平成十九年六月十六日(土) 定例句会 於 アイセル21
▽席 題 「印象吟」 長澤アキラ・選
口説く人こんな顔なら拒みます 茂 瑠 まあまあまあそう焦らずに怒らずにさとみ ひとっ飛びして恋人の膝の上 由利子 箸置きがまた消えちゃった縄のれん輝 男 箸とらば後はドンチャン騒ぎする のぶ男 飾っても所詮は泥臭いくらし 茂 瑠 外見はゴツイが心あったかい 由利子 有明を世に売り出したムツゴロウ 弘 ホタル見に行ったゼロ戦帰らない 弘 メルヘンの泥から生まれ三姉妹 しげる 五 客 三様の顔だが里は隠せない 泰 山 ボスが去りのこのこ雑魚が顔を出す 鰹 飛び出した落ちたやっぱり泥の中 洋 未三人で考えたって知恵はなし 洋 未 ヘリコプター見上げ泥から覗き見る しげる 人 位 ご馳走がまずくなっても知りません のぶ男 地 位 親のない子が三匹で餓えてます 泰 山 天 位 三人が寄ると年金話する 弘
宿 題「うつる」表現自由 永田のぶ男・選 都会から移り酸素を取り戻す 泰 史 手鏡にうつした影にひと目ぼれ 亘 親の癖悪い事だけ子にうつり 晴 康 胃カメラが俺の悲劇を写し出す 廣 司 笑顔だけうつる鏡を今朝も拭く 敏 子 ウイルスの殺意を試す試験管 政次郎 金の成る木願望を入れ移植する 穂々美 子に移る短所を嗤う尻ぬぐい 平四朗 奇怪な影が尾を引く蜃気楼 豊 子 引抜きがきたぞチャンスだ風に乗る 千恵子 君の顔僕の脳裡に移り住む 竹 水 お互いの欠点混ざりいい温度 太 郎 アルバムに戦後が重くのしかかる しのぶ 画面の顔に写し出されている本音 二三子 影映る親父ボロボロではないか 哲 也 入れ替えた心が何故か落ち着かぬ アキラ ステテコで移動も楽な僕の城 大 鯉 移り気は紫陽花ほどは無いつもり びん郎 本当の心が写る青い空 和 枝 いとおしい君に貰った風邪だもの 薫 彼女から移ってもいいあの微熱 洋 未 目移りをしているうちに春が過ぎ まさえ あくびする少し間を置き妻もする 廣 司 五 客 百万の画素に怯える美女の皺 弘 足場から足場へ鳶の身の熟し 由利子 心変り責めず番いの鳥を飼う 平四朗 脳年齢優先席へ移りたい まさえ 思い出が写るアルバム過疎の村 玲 子 人 位 目移りをし過ぎ最後に掴むババ 信 一 地 位 渡り鳥地球の危機を告げにくる しのぶ 天 位 ふる里へ移る納税起爆剤 草 園 軸 吟 髪を変え性転換で身をうつす のぶ男
宿 題「め、で始まる句」 川村 洋未・選 夫婦旅長引く程に妻が上 長 仁 名演技かげに黒子の汗があり 春 江 目一杯化けても尻尾隠せない 薫 迷信と笑い飛ばして顔がつる 千恵子 目配せをしても妻には通じない 野次馬 明細書中味は妻の愚痴でした 千恵子 面取りをした芋のよう生きたいな 俊 枝 迷路から抜け快復のきざし見え 二三子 メタボだねだからなんなの切れる妻 静 枝 目の前で孫は中味をたしかめる 春 江 目障りな奴だ正論ばかり言う 泰 史 名刺出す鈍感力も載せておく まさえ 目障りな人が私を鍛えます 五 貫 名物と言われ余分な土産買う 由利子 目の届く位置に不安を置いておく まさ子 面食いの僕がアンタに惚れちゃった 竹 水 目立つのが好きな男に恥が無い 博 司 目隠しをとっても見えぬ鬼一人 まさえ 目ん玉の皿で憲法読んでいる 弘 目の黒いうちは火種を消さず置く 平四朗 芽吹く木々花も女もよく笑う まつ子 目を閉じて心眼開き見る本音 徳 子 メールより手書きの文字の温かみ 玲 子 目が合ってここでドラマの幕が開く 長 仁 明治村祖父がひょこっと出てきそう 鰹 迷信も割り込む隙が愛にある 茂 瑠 目障りにされてたまるか意地を張り のぶ子 目には目を地球が火星になる兆し 澪 子 面食らう祭り騒ぎの国会に 澪 子 目方では負けぬ財布にサツが無い 博 司 面倒な事ほど先に飛んでくる 俊 枝 目つぶしのような叱言に大むくれ のぶ子 迷信と思えど掴む藁探す 豊 子 目覚めたら見知らぬ星の上に居た アキラ 五 客 目にあまる折り込み隠す親ごころ 草 園 目は達者口も達者で腰は萎え 穂々美 めじゃないと言った梯子が降りられぬ静 枝 目の位置を下げて楽しむ好奇心 竹 水 メタボリのガチョウの肝がよく売れる野次馬 人 位 めっちゃくちゃ俺のノルマも社保庁も泰 史 地 位 目立たない所で白旗上げている アキラ 天 位 面倒な俺をわざわざ産んだ母 太 郎
宿 題 「とぼける」 柳澤平四朗・選 喉元を過ぎて飴玉引っかかる 野次馬 テーブルの下だけでする痴話げんか さとみ 身に覚えあるから知らぬ顔をする アキラ 歩が悪くなると補聴器壊れ出す 千恵子 保護色に染めて微罪の知らばくれ 豊 子 芸一筋金に疎いと渋い顔 澪 子 どう見ても役者は少し上らしい のぶ子 ずっこけを笑いに変えているピエロ 竹 水 万引きにこの手が憎いと罵倒する 澪 子 点と線ただいま所在不明です 野次馬 その裏も熟知噂に耳を貸す 輝 男 宴会のとぼけお膳の名司会 重 雄 とぼけるの季語は茗荷の季節かな 哲 也 とぼけ顔花を買う日の真人間 獏 沓 試されているな知らない振りをする 由利子 初耳ととぼけてみせる嫁の前 豊 子 とぼけても解る目ン玉平泳ぎ 鰹 ボケの度を羽毛フトンが進ませた 茂 瑠 気付くまで待たれるまでの知らぬ顔 亘 結局は他人顔して傷つかず 廣 司 合槌でとぼけ話も弾みだす 獏 沓 熊さんと八っあんの間を聴く落語 静 枝 ポケットにとぼけた風がまだ残り 満 月 ボケ役に回り世の中丸く見え 長 仁 知的さを感じるほどのとぼけ方 由 美 失礼でとぼけておれぬ世の中だ 俊 坊 事勿れ主義が私の生きる知恵 五 貫 争いも老いはとぼけて知らん顔 ぎ ん 嫁のぐち全部知ってる見えている 安 心 おとぼけの秤にされる損か得 泰 史 カニの母前に歩けと横に行く 洋 未 五 客 とぼけても小耳に拾う革命家 しげる 飲んでなどいまシェンと言うその呂律 鰹 とぼけても尻尾がみんな喋りだす 春 江 聞こえないふりで貰った演技賞 弘 失笑をテンポのずれた背に浴びる 茂 瑠 人 位 天国にスーダラ節がこだまする 尚 地 位 特ダネを狸寝入りがかき集め 竹 水 天 位 素っとぼけ過ぎて仮面が脱げません 進
宿 題 「 自 由 吟 」 互 選 Eスーダラで泳げる会社入りたい 信 一 D頃合いの彩で余生が映えてくる 平四朗 C脱ぎっぷり見事筍天を突く 薫 Cほくそ笑む人がいるから泣かれない博 司 Bそんな事どうでも良いよ歯が痛い 由利子 Bプライドを鼻から外し生きてみる 安 心 B会話して活字に顔がつく名前 さとみ Bちっぽけな瓶の中にも風はある 叶志秋 A人救う嘘なら時に信じよう アキラ Aパトカーが給油している平和な日 由 美 A指きりのゆびが女を悩ませる 野次馬 A堅い事言うぜ心の中の神 五 貫 A七十路の坂は妥協の石ばかり 豊 子 A蚊がブンと飛んで我が家の夏の声 重 雄 A目ん玉がひっくり返る合格だ 泰 史 A早慶戦熱いハートが生きていた 澪 子 A蔵の中あの日の僕がかくれんぼ 鰹 @おとぼけが上手にできてはい拍手 泰 山 @明日明日とのばして出来たゴミの山 尚 @金になる話を聞いて乱舞する しげる @もうすぐの人と見上げる宵花火 のぶ男 @寝返りの意見に切手貼り忘れ 政次郎 @躓いて右脳左脳を入れ換える 進 @小さくとも受けた御恩は忘れない 敏 子 @孫の供街で見惚れるファッション 晴 康 @お返しにカボチャをくれる地中ゴミ静 枝 @千両の手応え掴む芸の虫 まつ子 @神様にだけは言わない嘘と愚痴 廣 司 @明日が来ると希望に一歩近付ける 長 仁 @メル友に元気をもらう平和な日 二三子
▽参加者(敬称略)高瀬輝男・柳澤平四朗・ 曽根田しげる・池田茂瑠・望月弘・加藤鰹 川村洋未・堀場梨絵・市川重雄・森田安心 永田のぶ男・長澤アキラ・中野三根子・ 谷口さとみ・佐野由利子・川路泰山・瀧進 堀井草園・望月満月・高橋春江・岡村廣司 薗田獏沓・大塚徳子・堀場大鯉・内山敏子 芹沢穂々美・毛利由美・御田俊坊・井口薫 中田尚・鈴木まつ子・川路泰山・増田信一 西垣博司・中矢長仁・石田竹水・鹿野太郎 川島五貫・滝田玲子・濱山哲也・牧野正治 川口亘・柏屋叶志秋・安田豊子・加茂和枝 石上俊枝・塚本寄道・伊藤泰史・畔柳晴康 山本野次馬・中安びん郎・藪崎千恵子・川 口のぶ子・萩原まさ子・提坂まさえ・中川 司・真田義子・金田政次郎・成島静枝・山田ぎん・川口澪子
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