第三十五回全日本川柳仙台大会。『復興と祈り』と銘打たれたこの大会に参加してきました。

大会前日に出発した我々一行は被災地の一つ石巻市を訪れました。高速道路を降り、石巻港方面に進む。建物の壁には津波の水位の解る跡。営業している店はコンビニやスタンドのような大手のみ。しかし街並は残っていました。

しかし、ふっと気を抜いた瞬間ガラッと風景が変わりました。何もない。突然視界を遮るものがなくなったんです。見えたのは瓦礫の山の防波堤。真っ黒に焼けた小学校。港付近の鼻をつく異臭。打ち上げられた船に沈下した土地。テレビでは知っていました。しかし実際目の当たりにしたその凄惨さは僕の理解を越えすぎていて、その場で手を合わせることすら忘れさせていました。仙台への車中、静かに亡くなられた方々へのご冥福と復興を祈りました。

 

仙台に到着。夕食に出掛けた仙台の街は若者達で溢れていて、ここだけ見ると被災地とはとても思えませんでした。

違和感のようなものを感じつつ、せっかくの仙台。うま~い牛タンを食べ翌日の大会に備えホテルへ帰りました。

 

大会当日。会場入りをすると大勢の人に混じって見慣れた顔もちらほら。僕らは会場の前の方を占拠。始まりを待ちます。ジュニア部門から始まり、子供らしいユニークな句が沢山ありほっこりとしました。続いて一般部門です。事前投句は全滅でしたので当日句に期待半分、諦め半分。

 

しかし、その時は来ました。選者さんの口から

 『フェロモンが出ている君のまとめ髪』

心臓が飛び出しそうになるのを飲み込み『静岡県 松田夕介!』何とか声を絞り出しました。その後あがり症の僕は大会が終わるまで心臓の高鳴りが止まず、挙げ句びっくりしすぎて腰まで痛くなってしまいました。こうして訳の分らない状態のまま僕の全国大会は幕を閉じたのでした。

開催が危ぶまれていたとは思えないほどの大盛会。大会実行委員の皆さん本当にお疲れさまでした。

その夜は鰹さんの呼びかけにより集まったそうそうたるメンバーによる飲み会。名前は知っていましたが顔を知らない方ばかりです。

乾杯の音頭がとられ始まった宴。引っ込み思案の僕がソワソワしていると真理猫子さんに「しっかりあいさつしてらっしゃい!」と尻をたたかれて各テーブルを回りました。最後のテーブルまで行き、そこで腰を落ち着かせたのですが、そこからが大変。酒のペースが上がり飲んでも飲んでも無くならない。気がついた頃には仙台の街が僕の頭の中でグルングルン回っていました。きっとあの席には酒魔人がいたに違いありません。でも本当に楽しい夜でした。

翌日。帰路につきながら、全国大会で『たすけ』と呼名できたこと。その後の飲み会が楽しかったこと。そして何よりこの目で被災地のほんの一部ですが見て来られたことで色々考えることができて良かったと思いました。

 仙台最高! 川柳万歳! 皆さんありがとう!