静岡川柳たかねバックナンバー
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十二月十一日  十二月句会
   (八幡・たかね・むなぎ合同句会) 於 有東公民館


席 題 「助 け 合 い」   望月 弘 選
大掃除家族総出の大晦日      二三子
歳末に百円握る助け合い      鐘 雄
雑談が心の支え日向ぼこ      泰 史
足と手になってあなたと暮らす仲  玲 子
迷い子をなめて労わる野良の猫   まさし
匿名で毎年寄附はかかさない    周 二
被災地へ国境のない義援金     輝 男
おめでとういぬどし夫婦吠える春  は る
助け合う友も今では恋敵      重 雄
アルミ玉きらり輝く年の暮れ     鰹
ゲートルでそろそろ出るぞ社会鍋  亜季浩
順番に介護の重荷背負わされ    由利子
醤油味噌貸し借りあった遠い過去  泰 史
手を貸せば笑顔が返る白い杖    時 枝
歳末にNHKがしゃしゃりでる   安 心
手を貸さぬ娘の愛を知る涙     恵美子
お笑いも神妙になる献血車     才 男
三世帯婆を労るもみじの手     時 枝
恐妻家老化で今は助け合い     びん郎
社会悪防ぐ近所の助け合い     泰 山
財産が心に積もるボランティア   鐘 雄
 五 客
共稼ぎ家事分担で旨くゆき     二三子
過疎化する村リストラの子を戻す  竹 水
おとなりへ今日は届ける煮ころがし 梨 絵
被災地でがっちり結ぶ手と手と手   鰹
クリスマスサンタもパパも助け合う 洋 未
 人 位
寒風に身を寄せ合って猿の群れ   まさし
 地 位
天災に一円玉が踊り出す      安 心
 天 位
ユニセフが私を誘う振込み書    亜季浩

宿 題 「屋  根」    遠藤 木犀 選
冴えた月屋根の瓦に照りかえる   三根子
本堂の大屋根威厳重たそう     一 路
よい疲れ屋根ふきかへの庭に立つ  歳 江
屋根裏は鋭気養う秘密基地     時 枝
父母の大きい屋根に感謝する    幸 子
息子には土台はやるが屋根は葺け  幸 子
屋根よりも大きく画いたチューリップ由利子
温暖化地球の屋根が軋みだす    由利子
屋根を越え夢も膨らむシャボン玉  二三子
寄り添って痛み分け合う低い屋根  梨 絵
低い屋根だけど笑いの絶えぬ家   輝 男
下の歯が抜けると屋根に放り投げ  びん郎
安泰で親父の屋根の住み心地    一 路
太陽の恵みを屋根で受けている   二三子
温いから気楽な屋根を巣立たない  昭 洋
茅葺きが世界遺産の貌をする     弘
カラフルな屋根がささえる町おこし 泰 山
屋根裏も住めば都の居そうろう   重 雄
屋根に敷く蒲団に書いた世界地図  亜季浩
屋根裏がパパの書斎の設計図    時 枝
屋根瓦寄進の寺の墓参り      歳 江
広島のドームが嘆く人のエゴ    安 心
寒い夜も気丈な妻は高鼾      びん郎
白旗は出さぬ素足の寒稽古     才 男
セーターの編み目を通る強い風   時 枝
三面の記事が寒さを加速させ    泰 山
おやじギャグ北風よりも寒くなる  三根子
お財布に寒くないよとささやかれ  洋 未
卵酒寒気に効いてきた夜明け    竹 水
蒲団からやっと抜け出し寒稽古   びん郎
 五 客
職安の道木枯らしが容赦なく    輝 男
始発待つ風が凍み入る旅の駅    由利子
名湯も雪に抱かれた露天風呂    一 路
初めての親に背いた日の寒さ    まさし
リストラの寒さ家族を凍えさせ   まさし
 人 位
偽造され極寒の暮れマイホーム   亜季浩
 地 位
耐え抜いた寒さへ春の花が咲く   竹 水
 天 位
寒風の中左遷地の土を踏む     由利子

宿 題 「時  代」   石田 竹水 選
悲喜劇を時代が流す交差点     玲 子
夢叶い越され越してく新時代    木 犀
こだわりが有って時代と割り切れず 博 司
母の鞭尻が知ってる鯨尺      安 心
この辺で印籠が出る時代劇     亜季浩
人間の月で餅つく時代来る     重 雄
靖国が憧れだった学童期      泰 史
お先にと新婚夫婦長い風呂     一 路
 五 客
親離れ子離れ時を刻む屋根     竹 水
満天の星に抱かれて眠る屋根    恵美子
ご先祖の屋根が重たい三代目    泰 山
朝日照る屋根の舞台で獅子が舞い  玲 子
茅葺きの屋根へ栄誉の文化財    輝 男
 人 位
建て売りの屋根を揺るがす設計図  まさし
地 位
幸せをいっぱい創る屋根がある   鐘 雄
 天 位
温かなふれあい築く屋根の下    鐘 雄
 選者吟
世襲の家甍で睨む鬼瓦       木 犀


宿 題 「寒  い」   林 二三子 選
皮下脂肪しっかりためて寒くない  洋 未
癌結果待つ身を撫でる寒い風    昭 洋
侘しさに寒さ感じるネオン街    木 犀
冬の陽を拾い集めて布団干す    歳 江
新婚の亀裂が入る人の影      鐘 雄
木枯らしに落葉とびかう分譲地   は る
母さんがいないと部屋が寒くなる   弘
社会悪寒いニュースが多すぎる   泰 山
寒気団女は派手に武装する     梨 絵
失恋の夜に氷雨とセレナーデ    時 枝
嘘一つ胸にしまった日の震え    玲 子
北風に落葉と踊る散歩道      志づ江
ふところもこころも脳もおお寒い   弘
 人 位
お喋りの流言蜚語へホッチキス  木 犀
 地 位
針に蜜塗った女将のホッチキス  茂 瑠
 天 位
人の和のほころび綴じるホッチキス
竹 水
 軸 吟
ホチキスになって仲人よくまとめ まさし






出席者三十三名(順不同)
寺田志ず江、永田のぶ男、高嶺歳江、鈴木
恵美子、堀場梨絵、中安びん郎、大石はる、
遠藤木犀、曾根田しげる、森田安心、市川重雄、松下幸子、青木あい、鈴木玲子、新井
時枝、高瀬輝男、斉藤才男、増田まさし、
望月 弘、杉山一路、加藤 鰹、望月鐘雄、
林二三子、中野三根子、川路泰山、川村洋未、
伊藤泰史、佐野由利子、松村周二、松永昭洋、
西垣博司、設楽亜季浩、石田竹水

☆年末恒例となりました「八幡」「むなぎ」「たかね」川柳会合同句会。今回は「むなぎ」の皆さんが企画・運営をして下さり、「合同」などと銘打ちながらも、おんぶに抱っこ状態で申し訳ありませんでした。当日は吟社の枠を乗り越えた和やかな句会、ビンゴゲームなどで盛り上がりました。感謝。感謝。


定例句会 | Link |
(2007/02/26(Sun) 17:48:12)

神様とピンクに染まる鈴を振る     赤松ますみ
光彩をあつめて戌の春が明け      浅野 滋子
直ぐそこの傘寿峠の茶屋招く      安倍伊勢男
飼主に俺に吠えろと躾られ       阿部闘句郎
水盤へ春を貞女として活ける      池田 茂瑠
新しい夢をつむいで年女        石沢 久子
狛犬の対から学ぶ人の道        石田 竹水
ぶたまんとあんまんがあり初日の出   石田 柊馬
蒟蒻もちくわも威儀を正すべし     石部  明
尾も振れぬまま還暦の犬である     板垣 孝志
道しるべ犬が付けてく人の径      市川 重雄
早春の風に暫く乗ってみる       伊藤 我流
人の恩支えしみじみ想う春       伊藤 泰史
いつまでも可愛い鬼じゃいけないか   いとう 岬
ゆるみなき気の律動や初御空      伊藤  眠
壁に貼るファイトの文字に射す初日   櫟  敬介
金がない幸せ詐欺に掛からない    犬塚こうすけ
雪原を走る犬にもある希望       江尻 麦秋
前向きに生きて五十の貌になる     江畑 哲男
憧れるだけの山頭火にするか      遠藤 正静
初詣でこま犬撫でて描く夢       遠藤みゆき
川柳を取り出す帽子捜したい      近江あきら
ロボットの小犬と遊ぶ三ケ日      大橋 政良
よろこんでいる番犬をたしなめる    大野 風柳
まずそんなものかと他人の夢を聴き   大坂 斗昇
狛犬の絵を画鋲で止めておく      大塚 徳子
ハンカチを取ると鮟鱇ではないか    大友 逸星
澄みきった心に夢を描く春       太田 雪代
おめでとう犬もなんだか嬉しそう    岡部 美雄
元旦や乾杯しようなぁ酒よ       岡信かず男
強がりをまだまだ言うぞ老いの初春   岡村 廣司
とんでとんでたどりついたのはあなた  尾形 奏子
でかい夢年に一度は赦されよ      荻田飛遊夢
改まる明窓浄机笑む賀状        奥田 一星
滾るものまだあり新春の酒を酌む    小野 清秋
やわらかな枕春の香寝正月      小野寺さざえ
今年また賀状の書ける幸といる     小野寺令子
忠犬になれずにポチのままでいる    鍵山 裕樹
東天の空が平和と明けて来る      笠原 高二
美しい話聞きたい春の耳        柏原幻四郎
日めくりを今年も熱く綴りゆく     金子美知子
元朝の空晴れ晴れと夢を抱く      金田政次郎
どの犬も俺を怖がらなくなった     門脇かずお
犬猿の君のパンチが身に沁みる     鹿野 太郎
進むのみ吾にバックのギアはない    鎌田 一尾
狛犬の阿吽の中に初日の出       加茂 如水
お年玉今年は幸をあげましょう     川上 大輪
狛犬に手招きをされ年も明け      川口  亘
不足など無い還暦の初日の出      川島 五貫
あれよあれよと還暦の雪達磨      北野 岸柳
二〇〇六復活の犬また走る       北村 吾朗
ぐち食べてくれる小犬とたわむれる   葛岡ヒデ子
ちぎれそうに振ってる尻尾に夢を賭け  熊谷 岳朗
檻の犬やさしい顔で売れ残り      桑原 元義
あんなことこんなことして星になる   小池 孝一
犬のシール印籠として門へ貼る     孝井  栞
ヘソクリで買ったジャンボがよく燃える 小林信二郎
新しいアクセル踏んで初詣       小林 良恵
狛犬と会って新年動き出す       駒木 一枝
羽子突きの音なつかしむお屠蘇かな   古俣 麻子
さあ前へ犬の尻尾も上を向く      斎藤由紀子
限りある人生ゆらりゆらり生き     酒井 可福
還暦を越える背中に牡丹雪       佐藤 岳俊
半世紀生きて犬には犬の意地      佐藤 孔亮
子犬飼う約束をする初春の膳      佐藤 灯人
筆ぐるめ伊達市の文字があたたかい   佐藤 良子
人愛す優しく強く生きていく      真田 義子
御破算にして新しい年の彩       佐野由利子
御所望のぴんくの春を封筒に      澤野優美子
初日さんさんすっぴん灸られる     雫石 隆子
父さんが笑うとみんないい機嫌     設楽亜季浩
一月の犬笑わせるまで捨て身      柴崎 昭雄
二人三脚だから大きい初春の夢     柴田 亀重
お座りもお手も出来ないポチでいる   四分一周平
まだ八十路犬とこの先模索する     島田啓三郎
春を酌む三日坊主の夢と酌む      島田 駱舟
少年の深き一礼寒稽古         島村  正
春風にポチのしっぽが回りだす     志村まさ尋
ブランコはラピュタへの道知っている  樹萄 らき
人間の貌で見つめるペット犬      新貝里々子
振り返っても振り返っても犬がいる   杉山 太郎
定年の足固めする戌の歳        鈴木 泰舟
お犬さま優先ゾーン作ります      芹沢穂々美
世の愚痴を戌は尾を振り聞いてくれ   薗田 獏沓
地球ってきっと大きなシャボン玉    高瀬 霜石
今年こそ今年こそとで新春迎え     高瀬 輝男
鎖から解放されたい犬の新春      高田寄生木
熱くなるたびに詩嚢の中のぞく     高橋はじめ
初雪を蹴って犬橇走り出す       高橋 朗風
老犬の野性を今に愛しがり       高梨 宗路
猟犬の牙改憲へ燃えてくる       瀧  正治
一路ゆく転ばぬ先のローヒール     多田 幹江
お座りも伏せも上手になったボク    田制 圀彦
母看てる妻に文句なんかない      田中 啓酔
人間はみな落語家で酒好きで      千島 鉄男
愛犬も忠犬もいや野良で居る      津田  暹
参道の雲を潜って進みけり       筒井 祥文
初春や猫に同情してる犬        てじま晩秋
元旦が来るたび若くなるつもり     寺田 柳京
柿たわわ民の実りもこうほしい     寺脇 龍狂
信頼の心が犬と通い合う        中島 和子
忠犬でいいのか犬も考える       中島 久光
狛犬のペアにあやかるはるの酒     中田たつお
雲海に破魔矢ほろ酔う松の内      永田のぶ男
今風の列車に乗って初春を舞う     中村 広志
大掃除娘二人が片付かぬ        長澤アキラ
番号で呼ばれるだけの犬になる     浪越 靖政
戦後史と吾が生きざまを振り返る    成田 孤舟
マンボでも踊ろう孫がもう一人     成島 静枝
不器用な尻尾で夢を描きます      西 恵美子
獅子吼する仔犬は未来図へ疾る     西潟賢一郎
可能性信じ鍛える犬の脳        いしがみ鉄
妻の留守チワワが急に威張りだす    萩原 典呼
スニーカー下ろして犬と初散歩     萩原まさ子
犬老いて尻尾だけでも用が足る     長谷川冬樹
ぎこちなく新市名書く年賀状      羽田 共生
手応えが欲しくて少し吠えてみる    樋口 一杯
鳥はまぼろしわたしの空に布団干す   ひとり 静
後悔の連鎖川柳が生まれる       深町 金鳥
忙しい医者の梯子で年暮れる      福田勝太郎
生き延びていのち輝く初日の出     藤沢 岳豊
本日も犬がやさしくしてくれる   ふじむらみどり
酒提げて年賀に来たか囲碁敵      堀井 草園
愛犬に健歩の朝をせかされる      堀内しのぶ
今年こそオンリーワンの句を目指す   堀場 大鯉
土佐犬の闘志庶民威圧され       前原 遠州
鈍行が好きで今年もマイペース     増田まさし
愛犬に市中引き回しにされる      松尾 冬彦
犬掻きで行く人生の旅遥か       松川多賀男
税務署の灰皿汚すだけ汚す       松橋 帆波
パブロフの犬 目覚ましで歯を磨く   松田 順久
老犬のソーラーパネルへ詩がこぼれ   祭  半天
赤ちゃんが来た家中を春にして     真弓 明子
生きてればティッシュを呉れる人がいる 丸山  進
ここ掘れわんわんポチにはポチの意地がある 水品 団石
放たれた矢は善玉か悪玉か       水橋 秋子
ワンダフル生きる喜び古希の坂     御田 俊坊
戌年の祈りが棒に当るかも       村松はじむ
風船に夢を描いていざ飛ばん      望月 鐘雄
吠え走れまだまだ夢はワワワンワン   望月 邦昭
人間をやめて長生きするつもり     望月  弘
あたたかくちいさな劇場をもとう    森中惠美子
初詣叶う程度を絵馬に書く       八木田幸子
水分りの一枚岩に鏡餅         矢澤 賢一
初暦果たせぬ夢と笑い合う       矢島 破酔
尻尾振り可愛く通るいぬの年      薮ア千恵子
生涯を家族の犬と散歩する       柳沢花王子
名犬の鼻は主役をほしいまま      柳沢平四朗
人知れず僕もシッポを振っている    山口 兄六
陽の当たる絵馬へ進く気の歳を脱ぎ   山口 早苗
大空へ両手ひろげて犬ふぐり      山田 迷泡
ブリリンカットどこもかしこも猫である 山田ゆみ葉
長かったトンネルぬける三幕目     山本 英子
人生猋風 気がつけば十七字      山本忠次郎
借りてきた犬が元気に吠えている    山本トラ夫
産声が春風連れてやって来る      山本野次馬
お手!と出すアメリカの手を噛んでやる 渡辺たかし
お手をすることにも慣れて千葉の部屋  横田輪加造
  ☆ほか、たくさんの賀状ありがとうございました。



年頭吟 | Link |
(2007/02/26(Sun) 17:45:12)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳

野良仕事ちゃあーと終わって帰ろうよ  芹沢穂々美
盗み餅のうずりかえってのんばめる   鈴木まつ子
呑んべえはだらしんなくて見ずなりゃあない 鈴木まつ子
安いだ二雑なしうりの吊しんぼ     寺脇 龍狂
一個きりてんこっちょうに子守柿    寺脇 龍狂
がりやあかさあってきずの桃の肌    市川 重雄
ラバウルの水虫チイビ未だかいい    市川 重雄
せんしょうと言われてショック人だすけ 藤野 俊子
べたべたでやぶせったかーないだかやー 藤野 俊子
オレオレに強エーおまはんわしゃ孤独  堀井 草園
あっしゃー嘘がきりゃーで損もする   堀井 草園
ちいっとらっつ仲良くなっていかざあや 加藤  鰹
おみゃあっちイルカは食っちゃいかんずら  山口 兄六
こうさびーじゃ温暖化にはなんにゃーら 中安びん郎
このままじゃ年寄ばっか増えすぎる   中安びん郎
消費税上がるだっちょう困るなー    中安びん郎
 
▽今月もたんと投句戴きありがとうっけね〜、みなさんもええ  
句んできたらまたどしどし送ってくりょうや〜

☆投句先☆ 〒421の2106 
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて
(受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)



ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2007/02/26(Sun) 17:42:12)

創 作  自薦句
    虎 竹 抄


「雑  詠」            福田 勝太郎
美人です煮ても食えない金魚です      大 阪
替えません下取無理な嫁だから
お転婆が貴婦人になるクラス会
離婚する為に結婚したのかな


 「朝  茶」            大塚  徳子
我家にも少しはほしいお餅代       仙 台
会いに行く手足が退化する前に
雪国のくらしに解けるチャンチャンコ
三里戻って飲まねばならぬ朝のお茶


「五 十 年」             井口   薫
お歳はと聞いてしまったクラス会    袋 井
指紋合致ぱっと昔の顔になる
クラス会みんな小鳥になっちゃった
ハイビジョン仕様で今年行くつもり


「自 由 句」            山本 トラ夫
一億も居るので知恵は浮かぶはず       長 泉
寒そうな富士でわたしもなお寒い
コンビニが無いと私は萎えちまう
わたくしは美味しい客の一人です


「雑  詠」            田原  痩馬
なんぼやと聞かれ値札のない体         熱 海
赤い糸つもりにさせて赤い舌
減るもんじゃないけどあんただけはイヤ
義務感に妻の言葉は早くして


「歯の奥に」           羽田  共生
歯の奥にアメリカ肉がはさまった       牧之原
被爆地へ大統領は行かんぞな
頼まぬに国の借金背負わされ
ひとりぐらし他人のことと思ってた


「不 透 明」            寺脇  龍狂
学校も塾も危険と不登校            浜 松
仕事イヤ親の脛嘗めニート族
子は要らぬ亭主も邪魔と物を書き
明日のこと分らぬ老いが国を病み


「あの人へ・・・・・」        尾形  奏子
卒業は間近最後の一ページ        天王寺
好きですと言えず好きでしたとつづる
おもいでは美しきもの目を閉じる
桜舞う中に愛した人がいる


 「晴天なり」            真田  義子
本日も晴天なりと母の声           仙 台
青空にどんどん伸びる夢の蔓
わたくしの力の秘密それは愛
ああ地球これからどんな彩になる


 「笑  う」             新貝 里々子
笑いたくて今夜は寄席の客となる        袋 井
笑うにもどこかしんどいへそまがり
大笑いしたあとしみじみと帰る
くたびれた笑い袋はくずかごへ


  「春を待つ」              辻    葉
春の戸をソッと開けると銀世界       大 阪
待つということばを知らぬ流れ星
カンガルーの袋の中で眠りたい
如月の夕日に明日を祈ろうか


  「雑  詠」            江川 ふみ子
気負わずに生きてひとりの雑煮椀      函 南
ため息へ曇りガラスとなる鏡
道草もいいな世間が見えてくる
子離れや子の足音が遠くなる


 「生 き る」              高橋  春江
不器用なわたしが生きる躁と鬱        袋 井
すげ替える首が欲しくてデパ地下へ
名水の底で時代は病みはじめ
好感度ナンバーワンの友を持ち


  「活字好き」            成島  静枝
愛読書眼の方が先音を上げる          千 葉
新聞の活字大中までは読み
マーカーを持ってハウツー斜め読み
流行物パラパラめくり見る本屋


 「ひとりごと」           増田  久子
身勝手に伸びてほどよくなる雑木        焼 津
得をした気分予報と違う晴れ
二十年経ったワープロ捨てられず
百均のアラームちゃんと朝を告げ


 「ピエロの涙」            柏屋 叶志秋
ピエロでも泣きたいときは泣けばいい     山 形
短命なシャボンは夢が多過ぎる
雑草は花瓶の幸を望まない
進歩する科学も欲に追い付けず


 「深くなったか?」         堀場  大鯉
隠れ蓑など面倒だ風まかせ          焼 津
風通し良すぎて寒くなった仲
泣き所知りすぎおんな遠ざかる
女運いい判断は誰がする


 「雑  詠」             馬渕 よし子
強がりを言って余生へ立ち向かう       浜 松
一年がスピード違反して暮れる
寒風に干されひと味増すわたし
一輪の梅へ期待の春の彩


 「笑  う」             笹   美弥子
哀しみを笑いで包む保身術       仙 台
大声で笑い治まる腹の虫
おわらいの種も入れてる福袋
オクターブ上げて笑ったサクラ咲き


糸車母から子へとよく回る       山田 フサ子
初春に心の窓をよく磨く           袋 井
幸せの糸をたぐった母の指
一條の光信じて生きてゆく
愛し合う同志いたわりひたすらに


 「  色  」            山本 野次馬
白と黒デジタル色の中にいる      函 南
今日の顔ルージュは赤と決めている
完結はピンクの色で送り出す
眼を閉じて右脳が描く十二色


「雑  詠」            滝田  玲子
平安のシュートが決まる蹴鞠会      浜 松
ロボットも節ぶし痛むこの寒さ
二枚目が自慢の地蔵欠けた鼻
ドカ雪が高齢世帯のしかかる


  「眠  る」            薗田  獏沓
三才が飯をくわえて眠りだす         川根本町
説教がやっと終わった眠かった
眠たくて当選番号聞き漏らす
里帰り真綿の様に眠りこけ


 「雑  詠」            芹沢 穂々美
蒲鉾の板までブランド志向です        沼 津
大鍋で昆布巻を煮る年の暮れ
老夫婦イヴの残りのチキン食べ
取られずに鈴なりの柿年を越す


 「  冬  」            鹿野  太郎
イヴの夜砂消しゴムが暖める         仙 台
スキウタという新しい猫だまし
つい羽目を外したまんま年を越す
カマクラで餅の代わりにゴマを焚く


 「女  鬼」            金田 政次郎
幸福の豆撒き鬼と手を組んで         静 岡
女ではトップ蔭から鬼は外
雄叫びをあげる娘は鬼を打つ
痣だらけ今宵は此れでと逃げる鬼


 「自 由 吟」            鈴木 まつ子
すんなりとハチの一刺し容赦せず       島 田
雲つかむ話ばかりでバカな見栄
過信したばかり思わぬ落し穴
届かない高根の花がこぢんまり


「  道  」            岡村  廣司
生き残る為だ泥道厭わない          焼 津
転んだら起きればいいさ僕の道
修羅の道だけど避けない意地がある
迷路から抜け出す道がきっとある


「雑  詠」            安田  豊子
愚かさをしみじみと知る左ネジ      浜 松
耳鳴りが増長させる肩の凝り
捨て切れぬこだわり鍋にごたまぜる
古い絵にたっぷり漬かる夢の中


「まだ若い」            川口   亘
明るさで年令少しさばを読み         藤 枝
日に数度来ない文待つPST番
ざわざわと空耳を聴く夢うつつ
シルバーの席を目が追う杖と友


「雑  詠」            川口 のぶ子
冬枯れの道われに似て淋しかり      藤 枝
姫りんご十粒残し冬の朝
回転の遅い頭のネジを締め
靴の中悲鳴をあげる指の先


「雑  詠」            西垣  博司
とんがった靴先で書く楷書文字      静 岡
欠伸する所在の無さを懺悔する
矢印の先が縒れてる道しるべ
整えた衣裳に明日を近寄せる


 「こよみの春」           中田   尚
こよみ春まだまだコート離せない    浜 松
立春はこよみ通帳大あらし
立春にシモヤケの数増えはじめ
草も木も体操はじめ春を待つ


 「初  春」            内山  敏子
終章の夢を書きたす八十路の絵        浜 松
元朝も昨日と同じ髭を剃る
戌年の幕開け告げる初太鼓
ひらがなが踊って孫の初便り


 「  命  」            森島  寿恵
焼芋をわれ先に取る小さな手         浜 松
まだ老けぬ八十路の命つきるまで
何事も返事一つで輪がなごみ
一生を土と生き抜く老い二人


「自 由 吟」            竹内  登志
半世紀新春の遊びを巻き戻す       浜 松
適齢期よろしくと言う親ごごろ
交友をつなぐ敷紙の犬が吠え
初春の静かな刻へ無の祈り


 「自 由 吟」            御田  俊坊
酒煙草今更止めず威張ってる         高 畠
小児マヒ福祉のお陰今も生き
古希の坂越えて生かされ続く幸
気さくなナースの言葉に癒される


「コーヒーとわたし」        竹内  さき
コーヒーにわたしの冬を別れして       浜 松
コーヒーの湯気に誘われ新世界
コーヒーの良さんと無になるわたし
夕暮れてコーヒー深むシャイな年


「寝 正 月」         中安 びん郎
朔日は野良へ行かずに寝正月         静 岡
美味しくて餅を食べ過ぎ寝正月
老妻もお節料理で寝正月
達筆の年賀状読み寝正月


「冬  眠」            柴田  亀重
闘魂へ陽の加護欲しい寒の冷え        沼 津
眩暈する脳へ気合を入れる声
初春の鍋浮き世の波へ弾む酒
寒風へさらして花の命張る


「お 正 月」               谷口  智美
餅よりもでかいダイダイ横に置く     伊 豆
不景気で休み増えても寝正月
嫌なこと忘れたふりで松飾り
昆布より喜んぶのはピザ、カレー


「つっかい棒」           堀場  梨絵
風と共に私のゆく末を見たい         静 岡
一日病み豪華版でくる夕餉
A面もB面もない皺の顔
駒下駄がもうすり切れた働く手


 「豪  雪」            林  二三子
車窓から見る豪雪に大歓声          芝 川
雪国の冬お隣が遠くなる
雪解けるまではバレずに済みそうだ
見てるだけなら素晴らしい雪景色


 「火  種」            堀井  草園
手の平で踊った火種すぐ消える        静 岡
念押して痛い出臍がまだ痛い
心念の修羅場で拾った白い杖
賛成の片棒芯を抜いて置く


 「雑  詠」            多田  幹江
背伸びせず気を抜くこともなくオカラ     静 岡
歩いて歩いて涙のないあした
風強しノーと言えない人ばかり
固定電話はずむ話に遠くいる


 「雪 の 道」            佐野 由利子
目標はたくさん有るが黄昏期         静 岡
日が過ぎて書きにくくなるお礼状
くねくねと曲がりくねった女坂
尻餅をパチり撮られた雪の道


 「雪  女」 真理  猫子
本性は雪の深みに埋めておく      岡 崎
大根のしっぽのような足でいい
泡銭夢の中でも紙吹雪
雪女の臍は零度で茶を沸かす


「ファンタの歌@」         山口  兄六
バイキングまた胃袋に裏切られ        足 利
シケモクで税の部分を吸っている
年収が足りず悪女に出会えない
受信中天使か鬼かメルマガか


目玉焼きこんな愛でもいいですか     池田  茂瑠
嘘に手を加えて夜の町に向く       静 岡
手の海の干潟に水を与えねば
独りでは淋しい線の中にいる
どう繋ぐ脆い縁の紙こより


 「自 由 吟」 高瀬  輝男
仕合せの風景偽卵抱いたまま      焼 津
雪虫の乱舞よボクは居酒屋へ
振り返るから弱点を掴まれる
鈍感でまた情報に追い越され


 「風 の 邑」           川路  泰山
一桁の昭和が枯れてゆく荒野         島 田
山里にダムが歯を剥くピアニシモ
落人よ鄙びたあたり語り部と
風縒れてひなびた邑を吹き尽す


「春の訪れ」             望月  鐘雄
ふっ切れて嫌な酸素が旨くなる        静 岡
座禅組む今日の命を塗りながら
良いことはドッと来るよりパラパラと
五分だけ待って下さい風が来る


「乾燥注意報」               望月   弘
軽快に生きて若さをほめられる      静 岡
人情の機微に乾燥注意報
内心が薄着になると風邪をひく
風向きでボケのスイッチONにする


 「カルシファー」         加藤   鰹
蒼い火が揺れるみだらな夜になる    静 岡
秩父路へ今年も酒を手に提げて
こんな筈じゃなかった鉛色の空
雪しんしん今夜は抱き合って寝よう

 
  顧  問  吟 
 「拾 い 物」       柳沢 平四朗
追憶が正座をさせる流れ星           静 岡
想定外の顔へシナリオ無垢にする
初詣で喜寿の傘寿も拾い物
頬杖の窓へ微光が覗きこむ




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(2007/02/26(Sun) 17:41:12)

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