静岡川柳たかねバックナンバー
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平成二十一年 九月十九日
定 例 句 会
於 アイセル21


席 題 「ぽんこつ」 長澤 アキラ 選
ぽんこつも立派な資源再利用    好 子
ぽんこつが国会を去る秋時雨    由利子
初めからぽんこつだから怒られず  卓まる
此の家も此の住民も老朽化     好 子
少しだけ愛がありますポンコツ車  鐘 雄
ぽんこつが伝え教える生きる術   和 一
腰痛い 肩も痛いし 金もない    鰹
大丈夫三回蹴ればパッとつく    さとみ
ぽんこつをもったいないが化粧する  弘
うちのより良い自転車が捨ててある さとみ
コケそうな音で走ってくるバイク  明 美
ぽんこつの後姿に教えられ     和 一
ポンコツをうまく煽てて働かせ   信 一
 五 客
石段に叱られている老いの足    輝 男
テレビつけうちのポンコツ高鼾   由利子
ぽんこつと小突き合いつつ仲直り  さとみ
ぽんこつの私支える君の杖     さとみ
ぽんこつでも貴方のそばに座りたい しげる
 人 位
ポンコツと呼ぶな昭和を駆け抜けた  鰹
 地 位
ポンコツの二人で歩む余生です   信 一
 天 位
ポンコツにしたくないのは地球です 信 一
 軸 吟
ポンコツになった地球を悔やむ神  アキラ


宿 題 「ほ、で始まる句」 
勝又 恭子 選
ほどほどの幸せでいい君となら    弘
ほっぺたをキュッとつねった帰り道 卓まる
本当は何も無かった朝帰り     アキラ
ボランティアちょっと心のお裾分け 哲 也
ほつれ毛が気になる朝の化粧前   のぶ子
本名で呼ばれ三秒気がつかぬ    さとみ
ほんとかとうまい話の二重底    重 雄
本心は笑顔のうちに隠される     進
ほほほほと仮面で笑うクラス会   博 司
ほころびた心繕う合わせ糸     和 一
抱擁のあと難しい離れ方      五 貫
本当になれたトップにうろたえる  修 市
包帯をグルグル傷がなお目立つ   五 貫
放課後は大人に化ける子ども達   哲 也
ホレた弱みで一生頭上がらない   徳 子
ほめられてチンしたことは言い出せず 千代見
ホッとするこんもりとした婦長の背 太 郎
本気かしらあなたのお口乗せ上手  まつ子
ほめ言葉積極的に人を変え     獏 沓
ほほ笑みの奥の企み読みきれず   敏 子
惚れた分耐える女房の尻の下     進
ほろ酔いが見た事もない駅に降り  廣 司
ほとぼりが冷めるまで待つ深呼吸  ふく子
ほどほどの良さを知らない子が切れる 二三子
惚れられてよりも惚れ込む方が良い 好 子
ほつれ目が隠しきれない倦怠期   明 美
頬にキス袖で拭き取る愛娘    だがやん
誉め上手生徒がピュンと伸びている 可 福
報告書偽装のように書かされる   野次馬
骨のある弟子を心の内でほめ    獏 沓
 五 客
仏とも思う介護の手の配り     アキラ
掘り出した記憶に残るほろ苦さ   和 一
干し芋よ お前もメイドインチャイナ  鰹
誉められて何かあるなと身構える  美佐緒
飽食の世だな胃腸科混んでいる   廣 司
 人 位
本当はガラスでできていた絆    美佐緒
 地 位
本当の事は知らない机上論     由利子
 天 位
星三つだね新米にメンタイコ     鰹


宿 題 『あこがれ』 林 二三子 選
鞄持ち億の話をしてみたい     獏 沓
借金のない生活にあこがれる    たかし
あこがれた夢は果てない片思い   豊 子
クラス会憧れの君影もなし    だがやん
卒業式第二ボタンを狙ってる    千恵子
憧れが木っ端微塵のクラス会    哲 也
あの頃のままでよかったクラス会  野次馬
中流を目指して生きたお母さん   鐘 雄
夢の中憧れの人年とらず      俊 枝
トラさんを実らぬ恋の師と仰ぐ   和 一
あこがれと現実の差に笑う影    まさ子
ためらいも無く空軍へ憧れた    廣 司
片思いドラマを綴る日記帳      進
風に乗り越えてみせたい天地人   まつ子
赤門の前で胴上げされた夢     静 枝
あこがれのスター夢見て親を捨て  輝 男
お姫様抱っこしたいが妻重い   だがやん
成人になればお酒が飲めるんだ   長 仁
ちらし裏二三通りの間取り画き   獏 沓
堪え忍び生きて自由に憧れる    由利子
六十を過ぎて未来へ夢を持ち    修 市
あこがれの服試着室だけにする   千代見
裕ちゃんはいのち小樽へ二度三度   弘
あこがれの仕事につけて靴を買う  洋 未
あこがれの制服旨にリボンゆれ   洋 未
あこがれた人も何処かで老いている 敏 子
今はもうできないことにあこがれる 恭 子
 五 客
オットセイ人間なみの手がほしい  のぶ男
こんなにも夢中にさせる今日の君  三根子
口下手な僕 落語家になった夢   竹 水
バク転をしてもキムタクにはなれぬ  鰹
顔埋める胸とくびれと揺れる腰   さとみ
 人 位
ドキドキが同じ電車で加速する   まさ子
 地 位
幼稚園お花屋さんの夢を描く     弘
 天 位
のんびりと田舎ぐらしをする余生  千恵子


宿 題 「若  い」 高瀬  輝男 選
若者に伍して鍬振る祖父の意地   豊 子
新米の医師の白衣が白すぎる    由 美
まだ若い過信の駅を胸に持つ    茂 瑠
アルバムに夢を語った顔並ぶ    千代見
若いだけただそれだけでモテた頃  卓まる
まだ若いそんな気になる巣鴨駅    薫
何にでも若さを武器にしてしまう  千恵子
徹夜明け元気に朝をたつ姿     卓まる
老人は過去を若者今を食べ      薫
若者の掌 明日の夢掴む      由利子
老けること知らないボクの恋ごころ  弘
シナリオにない少年の正義笑む   さ き
失言の責めが若さに救われる     進
若いのねそんな言葉を耳にする    亘
ギャル達のパワーを食べている元気 竹 水
少年の憧れているパラダイス    鐘 雄
言い訳は若い者ゆえあと出ない   晴 康
今どきの若さをなじる几帳面    美佐緒
欠点も魅力に見えた若かった    しげる
未来地図ピンクの和紙に描く少女  鐘 雄
声変わりして十代がジャンプする  穂々美
大変だ じいちゃんがまた恋をした   鰹
若き日の二人にもどる月見草    敏 子
恋という不老長寿の薬呑む     和 一
日本の顔が少しは若くなり     修 市
 五 客
まだ若い若いと呪文唱えてる    哲 也
短パンの脚すっと伸び夏の浜    穂々美
若かった怖いものない一気飲み   長 仁
勇み足有ってもいいさ若い内    廣 司
若夫婦古いしきたり打ち破り    廣 司
 人 位
少年の一途が走る明日の夢     アキラ
 地 位
ちぐはぐなファッションがいくギャルの街 千恵子
 天 位
若い時 苦労買ってもやってみろ   たかし
 軸 吟
改革の狼煙若者うち上げろ     輝 男


宿 題 「自由吟」  互 選
Iうっかりと風に聞かれたひとり言 千代見
G泥んこを笑うしかない子の元気  二三子
Gオクターブ下げた話に耳が寄り  由利子
F忠告を素直に受けて丸い月    千恵子
F回り道してから気付く幸せ度   和 枝
Eほろ酔いの夜はなんだかサスペンス 義 子
D砂糖壷自分のフタは固くしめ   洋 未
Dこう言っちゃなんなんだがと出る本音 五 貫
C連れ添った妻が墓には回れ右   信 一
B恋をしてまた新しい趣味をもつ  恭 子
B価値観が違ってました定年後   好 子
B赤ちゃんに笑われるのはいい気分 由 美
B言い過ぎて渇く心へコップ酒   竹 水
Bひっそりと生きてる杖に差す朝日 太 郎
A逆さまの自分を笑い深呼吸    卓まる
A少年の眼は明日を疑わぬ     アキラ
Aホスピスの友に笑いのプレゼント 可 福
A共白髪介護するやらされるやら  博 司
A入院の親方見舞うアミダくじ   漠 沓
Aちびちびと二リットル飲む検査薬 長 仁
A真っ青い空に元気と書きたくて  ふく子
@一日でどっち向いてもハトだらけ  尚
@脳死までキレイな嘘で生きのびる 輝 男
@見た目より実はデリケートな私  明 美
@ささくれた心癒しの一行詩    よし子
@楷書体崩さぬ父の駅がある    美佐緒
@セールスの手中にはまるロハの品 静 枝
@のりピーのファンではないが凹みます 哲 也
@おまけだけほしい本を買っている 徳 子
@肩書きを錦と纏い天下り     廣 司
@ダイエット名残りの皺が憎らしい  進
@物忘れ奥歯で物が吐き出せず   まつ子
@カナリヤも私も愛の歌忘れ    茂 瑠


参加者(順不同)谷口さとみ、今井卓まる
増田信一、山下和一、勝又恭子、佐藤明美
長澤アキラ、川村洋未、望月満月、中田尚
尾崎好子、佐野由利子、望月弘、望月鐘雄
永田のぶ男、加藤鰹、曽根田しげる、瀧進
林二三子、中野三根子、高瀬輝男、川口亘
大塚徳子、内山敏子、小野修市、中矢長仁
鹿野太郎、加茂和枝、薗田獏沓、西垣博司
毛利由美、池田茂瑠、川島五貫、市川重雄
井口薫、鈴木まつ子、竹内さき、酒井可福
小林ふく子、篠原久、真田義子、濱山哲也
芹沢穂々美、鈴木千代見、藪崎千恵子、中
川司、山本野次馬、戸田美佐緒、岡村廣司
馬渕よし子、川口のぶ子、提坂まさえ、川
村美智代、森だがやん、石上俊枝、萩原ま
さ子、恩田たかし
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(2009/11/07(Fri) 15:52:49)

平成二十一年 八月十五日
定 例 句 会
於 アイセル21


席 題 「震える」  池田 茂瑠 選
ビルの窓掃除の人が揺れている   三根子
さよならを言って震えている心   アキラ
ぶるぶるとしている割に目が据わる 信 一
何気ない一言だけど震えてる    しげる
老い猫が揺れに合わせている地震  明 美
深呼吸震えを止めていざ勝負    恭 子
サヨナラを無言で伝える震える手  卓まる
緊張を隠しきれない手の振え    恭 子
初恋の出会いは確か震えてた    のぶ男
言い訳はしどろもどろの震え声   由利子
ケータイが振え門限近づいた    洋 未
覚醒剤蒼いうさぎが震えている    鰹
初めての振りして震え喜ばす    卓まる
宝くじ十番違いでも震え      信 一
総裁の失言 党が青くなる      弘
署名する誓いの言葉指震え     和 一
五 客
言い訳の声が震える午前様     和 一
ロボットがガタガタ震え電池切れ  のぶ男
地震より妻の噴火の方恐い     信 一
隠してもダメだよまぶた震えてる  恭 子
駿河路に寝起きの悪い鯰いる     弘
 人 位
手の震え文字にならないラブレター 和 一
 地 位
震度六揃いのカップ真っ二つ    好 子
 天 位
宿帳へ妻と書き込む手の震え     弘
 軸 吟
強烈な震えのパンチ受けた朝    茂 瑠


宿 題 「マイッタ」 増田 信一 選
弱点の臍を握っている女      美佐緒
マイッタないくら飲んでもまだ飲める のぶ男
別れたい女が産むと言い始め    由利子
大声で内緒話もままならぬ     千代見
盆休み豆台風がやってくる      鰹
端っこを捕っては批判するカラス  まつ子
政治家が足を引っ張る手本見せ   廣 司
三人の娘揃って彼氏無い      博 司
マイッタね男と女分からない    和 枝
妻の留守醤油の場所がわからない  さとみ
名人もまいりましたと母の味    洋 未
ボーナスと交換長い夏休み     明 美
優しいね恐いね私どちらだろ    まさえ
腹が鳴り妻に白旗また揚げる    哲 也
何度でも読まされ絵本疲れ果て   玲 子
冗談が的中ピンと張る空気     五 貫
幼児用化粧セットがあろうとは   博 司
大げさに見せてルーペの泣き上手  美佐緒
ハイキング弁当開けて箸が無い   長 仁
来るたびにパワーアップをしてる孫 静 枝
内輪揉めペラペラ孫が喋りだす   千恵子
マイッタな雑魚寝の相手情が濃い  穂々美
箱入りの娘ガードが堅過ぎる     進
一匹の蚊に悩まされ悩まされ     薫
そっぽむく女心の複雑さ      香 織
カタカナと略語に爺は孫に負け   晴 康
マイッタな方程式で解けぬ恋    穂々美
マイッタな何て言ってる自慢顔   恭 子
バタンキューマムシドリンク効かぬ夜 和一
土砂くずれすべて流して土砂残る  のぶ男
ひとのみにしたのが疑似餌だったとは 薫
先を読み親を持ち上げレジを出る  俊 枝
 五 客
正直なハカリにいつもしてやられ  ふく子
マイッタと今日一日を閉めて幕   アキラ
切る言葉見つからぬまま長電話   二三子
勲章が邪魔して羽根を使えない   茂 瑠
なけなしの知恵をカラスに見抜かれる太 郎
 人 位
新築のローン残して土石流     可 福
 地 位
槽糠の妻が起こしたストライキ    進
 天 位
老いるとはこういう事か又忘れ   ふく子
 軸 吟
親小言 子が文句言い 妻が愚痴    信 一


宿 題 『蝉しぐれ』 曽根田しげる 選
蝉しぐれ熱中症にご用心      由 美
負けないで背中押すよと蝉しぐれ  洋 未
補聴器をはずし悠然蝉しぐれ     弘
蝉しぐれ好きだと言われ聞きのがす ふく子
終戦忌蝉の読経の啼き止まず    廣 司
蝉しぐれうるさいと妻おまえこそ  信 一
弾む声一緒にはしゃぐ蝉しぐれ   さとみ
蝉しぐれ駆け込み寺のあるところ  美佐緒
蝉しぐれ私の夏を自己主張     和 枝
夏の朝目覚まし代わり蝉しぐれ   香 織
幼稚園元気を競う蝉しぐれ     重 雄
無人駅むかえてくれた蝉しぐれ   玲 子
雨上がり安心したか蝉しぐれ    のぶ子
蝉しぐれ防音装置つける森     穂々美
蝉しぐれ慰め呉れる待ちぼうけ   晴 康
勤行の僧に負けじと蝉しぐれ     進
宿題は終わったのかと蝉しぐれ    鰹
初めてのデートの彼と蝉しぐれ   三根子
蝉しぐれわずかな命クーデター   敏 子
駄々っ子の泣き方まるで蝉しぐれ  千恵子
蝉しぐれ蝉もとどろに百万遍    まつ子
立ち話伴奏入れる蝉しぐれ     晴 康
不況風止めよと叫ぶ蝉しぐれ    竹 水
蝉しぐれ今年は聞いてすぐに秋   修 市
世間とは何故にうるさい蝉しぐれ  徳 子
候補者へ腹で声援蝉しぐれ     重 雄
蝉しぐれ水琴窟が聞こえない    長 仁
耳鳴りとデュエットで聴く蝉しぐれ 静 枝
思い切り鳴いて浮き世の蝉しぐれ   亘
選挙カーうぐいす嬢がセミになる  千恵子
一生を太く短く蝉しぐれ      敏 子
甲子園予選の後の蝉しぐれ     修 市
口下手の命をうたう蝉しぐれ    和 一
蝉しぐれ消えた合図で君と会う   卓まる
きのう今日あしたへ命蝉しぐれ   好 子
ため息も愚痴もかき消す蝉しぐれ  和 一
 五 客
短命を謳歌している蝉しぐれ    由 美
蝉しぐれ芭蕉の耳になっている    弘
ペチャクチャと女三人蝉しぐれ   由利子
蝉しぐれ今輝いている命      アキラ
妻の愚痴シャンシャンシャンと降りそそぐ 鰹
 人 位
繁華街ワインと踊る蝉しぐれ    のぶ男
 地 位
椅子取りの政治が止まぬ蝉しぐれ  竹 水
 天 位
かみさんと良い勝負する蝉しぐれ  アキラ
 軸 吟
金魚の墓 孫の涙へ蝉時雨      しげる


宿 題 「そわそわ」 望月  弘 選
誰を待つ目立たぬように駐車場   卓まる
切り札を秘めて勝負の舞台裏    アキラ
バスツアートイレに並ぶ長い列   二三子
四苦八苦落ち着き無いと野次が飛ぶ 晴 康
人の字を呑んでそわそわ初舞台   千恵子
老らくの恋浮き浮きと杖忘れ     進
ライバルが先に十八番を歌いそう  太 郎
聞こえないはっきり好きと言ってみて 茂 瑠
あちこちで椅子が揺れだす異動時期 千恵子
母でんと父そわそわと子のデート   薫
婚約か彼氏を連れて来ると言う   竹 水
初デート勝負パンツの準備よし    鰹
地震には弱い我が家の揺れ具合    亘
隠し事しているらしい目を逸らす  長 仁
デビュー戦ビキニの彼女すぐそこに 洋 未
エンジンの音が止まった初デート  野次馬
マニフェスト落ち着いてなどいられない 静 枝
待合の椅子で結果を待つカルテ   美佐緒
マドンナが横に座ったクラス会    薫
たい焼きの白さになぜか落ち着かぬ 修 市
分娩室いまか今かと待っている   由利子
 五 客
ビアガーデン幹事は雲と睨めっこ  竹 水
プロポーズ今度こそはと待っている 三根子
そわそわと新婚初夜は無重力    哲 也
決算期人事異動が気にかかる    明 美
そわそわと花から花へ目が移る   徳 子
 人 位
きっと手が込んでいるんだ誕生日  太 郎
 地 位
待ちぼうけ駅の時計は合っている  のぶ男
 天 位
へそくりの近くで妻が掃除する   信 一


宿 題 「自由吟」  互 選
G急がない次の電車も明日もある  獏 沓
Fこんな時笑顔作れるのが取り得  茂 瑠
Eなごやかな気持で書いた丸い文字 博 司
D夏祭り足の先から阿呆になる   アキラ
C家族にも本音を言うときらわれる  尚
C入れ知恵が邪魔をしている仲直り 千恵子
Cおはように返答がない死刑だな  五 貫
C正直に生きると向かい風が吹く  恭 子
C又会える人さよならがさりげない 敏 子
B方言で口説かれたからついてきた さとみ
B近頃の雨は短気に降ってくる    弘
B意思曲げずラセン階段登り詰め  竹 水
A母に似てうちの野菜も真ん丸い  哲 也
A吊橋の真ん中へんで貝になる   由利子
A爪に火を灯す昔に戻れない    可 福
A快復へ化粧の窓に灯が点る    ふく子
A追い風を待っているのに向い風  和 枝
Aお隣の犬が我が家の番もする   由 美
A腹七分 薬の分をあけておく   のぶ男
@もう駄目は言わないにするまだ出来る 二三子
@観覧車二人で乗った空が好き   三根子
@まばたきをする間に伸びる梅雨の草 千代見
@蝉の殻マンションまでの道しるべ 穂々美
@今を翔ぶ帽子かぶって闊歩する  まつ子
@ぐったりのキュウリ息づく如露の水 玲 子
@平泳ぎばかりで飽きる熱帯魚   義 子
@ピチャピチャとはしゃいでみせる金魚鉢 野次馬
@ポリープがあると言われて凍りつく 長 仁
@コンビニも油断しないで行く娘  太 郎
@貼るだけで効かぬ公約用がない  重 雄
@魂が乾くと形相まで変わる    廣 司
@吸った息止めてメタボは臍回り  静 枝
@色恋もあって人生花を添え     進
@十六も違うまつ毛に一目ぼれ   卓まる


参加者(順不同)今井卓まる、長澤アキラ
増田信一、山下和一、勝又恭子、佐藤明美
佐野由利子、川村洋未、池田茂瑠、中田尚
尾崎好子、中野三根子、望月弘、石田竹水
永田のぶ男、加藤鰹、曽根田しげる、瀧進
成島静枝、畔柳晴康、岡村廣司、大塚徳子
林二三子、内山敏子、小野修市、中矢長仁
鹿野太郎、加茂和枝、薗田獏沓、西垣博司
毛利由美、佐藤香織、川島五貫、市川重雄
井口薫、鈴木まつ子、滝田玲子、酒井可福
小林ふく子、川口亘、真田義子、濱山哲也
芹沢穂々美、鈴木千代見、藪崎千恵子、中
川司、山本野次馬、谷口さとみ、戸田美佐
緒、川口のぶ子、提坂まさえ、川村美智代
石上俊枝、萩原まさ子
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(2009/10/07(Tue) 15:44:31)

▼静岡たかね川柳会前代表・平山虎竹堂氏は、本年九月二十五日、老衰により逝去いたしました
葬儀は九月二十七日、静岡市内の顕光院において、職場関係者、川柳界、町内外多数の参列者のもと厳粛に執り行われました。当会からも柳沢平四朗顧問をはじめ、望月弘副会長、曽根田しげるさん、望月満月さんらが参列して最後のお別れをして来ました。

献  句
永遠にたかねへ虎竹抄は生き 曽根田しげる
墨痕の鮮やかなりや虎竹堂   望月  弘
幾万の名句遺して竹は折れ   高瀬 輝男
虎の威はもう借りられぬ秋の雲 加藤  鰹
筆匠の天寿は円い川柳(うた)を埋め  柳沢平四朗

故人の生前のご交諠に対し、改めて厚く御礼申し上げます。
        静岡たかね川柳会



 平山虎竹堂川柳 珠玉抄
        加藤 鰹 整理

天地溌剌 大根の白と青
汽笛一声青虫のゆく山野
全艦出動かたつむり天を衝き
仕事仕事なんだこの汽車窓がない
針仕事の母は菩薩にどこか似る
偉大とは男に乳房あるごとし
砂糖さらさら粉雪さらさら子の眠り
鈴虫へ子なき夫婦の膝が冷え
酒ちびりちびり琥珀の詩を綴る
縄のれん空いているのは僕の席
セレナーデ絵になる月の道を酔い
妻だって僕が飲まなきゃ淋しそう
玉砂利の音で日本の夜が明け
金婚の蓼食う虫を笑いあう
腹心の部下を疑うとき落ち目
とある日のとある嘘から運がつき
今日生きる今日はどの面冠ろうか
虹のはしわたる行進曲を抱き
集団の威力保険屋束で来る
文鎮のようで会長それでよし
照る坊主ニッコと予報くつがえす
コスモスの窓 恋かしら恋かしら
どんなふに下駄がへろうと楽天家
赤とんぼドレミハに翔ぶ秋の唄
広重の葦のあたりをバスに揺れ
碧空の高さでキリン子と遊び
濁音がない与太郎の靴の音
水より青く空より碧く河童御機嫌
青鬼に無二の友あり赤い鬼
       句集「天地溌剌」「蓼食う虫」より


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(2007/11/26(Sun) 08:17:12)

川 柳 広 場 全国誌に学ぶ
      担当   山口 兄六



双     眼( 青森 )23号
目薬の冷んやり落ちる星祭      薫
と も し び( 宮城 )19号
象の記憶にずぶ濡れの少年兵    かず男
川 柳 ポ ス ト( 新潟 )489号
毒舌の根っこに迫るコンバイン    潔
甲  斐  野( 山梨 )317号
チンポコを皆で確認する産湯    信二郎
ふ ぁ う す と( 兵庫 )903号
トーフの角に頭ぶつけている猛暑  すみれ
天  守  閣( 大阪 )708号
コーヒー香り別れの手紙書き終える 紀 世
銀     河( 東京 )77号
テポドンがあるからボクは不死身だよ 梢
川  柳  人( 岩手 )869号
もやしっ子キレるムカつく風の中  恭 一
は  す  だ( 埼玉 )作品集1号
無を放つ矢から生れる男唄      昇
仙 台 な ん ぶ( 仙台 )275号
ギロチン首に聞きたいのは史実   二 郎
海     峡(いわき)351号
背のチャック甘える場所についている 日生
翔   ( 三重 )43号
充電に来た図書館は死んでいる   一 舟
能     因( 白河 )765号
月見草星の雫に濡れて咲く     美津子
川柳文学コロキュウム( 大阪 )20号
猫は全て許しておらず抱かれてる  さわこ
風   ( 埼玉 )58号
セーラー服さらば今日から水仕事  美 江
柳     都( 新潟 )693号
抜け殻に行方不明と書いた蝉    冬 彦
宮  城  野( 宮城 )708号
行く行くはとそんな風船買いました マサ子
美  す  ゞ( 長野 )683号
おばさんが女神に見えるクジ売り場 忠 幸
つ く ば ね( 茨城 )189号
鬼ごっこ手の鳴る方へ行っちゃダメ 晴 美
紫     波( 岩手 )274号
ドウシヨウゲートボールニ誘ワレル みどり
オ ホ ー ツ ク(北海道)404号
手触りが良すぎるきっと毒がある  健次郎
Midori ( 愛知 )521号
ゼンマイの男カタカタ鳴っている  茂 生
時事作家協会 (神奈川)96号
青春の二態球児とボクサーと    貞 勇
三 日 坊 主( 福島 )245号
昨日まで折り目正しい日本人    正 静
ぬ か る 道( 千葉 )43号
匿名にすると反対派に回り     久 光
も  う  こ( 仙台 )419号
誰もいないとてもやさしい喫茶店  八千代
路   (神奈川)512号
正直に生きて化粧も濃くなって   サイコ
そ  ら  ち(北海道)438号
別れには少しみじかい滑走路    美津子
ち     ぬ( 大阪 )498号
更年期女発酵する時間       あかね
川 柳 人 生( 新潟 )163号
シュレッダー私の愛もあの中に   ひとし
松 代 川 柳( 長野 )106号
子の胸に住む地下足袋の母の詩   し ま
銀  の  笛( 秋田 )152号
きみはもう眠ったらしい 月あかり ヒサト
白     梅( 東京 )195号
やらせだと分かった涙すぐ乾く   春 雄
犬     吠( 千葉 )381号
竹光で芸能人が斬る世相       暹
せんりゅう弥生( 白石 )95号
曼珠沙華素敵に赤い媚を売る    かほる
さ い た ま( 埼玉 )562号
回り道だがこの道が好き      美 文
す ず む し( 秋田 )368号
花火みな君と僕とに向いて咲く   啓 子
港   (神奈川)473号
スタミナと脳の油ぎれのコラボ   蓉 子
川 柳 東 京( 東京 )542号
先着の一名様が今の妻       桂 馬
家   (いわき)429号
今出来ることは今しなさい恋も   明 子
べ  に  花( 山形 )534号
中流層地盤沈下が止まらない    ミヨコ
川柳倶楽部 %( 京都 )056号
ヒロシマの夏クレヨンが焦げている 作二郎
下     野( 栃木 )1655号
九回の裏へトイレを我慢する    信 昭




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(2006/10/26(Wed) 07:24:41)

川 柳 広 場 全国誌に学ぶ
          担当 望月  弘



柳     都( 新潟 )692号
あの人とならば裸のままでいい   洋 子
林     檎( 青森 )484号
生き方が違うだけです左ネジ    霜 石
銀  の  笛( 秋田 )763号
すっと出たギャグが空気を柔らげる 一 尾
川柳倶楽部 %( 京都 )055号
結局は元素記号のすれ違い     ゆみ葉
そ  ら  ち(北海道)437号
また背くかも知れないが水を遣り  良 一
甲  斐  野( 山梨 )316号
ホスピスの窓と約束した夕陽    和 子
銀     河( 東京 ) 75号
地球儀の心音核に乱される     静 枝
ち     ぬ( 大阪 )497号
人形になれる時間が妻にある    元 紀
さ い た ま( 埼玉 )561号
神棚の下に動かぬ過去がある    周 平
べ  に  花( 山形 )533号
重い日も軽い日もある掛ふとん   土筆坊
翔   ( 三重 ) 41号
真っ白な空へどきどきする呼吸   まゆみ
midori ( 愛知 )520号
ともだちのままでいようと非常口   進
さ ざ な み( 愛知 )468号
包装紙みたいに美女は隙がない   勢津子
松 代 川 柳( 長野 )105号
肩の荷を下ろすとボケてしまいそう 伸 章
白     帆( 東京 )338号
躓いた石の目鼻に睨まれる     正 治
も  う  こ( 宮城 )417号
アドレスの一人を消している時雨   孝
海     峡(いわき)350号
裏表ない友がいて波がたつ     通 枝
北     貌( 青森 ) 23号
嘘をつく何と疲れることでしょう  秀 子
下     野( 栃木 )1654号
母ちゃんの名で売れている道の駅  葉 月
ぬ か る 道( 千葉 )226号
腹の子はあなたの愛の領収書    克 美
時事川柳協会 (神奈川) 95号
赤札を世間が付ける売れ残り    正 俊
川 柳 人 生( 新潟 )162号
照り付ける日除けの傘は女子専科  一 郎
三 日 坊 主( 福島 )244号
だとしても正直者を通したい    正 静
オ ホ ー ツ ク(北海道)403号
ぬくもりのさめないうちに切手貼る 風 子
隗   (神奈川) 36号
ポケットに入るくらいの海を持つ  鹿 声
ふ ぁ う す と( 兵庫 )902号
見ないふりやさしい風のかたちして 里々子
川 柳 ポ ス ト( 新潟 )488号
口止めをすれば外れる裏の木戸   子 燕
川 柳 東 京( 東京 )541号
生意気な虫が晩酌どきにくる    和 子
紫     波( 岩手 )272号
消しゴムのとれた鉛筆まだ削る   はじめ
港   (神奈川)472号
幸せはこんなものかと米を研ぐ   ふじ子
家   (いわき)428号
団子より花と只今ダイエット    かくら
水     脈(北海道) 13号
耳からの春うぐいすに乗ってくる  はる香
仙 台 な ん ぶ( 宮城 )274号
土壇場でトレードされたこともある 智恵子
す ず む し( 秋田 )367号
細い釘優しく打つと曲がらない   まさ子
美  す  ゞ( 長野 )682号
心にもテトラポットを積んでおく じゅんこ
柳都にいがた ( 新潟 )280号
このままでいいのか妻を泳がせて  誠 治
宮  城  野( 宮城 )707号
神様を頼りすぎてるふしがある   我 流
能     因( 福島 )764号
幼な児に戻る母の手白すぎる    一 枝
つ く ば ね( 茨城 )188号
いす取りに似て団塊のサバイバル  紀伊子
蘭   ( 福島 )249号
ともだちのままでいようと非常口   進
犬     吠( 千葉 )380号
ほどほどに雨季と乾季がある自伝  春 枝
文 遊 吟 社( 福岡 )010号
リハビリのお陰で君の名が呼べる  朱 鷺
揚 巻 の 会( 東京 )468号
湯舟から何があったかマイウエイ  帆 波




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(2006/09/25(Sun) 21:21:41)

「夢 の 泣」            吉村 小名樹
蛇の道を知ってる友にあしらわれ       静 岡
こだわりを持つ性格で孤独好き
ついむきになるから群れに入れない
地の底を這う夢を見てうなされる


 「気  象」            石田  竹水
平成の下駄では天気占えぬ         静 岡
恋をして心は晴れている梅雨日
天の川氾濫 恋が溺れちゃう
暑い日々行水もまたおつな涼


「聖  戦」            増田 まさし
兵卆の命一銭五厘なり         静 岡
勝戦信じた傷がまだ疼き
聖戦の悪夢拭いても拭っても
敗戦の痛み薄れて見る九条

「祝・たかね四百号」        金田 政次郎
四百号綴るたかねの花明かり        静 岡
手で撫でて四百号の木霊訊く
その先を見据えくす玉未だ割らず
鍬と鎌四百号に在る稔り


「四〇〇号に・・・」        中田   尚
たかね発四百号の大花火           浜 松
一歩ずつ五百号へのあたたかさ
大輪へあせらず種をまき続け
恋人は十七音とたかね誌と


「めでたいのがお好き」祝四〇〇号   増田  久子
どう略しても寿の字は笑う          焼 津
鶴亀のどちらがお好きわたし亀
寿の文字も明るい四号車
長生きをしましょうジャンボ当るまで


「自  由」            滝田  玲子
八月の空にゆきつく海ゆかば          浜 松
金になる話になるとつむぐ口
好況のかげで人間使い捨て
うわさ話パラソル回す炎天下

「バイキング」            石岡  正司
バイキング年はとりたくないものだ   大和高田
急かぬ身へ四季の移りの早いこと
二人だけ乗せて夜空の観覧車
清水市は消えたが山本長五郎


 「浮  草」            田制  圀彦
もげた鼻置いてピエロは消えました      千 葉
喋れない九官鳥でございます
螢火の青さいのちの答です
蹴飛ばしてやりたい影が泣くのです


 「ボクシング」           松橋  帆波
拳闘という語が死んだ日なのかも      東 京
親子愛なのか角兵衛獅子なのか
儲ければいいに似ている勝てばいい
この上にパレードという挑発か


  「自 由 吟」              寺脇  龍狂
いつ出るか平成ママの第一号         浜 松
名前ではやさしい母に見えるのに
NHK律儀に見せるプロ野球
オシムらくジーコの時もそうだった

  「いちご白書」           ひとり  静
妖精も人魚も魔女もいた時間        奈 良
モノトーンでも呼び水になる 痛い
水色を捕まえるまでチューニング
葱きざむいちご白書が遠くなる


 「不  安」             阿部 闘句郎
制帽の不安漲る頭蓋骨            神奈川
脳みそを叩いてみたくなる不安
青春の不安張り付く受験票
翻訳のできない妻のヒステリー


  「  運  」            薮ア 千恵子
脳味噌を足してじっくりまぜ合わす       焼 津
付いてるね言われじっくり手相見る
この運気逃げないように蓋をする
絶好調今から恐い下降線


 「自 由 吟」            風間  和子
ご親切度を越し取れぬ厚化粧         甲 府
反対を押してっぺんでうな垂れる
逢うまではルンルン後のせつない胃
よく似てる言われて憎い子の口調


 「  夏  」             新貝 里々子
一日をパジャマですごすクールビズ      袋 井
半額のシールのついたおすしです
炭酸水のようなビールでないビール
だらだらと残り少ない日を生きる


 「軽  い」            高橋  春江
紙コップ軽い話がよく似合う         袋 井
脇役はいつもヨイショで日が暮れる
指定席例のアハハは抑えよう
新聞を見出しで了る日もあって


 「脳ドリル」             井口   薫
鯖読んだ歳あばかれる脳ドリル         袋 井
グーチョキパー脳年齢へ背伸びする
ありがたや右脳へ旅を処方され
一陣の風を呼び込む脳ドリル


 「ラ ン チ」             横山  昌利
身ぐるみを剥がれて軽いおとこです   相 馬
無精髭 夏の陽射が剃り落とす
子のいない庭でお子様ランチ食う
単純なもつれが見えぬ熱帯夜



「遠 花 火」            堀内 しのぶ
遠花火女の迷路出口なく           焼 津
遠花火狂いをかくし見る女
遠花火いっしょうけんめい語りかけ
ふっ切れた影が疼いた遠花火


 「野バラの愛」     柏屋 叶志秋
インクないペンで書いてる自己主張   山 形
愛さねば泣かずに済んだ散る野バラ
大宇宙吾が命などゴミのよう
一呼吸おけば許せることばかり


「母  娘」            成島  静枝
陣痛のつらさおんなはすぐ忘れ      千 葉
月満ちるいいなおんなは子が産める
ズッシリと寝た児が重い子守り唄
子育てを楽しみなさい今だけよ


  「座 布 団」            田原  痩馬
座布団の裏にあるのが儂の貌          熱 海
座布団へヒマに咲かせる札の花
座布団が舞う時なんとか大相撲
座布団に本音を詰めて妻は逝く


「獅子座の季節」           高橋  繭子
子どもらの歓声にある波しぶき        大河原
大都会半裸や全裸混じる夏
ギラギラの太陽ふしだらノススメ
挑んではならぬ獅子座の女には


 「ケセラセラ」            戸田 美佐緒
大根の首を洗いにくる家裁          さいたま
恋人の肩越しに見る百日紅
目覚ましを捨てるか夜のうで枕
へその緒を切られ河童に戻れない


 「交 差 点」             真田  義子
リハビリでゆっくり見えてきた明日       仙 台
飾らない言葉が好きな花一輪
指切りをしたばっかりに目が覚める
交差点ここで笑うと負けそうだ


「自 由 吟」            森下 居久美
かき氷かいて見ている甲子園        掛 川
野良に居て何より風の有り難さ
カルピスが濃いの薄いの暑い夏
締め切りの窓が切り取る夏の空


  「自 由 吟」           あいざわひろみ
特売のキャベツがとても軽すぎる      茅 野
角瓶なんて真面目すぎます困ります
人生もスイッチバックすればよい
ハイテクの森でそろばんパチパチと


 「自 由 吟」              木部 つや子
底辺を知らぬ手にある貧福祉          横 浜
沈む船見ていて撃沈されちゃった
議論とは人の話を聞かぬこと
人生のクロージングを決められぬ


 「涼  風」            大塚  徳子
一坪に涼風運ぶ秋の色             仙 台
涼風に蟻はせっせと蓄える
涼風に稲穂頭をたれて秋
涼風に枯れ葉はらはら冬支度


「人間模様」             山本 野次馬
キッと飛ぶ大空だって僕のもの         函 南
肩書きのラベルがやけにへばり付く
靖国へ人それぞれがさす小骨
広すぎるあの星ですかおかあさん


「家  族」             鹿野  太郎 
糸目など付けないパパのおしながき       仙 台
梅雨の夜ブーケ持つ娘に脂汗
お見合いの席を外してメールする
ラジオから流れる俺が割れた音


 「雑  詠」            西垣  博司
公園に二本で行けぬ足となり      静 岡
余命より残高息が切れかかり
高いびき嬶天下の有難さ
クーラーもなりを潜める夫婦仲


 「ハ ガ キ」            笹  美弥子
会いたいと金釘流の母の文          仙 台
絵手紙のあとから友のナスカボチャ
ハガキ一枚あしたを生きる糧にする
さりげなく葉書に恋の一行詩


  「雑  詠」            山田 フサ子
鉛筆を削り暑さの坂昇る           袋 井
八起き目の筆がくすぶる暑い日々
自分史に流れた春を書いておく
竹トンボ山のむこうにあこがれる


「ストップ」            芹沢 穂々美
ためらわず減速しよう長い旅         沼 津
猪口を出す妻の仕草に謎がある
回転寿司どこで止めよう皿の数
言い訳と知っても許す五月病


 「雑  詠」            ふくだ 万年
当たらない予感あっても買うジャンボ  大 阪
夏休みチョイとお出かけ火星まで
君にある魅せて惑わすすぐれ技
ヘソ出しをしない娘は風邪なのか


「ほどほど」            堀場  大鯉
スパルタの頃を忘れた笑い皺       焼 津
返り咲く場所も決意もない八十路
眼力のコンパニオンに労わられ
偏差値に疲れた頃が花だった


  「強  い」            岡村  廣司
出る杭は打たれる度に強くなり         焼 津
ライバルととても言えない強い奴
子供生む度に嫁の座強くなる
男でしょ強い女性に脅される


「の ん き」           鈴木 恵美子
あわてん坊とのんき仲良く同居する     静 岡
のんきだけ取り柄の母の笑いじわ
旅に出る朝どたばたと支度する
明日があるさにっこり笑う祖母がいる


 「午  睡」            宮野 たきこ
クサッても通した意地にまず乾杯     岩 手
ふて寝して明日の活力たくわえる
目覚めればここは人生の午後だった
子守唄自分で歌って寝に就く児


「冒  険」           竹内  さき
コーヒーの二杯私を大にして       浜 松
再会の呼びすてじんと熱くなる
紅いバラ占って居る愛一途
角丸く女色した糧握る


  「任 せ る」            薗田  獏沓
健康は妻に任せて皆食べる         川根本町
行く先はカーナビだけが知っている
性別は神に任せて嫁の腹
なすがまま妻の出す物着て出掛け


「自 由 吟」           竹内  登志
先の先よんで渡れぬ石頭           浜 松
おしゃべりが過ぎて内緒の口すべり
妥協して読みの甘さに悔い残る
嘘も方便時には使う生きる知恵


 「自 由 吟」            御田  俊坊
手を繋ぎ平和な世界築きたい       高 畠
家庭から世界の絆平和の血
剣要らぬ子供の世界欲しいもの
剣道で修行を積んだ心意気


「い の ち」            加茂  和枝
休止符をときどき入れて命とは      岩 沼
アリアだけ聞こえてきます体から
命とはぷつんと切れるさだめとは
真剣に生きた証に感謝して


  「友  よ」            川口   亘
勿論の言葉の裏にある噂            藤 枝
口軽が喋って起こす噂だね
かけ過ぎの情けの裏にある皮肉
知りすぎてその身がつらい枯れ尾花


「  星  」            安田  豊子
灯を消して時効の星に懺悔する        浜 松
満天の星のどこかに母がいる
天の川わたしも逢いたい人がいる
星の降る川辺に集う恋ほたる


 「あいうえお折句(ゆ〜ん)」     酒井  可福
揺れる恋余所の街までランデブー     北九州
隣人の留守に預かる連絡票
浪人の若者達が誘る ん
終りとせ訳も解らず利口ぶり


「下  駄」            設楽 亜季浩
いまの子に二ノ字ゝが通じない       静 岡
人だけになってしまった総入歯
下駄浴衣おんなになれる夏祭り
先生は下駄に着物で鯉に餌


  「ジョッキ干せ」          羽田  共生
警戒心と防犯ブザーで子が育ち         牧之原
鴨一家ひっこし巡査もおてつだい
ジョッキ干せ八十五センチまだいける
兄弟喧嘩の種残ってる島ひとつ


「七  夕」            川口 のぶ子
七夕の願いもむなし雨に泣く         藤 枝
七夕の逢瀬をはばむ黒い雲
ゴロゴロとかみなり様が威嚇する
夕涼み見上げてごらん星が無い


 「雑  詠」            森島  寿恵
雨降りは嫌だと言えば照り続き      浜 松
野の花は踏まれる度に強く伸び
難題が解けず鉛筆先細り
人の口悪口言えばすぐ伝わり


「没 供 養」            鈴木 まつ子
中八でまんまと抜けた句の誤算       島 田
何回も舌で転がし地に還る
没供養とことん煎じ拝まれる
生きたままグサリ切り込む句を求め


  「雑  詠」            山田  光男
師の激に耐えて花咲く初舞台          静 岡
わが道を進むときめたナース帽
おそろしい手加減忘れた愛のむち
戸を這うも毛虫に大きな夢がある


「雑  詠」          馬渕 よし子
夏バテを防ぐ回りのエネルギー    浜 松
頼られて予想外にと出た馬力
苗床へ未来の夢の種を蒔く
子等の声聞こえ少子化ほっとさせ


 「自 由 吟」          望月  満月
約束を鏡の中であたえてる        静 岡
夢を持つ文字が好きで抱きしめる
まだ乗れる自由と言う人生の切符
御自由の風にも乗って来ています


 「矛  盾」         中安 びん郎
参拝をしても止めても非難され     静 岡
冷房をするとオゾンが破壊され
増税で暮らしはすぐに良くなるか
年寄が喜ぶ厚い生き字引


「真  夏」        林  二三子
長い梅雨明けて花々色を増し   芝 川
上高地多少の汗も心地良い
夏休み朝から子らの声響き
走り込む球児勝利の夢を持ち


「乱  心」        堀井  草園
骨抜きの闇夜に叫ぶ鬼子母神    静 岡
順風に乗るのが怖い濡れ落ち葉
売れるもの無い引越しの後遺症
躓いた石で迷いが解けて来る


 「介護の愛」          柴田  亀重
無表情でも動ける幸の介護部屋     沼 津
群れて飲むコーヒーの香の仲良しよ
何の為生きる死迄の問題だ
自慢して極楽愚痴は地獄唄


  「自 由 吟」            山田  ぎん
父釣った鮎が五匹も泳いでる          静 岡
客が来てスイカを切ってテレビ見る
ハーモニカ吹いてるようにもろこしを
此の暑さ老いはテレビを見ているよ


「私  的」            辻    葉
千手観音に千を誓って憚らず          大 阪
秘密を守る快感として守る
会者定離いいえ私は放さない
のんびりとさせてはくれぬ影法師


 「雨に歌えば」          永田 のぶ男
都市砂漠生け贄捧げ雨を乞う    静 岡
一滴の雫の下にある大河
恵みの雨潤う大河郷となる
雨上り笛や太鼓や三味歌う


 「帰  る」         川村  洋未
いつ帰る聞いていいやら悪いやら 静 岡
帰ろうよいい事はないこれ以上
さよならと点になるまで手を振って
携帯で鍵をあけてと家の前


 「今のうち」      多田  幹江
言い訳のうまいカラスのワイフです   静 岡
ささくれています心も指先も
トンネルをクシャミしながら脱けて来た
働けるうち生きているうち今のうち


  「過  去」       堀場  梨絵
過去帳からしたたり落ちる愛いくつ  静 岡
肩に手が触れたお人に逢えた街
お手玉のいろ鮮やかに亡母を乞う
蜜蜂が稼いでくれる夏の陣


「虎 竹 抄」           長澤 アキラ
早起きをするが未だに得がない      静 岡
来客が有ると片付く家の中
歩留まりの良過ぎる娘まだ未婚
居酒屋で汚れた昼を脱ぎ捨てる


 「  虫  」          谷口  智美
電波時計より正確な腹の虫   伊 豆
ごめんなさい誇大広告ですムカデ
蟻だって遺言くらいあったろに
ポジティブと言ってくださいキリギリス


「槍 の 錆」          池田  茂瑠
安らぎをくれる造花の赤でいい   静 岡
権力の波に弱音の椅子浮かぶ
字余りの槍で先から錆びてゆく
格子柄好む清楚な母ゆずり


「  夏  」         佐野 由利子
見詰められたじろいながら蝉脱皮    静 岡
善良な私に飛んできた火の粉
胸反しラジオ体操朝の風
星降る夜ベランダに干す児の水着


「電脳グルメ」            真理  猫子
電池切れでもケータイは玉手箱    岡 崎
レーズンが美味しい秋のバイキング
わた菓子の中に不倫な添加物
種明かす出番を待っているバナナ


「夏サイト」               山口  兄六
メールからメールへ続くヘビ花火     足 利
アポロンが夜遊びをする熱帯夜
砂浜の貝が遊びの恋と知る
要するに僕はあなたが好きらしい


「生きながらえてありがとう」 曾根田しげる
地図にない道も歩いて丸くなる 静 岡
聞き馴れぬ新語溢れて世が歪む
歳重ね杭にはなれぬ聞くだけよ
相槌を打ってくれます嫁が居る


  「ふ ぐ り」         川路  泰山
日本の夏へ浴衣と下駄買いに      島 田
行水で小粋に虫の声を聞く
まだまだとふぐりが騒ぐ夕涼み
幾たびも洗い直して風を着る


「自 由 吟」               高瀬  輝男
闇また闇 伏流水の長い旅            焼 津
酌いでやる君の痛みがわかるから
何度聞いても海は答えを出し惜しむ
クッションにする気で吐いた嘘一つ


「にんげん」                望月   弘
肝臓でぐさりと折れる妻の愚痴      静 岡
近頃の子らと昔の餓鬼の弁
妻と僕ふたりで人になっている
にんげんを棲ませて地球悔いている


 「晩  夏」            加藤   鰹
シャガールの青より謎深き女       静 岡
ぷっつりとメール途切れて夏終わる
おでん屋の親父泣かせること言うね
三十二年振りの凱歌に燃えた夏


   顧  問  吟 
 「  笛  」       柳沢 平四朗
年金の萼介護へちぎれそう           静 岡
もう鳴らぬ笛煩悩を持て余し
歓心を買う人品の付け黒子
団塊へマリオネットの膝嗤う


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(2006/09/25(Sun) 21:20:41)

 

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