静岡川柳たかねバックナンバー
トップページへ






 平成十九年六月十六日(土)
  定例句会  於  アイセル21

▽席 題 「印象吟」
 長澤アキラ・選



口説く人こんな顔なら拒みます  茂 瑠
まあまあまあそう焦らずに怒らずにさとみ
ひとっ飛びして恋人の膝の上   由利子
箸置きがまた消えちゃった縄のれん輝 男
箸とらば後はドンチャン騒ぎする のぶ男
飾っても所詮は泥臭いくらし   茂 瑠
外見はゴツイが心あったかい   由利子
有明を世に売り出したムツゴロウ  弘
ホタル見に行ったゼロ戦帰らない  弘
メルヘンの泥から生まれ三姉妹  しげる
五 客
三様の顔だが里は隠せない    泰 山
ボスが去りのこのこ雑魚が顔を出す 鰹
飛び出した落ちたやっぱり泥の中  洋 未三人で考えたって知恵はなし    洋 未
ヘリコプター見上げ泥から覗き見る しげる
人 位
ご馳走がまずくなっても知りません のぶ男
 地 位
親のない子が三匹で餓えてます   泰 山
天 位
三人が寄ると年金話する       弘


宿 題「うつる」表現自由 永田のぶ男・選
 都会から移り酸素を取り戻す    泰 史
 手鏡にうつした影にひと目ぼれ    亘
 親の癖悪い事だけ子にうつり    晴 康
 胃カメラが俺の悲劇を写し出す   廣 司
 笑顔だけうつる鏡を今朝も拭く   敏 子
 ウイルスの殺意を試す試験管    政次郎
 金の成る木願望を入れ移植する   穂々美
 子に移る短所を嗤う尻ぬぐい    平四朗
 奇怪な影が尾を引く蜃気楼     豊 子
 引抜きがきたぞチャンスだ風に乗る 千恵子
 君の顔僕の脳裡に移り住む     竹 水
 お互いの欠点混ざりいい温度    太 郎
アルバムに戦後が重くのしかかる  しのぶ
 画面の顔に写し出されている本音  二三子
影映る親父ボロボロではないか   哲 也
入れ替えた心が何故か落ち着かぬ  アキラ
ステテコで移動も楽な僕の城    大 鯉
移り気は紫陽花ほどは無いつもり  びん郎
本当の心が写る青い空       和 枝
いとおしい君に貰った風邪だもの   薫
彼女から移ってもいいあの微熱   洋 未
目移りをしているうちに春が過ぎ  まさえ
あくびする少し間を置き妻もする  廣 司
五  客
百万の画素に怯える美女の皺     弘
足場から足場へ鳶の身の熟し    由利子
心変り責めず番いの鳥を飼う    平四朗
 脳年齢優先席へ移りたい      まさえ
 思い出が写るアルバム過疎の村   玲 子
     人  位
目移りをし過ぎ最後に掴むババ   信 一
    地  位
渡り鳥地球の危機を告げにくる   しのぶ
    天  位
ふる里へ移る納税起爆剤      草 園
   軸  吟
髪を変え性転換で身をうつす    のぶ男


宿 題「め、で始まる句」 川村 洋未・選
夫婦旅長引く程に妻が上      長 仁
名演技かげに黒子の汗があり    春 江
目一杯化けても尻尾隠せない     薫
迷信と笑い飛ばして顔がつる    千恵子
目配せをしても妻には通じない   野次馬
明細書中味は妻の愚痴でした    千恵子
面取りをした芋のよう生きたいな  俊 枝
迷路から抜け快復のきざし見え   二三子
メタボだねだからなんなの切れる妻 静 枝
目の前で孫は中味をたしかめる   春 江
目障りな奴だ正論ばかり言う    泰 史
名刺出す鈍感力も載せておく    まさえ
目障りな人が私を鍛えます     五 貫
名物と言われ余分な土産買う    由利子
目の届く位置に不安を置いておく  まさ子
面食いの僕がアンタに惚れちゃった 竹 水
目立つのが好きな男に恥が無い   博 司
目隠しをとっても見えぬ鬼一人   まさえ
目ん玉の皿で憲法読んでいる     弘
目の黒いうちは火種を消さず置く  平四朗
芽吹く木々花も女もよく笑う    まつ子
目を閉じて心眼開き見る本音    徳 子
メールより手書きの文字の温かみ  玲 子
目が合ってここでドラマの幕が開く 長 仁
明治村祖父がひょこっと出てきそう  鰹
迷信も割り込む隙が愛にある    茂 瑠
目障りにされてたまるか意地を張り のぶ子
目には目を地球が火星になる兆し  澪 子
面食らう祭り騒ぎの国会に     澪 子
目方では負けぬ財布にサツが無い  博 司
面倒な事ほど先に飛んでくる    俊 枝
目つぶしのような叱言に大むくれ  のぶ子
迷信と思えど掴む藁探す      豊 子
目覚めたら見知らぬ星の上に居た  アキラ
五  客
目にあまる折り込み隠す親ごころ  草 園
目は達者口も達者で腰は萎え    穂々美
めじゃないと言った梯子が降りられぬ静 枝
目の位置を下げて楽しむ好奇心   竹 水
メタボリのガチョウの肝がよく売れる野次馬
人  位
めっちゃくちゃ俺のノルマも社保庁も泰 史
地  位
目立たない所で白旗上げている   アキラ
天  位
面倒な俺をわざわざ産んだ母    太 郎


宿 題 「とぼける」  柳澤平四朗・選
喉元を過ぎて飴玉引っかかる    野次馬
テーブルの下だけでする痴話げんか さとみ
身に覚えあるから知らぬ顔をする  アキラ
歩が悪くなると補聴器壊れ出す   千恵子
保護色に染めて微罪の知らばくれ  豊 子
芸一筋金に疎いと渋い顔      澪 子
どう見ても役者は少し上らしい   のぶ子
ずっこけを笑いに変えているピエロ 竹 水
万引きにこの手が憎いと罵倒する  澪 子
点と線ただいま所在不明です    野次馬
その裏も熟知噂に耳を貸す     輝 男
宴会のとぼけお膳の名司会     重 雄
とぼけるの季語は茗荷の季節かな  哲 也
とぼけ顔花を買う日の真人間    獏 沓
試されているな知らない振りをする 由利子
初耳ととぼけてみせる嫁の前    豊 子
とぼけても解る目ン玉平泳ぎ     鰹
ボケの度を羽毛フトンが進ませた  茂 瑠
気付くまで待たれるまでの知らぬ顔  亘
結局は他人顔して傷つかず     廣 司
合槌でとぼけ話も弾みだす     獏 沓
熊さんと八っあんの間を聴く落語  静 枝
ポケットにとぼけた風がまだ残り  満 月
ボケ役に回り世の中丸く見え    長 仁
知的さを感じるほどのとぼけ方   由 美
失礼でとぼけておれぬ世の中だ   俊 坊
事勿れ主義が私の生きる知恵    五 貫
争いも老いはとぼけて知らん顔   ぎ ん
嫁のぐち全部知ってる見えている  安 心
おとぼけの秤にされる損か得    泰 史
カニの母前に歩けと横に行く    洋 未
  五  客
とぼけても小耳に拾う革命家    しげる
飲んでなどいまシェンと言うその呂律 鰹
とぼけても尻尾がみんな喋りだす  春 江
聞こえないふりで貰った演技賞    弘
失笑をテンポのずれた背に浴びる  茂 瑠
   人  位
天国にスーダラ節がこだまする    尚
   地  位
特ダネを狸寝入りがかき集め    竹 水
天  位
素っとぼけ過ぎて仮面が脱げません  進


宿 題 「 自 由 吟 」 互 選
Eスーダラで泳げる会社入りたい  信 一
D頃合いの彩で余生が映えてくる  平四朗
C脱ぎっぷり見事筍天を突く     薫
Cほくそ笑む人がいるから泣かれない博 司
Bそんな事どうでも良いよ歯が痛い 由利子
Bプライドを鼻から外し生きてみる 安 心
B会話して活字に顔がつく名前   さとみ
Bちっぽけな瓶の中にも風はある  叶志秋
A人救う嘘なら時に信じよう    アキラ
Aパトカーが給油している平和な日 由 美
A指きりのゆびが女を悩ませる   野次馬
A堅い事言うぜ心の中の神     五 貫
A七十路の坂は妥協の石ばかり   豊 子
A蚊がブンと飛んで我が家の夏の声 重 雄
A目ん玉がひっくり返る合格だ   泰 史
A早慶戦熱いハートが生きていた  澪 子
A蔵の中あの日の僕がかくれんぼ   鰹
@おとぼけが上手にできてはい拍手 泰 山
@明日明日とのばして出来たゴミの山 尚
@金になる話を聞いて乱舞する   しげる
@もうすぐの人と見上げる宵花火  のぶ男
@寝返りの意見に切手貼り忘れ   政次郎
@躓いて右脳左脳を入れ換える    進
@小さくとも受けた御恩は忘れない 敏 子
@孫の供街で見惚れるファッション 晴 康
@お返しにカボチャをくれる地中ゴミ静 枝
@千両の手応え掴む芸の虫     まつ子
@神様にだけは言わない嘘と愚痴  廣 司
@明日が来ると希望に一歩近付ける 長 仁
@メル友に元気をもらう平和な日  二三子



▽参加者(敬称略)高瀬輝男・柳澤平四朗・
 曽根田しげる・池田茂瑠・望月弘・加藤鰹
 川村洋未・堀場梨絵・市川重雄・森田安心
 永田のぶ男・長澤アキラ・中野三根子・
 谷口さとみ・佐野由利子・川路泰山・瀧進
 堀井草園・望月満月・高橋春江・岡村廣司
 薗田獏沓・大塚徳子・堀場大鯉・内山敏子
 芹沢穂々美・毛利由美・御田俊坊・井口薫
 中田尚・鈴木まつ子・川路泰山・増田信一
 西垣博司・中矢長仁・石田竹水・鹿野太郎
 川島五貫・滝田玲子・濱山哲也・牧野正治
 川口亘・柏屋叶志秋・安田豊子・加茂和枝
 石上俊枝・塚本寄道・伊藤泰史・畔柳晴康
 山本野次馬・中安びん郎・藪崎千恵子・川
 口のぶ子・萩原まさ子・提坂まさえ・中川
 司・真田義子・金田政次郎・成島静枝・山田ぎん・川口澪子


定例句会 | Link |
(2007/08/26(Sat) 08:22:12)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳

いや困る行ってこいじゃん無しにしべえ   谷口さとみ
わしったら顔ん割には臆病だにー      高橋 春江
ホイあんたらーカサンボコって知らんらねー 高橋 春江
めそめそとするなよおらと行かずによ    山田 ぎん
急がにゃー時間がにゃーよぐずるなよ    山田 ぎん
こらおめえーやっきりこくなうるせいぞ   畔柳 晴康
ついでだにもひとつ俺におくんない     畔柳 晴康
あの手合いなんしょうかんしょう長っ尻   鈴木まつ子
出しもんはへんちくりんな句ばっかり    鈴木まつ子
せえだんて言わねえこっちゃあねえずらに  岡村 廣司
おらん衆ずでえ馬鹿だでかんしょうな    岡村 廣司
世界中まんぐらこいたホームラン      寺脇 龍狂
虫さされあんまかじくるのはやみょ〜    加藤  鰹
がんまくな顔になよなよ口説かれる     柳沢平四朗
まめったい嫁ゃあ話もてっぴらこー     瀧   進
いやなやつしゃっつらにきい上司です    西垣 博司
はしっけーメンザすいすい金魚鉢      堀井 草園
あちいなーずっとこせー飲む氷水      中安びん郎
 てゃーふーに嫌われちゃってえーあんびゃー 中安びん郎

▽春江さん「カサンボコ」って何だかしん?(笑)進さんの「てっぴらこー」にも笑ったな〜。「しぞ〜か弁」大盛況で嬉しいやあ〜
皆さんもどしどし投句参加してくりょ〜
〒421‐2106 (受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて



ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2007/08/26(Sat) 18:22:12)

創 作  自薦句
    虎 竹 抄


「人間模様」            中田   尚
無人駅ケータイメールにぎやかし        浜 松
パチンコ屋けむりと欲がてんこ盛り
駅の隅抱き合う人と寝てる人
車内です口紅なんぞ要らないよ



 「明 日 へ」            新貝 里々子
捨てても捨ててもまだがらくたの山       袋 井
紅ひいてそんな妥協は出来ませぬ
フライパン時々おとこ狼煙揚げ
ロスタイムおんなとどめるコンパクト



「ミドルエイジ」          毛利  由美
美しい友にも老眼の仕種        つくば
いい年をしてと子供に言われた日
おばさんの強さは嘘のないところ
正直に歳を言ったらどん引かれ


「自 由 句」            山本 トラ夫
欲のないようにも見える無為無策       長 泉
ゴネ上手死んだ振りまでしてみせる
ティファニーの腕時計とて同じこと
僕のせいじゃない電池が切れただけ


「  夏  」             濱山   哲也
おそるべき乳房だ三鬼夏来たる        青 森
少年と草が競って伸びていく
ドラッグを売っているのはキリギリス
青いとき良いも悪いも容赦なく


「メランコリー」         あいざわひろみ
怪物のメランコリーはわかるまい        茅 野
刺抜きを持参で臨む会議室
年輪の狭い部分は倦怠期
トトロにはあった優しさ温かさ


「コンサート」           大塚  徳子
みちのくの駅に西口東口            仙 台
合挽きは内緒なんです昔から
人といういつか越えたい山がある
蝉時雨鎮守の森のコンサート


「淋しいネ!」          瀧    進
アフターファイブ着信メール読み返す     島 田
老脳の記憶気紛れ蜃気楼
留守宅の軒に風鈴泣いている
平凡に徹し切れない自尊心


「自 由 吟」            江川  ふみ子
役目終え指の渦から枯れて行く        函 南
納得のゆかない傘の半開き
カチとくる一言嫁の眉動く
本当の味方は潮が引いてから


「おのぼりさん」          井口   薫
酸欠で巡る東京新名所            袋 井
モネ展を出ておもむろにさす日傘
バリウムの味にも慣れて古希の坂
全身全霊さくらんぼ狩り今最中


「逃 げ る」             戸田 美佐緒
大変だ漬物石が家出した           さいたま
恋人よ嘘をついてもいいですか
条件は張り子の虎という家族
完熟のりんごあなたから逃げる


「雑  詠」           成島  静枝
押し入れを丸ごと干してティータイム     千 葉
神様に試されている葬続く
切換えが早い脳です女傘
ボランティアやりませんかと来る福祉


 「電  気」            畔柳  晴康
お仕事もお遊びまでも電化され        浜 松
オール電化でも心配は原発ね
からっ風活かして欲しい電力化
ロボットにまだまだ負けぬ腕自慢


「自 由 吟」           真田  義子
砂漠化が進む日本の雨事情       仙 台
運命線ゆっくり変わる夜明け前
わたくしのピンチ助けた赤い靴
ランプの宿で優しい顔になって行く


  「  花  」            安田  豊子
月光へ月下美人のワンルーム        浜 松
紫の情緒に浸る藤の下
過去の花みんな愛しく胸で咲く
花道を過ぎてたおやかいるひとり


「雑  詠」            内山  敏子
涙顔大きく映すメロドラマ          浜 松
便利さに慣れて足腰弱くなり
お似合いと言われネクタイ二本買う
厨の灯主役の主婦がいて平和


「言いたい放題」          増田  久子
白鳥も孔雀も美貌とはいえぬ         焼 津
のんびりの一人の夜へ蜘蛛が出た
寅さんが身内にいたら困りもの
理屈では七起きですむ七転び


「素  直」            馬渕 よし子
あの頃のわたし素直な妻だった        浜 松
素直さに欠けてレッテル変り者
余りにも素直に見える人の粗
お手本に素直で主張伝わらず


「雑  詠」             酒井  可福
大酒をやめる決意の二日酔い          北九州
カラオケのマイクはなれず終電車
一枚を閻魔に抜かれ夢が覚め
美しくやさしい顔で癌告知


「敵 味 方」            鹿野  太郎
相方に泣かされて来た名コンビ        仙 台
赤黄色決まって散歩する二人
さっそうと社保庁へ飛ぶ鬼ヤンマ
駄菓子屋で付けた抗体子が拒む


「鈍 感 力」            増田  信一
鈍感は大丈夫です生まれつき         焼 津
鈍感と言われた子供今社長
鈍感と物忘れの差紙一重
鈍感と敏感混ぜて政治家に


「  風  」            小林 ふく子
涼風に会うから身なり整えて         袋 井
熱風もグチの一言漏らしてる
夕凪に血圧上る音を聴く
病名は問わず医者の風を観る


「叩  く」             鈴木 恵美子
生真面目へ母の太鼓が小さく鳴る       静 岡
しずしずと叩く老境の扉
青春の扉は思い切り叩く
路地裏に昔ながらの子等がいる


「  乱  」             鈴木 まつ子
どちらにも言い分あった風の乱         島 田
冷えきった飽き風が立つ乱れ髪
感情のもつれで弦が乱れだす
突っ張って不平を鳴らす乱気流


 「少・青・凡・老」         金田 政次郎
水脈の彼方にもがく青リンゴ        静 岡
好奇心斜に構えている不遜
野次馬で良し主義の無いプログラム
磨かれぬ三面鏡は痴呆症


 「理  想」             山本 野次馬
ほどほどの息で余生をながらえる       函 南
精一杯描いた夢が終わりそう
アンモナイト前頭葉に残す夢
理想論おって迷路の中にいる


 「自 由 吟」             ふくだ 万年
孫つれて笑顔背負って嫁が来る         大 阪
亭主好き使い勝手がいいのです
砂浜の挑発目線につい会釈
新しい水着で走る美女とトド


「曇 り 空」            加茂  和枝
どかあーんと一発雷鳴り雲になる       岩 沼
長雨にめんこい顔が曇り出す
何事もなかったように梅雨になる
痒い痒いマイナスイオン求め行く


 「反  省」             岡村  廣司
ばれたなら反省ポーズとれば済む    焼 津
反省をしても目覚めりゃもう忘れ
反省もせずに弁解うまくなり
それ以上申すな反省しとるから


「優しさごっこ」          高橋  春江
わっと夏優しさごっこもう限度      袋 井
涙腺が弱いかなみだすぐこぼれ
善人の顔して弾を打つスリル
許す日の室には花があふれてる


  「あ る 日」            川口 のぶ子
点滴のぽとぽと落ちるもどかしさ        藤 枝
病棟を行き交う人の足のあと
リハビリに痛さこらえて生きる道
歩けない杖がたよりになる私


「雑  詠」             寺脇  龍狂
メイファーズ通じる戦友も居なくなり      浜 松
銭踏むな本を蹴るなは死語となり
放言は親任式の時に言え
政令市に住ませてもらう市民税


  「暮 れ る」              薗田  獏沓
恙なく今日も暮れます夏の月         川根本町
計画が計画のまま今日が暮れ
日が暮れて一歩動いた石地蔵
矢車が鳴りっぱなしで今日が暮れ


  「  無  」            堀場  大鯉
偉い子をまぐれ当りと見る夫婦         焼 津
反逆のできぬ豚児も可哀相
待つこころ薄れ季節の早回り
無に帰る石へ彫ること多すぎる


  「万 華 鏡」            山田 フサ子
万華鏡楽しい夢を授けてね           袋 井
どの指も無言で役目果たしてる
何事もなかった様にチャイム鳴る
ささやかに生きて月日が早過ぎる


「自 由 吟」              御田  俊坊
ヤマザワの安いチラシを漁り出し     高 畠
胸張って悠々生きる発破かけ
子の自立母の任務が軽くなる
結び合い絆の太さ血が通う


  「レストラン」            西垣  博司
横文字のメニューに財布怖気付く      静 岡
伝票の数字はこわいもの見たさ
支払いを済ませたあとの沈みよう
こんなにも軽い財布で店を出る


  「めのこころ」            川口   亘
明言を吐く程もない勇み足           藤 枝
名案が浮かばぬ儘に四苦八苦
面々の出席投句に目を見張り
名勝も歩けぬ足に云うつらさ


  「努力をすれば」           中矢  長仁
頑張っている人 運も味方する         愛 媛
努力する持てる男もそれなりに
取り戻す努力実ってホタル飛ぶ
暮らし良さ身の程知って背伸びせず


「雑  詠」              滝田  玲子
湿った心太陽に干す梅雨晴れ間      浜 松
躓いた石に生き方教えられ
リフォームをしたい私の錆びた脳
ひまわりも暑い暑いとうなだれる


  「雑  詠」              山田  ぎん
裏の畑なすと卯とトマト植え       静 岡
裏の道大きな蛇で怖くなり
パチンコの灯が「入るぞ」と呼んでいる
満車です儲かるのかなパチンコは


  「鮎三昧・・・其の十」        永田 のぶ男
雨上がり柳色には追いがよい          静 岡
ポイントで違わずグンといい当り
落着けと外さぬ様に辺りみる
よく見られ周囲の数も術のうち


  「ひとりっ子」            堀井  草園
八起目に非常電池が切れていた         静 岡
浮動票蒔かない種が喧しい
生かされて子のひと声が杖となり
聞き下手で早合点の三叉路


「辞 任 劇」              中安 びん郎
太平を何で乱すか辞任劇          静 岡
後釜は元チルドレン辞任劇
秀才が引き際悪き辞任劇
安倍総理しどろもどろの辞任劇


  「雑  詠」             芹沢 穂々美
てっぺんの枝は敵から身を守る         沼 津
バイキング腹八目までにする
朝ドラが終わり掃除機かけ始め
せっつかれ特濃ソース時間切れ


「雑  詠」            林  二三子
それなりに写る鏡が疎ましい           芝 川
期限なく続く介護の細い綱
めっちゃくちゃ旨い話に騙される
ゴーヤ食べる猛暑乗り切る策として


「  雨  」             中野 三根子
小雨ならあなたの傘に入りたい         静 岡
雨の夜そっと聞いてるセレナーデ
二人なら雨もうれしい傘ひとつ
雨の夜心ゆったり休ませる


  「真 面 目」             薮ア 千恵子
真面目だと言われ脱線できずいる        焼 津
待たせるも待つのも嫌な几帳面
見えすいた世辞に疲れて貝になる
要領の悪さいつでも馬鹿をみる


  「花  嫁」             川村  洋未
嫁に出す母もいっしょについて行く       静 岡
婿が来た満点つける親心
結婚式何が何でも雨降るな
花嫁の次にうれしい老いた母


「雑  詠」            堀場  梨絵
生れきて中途半端なニート族         静 岡
時間切れ僕の真実届かない
荒れ模様中途半端でさじ投げる
運のいい馬車に乗りたい夢女


「上 げ 底」              池田  茂瑠
限界の腰であること内緒です          静 岡
渇いてる命と追った愛でした
上げ底の底に女の舌が棲む
妥協点重く一段下げました


「  輪  」            多田  幹江
美しい国輪になって語ろうよ         静 岡
歩け歩けの輪唱は耳にタコ
山枯れてサルもヒト科の輪に入る
知恵の輪と辛抱でした共白髪


  「分 岐 点」            真理  猫子
本能があなたを尾行し始める         岡 崎
この次の交差点まで手をつなぐ
上段の構えで君を待っている
幻想に手招きされて秋葉原


「道具立て」       山口  兄六
謙譲語腹に納める朝ごはん       足 利
終電で電車男は売れ残る
ジャングルへ潜るベッドは宝島
携帯があれば戻れる俗世界


  「真  意」            石田  竹水
晴れになり傘は浮気をして不明       静 岡
百歳の表彰がある其の真意
手短に話せば歯磨で離婚
貫禄に見える脂肪の太っ腹


「マイライフ」           谷口 さとみ
いびつでも旬の露地もの大御馳走       伊 豆
一聞いて十を忘れる生き上手
何もないそれも幸せかもしれぬ
北国の春夏秋は冬支度


  「話し合い」            佐野 由利子
てっぺんと根元の話噛み合わず        静 岡
口裏を合わせた事の自己嫌悪
底辺でやっと分った裏表
話し合い納得をしてまあるい輪


「流 れ る」       長澤 アキラ
本流になると正義が沈みだす      静 岡
酸欠の川を流れる雑魚の群れ
激流で掴んだ藁が敵の足
悠久の河は本音を明かさない


  「アゲンスト」           川路  泰山
遊行期の旅も恋路を泡沫と         島 田
美人なら魔女でも良いさ恋時雨
恋風か魔風か臍をえぐられる
アゲンスト男泰然自若たり


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
平身低頭 靴のサイズへ合わす靴       焼 津
考慮中なのに時計は止まらない
日々平穏カバン一つの旅思う
無視された主張よ今は耐えてくれ


「  汗  」                 望月   弘
いい汗を絞ると精製された塩        静 岡
コーヒーもテレビも薄くアメリカン
戦争を知らない子らは宝物
年金がブランコしてる青い空


 「自 由 吟」            加藤   鰹
オッサンと呼ばれた 僕のことだった   静 岡
ほふく前進 妻に見つからないように
セクシーな女コーラをラッパ飲み
どん底にセミの大合唱響く


   顧  問  吟 
 「か  べ」             柳沢 平四朗
光る風ひそかに五感研ぎすます         静 岡
部屋じゅうの壁松坂が投げている
鍾乳洞の怪筍のあごたたき
腕組を解かねばならぬ人と逢う




虎竹抄 | Link |
(2007/08/26(Sat) 18:32:12)

200709のログ 200707のログ

Copyright © 静岡川柳たかねバックナンバー. All Rights Reserved.