静岡川柳たかねバックナンバー
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平成十八年七月二十一日 定例句会

席 題 「 車 」  中安 びん郎 選
定年後妻の歯車早まわり      しげる
乗り回す外車稼ぎは薄いけど    茂 瑠
炎昼にレールは修羅のJR     平四朗
助手席のナビゲーターがうるさ過ぎ 由利子
車間距離適度にとって良い夫婦   由利子
バランスを上手にとって一輪車   由利子
パチンコへ車は乗らず児は預け   のぶ男
滑車まだ回る田舎の古い井戸    茂 瑠
ひと山を売って外車を乗り回し   梨 絵
盗難車金利の上がるローン残    のぶ男
車座に正直がいてややこしい     鰹
立ち話の間を走る三輪車      由利子
車椅子夏の木陰を離れない     茂 瑠
怖いもの見たさ事故車へ人が寄る  梨 絵
横車しゃくし定規の空威張り    平四朗
子はポルシェ親は年中火の車     鰹
タクシーもお客の方が低姿勢    三根子
年金をはたき夫の車好き      梨 絵
マイカーと言ってるぼくの車椅子  三根子
高級車に乗ると非常にくたびれる  梨 絵
 人 位
当て逃げを神の手綱が放さない   梨 絵
 地 位
カーレース命が二つあればやる   のぶ男
 天 位
ブレーキが故障している口車     弘


宿 題 「 数 」  長澤 アキラ 選
錬金術歪む数字へ臭い飯      平四朗
枝豆もメインディッシュの数に入れ 洋 未
七七忌数珠に沈める罪の数     敏 子
思い出がこけしに残る旅の数    敏 子
エンゲル係数上げる食べ盛りが二人 二三子
風向きを変えるドナーの輪になって 太 郎
正論も無視されている多数決    千恵子
便利さを求め失くしたものの数   五 貫
数値目標届かぬまでもジャンプする 昌 利
数学を算数という逃げ支度      栞
ひいふうみい活断層が多すぎる   太 郎
数々の失敗談も花のうち      のぶ子
星の数をかぞえたころのレモンティー昌 利
内職に数こなしてる祖母の夢    幹 子
自慢にもならぬ診察券の数     登 志
数々の思い出偲ぶ皺が増え     俊 坊
少数の点が解せない僕の位置     亘
微分積分解けないままに生きている 野次馬
多数決やっとできます自己主張    栞
数字よりドンブリが合うバナナ売り 安 心
ささやかと言えど願いは百八つ   智 美
袖にした男の数で蔵が建ち     洋 未
五 客
戦功の数々痴呆父あわれ      重 雄
人格を二の次にする棒グラフ    千恵子
正義です五十一対四十九      五 貫
四捨五入忘れはしない四の供養   竹 水
日の丸で包む無数の罪と罰     のぶ男
 人 位
七転八倒見事な虹の孤独感     平四朗
 地 位
鬼あざみ敵の数だけ咲かせよう   茂 瑠
 天 位
四捨五入だれかがきっと嘘を吐く  しげる


席 題 「 頭 」   加藤 鰹 選
熱帯夜頭脳回路がショートする   由利子
この頭格好だけは褒められる    五 貫
帽子屋に頭の出来を褒められる    弘
シャンプーで洗い流そう今日の運  穂々美
神妙に頭をみがく賛否論      まつ子
頭金妻のへそくり聞いてみる    獏 沓
ミサイルの頭こっちを向いている  由利子
ピーマンのような頭でお里知れ   三千代
向い風頭下げていく吹き抜ける   泰 史
ガダルカナルただ望郷の髑髏    アキラ
右脳左脳どっちも軽い噂好き    豊 子
表札の頭に座る子の名前      敏 江
ほんとうにそれでいいのかヘッドフォン 薫
頭痛いの向こうの山へ飛んでゆけ  徳 子
頭角を出せば因縁つけたがる    千恵子
頭よりコネ優先のニューフェイス  泰 史
頭の黒いネズミ横取るサクランボ  徳 子
石頭みがいてばかりどうするの   洋 未
天下り頭の低い人は来ぬ      廣 司
何時だって頭の中は銭のこと    アキラ
頭数に誘った奴に白羽の矢     智 美
談合で頭下げるの慣れました    しげる
家柄を言う年寄りの石頭      登 志
胡麻塩と光る頭のクラス会     亜季浩
頭数そろって議案すすまない    春 江
ユーモアに説明がいる石頭     梨 絵
頭でっかち青空知らぬ塾通い    安 心
脳みそに合せみそすりゃ東大か   信 一
世界中頭突きの話題盛り上がる   三根子
丸坊主日本男児になってみる    野次馬
首の上スペアーなくて無精髭    のぶ男
頭痛の種磨いてみれば花でした   野次馬
頭角を表わす位置が決まらない   茂 瑠
湯気の出る頭に伸びて来るもやし  竹 水
陰謀を隠すアデランスの頭     千恵子
 五 客
散髪はしても昨日の意見です    平四朗
二日酔いの頭上で笑う昼の月    太 郎
年頭の誓いは既に無精卵      のぶ男
頭から噛ると友は良い味で     和 枝
サッカーは格闘技だよあの頭突き  安 心
 人 位
CTをとったらあほがよく見える   尚
 地 位
アナログの頭脳悩ますデジタル波  昌 利
 天 位
スイカ割りの的に耐えてる頭がい骨 昌 利


宿 題「あつい(表現自由)」高瀬輝男 選
熱のある振りして男独り占め    しげる
ランチジャーあったか愛の詰め合わせ由利子
この辞典枕に調度良い厚さ     洋 未
火の玉が流れ惑星一つ消え     のぶ男
電波のり熱いメールにハート文字  敏 江
だれよりも厚い私のつらの皮    三根子
乗せられた熱い会話の赤ランプ   草 園
言葉では言えぬメールの熱い文字  博 司
合併で人情厚い過疎が消え     玲 子
真相の厚いベールを剥いでみる   昌 利
その先は言わせぬ母の眼が熱い   は な
友情は札の厚さに比例せず     正 治
テポドンの過熱に会話焦げて来る  竹 水
果てしなく熱砂の神のいくさ好き  大 鯉
観客の目が燃えているカーニバル  竹 水
湯上りの火照った体マル秘の秘   穂々美
自惚れの厚かましさに呆れ果て   びん郎
薬草のたぎる囲炉裏は祖母の糧   平四朗
暑い日は青信号の冷蔵庫       栞
冷酒があつかんになる二人酒    安 心
熱帯夜まさに娘はショータイム   野次馬
ホカホカの嘘です早くめしあがれ  アキラ
三人のソファーに四人女学生    まさえ
保釈金あるところには厚い束    敏 江
愛のない厚い唇嫌いです      安 心
エレベーターつなぎ合う手は四十度 まさえ
厚すぎる女の胸を破れない     茂 瑠
合併で人情厚い過疎が消え     玲 子
塾へやる親の熱気が覚めやらぬ   二三子
民話聞く薪ストーブの爆ぜる音   静 枝
熱い瞳を浴びた人世の一ページ   澪 子
生きてます厚いカルテのすみっこで  尚
ご機嫌の良い富士山が真っ裸    政次郎
ラブレター夕日に負けぬほど熱い  穂々美
 五 客
暑いから舗装蹴破る草の青     敏 子
暮せない時給分厚い求人誌     五 貫
娘を呉れる彼の熱意にほだされて  びん郎
私の鮮度暑さへ落ちてゆく     茂 瑠
一の矢も二の矢もうける面の皮   昌 利
 人 位
家計簿の穴が沸騰点になる     平四朗
 地 位
自重するブレーキ痕はまだ熱い   野次馬
 天 位
平熱のセンサー母の手にもある    栞


宿 題 「自 由 吟」  互 選
E決断を渋ると戻る道がない    は な
E不用意に打ったレ点に縛られる   薫
D呑み込めぬ話煮込んでから妥協  竹 水
D振り出しで開き直って運を待つ  しげる
C職人の誇りロボットには負けぬ  二三子
B長生きの秘訣程よいひと休み   獏 沓
B人の目に涙があって生きられる  和 枝
Bときどきはザクロの味を確かめる 野次馬
A身の丈は知り尽くさないほうがいい五 貫
A残り火がまだまだ謀反くわだてる 春 江
@片付けの半端な嘘が外出する   政次郎
@いい人でいたい明日も稼はねば  五 貫
@年金の暮らしに家計簿が非命   二三子
@老いて子に従い切れぬ腹の虫   博 司
@輝いて生きてみたいと好奇心   徳 子
@歳かなあ蟹まで残すグルメ旅   亜季浩
@玉の汗掻いた男に旨い酒     俊 坊
@明るさが取柄でときにアホもする 春 江
@逝った娘の指紋が染みる縫いぐるみ敏 子
@ふる里の追われたうさぎ豪邸に  重 雄



参加者(順不同)長澤アキラ、永田のぶ男
柳沢平四朗、望月弘、川村洋未、池田茂瑠
曽根田しげる、中安びん郎、佐野由利子、
中野三根子、堀場梨絵、加藤鰹、森田安心
成島静枝、岡村廣司、望月満月、堀場大鯉
竹内登志、薗田獏沓、堀井草園、内山敏子
金田政次郎、中田尚、森島寿恵、西垣博司
横山昌利、御田俊坊、鈴木まつ子、井口薫
鹿野太郎、松野はな、鈴木幹子、柴田亀重
高橋春江、大塚徳子、滝田玲子、林二三子
山田ぎん、柏屋叶志秋、川口亘、牧野正治
石田竹水、川口澪子、川島五貫、安田豊子
伊藤泰史、加茂和枝、設楽亜季浩、孝井栞
谷口智美、増田信一、石上俊枝、市川重雄
薮ア千恵子、芹沢穂々美、川口のぶ子、山
口兄六、山本野次馬、山田三千代、提坂ま
さえ、萩原まさ子、中村教子、堀内しのぶ



定例句会 | Link |
(2006/09/25(Sun) 21:23:41)

川 柳 広 場 全国誌に学ぶ
          担当 望月  弘



柳     都( 新潟 )692号
あの人とならば裸のままでいい   洋 子
林     檎( 青森 )484号
生き方が違うだけです左ネジ    霜 石
銀  の  笛( 秋田 )763号
すっと出たギャグが空気を柔らげる 一 尾
川柳倶楽部 %( 京都 )055号
結局は元素記号のすれ違い     ゆみ葉
そ  ら  ち(北海道)437号
また背くかも知れないが水を遣り  良 一
甲  斐  野( 山梨 )316号
ホスピスの窓と約束した夕陽    和 子
銀     河( 東京 ) 75号
地球儀の心音核に乱される     静 枝
ち     ぬ( 大阪 )497号
人形になれる時間が妻にある    元 紀
さ い た ま( 埼玉 )561号
神棚の下に動かぬ過去がある    周 平
べ  に  花( 山形 )533号
重い日も軽い日もある掛ふとん   土筆坊
翔   ( 三重 ) 41号
真っ白な空へどきどきする呼吸   まゆみ
midori ( 愛知 )520号
ともだちのままでいようと非常口   進
さ ざ な み( 愛知 )468号
包装紙みたいに美女は隙がない   勢津子
松 代 川 柳( 長野 )105号
肩の荷を下ろすとボケてしまいそう 伸 章
白     帆( 東京 )338号
躓いた石の目鼻に睨まれる     正 治
も  う  こ( 宮城 )417号
アドレスの一人を消している時雨   孝
海     峡(いわき)350号
裏表ない友がいて波がたつ     通 枝
北     貌( 青森 ) 23号
嘘をつく何と疲れることでしょう  秀 子
下     野( 栃木 )1654号
母ちゃんの名で売れている道の駅  葉 月
ぬ か る 道( 千葉 )226号
腹の子はあなたの愛の領収書    克 美
時事川柳協会 (神奈川) 95号
赤札を世間が付ける売れ残り    正 俊
川 柳 人 生( 新潟 )162号
照り付ける日除けの傘は女子専科  一 郎
三 日 坊 主( 福島 )244号
だとしても正直者を通したい    正 静
オ ホ ー ツ ク(北海道)403号
ぬくもりのさめないうちに切手貼る 風 子
隗   (神奈川) 36号
ポケットに入るくらいの海を持つ  鹿 声
ふ ぁ う す と( 兵庫 )902号
見ないふりやさしい風のかたちして 里々子
川 柳 ポ ス ト( 新潟 )488号
口止めをすれば外れる裏の木戸   子 燕
川 柳 東 京( 東京 )541号
生意気な虫が晩酌どきにくる    和 子
紫     波( 岩手 )272号
消しゴムのとれた鉛筆まだ削る   はじめ
港   (神奈川)472号
幸せはこんなものかと米を研ぐ   ふじ子
家   (いわき)428号
団子より花と只今ダイエット    かくら
水     脈(北海道) 13号
耳からの春うぐいすに乗ってくる  はる香
仙 台 な ん ぶ( 宮城 )274号
土壇場でトレードされたこともある 智恵子
す ず む し( 秋田 )367号
細い釘優しく打つと曲がらない   まさ子
美  す  ゞ( 長野 )682号
心にもテトラポットを積んでおく じゅんこ
柳都にいがた ( 新潟 )280号
このままでいいのか妻を泳がせて  誠 治
宮  城  野( 宮城 )707号
神様を頼りすぎてるふしがある   我 流
能     因( 福島 )764号
幼な児に戻る母の手白すぎる    一 枝
つ く ば ね( 茨城 )188号
いす取りに似て団塊のサバイバル  紀伊子
蘭   ( 福島 )249号
ともだちのままでいようと非常口   進
犬     吠( 千葉 )380号
ほどほどに雨季と乾季がある自伝  春 枝
文 遊 吟 社( 福岡 )010号
リハビリのお陰で君の名が呼べる  朱 鷺
揚 巻 の 会( 東京 )468号
湯舟から何があったかマイウエイ  帆 波




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(2006/09/25(Sun) 21:21:41)

ちゃっきりしぞ〜か弁川柳 2006年9月

ふんとけえ?たかね400号ずらよ    中川  司
孫っちがものびに来るとらんごくだ    鈴木まつ子
ちいっとのこんでちんぶりかくじゃない  鈴木まつ子
怠けもんの節句働きごせっぽい      芹沢穂々美
あちいじゃあ体の芯がうだっちゃう    芹沢穂々美
よすべ〜か玉が出すぎて思案橋      堀井 草園
付け薬にゃあから石松酒を飲む      堀井 草園
ゼニョー持つと顔つきまで変る      薗田 獏沓
浜言葉ワキャーワッサン分からすか    長谷川寅吉
言わんでもええのにあんてえ馬鹿んづら  岡村 廣司
礼服を着た日もやっぱやえず弁      岡村 廣司
あぶんなくてとてもあん橋渡れんだにー  高橋 春江
あんちくしょうそげん悪口こいただかー  高橋 春江
まどろっけえ話はやめて先ず呑まざあ   西垣 博司
まだみりい顔してえりゃあ事云うに    西垣 博司
あつくてもちっとぬくて〜だけじゃんか  中安びん郎
富士山へ登りてゃ〜けんこの腰じゃ    中安びん郎
 
▽全国の衆らにゃあこのコーナーの句はちんぷんかんぷんだと思うだけえが、勘弁してもらわざ〜。しぞ〜か県民ローカルコーナー「ちゃっきりしぞ〜か弁川柳」今月もたんと投句もらって嬉しいっけよ〜。まだチャレンジしてみてくりょ〜。
〒421‐2106
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて
(受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)


ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2006/09/25(Sun) 21:21:41)

「夢 の 泣」            吉村 小名樹
蛇の道を知ってる友にあしらわれ       静 岡
こだわりを持つ性格で孤独好き
ついむきになるから群れに入れない
地の底を這う夢を見てうなされる


 「気  象」            石田  竹水
平成の下駄では天気占えぬ         静 岡
恋をして心は晴れている梅雨日
天の川氾濫 恋が溺れちゃう
暑い日々行水もまたおつな涼


「聖  戦」            増田 まさし
兵卆の命一銭五厘なり         静 岡
勝戦信じた傷がまだ疼き
聖戦の悪夢拭いても拭っても
敗戦の痛み薄れて見る九条

「祝・たかね四百号」        金田 政次郎
四百号綴るたかねの花明かり        静 岡
手で撫でて四百号の木霊訊く
その先を見据えくす玉未だ割らず
鍬と鎌四百号に在る稔り


「四〇〇号に・・・」        中田   尚
たかね発四百号の大花火           浜 松
一歩ずつ五百号へのあたたかさ
大輪へあせらず種をまき続け
恋人は十七音とたかね誌と


「めでたいのがお好き」祝四〇〇号   増田  久子
どう略しても寿の字は笑う          焼 津
鶴亀のどちらがお好きわたし亀
寿の文字も明るい四号車
長生きをしましょうジャンボ当るまで


「自  由」            滝田  玲子
八月の空にゆきつく海ゆかば          浜 松
金になる話になるとつむぐ口
好況のかげで人間使い捨て
うわさ話パラソル回す炎天下

「バイキング」            石岡  正司
バイキング年はとりたくないものだ   大和高田
急かぬ身へ四季の移りの早いこと
二人だけ乗せて夜空の観覧車
清水市は消えたが山本長五郎


 「浮  草」            田制  圀彦
もげた鼻置いてピエロは消えました      千 葉
喋れない九官鳥でございます
螢火の青さいのちの答です
蹴飛ばしてやりたい影が泣くのです


 「ボクシング」           松橋  帆波
拳闘という語が死んだ日なのかも      東 京
親子愛なのか角兵衛獅子なのか
儲ければいいに似ている勝てばいい
この上にパレードという挑発か


  「自 由 吟」              寺脇  龍狂
いつ出るか平成ママの第一号         浜 松
名前ではやさしい母に見えるのに
NHK律儀に見せるプロ野球
オシムらくジーコの時もそうだった

  「いちご白書」           ひとり  静
妖精も人魚も魔女もいた時間        奈 良
モノトーンでも呼び水になる 痛い
水色を捕まえるまでチューニング
葱きざむいちご白書が遠くなる


 「不  安」             阿部 闘句郎
制帽の不安漲る頭蓋骨            神奈川
脳みそを叩いてみたくなる不安
青春の不安張り付く受験票
翻訳のできない妻のヒステリー


  「  運  」            薮ア 千恵子
脳味噌を足してじっくりまぜ合わす       焼 津
付いてるね言われじっくり手相見る
この運気逃げないように蓋をする
絶好調今から恐い下降線


 「自 由 吟」            風間  和子
ご親切度を越し取れぬ厚化粧         甲 府
反対を押してっぺんでうな垂れる
逢うまではルンルン後のせつない胃
よく似てる言われて憎い子の口調


 「  夏  」             新貝 里々子
一日をパジャマですごすクールビズ      袋 井
半額のシールのついたおすしです
炭酸水のようなビールでないビール
だらだらと残り少ない日を生きる


 「軽  い」            高橋  春江
紙コップ軽い話がよく似合う         袋 井
脇役はいつもヨイショで日が暮れる
指定席例のアハハは抑えよう
新聞を見出しで了る日もあって


 「脳ドリル」             井口   薫
鯖読んだ歳あばかれる脳ドリル         袋 井
グーチョキパー脳年齢へ背伸びする
ありがたや右脳へ旅を処方され
一陣の風を呼び込む脳ドリル


 「ラ ン チ」             横山  昌利
身ぐるみを剥がれて軽いおとこです   相 馬
無精髭 夏の陽射が剃り落とす
子のいない庭でお子様ランチ食う
単純なもつれが見えぬ熱帯夜



「遠 花 火」            堀内 しのぶ
遠花火女の迷路出口なく           焼 津
遠花火狂いをかくし見る女
遠花火いっしょうけんめい語りかけ
ふっ切れた影が疼いた遠花火


 「野バラの愛」     柏屋 叶志秋
インクないペンで書いてる自己主張   山 形
愛さねば泣かずに済んだ散る野バラ
大宇宙吾が命などゴミのよう
一呼吸おけば許せることばかり


「母  娘」            成島  静枝
陣痛のつらさおんなはすぐ忘れ      千 葉
月満ちるいいなおんなは子が産める
ズッシリと寝た児が重い子守り唄
子育てを楽しみなさい今だけよ


  「座 布 団」            田原  痩馬
座布団の裏にあるのが儂の貌          熱 海
座布団へヒマに咲かせる札の花
座布団が舞う時なんとか大相撲
座布団に本音を詰めて妻は逝く


「獅子座の季節」           高橋  繭子
子どもらの歓声にある波しぶき        大河原
大都会半裸や全裸混じる夏
ギラギラの太陽ふしだらノススメ
挑んではならぬ獅子座の女には


 「ケセラセラ」            戸田 美佐緒
大根の首を洗いにくる家裁          さいたま
恋人の肩越しに見る百日紅
目覚ましを捨てるか夜のうで枕
へその緒を切られ河童に戻れない


 「交 差 点」             真田  義子
リハビリでゆっくり見えてきた明日       仙 台
飾らない言葉が好きな花一輪
指切りをしたばっかりに目が覚める
交差点ここで笑うと負けそうだ


「自 由 吟」            森下 居久美
かき氷かいて見ている甲子園        掛 川
野良に居て何より風の有り難さ
カルピスが濃いの薄いの暑い夏
締め切りの窓が切り取る夏の空


  「自 由 吟」           あいざわひろみ
特売のキャベツがとても軽すぎる      茅 野
角瓶なんて真面目すぎます困ります
人生もスイッチバックすればよい
ハイテクの森でそろばんパチパチと


 「自 由 吟」              木部 つや子
底辺を知らぬ手にある貧福祉          横 浜
沈む船見ていて撃沈されちゃった
議論とは人の話を聞かぬこと
人生のクロージングを決められぬ


 「涼  風」            大塚  徳子
一坪に涼風運ぶ秋の色             仙 台
涼風に蟻はせっせと蓄える
涼風に稲穂頭をたれて秋
涼風に枯れ葉はらはら冬支度


「人間模様」             山本 野次馬
キッと飛ぶ大空だって僕のもの         函 南
肩書きのラベルがやけにへばり付く
靖国へ人それぞれがさす小骨
広すぎるあの星ですかおかあさん


「家  族」             鹿野  太郎 
糸目など付けないパパのおしながき       仙 台
梅雨の夜ブーケ持つ娘に脂汗
お見合いの席を外してメールする
ラジオから流れる俺が割れた音


 「雑  詠」            西垣  博司
公園に二本で行けぬ足となり      静 岡
余命より残高息が切れかかり
高いびき嬶天下の有難さ
クーラーもなりを潜める夫婦仲


 「ハ ガ キ」            笹  美弥子
会いたいと金釘流の母の文          仙 台
絵手紙のあとから友のナスカボチャ
ハガキ一枚あしたを生きる糧にする
さりげなく葉書に恋の一行詩


  「雑  詠」            山田 フサ子
鉛筆を削り暑さの坂昇る           袋 井
八起き目の筆がくすぶる暑い日々
自分史に流れた春を書いておく
竹トンボ山のむこうにあこがれる


「ストップ」            芹沢 穂々美
ためらわず減速しよう長い旅         沼 津
猪口を出す妻の仕草に謎がある
回転寿司どこで止めよう皿の数
言い訳と知っても許す五月病


 「雑  詠」            ふくだ 万年
当たらない予感あっても買うジャンボ  大 阪
夏休みチョイとお出かけ火星まで
君にある魅せて惑わすすぐれ技
ヘソ出しをしない娘は風邪なのか


「ほどほど」            堀場  大鯉
スパルタの頃を忘れた笑い皺       焼 津
返り咲く場所も決意もない八十路
眼力のコンパニオンに労わられ
偏差値に疲れた頃が花だった


  「強  い」            岡村  廣司
出る杭は打たれる度に強くなり         焼 津
ライバルととても言えない強い奴
子供生む度に嫁の座強くなる
男でしょ強い女性に脅される


「の ん き」           鈴木 恵美子
あわてん坊とのんき仲良く同居する     静 岡
のんきだけ取り柄の母の笑いじわ
旅に出る朝どたばたと支度する
明日があるさにっこり笑う祖母がいる


 「午  睡」            宮野 たきこ
クサッても通した意地にまず乾杯     岩 手
ふて寝して明日の活力たくわえる
目覚めればここは人生の午後だった
子守唄自分で歌って寝に就く児


「冒  険」           竹内  さき
コーヒーの二杯私を大にして       浜 松
再会の呼びすてじんと熱くなる
紅いバラ占って居る愛一途
角丸く女色した糧握る


  「任 せ る」            薗田  獏沓
健康は妻に任せて皆食べる         川根本町
行く先はカーナビだけが知っている
性別は神に任せて嫁の腹
なすがまま妻の出す物着て出掛け


「自 由 吟」           竹内  登志
先の先よんで渡れぬ石頭           浜 松
おしゃべりが過ぎて内緒の口すべり
妥協して読みの甘さに悔い残る
嘘も方便時には使う生きる知恵


 「自 由 吟」            御田  俊坊
手を繋ぎ平和な世界築きたい       高 畠
家庭から世界の絆平和の血
剣要らぬ子供の世界欲しいもの
剣道で修行を積んだ心意気


「い の ち」            加茂  和枝
休止符をときどき入れて命とは      岩 沼
アリアだけ聞こえてきます体から
命とはぷつんと切れるさだめとは
真剣に生きた証に感謝して


  「友  よ」            川口   亘
勿論の言葉の裏にある噂            藤 枝
口軽が喋って起こす噂だね
かけ過ぎの情けの裏にある皮肉
知りすぎてその身がつらい枯れ尾花


「  星  」            安田  豊子
灯を消して時効の星に懺悔する        浜 松
満天の星のどこかに母がいる
天の川わたしも逢いたい人がいる
星の降る川辺に集う恋ほたる


 「あいうえお折句(ゆ〜ん)」     酒井  可福
揺れる恋余所の街までランデブー     北九州
隣人の留守に預かる連絡票
浪人の若者達が誘る ん
終りとせ訳も解らず利口ぶり


「下  駄」            設楽 亜季浩
いまの子に二ノ字ゝが通じない       静 岡
人だけになってしまった総入歯
下駄浴衣おんなになれる夏祭り
先生は下駄に着物で鯉に餌


  「ジョッキ干せ」          羽田  共生
警戒心と防犯ブザーで子が育ち         牧之原
鴨一家ひっこし巡査もおてつだい
ジョッキ干せ八十五センチまだいける
兄弟喧嘩の種残ってる島ひとつ


「七  夕」            川口 のぶ子
七夕の願いもむなし雨に泣く         藤 枝
七夕の逢瀬をはばむ黒い雲
ゴロゴロとかみなり様が威嚇する
夕涼み見上げてごらん星が無い


 「雑  詠」            森島  寿恵
雨降りは嫌だと言えば照り続き      浜 松
野の花は踏まれる度に強く伸び
難題が解けず鉛筆先細り
人の口悪口言えばすぐ伝わり


「没 供 養」            鈴木 まつ子
中八でまんまと抜けた句の誤算       島 田
何回も舌で転がし地に還る
没供養とことん煎じ拝まれる
生きたままグサリ切り込む句を求め


  「雑  詠」            山田  光男
師の激に耐えて花咲く初舞台          静 岡
わが道を進むときめたナース帽
おそろしい手加減忘れた愛のむち
戸を這うも毛虫に大きな夢がある


「雑  詠」          馬渕 よし子
夏バテを防ぐ回りのエネルギー    浜 松
頼られて予想外にと出た馬力
苗床へ未来の夢の種を蒔く
子等の声聞こえ少子化ほっとさせ


 「自 由 吟」          望月  満月
約束を鏡の中であたえてる        静 岡
夢を持つ文字が好きで抱きしめる
まだ乗れる自由と言う人生の切符
御自由の風にも乗って来ています


 「矛  盾」         中安 びん郎
参拝をしても止めても非難され     静 岡
冷房をするとオゾンが破壊され
増税で暮らしはすぐに良くなるか
年寄が喜ぶ厚い生き字引


「真  夏」        林  二三子
長い梅雨明けて花々色を増し   芝 川
上高地多少の汗も心地良い
夏休み朝から子らの声響き
走り込む球児勝利の夢を持ち


「乱  心」        堀井  草園
骨抜きの闇夜に叫ぶ鬼子母神    静 岡
順風に乗るのが怖い濡れ落ち葉
売れるもの無い引越しの後遺症
躓いた石で迷いが解けて来る


 「介護の愛」          柴田  亀重
無表情でも動ける幸の介護部屋     沼 津
群れて飲むコーヒーの香の仲良しよ
何の為生きる死迄の問題だ
自慢して極楽愚痴は地獄唄


  「自 由 吟」            山田  ぎん
父釣った鮎が五匹も泳いでる          静 岡
客が来てスイカを切ってテレビ見る
ハーモニカ吹いてるようにもろこしを
此の暑さ老いはテレビを見ているよ


「私  的」            辻    葉
千手観音に千を誓って憚らず          大 阪
秘密を守る快感として守る
会者定離いいえ私は放さない
のんびりとさせてはくれぬ影法師


 「雨に歌えば」          永田 のぶ男
都市砂漠生け贄捧げ雨を乞う    静 岡
一滴の雫の下にある大河
恵みの雨潤う大河郷となる
雨上り笛や太鼓や三味歌う


 「帰  る」         川村  洋未
いつ帰る聞いていいやら悪いやら 静 岡
帰ろうよいい事はないこれ以上
さよならと点になるまで手を振って
携帯で鍵をあけてと家の前


 「今のうち」      多田  幹江
言い訳のうまいカラスのワイフです   静 岡
ささくれています心も指先も
トンネルをクシャミしながら脱けて来た
働けるうち生きているうち今のうち


  「過  去」       堀場  梨絵
過去帳からしたたり落ちる愛いくつ  静 岡
肩に手が触れたお人に逢えた街
お手玉のいろ鮮やかに亡母を乞う
蜜蜂が稼いでくれる夏の陣


「虎 竹 抄」           長澤 アキラ
早起きをするが未だに得がない      静 岡
来客が有ると片付く家の中
歩留まりの良過ぎる娘まだ未婚
居酒屋で汚れた昼を脱ぎ捨てる


 「  虫  」          谷口  智美
電波時計より正確な腹の虫   伊 豆
ごめんなさい誇大広告ですムカデ
蟻だって遺言くらいあったろに
ポジティブと言ってくださいキリギリス


「槍 の 錆」          池田  茂瑠
安らぎをくれる造花の赤でいい   静 岡
権力の波に弱音の椅子浮かぶ
字余りの槍で先から錆びてゆく
格子柄好む清楚な母ゆずり


「  夏  」         佐野 由利子
見詰められたじろいながら蝉脱皮    静 岡
善良な私に飛んできた火の粉
胸反しラジオ体操朝の風
星降る夜ベランダに干す児の水着


「電脳グルメ」            真理  猫子
電池切れでもケータイは玉手箱    岡 崎
レーズンが美味しい秋のバイキング
わた菓子の中に不倫な添加物
種明かす出番を待っているバナナ


「夏サイト」               山口  兄六
メールからメールへ続くヘビ花火     足 利
アポロンが夜遊びをする熱帯夜
砂浜の貝が遊びの恋と知る
要するに僕はあなたが好きらしい


「生きながらえてありがとう」 曾根田しげる
地図にない道も歩いて丸くなる 静 岡
聞き馴れぬ新語溢れて世が歪む
歳重ね杭にはなれぬ聞くだけよ
相槌を打ってくれます嫁が居る


  「ふ ぐ り」         川路  泰山
日本の夏へ浴衣と下駄買いに      島 田
行水で小粋に虫の声を聞く
まだまだとふぐりが騒ぐ夕涼み
幾たびも洗い直して風を着る


「自 由 吟」               高瀬  輝男
闇また闇 伏流水の長い旅            焼 津
酌いでやる君の痛みがわかるから
何度聞いても海は答えを出し惜しむ
クッションにする気で吐いた嘘一つ


「にんげん」                望月   弘
肝臓でぐさりと折れる妻の愚痴      静 岡
近頃の子らと昔の餓鬼の弁
妻と僕ふたりで人になっている
にんげんを棲ませて地球悔いている


 「晩  夏」            加藤   鰹
シャガールの青より謎深き女       静 岡
ぷっつりとメール途切れて夏終わる
おでん屋の親父泣かせること言うね
三十二年振りの凱歌に燃えた夏


   顧  問  吟 
 「  笛  」       柳沢 平四朗
年金の萼介護へちぎれそう           静 岡
もう鳴らぬ笛煩悩を持て余し
歓心を買う人品の付け黒子
団塊へマリオネットの膝嗤う


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(2006/09/25(Sun) 21:20:41)

    合 点 優 秀 作 品 賞 
 一位 吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
 二位 液晶の画面あんたも薄っぺら     水品 団石
 三位 とりあえず来たバスに乗る寂しい日  宮前 秀子
 四位 ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ     鈴木田鶴子
 五位 涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
 六位 手になにも持たなくなって満たされる やまぐち珠美
 七位 走り出す私を好きになる私      三上 博史
 八位 少しずつ海へ転がる泣きながら    板垣 孝志
 九位 月が出るまでは普通のままでいる   赤松ますみ
 十位 春愁やときめいて割る生卵      高橋 白兎
 


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(2006/09/25(Sun) 21:16:41)

入  選
バラバラに動く家族の飯を炊く    中田さだ子
戦争は一番悪いけものです      片岡 玉虫
美しく生きるって辛いね柘榴     内山 孤遊
老いの靴銀河までなら歩けます    中道 文子
四捨五入すれば骨壷残るのみ     石井  昇
モノクロの密葬続く長寿国      小泉 正巳
花万朶その他の欲が何あろう     菅沼 道雄
涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
ブランコを漕ぐにんげんになれるまで 小野 清秋
病院へ行こう私の場所がある     河内谷 恵
ケータイを翳すと明日が見えますか  島崎 穂花
引力に逆らうにぎりめしを持つ    鹿野 太郎
ふるさとは日溜りである母である   櫛引あやの
魂をやさしい酒に売り渡す      佐藤 清泉
決断へ天地無用の荷が届く      上村  脩
雨が止むまでに答えは出るだろう   吉野 和夫
独りになる怖さを知っている暦    杉山 精子
月が出るまでは普通のままでいる   赤松ますみ
いい日だな時計も脈もリズミカル   中田  尚
青空に父の顔あり手紙書く      丸山 健三
老人ホームみんな母から生まれた子  居谷真理子
わたくしと遊びたがらぬのが私    吉本 君枝
菜の花の中で安楽死を思う      宮前 秀子
春愁やときめいて割る生卵      高橋 白兎
豆絞り五臓六腑の血が騒ぐ      杉山 精子
前後左右揺れてしっぽができました  ひとり 静
水槽に終点のない回遊魚       滝川ひろし
吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
一度だけ風に抱かれた吾亦紅     石沢 久子
待ち時間の姿勢は変えぬキリギリス  宮本 夢実
計算の下手な少女が美しい      望月 鐘雄
お祭りの餅はやっぱり父が搗く    森野 政利
傘さして大好きな木に逢いにゆく   赤松ますみ
生きている小鍋を洗う音させて    横山キミヱ
冷たさと温さがわかる下り坂     内山 敏子
天気図のどれも私の味方する     高橋 成子
人間のおごりに慣れたゴミ袋     千葉 幸子
毎月のわが家を飾るありがとう    正畑 半覚
人を恋うかたちで廻る洗濯機     中野 敦子
朗らかで北の風とも仲がいい     今村美根子


  秀  句
とりあえず来たバスに乗る寂しい日   宮前 秀子
シアワセでないから金を溜めている   播本 充子
ぬくもりをもらうぬくもりでかえす   杉山 太郎

 特  選
手になにも持たなくなって満たされる  やまぐち珠美


選後感 ▽個々のテーマを自由に表現する作品群の伝達性にポイントを置いてチェックを入れた。自由な選句をたのしませていただいた結果を思う。

 森中 惠美子(もりなか・えみこ)
 昭和五年神戸市生まれ・昭和三十一年番傘同人・現在番傘川柳本社副幹事長
句集「水たまり」「仁王の口」ほか


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(2006/09/25(Sun) 21:14:41)

入  選
鑑定は要らぬ家宝として守る     寺田 柳京
病院へ行こう私の場所がある     河内谷 恵
まな板の鯉に水などかけてみる    永井 静佳
口紅を忘れず喪主の席に座す     長谷川文子
風を詠む俺は詩人か予報士か     畔柳 晴康
負け組もいい正常な血糖値      松本 晴美
前向きに善処ぞうきん換えました   中村みのり
生きている小鍋を洗う音させて    横山キミエ
手になにも持たなくなって満たされる  やまぐち珠美
走り出す私を好きになる私      三上 博史
わたくしと遊びたがらぬのが私    吉本 君枝
ずん胴になっていないか砂時計    ひとり 静
美しく生きるって辛いね柘榴     内山 孤遊
丸よりも自分を主張する楕円     石川  忠
カタツムリに条件反射させてみる   辻   葉
北窓を開けて何かを待つ時間     浪越 靖政
矢印のはらりと落ちた森の中     森口かな江
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ     鈴木田鶴子
下心何も無いからパアを出す     川村 洋未
計算の下手な少女が美しい      望月 鐘雄
月が出るまでは普通のままでいる   赤松ますみ
ゴーサイン待つ4Bを尖らせて    中村 広志
涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
勝ち組が弱者を食べる音がする    鈴木 泰舟
自叙伝のトマトはどれも甘かった   宮本 夢実
春愁やときめいて割る生卵      高橋 白兎
転校をして解決をしたことに     毛利 由美
液晶の画面あんたも薄っぺら     水品 団石
達磨でもころんで起きる知恵はある  猪股 幸子
方言でしゃべってごらんうまくいく  居谷真理子
朗らかで北の風とも仲がいい     今村美根子
思い出のキーは叩かぬ方がいい    浅野 滋子
この先の時間造花はどう過ごす    高橋 杏仁
貝よりも石になりたい時がある    真田 義子
故郷が変わる私は変わらない     除田 六朗
人がいや一人ぼっちはもっといや   川島 五貫
空想で泣いた日経験で泣く日     毛利 由美
シアワセでないから金を溜めている  播本 充子
役持たぬ人がいろいろ言うてくれ   田中 みね
とりあえず来たバスに乗る寂しい日  宮前 秀子


 秀  句
飲み屋でも靴は一番端に置く     荻原 鹿声
前後左右ゆれてしっぽができました  ひとり 静
放鳥の鳩が退職するという      夏井 誠治

 特  選
花万朶その他の欲が何あろう     菅沼 道雄

選後感▽やはり主催吟社によって集まる作品が少しずつ違うように感じた。選とは選者の主張だと思っている。

 大野  風柳(おおの・ふうりゅう)
 柳都川柳社主幹・全日本川柳協会常務理事
 日本現代詩歌文学館常任理事
 著書「うめぼし柳談」「川柳よ変りなさい」ほか



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(2006/09/25(Sun) 21:10:41)

入  選
ブランコを漕ぐにんげんになれるまで 小野 清秋
走り出す私を好きになる私      三上 博史
君吃度治るひまわり見てごらん    寺田 柳京
月が出るまでは普通のままでいる   赤松ますみ
老人ホームみんな母から生まれた子  居谷真理子
酸素補給あなたの海へ帰ります    山本野次馬
シュレッダー孤独を理解してくれる  中島 久光
計算の下手な少女が美しい      望月 鐘雄
液晶の画面あんたも薄っぺら     水品 団石
揺れたのは私でした通り雨      森下居久美
恋人が鳩の目をして逢いに来る    山倉 洋子
ゾウ時間に切り替えてからよく眠る  中村みのり
菜の花の中で安楽死を思う      宮前 秀子
扇風機あああ留守番はたいくつ    翁長  裕
負け組もいい正常な血糖値      松本 晴美
望むのはよそう半分わたしの血    池 樹代子
読書だと少年ジャンプ読んでる子   丸山 太郎
立て付けの悪い扉のような妻     山田三千代
あの世でもキミは毎日酔っぱらい   真理 猫子
ゴーサイン待つ4Bを尖らせて     中村 広志
雨が止むまでに答えは出るだろう   吉野 和夫
方言でしゃべってごらんうまくいく  居谷真理子
涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
お祭りの餅はやっぱり父が搗く    森野 政利
いい夫婦だんだん同じ色になる    多良間典男
団塊がもろみのように仕上げ待つ   萩原まさ子
吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ     鈴木田鶴子
北窓を開けて何かを待つ時間     浪越 靖政
少しずつ海へ転がる泣きながら    板垣 孝志
四捨五入すれば骨壷残るのみ     石井  昇
手のひらにある幸せに気づかない   柏原 夕胡
体育会系の男が浮いている      翁長 裕美
引き出しに渡せなかったラブレター  鈴木 良平
びりっけつそれでも私ついて行く   川村 裕未
自叙伝のトマトはどれも甘かった   宮本 夢実
定年の日から外した腕時計      西垣 博司
本心は誰にも言わぬ深海魚      長瀬久太郎
人を恋うかたちで廻る洗濯機     中野 敦子
晴れた日は手が届きそう北の島    渡辺 涼子


 秀  句
熟れているものみな罪の香りする    興津 幸代
斧を持つ男と明日の話する       江尻 麦秋
パソコンを捨てた僕らはトムソーヤ   山口 兄六

 特  選
YES YES YES地獄へ来てしまう  浪越 靖政

選後感 ▽特選句は、とにかくインパクトがあった。“YES YES YES”は、誰かの歌のタイトルにあったぞ、なんて関係はない。ドラマがあった。誌上大会は、ホームランか、三振か、そういう楽しみがあっていいのではないかと思う。

 高瀬  霜石(たかせ・そうせき)
 弘前川柳社副主幹・青森県川柳社理事
 川柳塔社理事・川柳展望社会員
 句集「青空」 句とエッセイ「青空もうひとつ」


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(2006/09/25(Sun) 20:59:41)

入  選
飲み屋でも靴は一番端に置く     荻原 鹿声
吐く息が長いまだまだ光れそう    籠島 恵子
心臓の休暇願いを見てしまう     勝又 明城
走り出す私を好きになる私      三上 博史
熟れているものみな罪の香りする   興津 幸代
負け組みもいい正常な血糖値     松本 晴美
よもぎ摘む指を離れぬ遠い飢餓    江川ふみ子
下心何も無いからパアを出す     川村 洋未
人がいや一人ぼっちはもっといや   川島 五貫
ハイハイと嫁に胡椒を利かされる   福本 英子
モノクロの密葬続く長寿国      小泉 正巳
シュレッダー孤独を理解してくれる  中島 久光
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ     鈴木田鶴子
糸尻の愛にみんなが気付かない    菅沼 道雄
声の無いにんげんばかり碧空よ    柳   圭
故郷が変わる私は変わらない     除田 六朗
相聞歌時刻どおりにすれちがう    佐藤 灯人
尾灯去る魚のぬめりを掌に残し    小野 清秋
なつメロに男泣きする鬼瓦      妹尾 安子
独りになる怖さを知っている暦    杉山 精子
まな板の鯉に水などかけてみる    永井 静佳
目が二つあって見逃しばかりする   大橋 政良
前向きに善処ぞうきん換えました   中村みのり
ゴーサイン待つ4Bを尖らせて    中村 広志
老いの靴銀河までなら歩けます    中道 文子
タレントを束ねしぐれてくるテレビ  石川 重尾
液晶の画面あんたも薄っぺら     水品 団石
傘さして大好きな木に逢いにゆく   赤松ますみ
この耳を福祉の届く位置に置く    吉田 義雄
困ったら楢山行きもわるくない    鈴木まつ子
消印の街で生きよう水を飲む     長尾 美和
酸素補給あなたの海へ帰ります    山本野次馬
少しずつ海へ転がる泣きながら    板垣 孝志
吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
騙されて性善説と揺れている     木崎 栄昇
初恋の割り符を探す月灯り      安田 豊子
紙で風斬るとそこにも血の匂い    中島 久光
ツユクサの告発忘れてはいない    山田ゆみ葉
問題は寿命デジタル移行の日     小坂 恭一
大切なこと言えなくてただ歩く    前田 伸江


 秀  句
月が出るまでは普通のままでいる
退職辞令まるめて覗くあかね雲
スタミナの切れないうちに妥協する

 特  選
平和祈願地蔵の肩が凝っている


選後感 ▽入選句は個性的に今を詠んだ句が多く惹かれた。特選以下十句にあまり差は無く、秀句と佳作の仕分けに特に苦労した。選を終わって心地良い疲労感に包まれた。

 津田   暹(つだ・すすむ)
 川柳研究社幹事長・川柳サロン会長ほか
 日川協常任理事・千葉県川柳作家連盟副会長
 句集「川柳三昧」


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(2006/09/25(Sun) 20:58:41)

入  選
生きている小鍋を洗う音させて    横山キミヱ
雨の日は雨のやさしさ確かめる    中野三根子
とりあえず来たバスに乗る寂しい日  宮前 秀子
ツユクサの告発忘れてはいない    山田ゆみ葉
美しく生きるって辛いね柘榴     内山 孤遊
雨が止むまでに答えは出るだろう   吉野 和夫
惜しみなく父と母の手柔らかい    岩松 紀子
恋人が鳩の目をして逢いにくる    山倉 洋子
ずん胴になっていないか砂時計    ひとり 静
吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
約束の小指ときどき獣めく      八木田幸子
一度だけ風に抱かれた吾亦紅     石沢 久子
人を恋うかたちで廻る洗濯機     中野 敦子
決断へ天地無用の荷が届く      上村  脩
なんということだ仮面のまま帰宅   菅沼 道雄
涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
傘差して大好きな木に逢いにゆく   赤松ますみ
液晶の画面あんたも薄っぺら     水品 団石
迂闊にも他人のしっぽ踏んだ夜    笹 美弥子
吊り革に笑い袋がぶら下がり     中田  尚
手になにも持たなくなって満たされる  やまぐち珠美
お祭りの餅はやっぱり父が搗く    森野 政利
老いたくはないので追肥しています  丸山 健三
ささやかな暮し眩しい天がある    北山 絹子
片道切符こんな愉快な旅なのに    岡村 千鳥
かくれんぼ呼びにも来ない花畑    石田 竹水
靴下がくたびれているワンコイン    西端 康孝
鶴を折る指で数える鬼の首       石川 重尾
両の手を抱きしめている嬉しい日    岩松 紀子
座布団が正座している無人駅      中沢まつえ
少しずつ海へ転がる泣きながら     板垣 孝志
運命の日が前触れも無く来たる     吉村小名樹
きみの手をとる飛びきりの微笑で  あいざわひろみ
老いの靴銀河までなら歩けます     中道 文子
朝の水一杯今日のプロローグ      金原 忠枝
いい日だな時計も脈もリズミカル    中田  尚
飽食の貘よ星ふる夜は眠れ       板垣 孝志
明日に向く靴なら僕も持っている    櫛引あやの
シュレッダー孤独を理解してくれる   中島 久光
この先の時間造花はどう過ごす     高橋 杏仁


  秀  句
ゆっくりになったね僕の走馬灯     小林信二郎  
四捨五入すれば骨壷残るのみ       石井  昇
ブランコを漕ぐにんげんになれるまで  小野 清秋

 特  選
旗たたむ指の海鳴りには触れず     荻原 鹿声


選後感 ▽皆様のすばらしい感性が十七文字の中で躍動していました。特に、特選句の適度な抽象性は、限りなく広い詩的空間へと導いてくれ、短詩型の妙味を存分に味合わせていただくことができました。

 大西  泰世(おおにし・やすよ)
 関西学院大学、兵庫県立大学講師
 NHK大阪、NHK神戸など川柳講師
 句集「椿事」「世紀末の小町」ほか


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(2006/09/25(Sun) 20:56:41)

入  選
神と鬼足して割ったら人になる    柏屋叶志秋
体中のガスを抜き取る無駄話     袴田  華
いい夫婦だんだん同じ色になる    多良間典男
踊り場で死んでいたのは父の影    相馬さわこ
老なかばそろそろ小骨抜いていく   衣川 登代
困ったら楢山行きもわるくない    鈴木まつ子
音のない電車が走っている脳裏    山倉 洋子
元気ですあなたもどうぞご自愛を   松尾 冬彦
わたくしと遊びたがらぬのが私    吉本 君枝
真っ白に洗う私の自尊心       平井 義雄
シアワセでないから金を溜めている  播本 充子
母が辿った放物線のあとを追う    籠島 恵子
肩の荷が降りると小石乗せられる   堀井 草園
下心何も無いからパアを出す     川村 洋未
とりあえず来たバスに乗る寂しい日  宮前 秀子
人がいや一人ぼっちはもっといや   川島 五貫
計算の下手な少女が美しい      望月 鐘雄
YES YES YES地獄へ来てしまう 浪越 靖政
一枚を脱いで明日の風を呼ぶ     流 奈美子
地下街にごろり出世魚の死骸     松葉 鈴子
螺子一つ転がり幕が下ろされる    水品 団石
「ありがとう」にだってあります十二色  北澤 百代
ゴーサイン待つ4Bを尖らせて    中村 広志
故郷が変わる私は変わらない     除田 六朗
鶴を折る指で数える鬼の首      石川 重尾
病院へ行こう私の場所がある     河内谷 恵
迂闊にも他人のしっぽ踏んだ夜    笹 美弥子
思い出はいつも笑った顔にする    八木田幸子
スキャンダルああやっぱりねやっぱりね  瀧   進
マスコミが動き事件にしてしまう   藤村 容子
運不運御破算にする棺の蓋      島崎 穂花
忍の字をいくつ呑み込むのど仏    滝田 玲子
人の気も知らず無口に回る寿司    真理 猫子
青空に父の顔あり手紙書く      丸山 健三
老い少し売り物にして朝の酒     斉藤 進歩
風を追い風に追われてゆく戦さ    新貝里々子
初恋の割り符を探す月灯り      安田 豊子
立て付けの悪い扉のような妻     山田三千代
老いたくはないので追肥しています  丸山 健三
望むのはよそう半分わたしの血    池 樹代子


 秀  句
平和祈願地蔵の肩が凝っている    望月  弘
スタミナの切れないうちに妥協する  曽根田しげる
液晶の画面あんたも薄っぺら     水品 団石

 特  選
DNAはソーラン節でできている   高橋 繭子


選後感 ▽(特)見つけの面白さが抜群、ユーモアがあり楽しい句です。いい句をたくさん戴きありがとうございました。勉強をさせていただきました。

 川上  大輪(かわかみ・だいりん)
 和歌山県川柳協会副会長・川柳塔わかや  
 ま吟社副主幹・川柳塔社理事
 句集「二重奏」「流れ星の詩」




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(2006/09/25(Sun) 20:50:41)

入  選
人間のおごりに慣れたゴミ袋     千葉 幸子
花万朶その他の欲が何あろう     菅沼 道雄
揺れたのは私でした通り雨      森下居久美
とりあえず来たバスに乗る寂しい日  宮前 秀子
雨の日は雨のやさしさ確かめる    中野三根子
吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
嫁がせた子の人形の置き所      渡辺 涼子
美しく生きるって辛いね柘榴     内山 孤遊
リセットで難無く恋も少年も     藤村 容子
YES YES YES地獄へ来てしまう  浪越 靖政
握手した橋を渡って行く夕日     若林 柳一
なんということだ仮面のまま帰宅   菅沼 道雄
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ     鈴木田鶴子
わたくしを呼ぶのは雨に濡れた猫   多田 幹江
手になにも持たなくなって満たされる  やまぐち珠美
事前事後母の教えの拭き掃除     金田政次郎
前向きに善処ぞうきん換えました   中村みのり
目が二つあって見逃しばかりする   大橋 政良
熟れているものみな罪の香りする   興津 幸代
靴下がくたびれているワンコイン   西端 康孝
ずん胴になっていないか砂時計    ひとり 静
自叙伝のトマトはどれも甘かった   宮本 夢実
この歳にならなきゃ咲かぬ花でした  金原 光江
大切なこと言えなくてただ歩く    前田 伸江
算盤を合わせるために捨てるもの   松橋 帆波
冷たさと温さがわかる下り坂     内山 敏子
少々は漏れても嬉し母の傘      浅川和多留
良い人と言われこっそり捨てる灰汁  渥美さと子
鬼だけが多いニュースのかくれんぼ  森田 安心
そのままでいいよあなたのままでいい 柏原 夕胡
元気ですあなたもどうぞご自愛を   松尾 冬彦
老いなかばそろそろ小骨抜いていく  衣川 登代
丸かじりトマトの生命ほとばしる   平蔵  柊
涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
詰め込んだ悩みが胃から溢れそう   林 二三子
貧しさに負けまいとする笑い皺    佐藤 清泉
「ありがとう」にだってあります十二色  北澤 百代
毎月のわが家を飾るありがとう    正畑 半覚
思い出はいつも笑った顔にする    八木田幸子
玄関を転がるようにいい知らせ    内藤 房子


 秀  句
少しずつ海へ転がる泣きながら    板垣 孝志
前後左右揺れてしっぽがで来ました  ひとり 静
春愁やときめいて割る生卵      高橋 白兎

 特  選
走り出す私を好きになる私      三上 博史


選後感 ▽今をうたう、今の自分をうたう。そんな新鮮さをいつも持ちたいものだと思いながら選を。ありがとうございました。

熊谷  岳朗(くまがい・がくろう)
 いわて紫波川柳社代表
 全日本川柳協会常任理事
 句集「風はうたう」



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(2006/09/25(Sun) 20:40:41)

入  選
吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
傘さして大好きな木に逢いにゆく   赤松ますみ
真実は一つ曲げても砕いても     江藤 一市
少々は漏れても嬉し母の傘      浅川和多留
副作用あるかも知れぬ刺は抜く    渥美さと子
反省と言う寄り道で一呼吸      口井千代子
本心は誰にも言わぬ深海魚      長瀬久太郎
眠れなく部屋いっぱいになる羊    中沢まつえ
出る杭にならずに生きて色がない   松田 順久
百歳を語る人生無駄がない      吉田 義雄
云い過ぎた一言夫と風を分け     紅野さゆみ
言い訳をするなら電源は切るぞ    山本トラ夫
参ったね見知らぬ人が温かい     山口 兄六
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ     鈴木田鶴子
コネなどは無用チカラで勝負する   篠原智恵子
コンセント入れて鼓動の第二章    山田 寛二
雑草の花は詩人に呼び出され    曽根田しげる
尻馬に乗るのが好きで良く落ちる   岡村 廣司
達磨でもころんで起きる知恵はある  猪股 幸子
甘く見た迷路にひとり残される    楠根はるえ
曖昧が嫌いでしゃしゃり出てしまう  赤羽とし枝
一輪の花でありたい風景画      森口かな江
子の為に敷いた路線に火を灯す    千代 八灯
生きている小鍋を洗う音させて    横山キミヱ
三球三振まだ言い訳をする愚か    松川多賀男
ハイハイと嫁に胡椒を利かされる   福本 英子
老いたくはないので追肥しています  丸山 健三
スタミナの切れないうちに妥協する 曽根田しげる
押し黙る鍋がぶつぶつ焦げてくる   岡 さくら
例えばの話に伏せてある本音     江川ふみ子
湯治場の落日熱く方丈記       佐熊いさ子
釣り落とす魚はなぜか出世する    池田 耕一
冗談と笑い飛ばしている涙      篠原智恵子
地下街にごろり出世魚の死骸     松葉 鈴子
春愁やときめいて割る生卵      高橋 白兎
四捨五入すれば骨壷残るのみ     石井  昇
狂わない時計に自由奪われる     馬渕よし子
鑑定は要らぬ家宝として守る     寺田 柳京
一本の竹の中から出た民話      北山 絹子
わだかまり流せば空も笑い出す    岡村 千鳥


 秀  句
病院へ行こう私の場所がある    河内谷 恵
いい夫婦だんだん同じ色になる   多良間典男
明日に向く靴なら僕も持っている  櫛引あやの

 特  選
朗らかで北の風とも仲がいい    今村美根子

選後感 ▽特選の句。差別のない人との付合い、上五の朗らかにその人柄が表現されている。川柳人の仲間は、どこに行っても朗らかで心暖かい。

石田  一郎(いしだ・いちろう)
 長野県川柳作家連盟会長
 全日本川柳協会常任理事
 川柳キマロキ吟社代表
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(2006/09/25(Sun) 20:13:07)

北海道
目が二つあって見逃しばかりする  大橋 政良
深呼吸して決断の戸を叩き     中川  司
北窓を開けて何かを待つ時間    浪越 靖政
まっすぐに歩いて首を殺ぐわれる  大野 直之
青 森
炊き込みのめしで人生語れない   北村 吾朗
生きている小鍋を洗う音させて   横山キミヱ
街道の椅子はふんわり心地良い   山田十九子
美しく生きるって辛いね柘榴    内山 孤遊
ふるさとは日溜りである母である  櫛引あやの
前向きに善処ぞうきん換えました  中村みのり
約束の小指ときどき獣めく     八木田幸子
言い訳はアドリブばかりちぎれ雲  中道 文子
秋 田
妻は趣味さみしい夫は枕抱く    猪股 幸子
この耳を福祉の届く位置に置く   吉田 義雄
岩 手
故郷が変わる私は変わらない    除田 六朗
ワッハッハ心の憂さはさておいて  宮野たきこ
実直に歩いた父の花笩       加差野静浪
晩年の美学なんぞで生きられねぇ  畠山 軍子
皺の掌で孫抱き上げ見せる地球   中田さだ子
裸木になったのサ!冬を生きるため 葛岡ヒデ子
夢のようと古鐘ふらつき見せている 佐熊いさ子
ひばり揺影哀しい酒を注ぎこぼす  菅沼 道雄
梅雨明ける晴れ間の誘い水着干す  駿河 噴午
この先の時間造花はどう過ごす   高橋 杏仁
シュレッダー孤独を理解してくれる 中島 久光
山 形
人生の暮色炎えますスニーカー   石沢 久子
罪隠しされど許さぬ雪卍      柏屋叶志秋
叱るより褒める言葉で母の愛    御田 俊坊
さくら咲く一度にどっと息吹き出る 丸山あきら
春愁やときめいて割る生卵     高橋 白兎
宮 城
しなやかなけもののように散る夕陽 笹 美弥子
貝よりも石になりたい時がある   真田 義子
引力に逆らうにぎりめしを持つ   鹿野 太郎
眉間には我慢比べの跡がある    高橋 繭子
農民の農は命の物語り       保田 二郎
このドアを開けて慈顔に逢えるのね 勝又 明城
新聞に鬼よりこわい親が居る    小室 春柳
しつけ糸解きたくない子の自立   太田 良喜
天然の髪を憎んだことがある    中沢ゆり子
蒸しあがるワタシをたんと召し上がれ 横関智恵子
殺さない程度で売れぬ私小説    高橋 朗風
北極に立って自転に気づかない   本村 靖弘
人間のおごりに慣れたゴミ袋    千葉 幸子
両の手を抱きしめている嬉しい日  岩松 紀子
雨が止むまでに答えは出るだろう  吉野 和夫
愛国に燃えて達磨になったワシ   鹿野  椿
朝露キラリ森の童話が走り出す  あきたじゅん
海の底這えずり回る導火線     長谷川文子
福 島
尾灯去る魚のぬめりを掌に残し   小野 清秋
負け犬のすがった藁で縄を綯う   横山 昌利
斧を持つ男と明日の話しする    江尻 麦秋
人を恋うかたちで廻る洗濯機    中野 敦子
運転の妻は平気な峠道       佐藤 千四
コンセント入れて鼓動の第二章   山田 寛二
天気図のどれも私の味方する    高橋 成子
茨 城
引き出しに渡せなかったラブレター 鈴木 良平
ひと味を絡めて責める唐辛子    岡 さくら
空想で泣いた日経験で泣く日    毛利 由美
道を説く立場の人の非常識     舟橋  豊
人間の心拡げる抽象画       川村 英夫
勝ち組へ耳打ちプロの甘い罠    松本 晴美
朱の墨に納得できて息が抜け    葛西  清
組立てる虚構ロイトになりたがる  三浦 武也
紙オムツ母は女を捨てきれず    園 いく子
栃 木
パソコンを捨てた僕らはトムソーヤ 山口 兄六
母在ればきっと喜ぶチンの音    赤羽とし枝
箸置けばさっとお茶出た頃もあり  刑部 鬼子
見合い席苺一つが残される     鈴木 久樽
走り出す私を好きになる私     三上 博史
埼 玉
喪があける正座くずして南風    戸田美佐緒
冗談と笑い飛ばしている涙     篠原智恵子
晴黄色おとことおんな混じり合う  山口はんし
ケータイを翳すと明日が見えますか 島崎 穂花
造花では花瓶の嘆き癒せない    吉井 清子
生い立ちを辿れば匂う泥の水    木崎 栄昇
防壁の穴から自我を解き放す    神山 元子
眼力が繁るページを巻き戻す    渡辺  梢
釣り落とす魚はなぜか出世する   池田 耕一
中流の意識で貯金底を突き     竹内田三子
背徳の虹が出たので店仕舞い    石井  昇
虫喰いで阿吽の会話腹を読む    斉藤 幸子
荒れ球を流し打ちして嫁の勝ち   長瀬久太郎
蛇行して見えて来ました余生の灯  市川 静枝
方言が消え私に貌が無い      岡部 美雄
東 京
算盤を合わせるために捨てるもの  松橋 帆波
星のない北都に灯すほうたる恋  やまぐち珠美
行き止まり いたく少年傷つける  吉川 一男
持ち直し生前墓地の草むしろ    鈴木きよし
三角の角をくすぐるドンの爪    清水香代子
晴れた日は手が届きそう北の島   渡辺 涼子
決断へ天地無用の荷が届く     上村  脩
もう一度働く為の水を飲む     永井 静佳
シアワセでないから金を溜めている 播本 充子
問題は寿命デジタル移行の日    小坂 恭一
千 葉
息抜きが上手風船丸く住み     成島 静枝
在りし日に帰るホタルの棲む郷で  田制 圀彦
青空を仰ぐ進むと決めた朝     富士 千歳
これしきの涙となった波の白    横田輪加造
オクラほどの粘りもなくて妻でいる 本田 哲子
打ち水にカメラを意識する浴衣   中沢 広子
成功の手術さいなむ後遺症     西山隆志郎
消印の街で生きよう水を飲む    長尾 美和
梅雨空へ梯子を掛けて追い払う   老沼 正一
丸かじりトマトの生命ほとばしる  平蔵  柊
水槽に終点のない回遊魚      滝川ひろし
夕焼けへ誘われて出る引き籠り   潮田 春雄
神奈川
扇風機にあああ留守番はたいくつ  翁長  裕
さあみんなアトムになって遊ぼうぜ 松尾 冬彦
晩成へトランペットを離さない   渡辺 貞勇
少子化に深さを増した国の井戸   神川 敦子
人生はボレロあせらず夢を抱き   米多吉吾郎
飲み屋でも靴は一番端に置く    荻原 鹿声
脱皮する少年神を従える      土屋 久昭
なつメロに男泣きする鬼瓦     妹尾 安子
ヒーローはまだか日本の深い霧   二宮 茂男
川柳を謡い海馬へ鞭を打ち     小山 一兎
演技賞やはり熟女に差し上げる   小泉 正巳
人生の嵐の中にある嵐       森  孝夫
ぬくもりをもらうぬくもりでかえす 杉山 太郎
山 梨
接写されこのまま居たいバラの花  風間 和子
心神喪失息子が恋をする      小林信二郎
少々は漏れても嬉し母の傘     浅川和多留
長 野
君の手をとるとびきりの微笑で あいざわひろみ
熟れているものみな罪の香りする  興津 幸代
君の名をなぞり火の粉を振り払う  吉平 一岳
青空に父の顔あり手紙書く     丸山 健三
自叙伝のトマトはどれも甘かった  宮本 夢実
異なるもの並んだだけのハーモニー 北澤 百代
夫の顔犬とたわむれえびす     山口フミ子
MRIに切腹命じられ       南澤奈緒美
眠れなく部屋いっぱいになる羊   中沢まつえ
梅雨晴れ間フル回転の洗濯機    杉浦 宏子
腰痛が古希の坂道ころげ出す    佐藤 睦子
新 潟
退職辞令まるめて覗くあかね雲   白勢朔太郎
恋人が鳩の目をして逢いにくる   山倉 洋子
握手した橋を渡って行く夕日    若林 柳一
雨雲に三尺玉が意地を見せ     平井 音子
放鳥の鳩が退職するという     夏井 誠治
静 岡
朱の羽根を繭の窓から予約する   池田 茂瑠
知恵の輪がなかなか解けぬ拉致の国 石上 俊枝
かくれんぼ呼びにも来ない花畑   石田 竹水
独り居の窓へ仲間の一つ星     市川 重雄
価値観の相違息子と喰いちがい   秋元 京子
振り上げた手が九条で降せない   伊藤 泰史
冷たさと温さがわかる下り坂    内山 敏子
よもぎ摘む指を離れぬ遠い飢餓   江川ふみ子
尻馬に乗るのが好きで良く落ちる  岡村 廣司
無機質な街でゼラチン質の嘘    荻田飛遊夢
かもめ鳴く港に嘘を消しに行く   鍵山 裕樹
事前事後母の教えの拭き掃除    金田政次郎
鬼と会う日の装いは純白で     川路 泰山
下心何も無いからパアを出す    川村 洋未
アデランス付けて女房の別世界   斉藤 才男
雑草の戦場となる広い庭      鈴木 泰舟
納棺の時は裸で入れてくれ     長澤アキラ
紅差して脈打ちだした私小説    中田  尚
愛国を分析したら核がみえ     永田のぶ男
雨の日は雨のやさしさ確かめる   中野三根子
空港に畳一枚土地がある      中前 棋人
ゴーサイン待つ4Bを尖らせて   中村 広志
乗客がてんやわんやの蜂の群れ   中安びん郎
一人言言ってみたさに酒を足す   西垣 博司
詰め込んだ悩みが胃から溢れそう  林 二三子
肩の荷が降りると小石乗せられる  堀井 草園
妻の眼を通すと消えてゆくロマン  堀内しのぶ
酒乱なら見合いの席で言ってくれ  増田 信一
舗装割る草の雄叫び風が聞く    増田まさし
頂上で天狗の鼻が干涸びる     馬渕よし子
螺子一つ転がり幕が下ろされる   水品 団石
我武者羅に生きた昭和が光り出す  望月 鐘雄
生き生きと子供が描くビオトープ  望月 邦昭
矢印を行くと天寿の手と出合う   望月  弘
揺れたのは私でした通り雨     森下居久美
口ばしが丸味を帯びたからブロー  森田 安心
合掌を知らぬグルメに小骨置く   柳沢平四朗
言い訳をするなら電源は切るぞ   山本トラ夫
酸素補給あなたの海へ帰ります   山本野次馬
百均に知人のベンツつんと居る   提坂まさえ
貧しさに負けまいとする笑い皺   佐藤 清泉
相聞歌時刻どおりにすれちがう   佐藤 灯人
八月の風は心に吹き溜る      佐野由利子
蝶もまた農夫もおなじ水勝負    設楽亜季浩
結末は飛び去る恋と青い鳥     柴田 亀重
沈丁花 鬼のフェロモンかもしれぬ 新貝里々子
こだわりがしなる命のある限り   鈴木 澄子
困ったら楢山行きもわるくない   鈴木まつ子
聴診器あててみようか嘘ひとつ   芹沢穂々美
スタミナの切れない内に妥協する 曽根田しげる
生きているこの楽しさよ蝶の舞う  高瀬 輝男
ヤンママが見事にさばく子育て記  高橋 春江
忍の字をいくつ呑み込むのど仏   滝田 玲子
夕霧にほんのりあかい恋うさぎ   竹内 さき
生きたくて胸のホタル火掻き立たせ 竹内 登志
眠れない夜考えたオムライス    多田 幹江
悩むふりさえしてくれず終わる恋  谷口 智美
怒鳴り合う夫婦も夜は床一つ    田原 痩馬
若作り入道雲に負けません     土屋 渓水
君屹度治るひまわり見てごらん   寺田 柳京
団塊がもろみのように仕上げ待つ  萩原まさ子
病床でひしと抱き合う血の絆    森島 寿恵
手のひらに掬えば透明海の色    八木 益代
初恋の割り符を探す月灯り     安田 豊子
立て付けの悪い扉のような妻    山田三千代
童心に戻る実家で食べる飯     山本 柳斎
たわごとを堪える仏の聞き上手   山本 智子
とりあえず頷いておくあの話    横地 容子
運命の日が前触れも無く来たる   吉村小名樹
子のために惜しまぬ母の汗しとど  平野ふじ子
一呼吸おいて茶の間へ生の声    丸山 隆三
子等巣立ち部屋の振子が時忘れ   藤原  衣
タレントを束ねしぐれてくるテレビ 石川 重尾
良い人と言われこっそり捨てる灰汁 渥美さと子
熱愛も失恋も過ぎ薬風呂      斉藤 進歩
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ    鈴木田鶴子
丸よりも自分を主張する楕円    石川  忠
呪文解くように写経の一万字    小林 笑楽
マドンナも素顔を見せたクラス会  瀧   進
才人は土足で風に角をつけ     佐治 揺葉
嫁が来て義父はこまめに髭を剃り  飯田 玲子
志半ばで散った地に生きる     紅野さゆみ
一しずく鍾乳洞が世に教え     植松 静河
少子化に分母の愛を思案顔     村田 雅範
焼ぼっ杭駅でばったり燃え上る   太田 生枝
戦争は一番悪いけものです     片岡 玉虫
風を詠む俺は詩人か予報士か    畔柳 晴康
溺れさすあなたの海が胸にある   南 裕次郎
年金日渡る世間へ偏頭痛      市川 正子
この歳にならなきゃ咲かぬ花でした 金原 光江
父の日は父カラフルにコップ酒   金原 忠枝
柱時計反抗期かな派手に鳴る    猪瀬みつ子
三球三振まだ言い訳をする愚か   松川多賀男
人がいや一人ぼっちはもっといや  川島 五貫
神棚にチケット上げて指を折り  諏訪部たみ子
菩提寺の鐘朝もやが絵に仕立て   遠藤美惠子
捨てる夢拾う夢あり今日の幸    内藤 房子
富 山
どん底で仏の足の胼胝と会う    孝井  栞
石 川
男時女時グラデーションの宵の刻  越村 智彦
マスコミが動き事件にしてしまう  藤村 容子
わたくしと遊びたがらぬのが私   吉本 君枝
老犬に疲れまざまざ夏の陣     酒井 路也
福 井
一輪の花でありたい風景画     森口かな江
愛 知
あじさいもわたしも雨のリアクション 浅野 滋子
あの世でもキミは毎日酔っぱらい  真理 猫子
声の無いにんげんばかり碧空よ   柳   圭
方言が出てふる里の顔になる    中根 文作
朗らかで北の風とも仲がいい    今村美根子
薬飲むこの世に未練ある限り    袴田  華
理不尽に気付かぬ振りをする背中  上村 末子
真っ当な汗人間の匂いする     宇佐美 妙
望むのはよそう半分わたしの血   池 樹代子
謀られたかこっちもお面持っていて 神谷三八朗
岐 阜
地下街にごろり出世魚の死骸    松葉 鈴子
三 重
シャボン玉空の全部を抱き割れる  大野たけお
平凡でいいさと負け惜しみを言う  松田 順久
奈 良
少しずつ海へ転がる泣きながら   板垣 孝志
老人ホームみんな母から生まれた子 居谷真理子
ずん胴になっていないか砂時計   ひとり 静
春帽子脱いで仮面をはずす魔女   森野 政利
京 都
趣味で書く日本絵の色紙すばらしい 木村 彦二
老なかばそろそろ小骨抜いていく  衣川 登代
大 阪
涙腺も男結びもゆるくなる     嶋澤喜八郎
傘さして大好きな木に逢いにゆく  赤松ますみ
カタツムリに条件反射させてみる  辻   葉
末期がん食べなきゃ損と歯科に行く ふくだ万年
とりあえず来たバスに乗る寂しい日 宮前 秀子
ツユクサの告発忘れてはいない   山田ゆみ葉
母が辿った放物線のあとを追う   籠島 恵子
和歌山
ささやかな暮し眩しい天がある   北山 絹子
独りになる怖さを知っている暦   杉山 精子
手のひらにある幸せに気づかない  柏原 夕胡
あの時の屈辱バネに今がある    上地登美代
反省と言う寄り道で一呼吸     口井千代子
役持たぬ人がいろいろ言うてくれ  田中 みね
朝帰りして鳴くうちの雨蛙     福本 英子
体育会系の男が浮いている     翁長 裕美
兵 庫
靴下がくたびれているワンコイン  西端 康孝
古里は僕の心の中に在る      松永 幸男
踊り場で死んでいたのは父の影   相馬さわこ
目薬を求めて虹の橋渡る      佐藤 純一
捨て難い顔になってる丸ポスト   河内谷 恵
広 島
まっすぐに生きて涙にたどり着く  正畑 半覚
野に転びパノラマの空ひとり占め  流 奈美子
紆余曲折やさしい湖へ辿り着く   中木 未香
香 川
騙しの手口役者揃えて俺俺や 川原 喜吉
愛 媛
十年間さがし続けた人に逢う    井上美惠子
故郷が変わる私は変わらない    除田 六郎
高 知
わだかまり流せば空も笑い出す   岡村 千鳥
福 岡
石ころに濁流の愛角を剃る     酒井 可福
合掌のその真ん中に仏様      楠根はるえ
大切なこと言えなくてただ歩く   前田 伸江
焼いて煮て食べて消したい癌の種  千代 八灯
入れ知恵の切れ目話が繋がらず   江藤 一市
長 崎
おめでとう大きく笑う達磨の目   平井 翔子
真っ白に洗う私の自尊心      平井 義雄
沖 縄
音が消えほほ笑むだけの仏さま   国吉司図子
諍いもあって絆が太くなる     多良間典男
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(2006/09/25(Sun) 19:13:07)

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