平成二十一年 十五  

於 アイセル21

 

 

 

参加者(順不同)中野三根子、佐野由利子林二三子、川村洋未、増田信一、杉山光代中田尚、稲森ユタカ、尾崎好子、池田茂瑠長澤アキラ、高瀬輝男、望月弘、成島静枝加藤鰹、永田のぶ男、瀧進、曽根田しげる畔柳晴康、岡村廣司、大塚徳子、毛利由美薗田獏沓、内山敏子、小野修市、酒井可福石田竹水、川島五貫、市川重雄、森田安心安田豊子、西垣博司、濱山哲也、中矢長仁川口亘、小林ふく子、鹿野太郎、栃尾奏子滝田玲子、松田夕介、鈴木千代見、那須野正、斉尾くにこ、薮崎千恵子、鈴木まつ子芹沢穂々美、山本野次馬、川口のぶ子、中司、今井卓まる、谷口さとみ、森下居久美萩原まさ子、提坂まさえ、石上俊枝、川村美智代、荒牧やむ茶

宿 題 「マイッタ」 尾崎 好子 選

躓いた石が慰謝料ぼったくる    弘

弟と同級生になった俺      アキラ

マイッタななかなか出来ずマイッタなのぶ男

甘党と知らず地酒でもてなされ   輝 男

ローン組みリストラされて妻は逃げ 信 一

でこぼこと段差に足が泣いている   尚

値切ったがダメよダメだと大声で  のぶ男

きれいねと煽てに乗ってまた買った 信 一

深酔いの父を責めてる幼児の眼   輝 男

あと十円足りないだけで諭吉消え  洋 未

確認をしていなかった角隠し     弘

飛ばされたカツラを風と追い掛ける アキラ

降参の白旗いつも妻へ振る     茂 瑠

七並べ孫にはわざと負けてやり   由利子

五 客

大学を出したが飲んで寝ころがり  茂 瑠

いさぎ良く参りましたと先手打つ  由利子

ぶそくってメシ作らにゃーうちの嫁  鰹

つり革を持ったつもりがにらまれる  尚

腹の底見えてる様な嘘を言い    のぶ男

人 位

哲学と理想を抱いてネットカフェ  アキラ

地 位

バラの束抱かされ痛い想いする   茂 瑠

天 位

空財布 祝儀不祝儀攻めてくる     鰹

軸 吟

老夫婦トイレタイムがぶっつかり  好 子

 

 

宿 題 「ニ ヤ リ」 増田 信一 選

遠くから罠にはまった姿見る    ユタカ

ポケットの当り馬券がやかましい  静 枝

イケメンの写真をいつも持ち歩く  三根子

お代官様あなたには参ります    さとみ

来客が来た特上の寿司を取れ    さとみ

ひとり言ニヤリと笑う春うらら   徳 子

萎れてるバラを小菊が見てニヤリ  ふく子

チンをして料亭の味ほめられる   千代見

背後から覗いた画像ラブシーン   静 枝

ニヤニヤと思い出してはひとり酔う まつ子

ヌード集家族の留守を待ち開く   廣 司

鉄壁の陣に見つけた針の穴     奏 子

サクラとは知らず釣られてくるお客 千恵子

偽善者がニヤリと笑う舞台裏    徳 子

空耳がしてやったりとほくそ笑み  豊 子

冗談のつもりまさかの値引き額   博 司

前チャック開いたままで歩いてる  長 仁

マドンナが俺を好きだという噂   奏 子

ばれぬ嘘ついつい口がゆるみだす  ユタカ

気味悪いうすら笑いのあの態度   晴 康

札束でやさしく頬を叩かれる    輝 男

ライバルが今日は休んでいるらしい 二三子

忘れてたへそくり一枚現れて    光 代

空席の隣に美人二人いる      二三子

ニヤリからニンマリと成る深い仲  好 子

通帳の桁を数えて猫をなで     洋 未

ヘソクリを貯めてサヨナラするつもり 鰹

どうしようおつりがなぜか多すぎる 三根子

ごほうびだ洗濯機から五百円    洋 未

特売品最後の一個ゲットする    恵 三

晩飯はうなぎにとろろ妻ニヤリ    鰹

入試合格今日の太陽一人占め    輝 男

五 客

うす糊のきいたシーツだ何かある  穂々美

足元に転がっていた儲け口     輝 男

白黒を嗅ぎ分け口元がゆるむ    太 郎

俺だけが双子の目玉焼きの朝    卓まる

春一番モンローがいた歩道橋    五 貫

人 位

追い越して行った車がねずみ取り  由利子

地 位

残り物器を変えてそっと出し    由利子

天 位

ひとつぶの涙の効果妻は知る    修 市

 

 

宿 題 「魔  法」 中野三根子 選

政治家が魔法の如く裏の金     廣 司

三面鏡三つの魔法奥に秘め     茂 瑠

チチンプイ変身したい片想い     進

ばあちゃんが触ると痛くない不思議  弘

森ん中魔法使いと鉢合せ      由利子

ミッキーがいつも枕の上にいる    尚

やり繰りに魔法の欲しい月終い    亘

文明の利器より魔女に合う箒    好 子

スリ傷もママの魔法ですぐ治る   二三子

魔法にも似てほそくりを母が出す  輝 男

朝寝坊どこでもドアがあったなら  居久美

シャワー浴び魔法が落ちたシンデレラ恵 三

二度やって二度とも勝った口喧嘩  アキラ

空財布魔法掛けても元のまま    しげる

飲む金は何処からとなく湧いてくる アキラ

出ていかぬ妻は魔法にかかってる   弘

二次会のソファーで魔女に酔わされる竹 水

人生を魔法の力で変えてみる    のぶ子

納豆を魔法の箸が混ぜている    太 郎

見つめ合う鏡へ魔法かけてみる   豊 子

流し目の魔法にころり金縛り    千恵子

朝が来る魔法がとけてしまいそう  千代見

昔から見れば魔法のような今    由 美

イチローの野球の魔力掻きたてる  まつ子

ストレスが溜まらぬ魔法子の笑顔  可 福

妻の持つ杖ではたらき蜂にされ   博 司

虹を見に行くためだけの靴を持つ  さとみ

妻からの電話にパッと醒める酔い  五 貫

ドラ息子嫁の魔法で猫になる    恵 三

五 客

酒一升みんな綺麗になる魔法    可 福

コマーシャル程に効かない育毛剤  豊 子

口紅を塗れば女になる少女     哲 也

地獄耳魔法が住んでいるらしい   二三子

幼な子の黒い瞳が持つ魔法     ふく子

人 位

糸を引く妻の魔法に踊らされ    千恵子

地 位

トリックに右脳左脳を自己暗示   まつ子

天 位

どんな手の魔法も効かぬ楽天家   竹 水

 

 

宿 題 「度  胸」 加藤  鰹 選

度胸ある茶髪痴漢を取り押さえ   玲 子

素っぴんの度胸へ度肝抜かされる  くにこ

真ん中に残った寿司をサッと食う  さとみ

面接で言いたい事を言う若さ    獏 沓

肝っ玉据えて難問くぐり抜け    敏 子

初めてのホヤ酢わたしが毒見する  徳 子

夜の物音にバットを持つ娘     由 美

怖いもの無かった頃の日記見る   太 郎

愁嘆場おんなの方にある度胸    静 枝

いつだって我が奥方の意のままに  修 市

死ぬ度胸無けりゃ極道務まらず   二三子

少し自棄勝負するにはいい形    五 貫

衆目の中で授乳の母になる      弘

カメラマン玉とぶ中を撮影し    光 代

本当の度胸静かな顔でいる     アキラ

いざという度胸女は持っている   二三子

肝試し少し無理する君の前     ユタカ

釈迦の手に度胸預けたままの雨季  茂 瑠

土壇場で娘がみせるくそ度胸    三根子

バーゲンでオバタリアンの眼が光る  尚

覆面のプロレスラーが僕の妻    洋 未

怒鳴ってるあの人実は意気地なし  ユタカ

盛り上がり神様だってこわくない  三根子

定年後度胸試しか丸太乗る     洋 未

肝心な時だけ度胸あればよし    雄 介

草食系持ち合わせない度胸など   恵 三

一か八真ん中投げて後は運     信 一

金などに動かぬ石が持つ度胸    輝 男

家計簿の赤字へ胆を座らせる     弘

二割引もう一声と言う度胸     居久美

バンジージャンプしても口説けぬ恋でした

野次馬

連休の男子トイレの女性陣     さとみ

まだ値切る妻のまわりの人だかり  博 司

いい度胸最前列で舟を漕ぎ     廣 司

堂々とひとつになろう捕鯨国    太 郎

五 客

交差点 右に曲ればラブホテル    卓まる

ラブホテル入る度胸もないくせに  由利子

座りたいでも座れないイスひとつ   尚

恐妻に酒飯風呂と一回は      信 一

「刺青は入浴禁止」誰か言え    哲 也

人 位

進入禁止 書いてあるから入りたい  しげる

地 位

てやんでえ高が百万持ってけえ   由利子

天 位

かみさんに素手で喧嘩を売りにいく アキラ

宿 題 「自由吟」 互 選

⑥口実をうまく丸めて飲まされる  竹 水

⑥古傷に触れない様にマスク掛け  しげる

⑤重要な話になると妻が出る    博 司

④薄型で人の脆さがよく映る    五 貫

④普天間で豆を食らって鳩ぽっぽ  恵 三

④クリームがきれて心が荒れてくる  弘

③日記には書けぬ秘密の夢をみる  のぶ男

③傾いたままで終着駅に立ち    アキラ

③雑巾でなければ心磨けない    哲 也

③忘れたい顔いつまでも忘れない   尚

③行き先の違う切符が途中下車   卓まる

③ひとしきりふる里自慢する土産  獏 沓

③万人に笑みを与えて散る桜    晴 康

③良い噂だったらいいなクシャミ出る千恵子

③ジーパンに恋していますダイエット 進

③傾いたままで終着駅に立ち    アキラ

②ホッチキスで裾上げをする独り者 由 美

②淋しさに勝てます鶴を折れるから 茂 瑠

②赤ちゃんは希望の種をにぎりしめ 洋 未

②天駆ける絆を引っ張る親子凧   重 雄

②銭掴む事が不得手のわたしの手  輝 男

②こじんまりしている割にでかい顔 信 一

①フン公害辛抱しよう巣立つまで  二三子

①梅雨入りと聞くと眉間の皺がより 好 子

①すきなとこちょっとあるからずっと好き さとみ

①躓いた石と定めの泣き笑い    太 郎

①空洞を埋める言葉が見当たらぬ  豊 子

①機が熟すまでならトドの顔でいる 野次馬

①猿山のボスも孤独な時がある   可 福

①連休は家に残されよく眠る    修 市

①真に受けた告白小骨まで抜かれ  まつ子

①種袋収穫の夢書いてある     千代見

①君にだけ付けてみたいな句読点  義 子