平成二十一年 十八

於 アイセル21

 

 

 

参加者(順不同)松田夕介、曽根田しげる高瀬輝男、尾崎好子、稲森ユタカ、中田尚長澤アキラ、望月弘、杉山光代、真理猫子渥美さと子、池田茂瑠、増田信一、加藤鰹勝又恭子、中野三根子、佐野由利子、瀧進薮﨑千恵子、畔柳晴康、井口薫、大塚徳子中矢長仁、薗田獏沓、岡村廣司、安田豊子内山敏子、成島静枝、石田竹水、小野修市林二三子、鹿野太郎、西垣博司、毛利由美深澤ひろむ、鈴木まつ子、小林ふく子、中川司、鈴木千代見、山本野次馬、市川重雄荒牧やむ茶、永田のぶ男、川口のぶ子、那須野正、斉尾くにこ、川村洋未、濱山哲也森田安心、栃尾奏子、川口亘、谷口さとみ滝田玲子、酒井可福、伊藤泰史、石上俊枝提坂まさえ、川村美智代、萩原まさ子

▼杉山光代さんの選者初体験。堂々とにこやかに読んで下さり立派でしたよ。また岡崎から真理猫子さんが参加下さり、賑やかな句会になりました。感謝、感謝。

宿 題 「  秋  」 杉山 光代 選

うれしいな秋の味覚に舌つづみ   千恵子

彼岸花咲いて仏に導かれ      好 子

意地悪な秋が私をおセンチに    輝 男

いい夢を見せて下さい秋の月    しげる

彼女の手そうっと触れる秋の恋   由利子

気まぐれな秋へ向日葵咲いている   弘

穂が揺れるススキが原の風清か   由利子

夏の恋秋風吹いて舞い落ちる    信 一

結婚と離婚が友の秋にある     茂 瑠

人を恋う秋のポストが今日もカラ  輝 男

吹く風の香りに夏はもういない   夕 介

山里に猿の好物柿たわわ      由利子

サーサーとなびくススキと君の髪  夕 介

澄みきった秋空見ても曇り勝ち   信 一

丹精の色を競って菊の秋      さと子

赤トンボ一緒に行こう墓参り    千恵子

ふるさとの空家で虫のオーケストラ  弘

手応えは何にも無いわ秋の空    アキラ

ウォーキングとんぼの群れと出っ食わせ

好 子

秋風を送った相手豹変し      信 一

五 客

虫の音を耳に拾って来る散歩    アキラ

あなたからメールが来なくなって秋  鰹

披露宴未婚の肩身狭い秋      茂 瑠

落葉にも未練あります夢もある   信 一

床につき吹き込む風に秋を知る   夕 介

人 位

紅葉に私も染まる秋の彩      千恵子

地 位

お彼岸へ小さい秋が届かない     弘

天 位

笛太鼓子供に返る秋祭       千恵子

軸 吟

彼岸花出番来たかと首のばし    光 代

 

 

宿 題「うらやましい」中野三根子 選

いいわねえ分ける遺産の無い人は  哲 也

スッピンで十才若く見える人    信 一

今もまだ本気で追える夢がある   恭 子

我が子とは思えぬ高い腰の位置   さとみ

手をつなぎ歩く祖父母が羨ましい  猫 子

ぱくぱくと食べて食べても太らない 好 子

お隣りの夕餉豪華な匂いする    由利子

天才の頭の中を見てみたい     ユタカ

お気楽な人もうらやむ能天気    やむ茶

涙ふきイチニサンと切り替えた   奏 子

毒舌のパワーが欲しい時がある   竹 水

憂いなくしごとを辞して楽に生き  修 市

勇気など無いが金には困らない   野次馬

また手抜き犬の食事へする嫉妬   ひろむ

八頭身美人羨むメタボ腹      玲 子

うらやむな自分は自分の道をゆく  のぶ子

行き先はチョットそこまでヨーロッパ洋 未

両隣り青い芝生の庭が有る     博 司

趣味の会魔女がだんだん若くなる  のぶ男

賑やかに隣は箸を洗ってる      薫

雑草という生命力がうらやまし   ふく子

お隣りが今日もサンマを焼いている 博 司

ミッキーの耳がボクには付いて無い 可 福

字がキレイきっと素敵な人だろう   鰹

反抗期いない隣の笑い声      由 美

通学のミニスカートと乗り合わす   弘

大当たり横目でチラリ見られてる  ユタカ

五 客

金持ちの悩み一度はしてみたい   輝 男

澄んだ目の奥に映ったママの愛   さと子

悔しいな薬に縁の無いあいつ    太 郎

うらやましい事が何にもないトカゲ 猫 子

齢を取るほどに光っていくセンス  千恵子

人 位

生きがいを求め気ままな暮らし向き まつ子

地 位

よく釣れる餌を覗きに来る隣    獏 沓

天 位

百五歳 男が弾むフライパン     敏 子

 

 

宿 題 「ぼろぼろ」 池田 茂瑠 選

赤ん坊の頃から一緒このパンダ   さとみ

ボロボロのスパイク翔る虹の橋   奏 子

ぼろぼろと零し続けて風になる   アキラ

雑巾の様に使われ後はポイ     信 一

酔う程に愚痴がぼろぼろこぼれ出す 廣 司

ぼろぼろの心に神の声聴こえ    千代見

ボロボロの人生売れる回顧録    静 枝

衣食住足りて心が綻びる       進

ぼろぼろと繕い合っている夫婦   ふく子

豊かさに心のボロが顔を出す    俊 枝

一度だけ恋に破れてそれっきり   竹 水

ボロボロの写真で笑う父の顔    やむ茶

運動し体が悲鳴あげている     ユタカ

肩書きがとれて友無し夢も無し   さとみ

ぼろぼろとメッキ剥がれていく名刺 千恵子

結婚後ボロボロ剥げた金メッキ    鰹

ジーパンへ思わず針を入れた祖母  ひろむ

ぼろぼろになる迄励み補欠の身    亘

擦り切れたジーパン売っている平和 哲 也

魂が疲れて夢が黒くなる      さと子

勤勉なわたくしを知る英和辞書   恭 子

ぼろぼろと落ちたごはんで年を知る 洋 未

骨なしの魚に自己主張がない    野次馬

身も心ぼろぼろになる世が悲し    亘

俳人の形見ぼろぼろ辞書一つ    可 福

愛着があるぼろぼろのぬいぐるみ  恭 子

よれよれが倒れ込むよう帰宅する  アキラ

ぼろぼろにされても尽くす女の性  光 代

五 客

ぼろぼろと落とす涙にまたも負け  由利子

白鵬を主役にさせる日本人      尚

よそいきの服は美味しい虫が食い  好 子

母親の使い古した料理メモ     二三子

ぼろぼろのジーパン持って嫁に行く しげる

人 位

ジーンズの穴から見える歪んだ世  太 郎

地 位

カルチャーでボロボロの脳修理する ふく子

天 位

ぼろぼろになるまで愛を抱きしめる  弘

軸 吟

ぼろぼろの余生縫い糸足りません  茂 瑠

 

 

宿 題 「お く」(表現自由) 高瀬 輝男 選

贋作を床の間に置く見栄っ張り   竹 水

ドライフラワーにして取って置く小判草

徳 子

手なづける贈り物とも気がつかず  廣 司

億という数字に縁のない暮し    敏 子

冷蔵庫の奥にえたいの知れぬもの  由 美

不景気で奥様などの様捨てた    晴 康

奥様と呼ばれる妻にしたかった   長 仁

屋上で星とビールが待っている   哲 也

山奥の秘湯人気の一軒家      二三子

望郷の絵の中に置くロスタイム   豊 子

儚さや友は大金置いて逝く     光 代

ひとり旅夕日の中に君を置く    くにこ

億ションに住んで心が痩せてくる  アキラ

使用済み仮面ひと先ず置く独り   豊 子

暗算でレジより先に金を置く    好 子

プライドはひとまず横に置いておく 夕 介

奥様の敬語に少し身が火照り     亘

奥様と呼ばれる頃が旬の味     安 心

談合をじっくり練った奥座敷    ひろむ

目標を高くおいては生きて行く   三根子

目の前に置いたチャンスを盗まれる アキラ

億よりはミクロの世界驚異の目    亘

オクの手を打って射止めるそのハート夕 介

吊り橋の途中臆病者になる     野次馬

奥の手を使い果たして借りる知恵  由利子

五 客

憶測で噂広がる無責任       由利子

窓際に置かれたままの椅子の意地   薫

追憶のあなたは私だけのもの    奏 子

大切な奥の手錆びていたショック  奏 子

奥の手があるから揺らぐ事はない  千恵子

人 位

奥様は魔女かも嘘が通じない     鰹

地 位

にんげんの奥やさしさの水たまり  くにこ

天 位

生きるって奥が深くてやめられぬ  修 市

軸 吟

奥まった部屋にうごめく黒い霧   輝 男

 

 

宿 題 「自由吟」 互 選

⑦水のない川で溺れたことがある  義 子

⑥負けないさ僕を支える好奇心   竹 水

⑥底抜けに明るい馬鹿になってみる 徳 子

⑤ダイヤルを妻に合わせて波が無い 博 司

⑤大ジョッキ人間みんな友達だ   輝 男

④昭和史の行き着く先は風の音   アキラ

③寝そべって宿題まだか親に聞く  光 代

③暑さぼけしてもしっかり夏ぶとり 三根子

③大相撲異国の綱に救われる    やむ茶

③失敗は流しなさいと日が沈む   しげる

③抜いた棘忘れた頃にまた刺され  信 一

③御破算で願いましては君が好き   鰹

②椅子取りが下手で梲が上らない  千恵子

②貧乏も笑いに出来る四畳半    さとみ

②胸の奥めがねが邪魔で覗けない   弘

②のみ込んだそのひと言の重い文字 よし子

②来世へ望みをかけて耐えている  穂々美

②春ラララ秋はウフフといきたいね 哲 也

②材料も道具も揃え腕を待ち    洋 未

②諺を信じ猛暑の彼岸待つ     重 雄

②花占いしているように髪が抜け  太 郎

②空元気口ほど体動かない     二三子

②言いにくいことが増幅する電話  静 枝

②直線が続く炎天下の小道     野次馬

②しゃぼん玉夢はかなくも風に乗る 千代見

②スペードのエースの裏は乙女色  猫 子

②ときめきの夢を見ている傘寿です 長 仁

②空っ腹人の情がよく沁みる    ふく子

①破鍋に綴蓋愛のコーティング    進

①耳に付く自慢話に人が逃げ    可 福

①気晴らしは方言駆使の独り言   さと子

①旅疲れ足腰痛いとも言えず    敏 子

①生返事最後は皆に廻し蹴り    安 心

①二学期へ風は季節を告げる使者  のぶ男

①何時からか息子の名刺使う歳   晴 康

①先生はさほど老けないクラス会  由 美

①悩みごと幾つもあるがケセラセラ 由利子

①牙のある仮面で意見通します   茂 瑠

①寂しんぼすぐにはみ出したがります奏 子

①銭持てばすぐ穏やかな顔になる  廣 司

①共感の水輪こころの跳ねる音   くにこ