平成二十一年 十六

於 アイセル21

 

 

 

参加者(順不同)曽根田しげる、池田茂瑠高瀬輝男、松田夕介、川村洋未、杉山光代中野三根子、勝又恭子、尾崎好子、中田尚増田信一、渥美さと子、加藤鰹、林二三子佐野由利子、薮﨑千恵子、瀧進、畔柳晴康長澤アキラ、永田のぶ男、井口薫、川口亘岡村廣司、大塚徳子、内山敏子、薗田獏沓中矢長仁、酒井可福、鹿野太郎、小野修市石田竹水、村越精也、森田安心、市川重雄西垣博司、成島静枝、安田豊子、川島五貫濱山哲也、毛利由美、滝田玲子、真田義子稲森ユタカ、栃尾奏子、藤田武人、望月弘野中雅生、石上俊枝、小林ふく子、那須野正、芹沢穂々美、深澤ひろむ、鈴木まつ子鈴木千代見、斉尾くにこ、荒牧やむ茶、中司、恩田たかし、山本野次馬、萩原まさ子川口のぶ子、谷口さとみ、馬渕よし子、川村美智代、提坂まさえ、野中とし子、森下居久美、山口兄六、斉藤キヨ子、牧こはる

▼松田夕介君の選者初体験。ドキリとするような若さ溢れる披講でした。

宿 題 「ド キ リ」  松田 夕介 選

突然の告白ドキリ後退さり     由利子

逃げ場ない山道にヘビ横たわり   二三子

エレベーター凄い美人と目が合った 好 子

目覚めれば隣りの彼女どこの誰   洋 未

朝起きてあたり見回しここはどこ  三根子

レジの前財布ないのに気が付いた  好 子

暗闇に犬に吠えられ身がすくみ   光 代

臍くりがあまり多くて妻ドキリ   のぶ男

帰宅して見つけた窓の締め忘れ   さと子

突然の指名にドキリ足震え     二三子

仕事中肩を叩かれペン落とす    信 一

剪定中枝にからんだヘビにドキッ  二三子

勉強会指名されたが答え出ず    光 代

マイバッグ財布が見えぬレジの前  さと子

五 客

ケータイを手にしたとたん見えたパト恭 子

真夜中にトイレの前で鉢合せ    由利子

朝帰り妻の笑顔に血の気引く    信 一

しなしなと歩く彼女の切る啖呵   千恵子

課長さんかつらが少しずれてます  三根子

人 位

札束を積まれて声が裏返る     アキラ

地 位

あらあなたなぜこの時間この場所に 洋 未

天 位

噂した主が後ろにいてドキリ    恭 子

 

宿 題 「まわり道」 永田のぶ男 選

まわり道異国の話持ち帰る     しげる

回り道すれば五体も目を覚ます   ふく子

回り道しても何にも落ちてない   輝 男

ゆっくりとまわり道する初デート  徳 子

まわり道してきて今の僕がいる   ユタカ

口が肥え目まで肥えてる男運    穂々美

万歩計秋を拾いに遠回り      千恵子

幾度も廻り道して今が有る     のぶ子

まわり道昔駄菓子屋いま酒屋    五 貫

まわり道たまーにすると行き止まり たかし

ポケットに栗を詰め込むまわり道  静 枝

まわり道するも処世の術と知る   由利子

良い案も浮かず思案の回り道    千恵子

本命に出会えるまでのバツ三つ   さとみ

山下り近道急で膝笑い       光 代

子に見せぬ涙乾かすまわり道    ひろむ

まわり道したな生き恥晒したな   アキラ

迂回した道にもあった落し穴    敏 子

まわり道して気がついた親の愛   居久美

まわり道したが責任俺がとる    獏 沓

恋人のころはわざわざ遠回り    由 美

子の幸と朝星夜星まわり道     重 雄

我が人生廻りまわって夢の外    光 代

脇道を曲がれば違う夢がある    やむ茶

まわり道したくなっちゃう月の夜  三根子

棚ぼたかまわり道して愛拾う    晴 康

送られて送って行って恋は謎    さと子

恋敵口説き上手が馬を射る     重 雄

まわり道してまで坂を避けて行く  二三子

回り道少女は恋をしたのです    哲 也

もう少し一緒にいたいまわり道   恭 子

満天の星に二度目のすれ違い    野次馬

回り道使い果たした効かぬ毒    茂 瑠

救急車工事中には逆らえず     博 司

五 客

矢印の通りに歩き道半ば      しげる

父さんの散歩をそっとポチに聞く  さとみ

あの人に一目逢いたいまわり道   三根子

三浪の道へうれしい石を蹴り    豊 子

転職も無駄でなかったまわり道   二三子

人 位

犬嫌い遠まわりして犬に会う    敏 子

地 位

まわり道港みなとに彼女いる    洋 未

天 位

赤トンボ追って寄り道ランドセル  居久美

軸 吟

家康公急がば回れ天下とる     のぶ男

 

 

宿 題 「秋の味覚」 佐野由利子 選

紫のロマン漂うあけびの実     安 心

チュンチュンと来客招く吊るし柿  やむ茶

栗ごはん我が家にもきた小さな秋  玲 子

まろやかなラインで座るラフランス くにこ

ヤナの鮎川原桟敷の舌鼓      博 司

目を閉じて食べる椎茸秋の王    夕 介

松茸を思い三杯飯を食う       尚

サンマ高意気揚々と換気扇      薫

最強のペア新米に生玉子       鰹

さんま焼く香に誘われて禁酒解く   亘

楢山へは秋刀魚を食べてから行くか ひろむ

さんま焼くすだち醤油がじゅっという美智代

精一杯秋を叫んでいるザクロ    アキラ

温暖に庶民の秋はまだ来ない    可 福

松茸のふる里を聞く土瓶むし    敏 子

松茸はインスタントのお吸い物   可 福

ダイエット味覚の秋が渦をまく   信 一

松茸を知らぬ娘の味シメジ     武 人

夏の余波秋の味覚が高すぎる     尚

さんま焼くけむり換算して煽ぐ   豊 子

新米のおむすびと行くハイキング   弘

色づいた柿をカラスに味見され   玲 子

秋茄子を食べさす嫁が決まらない   弘

松茸の旨さに酔っている至福    千恵子

猪も猿もこの秋飢え続く      輝 男

夜業して母が作った渋皮煮     居久美

新米のにおいが里の風にのる    千代見

火炙りにされるつもりの無い秋刀魚 野次馬

色香り戦後彷彿ふかし芋      さと子

もみじ見て食べるうどんも秋の味  哲 也

松茸だ桃だとグルメ秋を駆け    輝 男

 

五 客

夏バテに秋刀魚肌にもいいらしい  好 子

スライスの松茸だって秋の顔    竹 水

デパ地下で試食してくる秋の味   千恵子

巾着もヴィトンも走る焼芋屋     薫

虫の音をBGMに栗ごはん     由 美

人 位

焼き芋の笛に胃液が騒ぎだす    二三子

地 位

動物がお先に食べる里の秋     信 一

天 位

松茸を無言で食べる一人者     しげる

 

宿 題 「さっぱり」(表現自由) 加藤  鰹 選

このお題思い付かないわからない  ユタカ

自信作選者に合わず没ばかり    安 心

ボツ句なら山ほど浮かぶ頭です    尚

わからない乙女心と秋の空     夕 介

天高く話さっぱり届かない     まさえ

本場ではさっぱり通じない英語   由 美

若者の歌がさっぱり分からない   好 子

懐はいつもさっぱり秋の風     精 也

今日の汗流し今宵も旨い酒      進

アナログとデジタル違い分からない 廣 司

秋の天形式張らず翔ぶかまえ    まつ子

神様は私の願い聞こえぬか     修 市

さっぱりさ貯まるはずない漏れている千代見

ギブス取れ足が自由を取り戻す   由利子

孫帰り今日は茶漬けにしましょうね さとみ

本当の私に戻るノーメイク     奏 子

来ぬ返事 子への留守電いつも無駄 さと子

こづかいが足りてるうちは来ぬ便り さとみ

今月も応募ハガキが行ったきり   五 貫

恋清算 天気予報は明日晴れ    やむ茶

さっぱりと君 ぐだぐだとして私  くにこ

扇風機洗って夏をしまい込む    美智代

与党だと口が重たい民主党      尚

二割引きぐらいじゃ客も寄って来ぬ 輝 男

眼帯が取れてさっぱり青い空    由利子

サッパリ系草食男子増えている   二三子

パパが好きお髭をそったパパが好き 三根子

片付けの手間が省ける差押え    博 司

銀行に笑顔で融資断られ      獏 沓

トンコロリ未練残さず逝く予定   俊 枝

整形の後もさっぱり縁が無い    博 司

未練など何もなかったさようなら  恭 子

夕あかね持ってくものは何も無い  アキラ

五 客

諭吉さんちょっと見えたがもう居ない長 仁

この頃はより道さえもしてくれず  三根子

無駄な家具捨てれば広い六畳間   二三子

片付けにもったいないは言わせない 光 代

愛情は淡白だけどまだ夫婦     信 一

人 位

光合成重ねさっぱりした体     ふく子

地 位

サイダーとコーラで押した離婚印  アキラ

天 位

黒髪も恋もバサッと切って秋    千恵子

軸 吟

大人の恋おろしポン酢の味わいで   鰹

 

 

宿 題  「自由吟」 互 選

⑨身の丈を知って羨むことをやめ  千恵子

⑦言い足りぬ言葉つぶやく帰り道  五 貫

⑤地図のない人生みんな冒険家   哲 也

⑤泣き笑い出来る家族の居る安堵  廣 司

④良い風をつかんでチャンス待っている

義 子

④来ては去る人影街の灯は孤独   輝 男

④いいうわさ聞いて心が温かい   千代見

③秋来るとショパンかモネになる不思議 光 代

③秋刀魚からととのいました炭こんろ 好 子

③好奇心ばかり豊富で実らない   夕 介

③無器用で上手く廻せぬ口車    博 司

③影ひとつ抱え人間らしく生き   やむ茶

②閉店へ並ぶ客見て欲が出る    よし子

②埋蔵金狙って投資話来る     静 枝

②臍繰りを入れた腹巻き冷やさない 竹 水

②生きてきた加減乗除に今日がある ふく子

②彼岸花律儀を捨てる温暖化    美智代

②終りまで聞かず話の腰を折り   由利子

②後期でもよくぞ越したよこの猛暑 晴 康

②はしごした最後の医者が名医です 恭 子

②もつれ糸解かれた後でまたぼやき まつ子

①誘惑に負けそうになる葡萄棚   さとみ

①本当の夢も現実的になり     由 美

①鼻歌の節に止った赤とんぼ    安 心

①子供は風を連れ直線を駆ける   野次馬

①夏盛りビール飲んでも水の泡   修 市

①頑張るぞ喜ぶ顔が見たいから   可 福

①秋が好きやきいもが好き澄んだ空  弘

①確信を抱いて重くなる林檎    奏 子

①洗車して照る照る坊主窓に吊る  武 人

①水炊きは食べられません野菜高   鰹

①赤ちゃんの涙ミルクの匂いして  洋 未

①釣合いのとれぬ夫婦に裏がある  信 一

①いつになくこざっぱりして出かけた子 こはる

①神輿の手案山子がかつぐ過疎の村 まさ子

①小指から罪は私の全身に     茂 瑠

①夏の花片付け庭も冬支度     二三子

①空間をぬくめる阿吽老の愛    さと子

①葉が落ちて夕日に光る柿の色   敏 子

①母さんが笑えば子らがみな笑う  徳 子