「雑  詠」              寺脇  龍狂

原発は恐い株安なおこわい            浜 松

三県の位置を覚えた大地震

見て食べてゴーヤカーテン三利あり

節電はお国のためか領収書

 

 

 

「通 り 雨」               鈴木 千代見

夕立が心を洗うように降る            浜 松

メールくる彼も見ている虹の橋

夕立にしっかり結ぶ赤い糸

通り雨ふたりの恋の通過点

 

 

 

「自 由 吟」                川口 のぶ子

あじさいの梅雨にうたれて色さやか         藤 枝

草むしり私のすべて取りのぞく

のら猫がくさいお荷物置いてゆき

ケータイに遊ばれている影法師

 

 

「核 家 族」                瀧    進

卓袱台も家長も知らぬ戸籍法              島 田

家族愛分ける二世帯テリトリー

思いやりメルトダウンの核家族

盂蘭盆会亡父の小言をなつかしむ

 

 

「彩への思い」                  新貝 里々子

この赤にいつか別れを告げられる              袋 井

真っ白の白は一瞬の出来事

誤解かも許せぬままにきたベージュ

思うことあり今日のわたしはみどり

 

 

「15パーセント」             阿部 闘句郎

炎天下冷や冷や15パーセント               横 浜

午後二時のお天道様に身構える

倦怠期愛情予想使用量

心頭を滅却15パーセント

 

 

「デパ地下」              成島  静枝

デパ地下へ妻のメールが指図する        千 葉

デパ地下の試食手慣れたお父さん

デパ地下へ溶け込みやすいクールビズ

デパ地下で妻の手料理恋しがる

 

 

「自 由 吟」             松橋  帆波

電化製品は談合して壊れ            東 京

扇風機 邪魔臭そうに仕事する

こだわりの蕎麦薀蓄の客で混み

PTA御一行様酔っており

 

 

「夏の長靴」             高橋  繭子

熱帯夜すべてバンザイしてしまう        宮 城

2011年大きなハエが飛ぶ海辺

たのもしい夏の長靴ボランティア

とうせんぼ季節は移り行くけれど

 

 

「こ の 夏」              門脇 かずお

この夏は団扇の風を楽しもう          鳥 取

一匹も金魚がすくえない兄貴

去年とは違う名前で見る花火

三輪車花火のほうへまっしぐら

 

 

「大 花 火」              風間 なごみ

大ジョッキ五臓六腑をノックする        甲 府

尺玉花火と思うプロポーズ

河内節安倍川餅を躍らせる

大花火握り締めたは他人の手

 

 

「自 由 吟」               佐藤  香織

会えるかなあの道すじに彼の家          福 岡

築百年 木の節々も味となり

政治家よ下らぬ節操ふりまくな

洒落込んだ服に普通の街の顔

 

 

「自 由 吟」                 川島  五貫

若作り首から下はすぐ出来る              富 士

無抵抗赤提灯の火が揺れる

大役を終えて季節が澄んでくる

節電のお店怪しい女店員

 

 

「  裏  」                 酒井  可福

裏の裏読まれて友が去っていく              北九州

裏表無くて軍手の様に使われる

口裏が合わぬアリバイ妻にバレ

裏の顔やはり在ったか紳士顔

 

 

「雑  詠」              西垣  博司

一言のおまけで仲がまたこじれ              静 岡

覚悟して出掛け帰りの拍子抜け

あくびするたびに両手を挙げる妻

分譲地高嶺の花が咲いている

 

 

「  旅  」              井口   薫

円高のチャンスに旅券期限切れ               袋 井

突然のリニアに唾を飲んだだけ

高原リフト天国行きはこれがいい

とりすまし値踏みをさせるおしながき

 

 

「  夏  」               濱山  哲也

焼酎をコーヒーで割るラテン系          つがる

女房の冷たい目でもまだ暑い

温暖化先取り老母のフラダンス

変な奴ちらほら夏も佳境です

 

 

「悔 し い」               鹿野  太郎

殴っても止めりゃよかった雨の夜          仙 台

痛ましい獣になっていく家畜

片隅に小川の優しさが残る

決断の朝に鏡はもう見ない

 

 

「自 由 吟」             真田  義子

なんとなく手持ち無沙汰な午後の雨            仙 台

人生のパズルが今も解けぬまま

一枚の地図と出合って旅に出る

素晴らしいドラマが待っていた六十路

 

 

「句 読 点」             小林 ふく子

Tシャツに夏の疲れがにじみ出る        袋 井

残り火を燃やして去った夏の風

少しシックに秋を先取りする帽子

喜寿米寿句読点など打つ構え

 

 

「子  供」                岡村  廣司

目立つのだ躾出来た子出来ない子            焼 津

子の為だ土下座出来ます何時だって

何故と聞く子に返答の出来ぬ時

子が拾う骨だしっかり鍛えとく

 

 

「探  る」                    鈴木 恵美子

古都の旅秘境を探るバスツアー               静 岡

軟らかい言葉が深い穴を掘る

探しものスローライフの日課です

密談へ相手の腹を探りかね

 

 

「疲  労」                    薗田  獏沓

疲労などビールの泡で吹き飛ばせ           川根本町

杯を持てば疲労は癒される

ぐっすりと眠る疲労は大好きだ

西瓜畑疲れを見せぬ日焼け顔

 

 

「夏あそび」              栃尾  奏子

恋一つ浮かべて遊ぶ金魚鉢            大 阪

恋ならば浮いて愛なら沈みます

唇が近づきました夢の中

くちづけの余韻 熱帯夜が続く

 

 

「ド ラ マ」              安田  豊子

凛と咲き潔く散る花の精                 浜 松

咲く花も散る花もある人生路

意のままに七十路を歩くお陰さま

ロス時間やさしいドラマ紡ぎたい

 

 

「雑  詠」               滝田  玲子

テレビの目欠伸居眠りヤジが飛ぶ         浜 松

時代ずれ威光通らぬご老公

支持率アップとすがりたくなる栄誉賞

迎え火に鎮魂の薪燃ゆる夜

 

 

「自 由 吟」              深澤 ひろむ

久に遇いひと夜を深く友と酌む               甲 府

八月の猛暑手をやく旅鞄

言うべきを言った無口の頼もしさ

節々が諭してくれる余命表

 

 

「夏の思い出」             中矢  長仁

毎日を海で過ごした夏休み            松 山

一番に日焼けしたので大会へ

家族連れキャンプに親父腕が鳴る

夏の海ギャルのボディに目が虚ろ

 

 

「夏 休 み」              毛利  由美

節電をしてます汗疹できてます          つくば

この夏は弱冷が標準装備

四十日で何ができるか夏休み

夏休み挟んで馬鹿にならぬよう

 

 

「  蟹  」              山本 野次馬

荒海へ怒りを問うた蟹のつめ           函 南

触覚を折られてしまう修羅の海

ヤドカリが残す綴りかけの日記

蟹歩き正面向いて話してよ

 

 

「赤ちゃん」              山口  兄六

愛玩が赤ちゃんのまま老いてゆく         足 利

熱帯夜コンクリートで抱きしめて

ウミンチュと思った亀は沼育ち

カブトムシいつしか少年は終わる

 

 

「自 由 吟」              石上  俊枝

五葉松我が家の歴史物語る            静 岡

幕が降り生き様晒す過去を美化

古希になる逢いたい自然河童橋

いよいよか東海地震神頼み

 

 

「自 由 吟」              提坂 まさえ

百年を生きてもヒヨコ杉林             静 岡

大樹の陰寄ってみたくて回り道

参考書母さんごめんゲームした

まだまだとアナログテレビかわいがる

 

 

「自 由 吟」              川村 美智代

切り口の樹齢七十生き延びる           静 岡

松の木の我慢強さが邪魔になる

参考書母さんごめんゲームした

まだまだとアナログテレビかわいがる

 

 

「自 由 吟」              安藤 千鶴子

木を使った仮設住宅気も遣え            静 岡

忘れずに主居ぬ庭咲いた花

参考書母さんごめんゲームした

まだまだとアナログテレビかわいがる

 

 

「自 由 吟」              野中  雅生

負けいくさうどの大木強く見え          静 岡

香木は織田にけずられ名が上がり

ナマケルな言ったコーチがさぼってる

なまけるも働き者には難しい

 

 

「自 由 吟」              野中 とし子

年老いて年に一度の墓参り            静 岡

なまけぐせ治す薬でノーベル賞

ボランティア心の中で参加する

沖縄の海の青さよとこしえに

 

 

「自 由 吟」              萩原 まさ子

老桜の樹齢を聞いてかしこまる          静 岡

なまけぐせ治す薬でノーベル賞

ボランティア心の中で参加する

沖縄の海の青さよとこしえに

 

 

「  汗  」               藤田  武人

猛暑日もビール片手に鍋食べる          大 阪

グランドに滴る汗を糧にして

冷や汗をかいて反省するお猿

メロドラマ見ては目にかく汗を拭く

 

 

「深 呼 吸」               大塚  徳子

背伸びしてむんずと掴むレインボー        仙 台

母の面影ふと偲ばるる朧月

あの日からあたふた心揺れている

もう少し生きてみたくて深呼吸

 

 

「自 由 吟」                     馬渕 よし子

この人はラジオ向きだという美声              浜 松

もうケーキ飽きてしまったバースデー

真相を問えばあなたの所為と言う

雑踏の中で孤独がさらに増し

 

 

「盛  夏」               斉尾 くにこ

熱帯夜酔って銀河を泳ぐ魚            鳥 取

わたくしのエイトビートの浪花節

胸の隅夏の匂いを残される

またあした帰ってゆく流れ星

 

 

「舞  台」              奥宮  恒代

ぼけ役の演技で回す夫婦道               森 町

日替りの自作自演に熱演賞

アドリブの呼吸に乱れ三幕目

後編の二人芝居にこくが出る

 

 

「自 由 吟」               内山  敏子

裸っぽみんなはしゃいで川遊び          浜 松

湯上りのヌード鏡に笑われる

こともなげに検査報告するナース

やりくりの家計知ってる貯金帳

 

 

「後期高齢」                  畔柳  晴康

口下手で耳まで遠いでも元気                浜 松

ひと呼吸考えてから返事する

世渡りの下手な仲間で笑い合う

睨んでる鏡に写る俺の顔

 

 

「自 由 吟」              南   天子

逃げていく笑いの神も落ち込めば           焼 津

友笑う私がうつと云う度に

庭の石眺めていたら母の顔

意地出してストレス棒でなぐりたい

 

 

「青 田 風」              鈴木 まつ子

千枚田一枚となる青田波               島 田

青田中ローカル線の無人駅

青田風撫でて仲よき道祖神

見えていてなかなか遠い青田風

 

 

「無  題」                  川口   亘

知らないという事だけは言える義理              藤 枝

まだまだの気概があって生きる知恵

手解きに見せた想いか散る覚悟

また見たい茜の空に手をあわせ

 

 

「自 由 吟」              村越  精也

また出水鮎達どこで暮らすやら          静 岡

散歩犬何度会っても名前聞き

数値よし患者が医者を喜ばせ

節電で夜開けっぱなし腹冷える

 

 

「自 由 吟」                    飯塚 すみと

あのメンバーたちまち決めて温泉に              静 岡

小声では利益少ない朝の経

初嫁の里からメロンの箱届く

韓流のスター保護する日本人

 

 

「自 由 吟」              恩田 たかし

怪談で霊とたわむる夏の夜            静 岡

怖くなりあとあとトイレ行きづらい

寝苦しい娘の足が喉にある

ノーマット舐めた娘が救急車

 

 

「野次馬・リアルタイム」        尾崎  好子

澤ってさ爽やか穂希って誉れ           藤 枝

キーパーのあの右足へど天晴

政治屋が狙う澤さんど根性

澤さんが美人に見えてくる不思議

 

 

「自 由 吟」              増田  信一

手を掛けただけ返事する夏野菜                焼 津

猛暑でも雑草だけは元気です

節電も耐えてみせます戦前派

カタツムリみたいに生きてみたい歳

 

 

「夏 休 み」              森 だがやん

夏休み母ちゃん機嫌悪くなる           島 田

夏痩せを期待してたがまた太り

ヒマワリを肥満わりぃと聞き違い

新しい味覚イカスミかき氷

 

 

「自 由 吟」                    中田   尚

日めくりが秋と言ってもまだ暑い           浜 松

値引き品ばっかり買ってにらまれる

80・20言ってる医者は総入れ歯

再放送同じ所で泣いちゃった

 

 

「自 由 吟」              小野  修市

食欲と暑さ考えトコロテン            静 岡

矢印の示すようには歩けない

猿芝居見てる心がしらけてく

緑だった金の成る木が枯れてきた

 

 

「コンビニ」                林  二三子

太陽を好みひまわり咲き誇る             富士宮

今何が流行りかコンビニで見つけ

古里の水コンビニでよく売れる

コンビニで少し若さを吸ってくる

 

 

「自 由 吟」              荒牧 やむ茶

毎日が女子会みたい九輪草            小 山

あれこれと欲しい時には金がない

朝顔も寝坊をしたい雨だもの

どっこいしょ胡座をかいたザゼンソウ

 

 

「こ の 夏」               森下 居久美

なでしこの勝利に勇気もらう朝            掛 川

恋なんてはかないものさ かき氷

花火ドカン夏の夜空をカンバスに

苦瓜が美味い大人になりました

 

 

 

 

「正直な汗」                真理  猫子

寝返りも規則正しいお父さま            岡 崎

後悔が宇宙遊泳しています

正直な汗をかくから夏が好き

シャンプーで洗い流せる下心

 

 

「ユタカの夏」             稲森 ユタカ

樹に隠れ蝉に紛れて一人泣く           静 岡

ガンガンに蝉の鳴く夏寝不足に

告白を花火が邪魔し期を逃す

海に行く泳ぎはしない眼の保養

 

 

「雑  詠」               勝又  恭子

嘘つきな鏡欲しいと思う朝              三 島

高く積むための底辺広げてる

地元っ子ナビに負けない地図を持つ

正直な心に羽が生えてくる

 

 

「自 由 吟」              佐野 由利子

マンションが建って花火は音だけに        静 岡

冷房が嫌いな妻とひとつ屋根

ボランティア心の中に灯をともす

点滴の雫へひとつずつ祈る

 

 

「防  犯」              川村  洋未

家の中見えない鍵がついている          静 岡

窓あけて風を見ようか今一人

パトカーが町内二周してた朝

チャイム鳴り電話も鳴るが寝てる人

 

 

「  話  」                石田  竹水

夏季休暇貯金引き出すパスポート           静 岡

例えばの話に本音てんこ盛り

孫の読む弔辞に涙しぼり出す

独りでは文殊の知恵が浮かばない

 

 

「雑  詠」              薮﨑 千恵子

親切に甘えて橋を外される            焼 津

群れるのが好きな女の姦しさ

線引きの向こう何やら秘密めく

虚をついて裏口で待つアンケート

 

 

「  谺  」                 多田  幹江

ふぐ提灯言いたいことは何ですか           静 岡

置き忘れ いえ捨てられた傘ですの

朝顔は左まきです変ですか

アレって言えばハイヨって言う谺

 

 

 

 

「金 欠 病」                谷口 さとみ

タンスなど開けてはみるが金はない         伊 豆

天井の板を剥いでもやはりない

ダメ元でふった財布は無論カラ

縁の下もはや我家はそれもない

 

 

「全力で夏」              松田  夕介

縁日の焼きそばの味五つ星            静 岡

縁側にスイカを持ったヒットマン

好きですと言えずカラコロ下駄の音

全力で夏を満喫小麦色

 

 

「  縄  」               池田  茂瑠

妻のメモ簡単すぎて解らない             静 岡

痩身の男チームの柱です

末席に移り愚かな縄を張る

流れですカツラや毛染めなど要らぬ

 

 

「  夏  」              中野 三根子

プロポーズ花火の下で盛り上がり         静 岡

花火より浴衣の彼女気にかかる

青い海白いヨットに彼と居る

母の待つうちわの風はふと止まる

 

 

「  口  」              長澤 アキラ

噛み付いた歯形の残るボーナス日         静 岡

手も足も出さず口だけ出しておく

何はともあれ生きねばならぬ酒を飲む

振り向けば長い言い訳だったなあ

 

 

「放 射 線」              望月   弘

人並みに癌の一つや二つなど           静 岡

二つ目の癌は誰かに譲りたい

レントゲン程で妥協の放射能

放射能ガンと対峙をするがいい

 

 

「時 事 吟」              加藤   鰹

セシウムに秋の味覚が身構える           静 岡

カン蹴りは終わり民主党も終わり

安っぽくなった国民栄誉賞

大連立というより木偶の乱立だ

 

 

 顧  問  吟 

「ああ人生」                  高瀬  輝男

人の和も義理人情にもろさ見せ           焼 津

許されぬ再会思慕は尚募る

生涯を端役先祖もそうだった

雨続き獏も食欲不振です