静岡川柳たかね 巻頭沈思考バックナンバー
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  儚い出会いと別れ      静岡市  池田 茂瑠   

 おそらくもうお逢いする事もないだろう。如才ない女性だった。お名前だけは知っていたが何処のどんな方かは知らなかった。悪口と思えるような冗談も、何回か言ってしまったた。申し訳ございませんでした。校長先生さま。
 この一文を書こうとしたのは、この件が大きく影響していた。知り合いとしては男性より圧倒的に女性の方が多い。次々に現れては消えて行く女性達。極めて儚い縁ではあるけど、いろいろな女性と出会って来た。ある有名学院の奥さん、優雅な和服のモデルさんや書道家の娘さんに当る方、呉服屋の奥さんなどなど、こんな事もあった。髪の綺麗な娘さん、然し次に会ったら縮れている。ここまでは良かったが、その次に会ったらまた素直な髪に戻っている。あれ程縮ませた髪が真っ直ぐになるのかなと不思議に思っていたら双子だった。交互に会っていたのですっかり迷わされた。またある女性のこと、お姉さんは女優らしいという噂がとんでもない方向から耳に入ったので、そっとご本人に聞いてみたら、少し慌てて、お願いだから他の人には内緒にしてとのこと。少し前の事だからもう時効だろう。
 
 またこんな事もある。或る女性と知り合った。少ししてその方のお兄さんと一緒の職場で働くことになったが、彼と結婚したのが僕の女房のお姉さん。彼のお父さんとはよく選挙関係で行動を共にした方。彼の別の妹さんはうちの親戚へ嫁いできた。彼の母親の葬儀に参列すると、以前一緒に働いた女性が近くにいるので聞いてみると、彼のすぐ裏の親戚へ嫁いだとのこと。ややこしくてまるで笠置シズ子の買い物ブギだ。
 名字でも珍しい女性達にお会いしてきた。外側さん、机さん、先生(せんじょう)さん、一円さんは瀬戸内海沿岸にある姓。毛受(めんじょう)さん、牛ノ浜さん(ノが之の名字は知っていたが)、余湖さん(ヨコでなくヨゴと濁る)七夕さん等々。春は出会いの季節、希望に胸を膨らませたいけど、もう年齢的に萎んだまま。別れの季節でもあるけど、無理に絞ってももう涙も出ない。別離には寂しいけど慣れっこになりすぎている。
 こんな身にも小さいけれど会者定離の波は寄せている。どんな出会いと別れが待っているのか。

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(2007/05/26(Fri) 09:25:03)

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