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霜石コンフィデンシャル47  高瀬 霜石

  「歯ブラシ・イン・ザ・ダーク」
 僕は、鞄を五つ持っている。
 一つ目は、当然のこと仕事用。ちっぽけな会社では
あるが、一応社長だから、イロイロある。だからまあ
苦労がたっぷり詰まっている鞄とでもいおうか。
 二つ目は、川柳用。僕は弘前川柳社という吟社の副
主幹なる役目に、会計係も兼任しているので、雑用が
結構多い。楽しみ半分、苦労半分が正直なところ。
 三つ目は、ラジオ用。FMアップル・ウェーブの
「霜石のやじうま川柳」も、もう七年目になる。
 四つ目は、青森行きの電車用。僕は常にJR派。ク
ルマだと本を読んだり、居眠りできないからである。
 そして五つ目は、今回の主役(?)の映画用。なに
せ子供の頃から、三度の飯とおんなじぐらい好きな映
画だから、鞄には「映画を楽しく鑑賞するための生活
必需グッズ」がわんさか入っているのだ。
 まずは、空気枕。一日に映画を何本も観ると、腰に
くる。僕の場合は、前から二列目の席で観るので特に
やっかいだ。椅子と腰の間の空間を埋めるのには、こ
れは必要不可欠なる一品なのである。
 次に、歯ブラシ。もうかなり前の、ある歯医者さん
での会話。(以下、歯医者さんは「歯」に)
歯「一日一回、きっちり十五分歯を磨くのが理想です」
霜「先生。一回十五分は、正直キビシイすね。そこを
 まけてですね。一回五分で三回。都合合計十五分で
 しょ。それで手を打ちませんか?駄目?」
歯「駄目です。一回五分だと、いつも磨き慣れている
 箇所をいつも通り撫でてオシマイでしょ。それが十
 五分やると、普段磨かない所まで、きっちりブラシ
 が入る。だからこそ、効果があるのですよ。これは
 なにも、必ず毎日でなくとも、週に一度でもいい」
霜「フム。となると、先生。映画館で、予告編の時な
 んかに、ちんたら磨くってはどうですかね」
歯「それ、グッド・アイディアだと思いますよ」
霜「でも、先生。ヨダレは、どうしましょうか?」
歯「エッ?あなた、自分の涎が汚いのですか?」
 それから十数年。映画館に行く度に磨いているから
か、僕の歯はどうにか無事。でも、これをフツーの人
が真似するのは要注意。なにせ僕の場合は、歌おうが
靴を脱ごうが、歯を磨こうが、回りに人っ子一人いな
い席。だからこそ出来る行為なのであります。
霜石コンフィデンシャル | Link |
(2007/01/26(Thu) 08:38:05)

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