平成二十一年 十月十六日
た か ね 定 例 句 会 於 アイセル21 |
参加者(順不同)曽根田しげる、池田茂瑠、高瀬輝男、松田夕介、川村洋未、杉山光代、中野三根子、勝又恭子、尾崎好子、中田尚、増田信一、渥美さと子、加藤鰹、林二三子、佐野由利子、薮﨑千恵子、瀧進、畔柳晴康、長澤アキラ、永田のぶ男、井口薫、川口亘、岡村廣司、大塚徳子、内山敏子、薗田獏沓、中矢長仁、酒井可福、鹿野太郎、小野修市、石田竹水、村越精也、森田安心、市川重雄、西垣博司、成島静枝、安田豊子、川島五貫、濱山哲也、毛利由美、滝田玲子、真田義子、稲森ユタカ、栃尾奏子、藤田武人、望月弘、野中雅生、石上俊枝、小林ふく子、那須野正、芹沢穂々美、深澤ひろむ、鈴木まつ子、鈴木千代見、斉尾くにこ、荒牧やむ茶、中司、恩田たかし、山本野次馬、萩原まさ子、川口のぶ子、谷口さとみ、馬渕よし子、川村美智代、提坂まさえ、野中とし子、森下居久美、山口兄六、斉藤キヨ子、牧こはる
▼松田夕介君の選者初体験。ドキリとするような若さ溢れる披講でした。
宿 題 「ド キ リ」 松田 夕介 選
突然の告白ドキリ後退さり 由利子
逃げ場ない山道にヘビ横たわり 二三子
エレベーター凄い美人と目が合った 好 子
目覚めれば隣りの彼女どこの誰 洋 未
朝起きてあたり見回しここはどこ 三根子
レジの前財布ないのに気が付いた 好 子
暗闇に犬に吠えられ身がすくみ 光 代
臍くりがあまり多くて妻ドキリ のぶ男
帰宅して見つけた窓の締め忘れ さと子
突然の指名にドキリ足震え 二三子
仕事中肩を叩かれペン落とす 信 一
剪定中枝にからんだヘビにドキッ 二三子
勉強会指名されたが答え出ず 光 代
マイバッグ財布が見えぬレジの前 さと子
五 客
ケータイを手にしたとたん見えたパト恭 子
真夜中にトイレの前で鉢合せ 由利子
朝帰り妻の笑顔に血の気引く 信 一
しなしなと歩く彼女の切る啖呵 千恵子
課長さんかつらが少しずれてます 三根子
人 位
札束を積まれて声が裏返る アキラ
地 位
あらあなたなぜこの時間この場所に 洋 未
天 位
噂した主が後ろにいてドキリ 恭 子
宿 題 「まわり道」 永田のぶ男 選
まわり道異国の話持ち帰る しげる
回り道すれば五体も目を覚ます ふく子
回り道しても何にも落ちてない 輝 男
ゆっくりとまわり道する初デート 徳 子
まわり道してきて今の僕がいる ユタカ
口が肥え目まで肥えてる男運 穂々美
万歩計秋を拾いに遠回り 千恵子
幾度も廻り道して今が有る のぶ子
まわり道昔駄菓子屋いま酒屋 五 貫
まわり道たまーにすると行き止まり たかし
ポケットに栗を詰め込むまわり道 静 枝
まわり道するも処世の術と知る 由利子
良い案も浮かず思案の回り道 千恵子
本命に出会えるまでのバツ三つ さとみ
山下り近道急で膝笑い 光 代
子に見せぬ涙乾かすまわり道 ひろむ
まわり道したな生き恥晒したな アキラ
迂回した道にもあった落し穴 敏 子
まわり道して気がついた親の愛 居久美
まわり道したが責任俺がとる 獏 沓
恋人のころはわざわざ遠回り 由 美
子の幸と朝星夜星まわり道 重 雄
我が人生廻りまわって夢の外 光 代
脇道を曲がれば違う夢がある やむ茶
まわり道したくなっちゃう月の夜 三根子
棚ぼたかまわり道して愛拾う 晴 康
送られて送って行って恋は謎 さと子
恋敵口説き上手が馬を射る 重 雄
まわり道してまで坂を避けて行く 二三子
回り道少女は恋をしたのです 哲 也
もう少し一緒にいたいまわり道 恭 子
満天の星に二度目のすれ違い 野次馬
回り道使い果たした効かぬ毒 茂 瑠
救急車工事中には逆らえず 博 司
五 客
矢印の通りに歩き道半ば しげる
父さんの散歩をそっとポチに聞く さとみ
あの人に一目逢いたいまわり道 三根子
三浪の道へうれしい石を蹴り 豊 子
転職も無駄でなかったまわり道 二三子
人 位
犬嫌い遠まわりして犬に会う 敏 子
地 位
まわり道港みなとに彼女いる 洋 未
天 位
赤トンボ追って寄り道ランドセル 居久美
軸 吟
家康公急がば回れ天下とる のぶ男
宿 題 「秋の味覚」 佐野由利子 選
紫のロマン漂うあけびの実 安 心
チュンチュンと来客招く吊るし柿 やむ茶
栗ごはん我が家にもきた小さな秋 玲 子
まろやかなラインで座るラフランス くにこ
ヤナの鮎川原桟敷の舌鼓 博 司
目を閉じて食べる椎茸秋の王 夕 介
松茸を思い三杯飯を食う 尚
サンマ高意気揚々と換気扇 薫
最強のペア新米に生玉子 鰹
さんま焼く香に誘われて禁酒解く 亘
楢山へは秋刀魚を食べてから行くか ひろむ
さんま焼くすだち醤油がじゅっという美智代
精一杯秋を叫んでいるザクロ アキラ
温暖に庶民の秋はまだ来ない 可 福
松茸のふる里を聞く土瓶むし 敏 子
松茸はインスタントのお吸い物 可 福
ダイエット味覚の秋が渦をまく 信 一
松茸を知らぬ娘の味シメジ 武 人
夏の余波秋の味覚が高すぎる 尚
さんま焼くけむり換算して煽ぐ 豊 子
新米のおむすびと行くハイキング 弘
色づいた柿をカラスに味見され 玲 子
秋茄子を食べさす嫁が決まらない 弘
松茸の旨さに酔っている至福 千恵子
猪も猿もこの秋飢え続く 輝 男
夜業して母が作った渋皮煮 居久美
新米のにおいが里の風にのる 千代見
火炙りにされるつもりの無い秋刀魚 野次馬
色香り戦後彷彿ふかし芋 さと子
もみじ見て食べるうどんも秋の味 哲 也
松茸だ桃だとグルメ秋を駆け 輝 男
五 客
夏バテに秋刀魚肌にもいいらしい 好 子
スライスの松茸だって秋の顔 竹 水
デパ地下で試食してくる秋の味 千恵子
巾着もヴィトンも走る焼芋屋 薫
虫の音をBGMに栗ごはん 由 美
人 位
焼き芋の笛に胃液が騒ぎだす 二三子
地 位
動物がお先に食べる里の秋 信 一
天 位
松茸を無言で食べる一人者 しげる
宿 題 「さっぱり」(表現自由) 加藤 鰹 選
このお題思い付かないわからない ユタカ
自信作選者に合わず没ばかり 安 心
ボツ句なら山ほど浮かぶ頭です 尚
わからない乙女心と秋の空 夕 介
天高く話さっぱり届かない まさえ
本場ではさっぱり通じない英語 由 美
若者の歌がさっぱり分からない 好 子
懐はいつもさっぱり秋の風 精 也
今日の汗流し今宵も旨い酒 進
アナログとデジタル違い分からない 廣 司
秋の天形式張らず翔ぶかまえ まつ子
神様は私の願い聞こえぬか 修 市
さっぱりさ貯まるはずない漏れている千代見
ギブス取れ足が自由を取り戻す 由利子
孫帰り今日は茶漬けにしましょうね さとみ
本当の私に戻るノーメイク 奏 子
来ぬ返事 子への留守電いつも無駄 さと子
こづかいが足りてるうちは来ぬ便り さとみ
今月も応募ハガキが行ったきり 五 貫
恋清算 天気予報は明日晴れ やむ茶
さっぱりと君 ぐだぐだとして私 くにこ
扇風機洗って夏をしまい込む 美智代
与党だと口が重たい民主党 尚
二割引きぐらいじゃ客も寄って来ぬ 輝 男
眼帯が取れてさっぱり青い空 由利子
サッパリ系草食男子増えている 二三子
パパが好きお髭をそったパパが好き 三根子
片付けの手間が省ける差押え 博 司
銀行に笑顔で融資断られ 獏 沓
トンコロリ未練残さず逝く予定 俊 枝
整形の後もさっぱり縁が無い 博 司
未練など何もなかったさようなら 恭 子
夕あかね持ってくものは何も無い アキラ
五 客
諭吉さんちょっと見えたがもう居ない長 仁
この頃はより道さえもしてくれず 三根子
無駄な家具捨てれば広い六畳間 二三子
片付けにもったいないは言わせない 光 代
愛情は淡白だけどまだ夫婦 信 一
人 位
光合成重ねさっぱりした体 ふく子
地 位
サイダーとコーラで押した離婚印 アキラ
天 位
黒髪も恋もバサッと切って秋 千恵子
軸 吟
大人の恋おろしポン酢の味わいで 鰹
宿 題 「自由吟」 互 選
⑨身の丈を知って羨むことをやめ 千恵子
⑦言い足りぬ言葉つぶやく帰り道 五 貫
⑤地図のない人生みんな冒険家 哲 也
⑤泣き笑い出来る家族の居る安堵 廣 司
④良い風をつかんでチャンス待っている
義 子
④来ては去る人影街の灯は孤独 輝 男
④いいうわさ聞いて心が温かい 千代見
③秋来るとショパンかモネになる不思議 光 代
③秋刀魚からととのいました炭こんろ 好 子
③好奇心ばかり豊富で実らない 夕 介
③無器用で上手く廻せぬ口車 博 司
③影ひとつ抱え人間らしく生き やむ茶
②閉店へ並ぶ客見て欲が出る よし子
②埋蔵金狙って投資話来る 静 枝
②臍繰りを入れた腹巻き冷やさない 竹 水
②生きてきた加減乗除に今日がある ふく子
②彼岸花律儀を捨てる温暖化 美智代
②終りまで聞かず話の腰を折り 由利子
②後期でもよくぞ越したよこの猛暑 晴 康
②はしごした最後の医者が名医です 恭 子
②もつれ糸解かれた後でまたぼやき まつ子
①誘惑に負けそうになる葡萄棚 さとみ
①本当の夢も現実的になり 由 美
①鼻歌の節に止った赤とんぼ 安 心
①子供は風を連れ直線を駆ける 野次馬
①夏盛りビール飲んでも水の泡 修 市
①頑張るぞ喜ぶ顔が見たいから 可 福
①秋が好きやきいもが好き澄んだ空 弘
①確信を抱いて重くなる林檎 奏 子
①洗車して照る照る坊主窓に吊る 武 人
①水炊きは食べられません野菜高 鰹
①赤ちゃんの涙ミルクの匂いして 洋 未
①釣合いのとれぬ夫婦に裏がある 信 一
①いつになくこざっぱりして出かけた子 こはる
①神輿の手案山子がかつぐ過疎の村 まさ子
①小指から罪は私の全身に 茂 瑠
①夏の花片付け庭も冬支度 二三子
①空間をぬくめる阿吽老の愛 さと子
①葉が落ちて夕日に光る柿の色 敏 子
①母さんが笑えば子らがみな笑う 徳 子