千代見

②一人でも誰かがいてもさみしいよ 洋 未

②深層の森の湖畔にいる私     奏 子

②乗っちゃったお世辞に無理な役所 千恵子

②抱え込む不安を花火吹き飛ばす  夕 介

②満ち足りた暮しは夢のまた夢か  輝 男

②赤貧と思い知ってるわが財布   廣 司

②のんびりとしてても直ぐに日が暮れる

長 仁

②成る程と頷く度に進む老い    豊 子

①生つばを飲み込みひらく袋とじ  修 市

①義理を欠く縁に感謝の日が来る  やむ茶

①リフォームで埋蔵金が露出する  アキラ

①親が子を子が親思う寸足らず   のぶ男

①そっくりの声で百万振り込ます   弘

①まだ力残ると書いてあるカルテ  茂 瑠

①ああこわい平成生まれママになる  尚

①半夏生耳に飛び込むいい響き   好 子

①消費税口を滑らせ深く人     しげる

①口先では大阪城も建つという   まつ子

①梅雨が来る前に布団を干す休み  可 福

①夕涼み四方山話の花が咲く    徳 子

①寝苦しい夜も団扇と根競べ    穂々美

①孫が来る非日常をいとおしむ   静 枝

①結論から言えば妻の尻叩き    野次馬

①庇われて甘えたくなる月見草   くにこ

①懐かしのあの人は今選挙戦    五 貫