八月二十八日 八月定例句会 於 駒形神社社務所
席 題 「プライド」 長澤アキラ 選 プライドが高くて寄れぬ元小作 びん郎 老いてまだプライドだけは手の内に 泰 山 横恋慕メンツは余したままの恥 平四朗 プライドを捨てて握手の選挙前 びん郎 プライドが高くて反旗あげられる 茂 瑠 プライドがじゃまをしている初投句 三根子 プライドを今も持ってる元地主 びん郎 駄馬などは見向きもしないサラブ系 輝 男 プライドは金じゃ買えない心意気 洋 未 返してとプライド邪魔し言えなくて 洋 未 チョビ髭を生やしプライド高く見せ びん郎 顔立てるこんな単語のある不思議 平四朗 本家たる誇り機械化踏み切れず 輝 男 プライドがあって特等席にいる 梨 絵 プライドが落ちる引く眉細すぎて 茂 瑠 残りもの猫は悠々またいでる 弘 プライドを残す男の蝶ネクタイ 三根子 プライドを捨てる勇気ができました 梨 絵 プライドへ吹く酒の風鬼の風 茂 瑠 プライドが一寸高い鼻になる 梨 絵 五 客 意地もありプライドあって孤独です 鐘 雄 プライドの枝意地悪な嫁が切る 茂 瑠 じっくりと老いのプライド見ていよう平四朗 プライドははなから捨てて生き延る 平四朗 シャボン玉飛ばす女の見栄の色 しげる
人 位 プライドがあるから拭けぬ涙です 茂 瑠
地 位 プライドをかざすと同じ血の流れ 平四朗 天 位 ほどほどのプライドで食う麦の飯 泰 山 軸 吟 プライドがあるから立って歩いてく アキラ
宿 題 「 煙 」 川路 泰山 選 一杯のワインでまわり煙にまく 三根子 玉手箱あけてみなけりゃよかったね 洋 未 ジグザグに昇る線香母の声 豊 子 終日を家にくすぶり煙たがれ のぶ子 愛情の煙の中で燃える日々 満 月 ぷすぷすと煙を上げている地球 ゆみ葉 都市砂漠煙も出ない情もない 澄 子 湯煙の中まで会議姦しい 澪 子 根はいいが少し煙たい親友です 春 江 まどわせて女心を煙に巻く まつ子 功罪を問わぬ最期の白煙り 大 鯉 少年A煙草をかくすコツ覚え 穂々美 焼き鳥の煙がふさぐ帰宅駅 野次馬 よこ文字をやたらに並べ煙に巻く 亜季浩 くすぶった煙不倫にならず済み よし子 居酒屋を出れば煙になる議論 五 貫 火が無くて煙たてられ摩訶不思議 よし子 混浴にやや邪魔になる湯のけむり 五 貫 ベランダで律儀に払うタバコ税 静 枝 犯人に煙にまかれたニュー刑事 登 志 線香の煙が丸くなれと言う 薫 込み入った話はうまく煙にまく 敏 子 原子炉の煙突にある不信感 一 尾 煙幕を張って内助の功かかげ 澄 子 一服の煙思案のゆきどころ 梨 絵 ラブレター焼いて煙が目にしみる 三根子 路地裏の煙るさんまに聲を掛け 重 雄 禁煙の指定席からギャルが逃げ しげる この景色煙の中に去った恋 安 心 俺の挙げた狼煙を誰も気づかない 輝 男 立ちのぼる煙に野次の好奇心 千恵子 燻りだす焼けぼっくいは前科者 平四朗 週刊誌煙を煽り出してくる 弘 僕の癖チョロチョロねずみ花火です 兄 六 ギキブリの刺客バルサン煙に巻く 安 心 湯煙の向うに昼を置き忘れ アキラ スキャンダル煙を探す週刊誌 泰 史 五 客 へそくりの証拠隠滅煙に巻く 教 子 ヘビースモーカーどこへも行けずただ留守番 教 子 真相は煙に巻かれて何も得ず 獏 沓 針ほどの煙逃さずトップ記事 二三子 きな臭い煙も捨てて箸二膳 しのぶ
人 位 気配りが立ち入り過ぎて煙たがれ 千恵子 地 位 煙になるまでたおやかに夢を追う 梨 絵 天 位 美しい嘘で別れを煙に巻く 平四朗
宿 題 「 虫 」 望月 弘 選 おや蝉もしぞ〜か弁で鳴いている ゆみ葉 蝶になる前の姿は語るまい 泰 山 蟻ん子の美学ですさあ働こう 兄 六 青虫の過去は見せない蝶の羽化 しのぶ 言い勝って孤独の虫が走り抜け は な 田舎っていいないろんな虫が鳴く 寿 恵 虫よりも劣る知性と悪を組む 茂 瑠 塾、稽古金食い虫が鳴き止まぬ 二三子 青票の刺客へ疼く腹の虫 平四朗 尺取りの虫が計っている悩み 千恵子 苦虫をつぶした顔で銭をため 泰 山 腹の虫上下左右によく怒り 千恵子 闇の中ごきぶり達の食事会 洋 未 造反の毛虫でふ化があやぶまれ 泰 山 どの子にも夢をくれますかぶと虫 しげる 苦虫を笑顔に変える大ジョッキ 大 鯉 郵政の義理と義憤の腹の虫 重 雄 虫歯なぞもう怖くない総入歯 廣 司 泣き虫が今は校長同期会 美弥子 殺虫剤良く効きすぎて縁遠い 穂々美 此の虫が天然記念の蝶になる 獏 沓 毛虫でも時が許せば蝶になる 亘 きらわれる毛虫ひたすら羽化を待つ 梨 絵 糸切れて自由の怖さ知った蜘蛛 しのぶ ライブジャズ豊な音色秋の虫 教 子 虫けらと言われても飛ぶ翅がある アキラ もういいよ点取り虫を解雇する 穂々美 芋虫も毛虫もつけて朝の市 亜季浩 争いが嫌でくるっと団子虫 よし子 虫のいい話は何か裏がある びん郎 酔い醒めの水に逆らう腹の虫 しげる 突っぱねる虫も殺さぬ顔をして 獏 沓 五 客 ローマまで歩いて行こうカタツムリ 兄 六 水虫に断わりもなく居すわられ 澄 子 泣きそうな値札のついたかぶと虫 五 貫 将来の横綱目ざす虫めがね 亘 嘘のあるこころに棲めぬ腹の虫 大 鯉 人 位 妹がなんだかんだとおじゃま虫 三根子 地 位 すさまじい形相になるハエ叩き 博 司 天 位 蒙古斑消えたら虫を放します 茂 瑠
宿 題「笑いのある句」 池田 茂瑠 選 開けてくれ玄関越しに打つメール 薫 レジの子に笑くぼ可愛い子を選び 敏 子 友達の耳元の蚊になってやる 徳 子 できません呼び捨てなんかメロン様 洋 未 子がくれた小遣い孫に倍返し 三根子 居留守した客へ不埒な大いびき 政次郎 手の届く処が痒い白い指 草 園 ヘソ曲がり鼻筋だけは通ってる 博 司 腹の虫泣けど帰らぬ妻を待つ 澄 子 御中元少し値切って屋台酒 アキラ 触診をしたがっている夫の手 弘 脱水機汗もいっしょに絞りたい 教 子 魚焼く煙も出ない今の世は ぎ ん 笑いある家庭の皆が元気です 俊 坊 クスクスよりワハハが似合う生ビール 智 美 張り切って唄うカラオケ飛ぶ入歯 幹 子 金魚鉢みんなプクプク同じ夢 和 枝 郵便受け札束ないかのぞく朝 玲 子 定年後すっかり妻の言いなりに 泰 山 妙齢の蛇もピアスが欲しいとか 輝 男 わたくしが浴びても海は溢れない 大 鯉 好きだから少し意地悪したくなる 梨 絵 形見分けしますと買っている指輪 千恵子 もう末期亭主関白ゆめの夢 春 江 鑑定は止めよう愛の証なら よし子 シャラポワと藍ちゃんのヘソ見比べる 静 枝 上様に誰でもなれる領収書 亜季浩 買いだめて期限切れから捨てる品 亘 真後ろが見えぬ鏡でホッとする 野次馬 礼服を着るたび体型変わってる 由利子 見舞い客義理を果した顔してる 廣 司 目鼻だち整いすぎた案山子立つ 獏 沓 急かせるとついカタカタと入歯鳴りまつ子 思い出し笑いへ止まる針と糸 梨 絵 前の人同じ祝辞だどうしよう 廣 司 次の世は美人に生まれ捨てる側 しのぶ 佳 句 わたしよりきれいな人で気にいらぬ 弘 無い知恵を絞った朝は抜け毛する しげる 夫よりポチにたっぷりあげる愛 千恵子 このお菓子地震がきたら食べようね 洋 未 仲人の嘘で我慢の半世紀 豊 子 自 句 カルチャーよ恋の花には茎がない 茂 瑠
宿 題 「自 由 吟」 互 選 Eその裏をうたがわれてる白い紙 輝 男 D何もかも丸くおさめる四コマ目 由利子 Dまじめすぎだからあなたは変り者 博 司 C定年の幸せ芝居しています しのぶ C夏バテをしそう財布の中味まで よし子 Bワンテンポ遅れる影の綱渡り 太 郎 B背を向けていても絆は切ってない 弘 B燃えつきた命きらきら星になる 美弥子 B深入りはしない其の日の趣味仲間 敏 子 B年輪をニッパーで切る母の爪 静 枝 Aバカの壁僕にもあって折り合えず 大 鯉 Aなめくじに好きで生れた訳でない 叶志秋 Aサヨナラの儀式指先だけ触れて ゆみ葉 A叮嚀な物言いぐさり胸を刺す 一 尾 A宿敵も同じむじなの穴で生き まつ子 A化けの皮ペンキ塗りかえ剥がれない延 男 Aさり気ない友の笑顔に助けられ 義 子 @火の車黒煙吐いて家計衝く 平四朗 @プールにも愛にも欠かせない浮輪 茂 瑠 @蜘蛛の知恵借りる屋台の巣の張り場重 雄 @振り向けば泣いた数だけ道になる 三根子 @衆議院みんなキツネに見えてきた 鐘 雄 @何をなすべきかが朝の課題です 梨 絵 @白黒をつけて落ち込む共白髪 五 貫 @素晴らしい明日の夢にうごくペン 満 月 @隠れ家の解体で踏む鉄の鋲 政次郎 @強がりの背が反っている耐えている豊 子 @お隣が段々遠くなる暮らし 二三子 @病床の姑に季節の花を活け 幹 子
|