平成十九年七月十六日(土) 定例句会 於 アイセル21
▽席 題 「大丈夫」 堀場 梨絵・選 大丈夫細いスネなどかじらない 洋 未 坂道で温い右手がのびてくる 尚 自家製の野菜で客のおもてなし 輝 男 お隣りの家はセコムが付いている 団 石 内情を胸におさめてお付き合い のぶえ 異常なし医者に云われてもう元気 のぶえ 再婚の望みは捨てず子をあやす 茂 瑠 貧乏でも愛さえあれば大丈夫 鰹 たかね句会若手が仕切り安堵する しげる ドライブも好きな人なら大丈夫 しげる 心配は要らぬ美貌で勝負する 茂 瑠 年令の差は気にしない甘く添う 茂 瑠 鮎戻る支流の清い流れです 茂 瑠 ほどほどの年金元気な妻がいる しのぶ 大丈夫見た目通りに生きるから 洋 未 大丈夫万札ならば任せとけ アキラ 毒見役これは安心夫に上げ しげる 信号は赤ポリさんは見ていない 弘 来年の仕事も保証天下り 輝 男 日本のキャベツの虫は生きている トラ夫 CTに脳の健康保証され 輝 男 病名が付いて笑顔になりました 団 石 大丈夫腹の底まで見せてある アキラ 佳 作 懐の諭吉が歌をうたい出す トラ夫 親よりも子がしっかりとしています団 石 今朝はまだ妻の名前を覚えてる 弘 お手前の背筋が有無を言わせない トラ夫 オーマイゴッドそれは単なるポリープだ 団 石
軸 吟 大丈夫日にいく度も我に聞く 梨 絵
宿 題「かく」表現自由 望月 弘・選 ひらがなの優しさ辞引すてました 春 江 絵に画いて字に書き日本美しい 獏 沓 砂に書く文字はほんとの事ばかり 和 枝 地球儀にサタンが描くテロの爪 政次郎 年輪を描くと漏らした苦楽の日 満 月 核心にせまったチャック錆びていた 草 園 父の字を大きく書いて子に示す のぶ男 地球儀の黒い部分にひそむ核 鰹 核兵器使った国と仲がいい 棋 人 言い訳は頭掻き掻き考える 寄 道 痒いとこ掻いてあげるよ下心 由利子 鈍角を鋭角にする人の口 寄 道 発言は核廃絶の渦の中 しげる 復讐と書いたが勝てぬやめとこう 廣 司 核の傘しょうがないなと消えてゆく 徳 子 嬉しさに心の頁書きとめる 晴 康 格言の横に大きな無理が添う 茂 瑠 角砂糖溶けてカップル恋に酔う 竹 水 腹の立つ日向で叫ぶ格差論 五 貫 核家族子の躾には飴ばかり 千恵子 書くことで埋める記憶のキャパシティ由 美 ニッポンも核を持ちたくなる恐怖 泰 史 恥をかくそれも愛嬌好奇心 竹 水 自画像へ剥れぬ傷はしかと書く 豊 子 元気だよだけでいいから便りくれ 二三子 核家族箍のゆるみへ刺さる戯画 しのぶ 禁酒から男の義理が一つ欠け 平四朗 追伸へさらり本音を走り書き 豊 子 格式にこだわっている祖父の意地 千恵子 遺産分け知ったかぶりが掻き回す 二三子 遺言の翻意を知った濃い日付け 平四朗 愛しいと書いて心を赤く染め 亘 五 客 かいた汗しっかり吸ったナス トマト 薫 帳尻をあわせる言葉書き加え 洋 未 各論も総論も呑む丸い月 美佐緒 漢検で頭に汗をかいてみる 尚 マニフェスト凄くでっかい餅を画く 輝 男 人 位 核兵器よりも怖いよ温暖化 信 一 地 位 真実を書くペン先が刃物めく 鰹 天 位 ボランティア真珠のような汗を掻き 廣 司
宿 題「も、で始まる句」 加藤 鰹・選 毛筆の手紙読めたが意味不明 大 鯉 桃一つ漂う胸の川岸を 茂 瑠 もう少し恋人でいる天の川 美佐緒 もんじゃ焼きまだ早いかな誘おかな さとみ 桃のようつるんと剥けた肌になる 穂々美 門限に叛き大人になっていく 弘 儲かるならセールス君よ君がやれ 静 枝 森理世をじっくり見てはいけません 哲 也 モー娘。を覚えた途端またチェンジ 信 一 「儲かりますよ」彼方じゃなくてこの私 哲 也 物好きがどこにも顔を出したがる しげる 黙祷に不戦誓った原爆忌 進 喪が明けて女のびのび羽伸ばす 徳 子 持ちたいなブランド泣かす自己主張 香 織 もの好きがきて横道へゆく話 梨 絵 もったいない昭和の母の語りぐせ 玲 子 申し分ない人だから物足りぬ 博 司 もの知りが溺れた浅瀬青く澄む 竹 水 モザイクが息子の興味唆す 可 福 もののけの話で暑さ凌ぐ夜 亘 桃太郎鬼退治には行きません のぶ男 もっともな話をごもっともに聞く 団 石 モザイクが想像力を刺激する しのぶ モアイ像故郷のある空を見る アキラ 猛烈に生きて明日がまだ見えぬ アキラ もの腰は柔らか芯は強い母 由利子 文句なく年金は詐欺国家です のぶ男 もっての外年金記録闇の中 しげる 問題はいつもながらに金のこと トラ夫 門前で娘を待つ父の背が丸い 尚 もくもくと父の日後ろめたく居る 平四朗 物怖じをしない化粧が逞しい トラ夫 模様替えしてゆく街に馴染めない 二三子 もろもろの花に囲まれ孤独です 輝 男 目的地いやそれよりも現在地 由 美 五 客 捥ぎ立てのまま缶詰になった妻 太 郎 喪の家へ毎度有りいと来た出前 廣 司 持ち上げるヒップにバスト顔のしわ 洋 未 勿論よあなたとならば地獄へも 輝 男 持っている人に集まる不公平 長 仁 人 位 模様替えまた終ったな妻の恋 五 貫 地 位 モザキクがかかるとだるま動き出す さとみ 天 位 文字バケが起きていますねマニフェスト 団 石
宿 題 「 氷 」高瀬 輝男・選 思考力無くしてしまうかき氷 由利子 流氷が春一番を告げにくる しげる 許そうか溶けない氷ないものを 洋 未 香水の匂いの中の花氷 ぎ ん 氷詰め保存したいな今日の愛 長 仁 低血糖氷砂糖を持ち歩く 俊 坊 ぶっかきがすぐに溶けだす甲子園 静 枝 氷原でタローひたすら主を待つ 澪 子 冷凍魚海が恋しと反ったまま 春 江 かき氷音が呼び込む夏の午後 のぶ子 ティタイム二人の氷解けました 和 枝 温暖化を叫ぶ氷河の先端が 薫 温暖化北極ぐまの悲鳴きく 春 江 新サンマ氷抱かされ秋を呼ぶ 敏 子 アイスキャンディー好きなお方の胃に解ける 徳 子 美人だが氷の様に冷たい目 獏 沓 暑い夜は氷の音に耳を貸す 亘 焼き芋も氷も売れてエビス顔 びん郎 オンザロック味の決め手となる氷 竹 水 氷砂糖溶けて梅酒も飲み頃ね 二三子 初恋も夢も流氷と同じだ 安 心 身ぶるいの氷雨不倫の闇に佇ち 平四朗 氷山の一角急所ついてくる まつ子 五 客 ねぇちょっと聞いた?と主婦のかき氷 鰹 南極でペンギンと食うかき氷 洋 未 社保庁に氷にされた人数多 哲 也 恋心オンザロックに嗤われて 鰹 太古から無気味氷河の動く音 獏 沓 人 位 プライドが氷柱の如く下に伸び 哲 也 地 位 薄氷の上に私は立っている トラ夫 天 位 真夏でも総理の上に降る氷雨 野次馬 軸 吟 氷壁へ挑む男の生涯と 輝 男
宿 題 「 自 由 吟 」 互 選 H帰りたくない人もいる終電車 トラ夫 E致死量で噂の風が吹いてくる 美佐緒 E昭和史を開くと風が生臭い 豊 子 D突然の雨にシナリオ間に合わず 義 子 D噛み合わぬ義歯にいちゃもん付けられる 千恵子 D朝採りのキュウリも妻も刺がある 鰹 C納得をされて出来なくなる否定 由 美 Cセピア色の写真にいまだある火種 しのぶ C熊鈴を付け思春期の部屋に行く 太 郎 B国境線女が胸に太く引く 茂 瑠 B風と樹のつぶやきを聞く森の朝 敏 子 Aふさわしい空間に置く丸い椅子 政次郎 A廃校の知らせを自転車がちりん 団 石 A人褒めてばかり本心掴めない 由利子 A美しい国の事務所は磨りガラス 五 貫 A骨無しの魚が好きで世に溺れ 竹 水 A餅となる為には米も叩かれる 博 司 Aバーコード手首に巻かれ泣く介護 玲 子 @すがりつく年金の樹が朽ちていた 薫 @天と地がひとつになれる地平線 弘 @欲深く生きて間口はあけたまま 春 江 @海の子がプールで泳ぐ保護者付き 廣 司 @美しい国へ黄砂がきにいらぬ 草 園 @親馬鹿の眼鏡曇らす娘のビキニ 可 福 @知り過ぎて疑心暗鬼の深い中 進 @夕顔がパッと開いた庭の景 梨 絵 @へそ曲げる夫ハンストだけは避け 静 枝 @眩しいねミニスカートにハイバスト長 仁 @山頂で両手羽ばたく青い空 徳 子
▽参加者(敬称略)水品団石・山本トラ夫・ 曽根田しげる・中前棋人・望月弘・中田尚 川村洋未・堀場梨絵・市川重雄・森田安心 永田のぶ男・長澤アキラ・堀内しのぶ・ 谷口さとみ・佐野由利子・池田茂瑠・瀧進 金田政次郎・畔柳晴康・望月満月・加藤鰹 成島静枝・堀井草園・岡村廣司・薗田獏沓 山田ぎん・大塚徳子・内山敏子・佐藤香織 中矢長仁・御田俊坊・高橋春江・毛利由美 戸田美佐緒・増田信一・滝田玲子・井口薫 鹿野太郎・西垣博司・石田竹水・堀場大鯉 川島五貫・安田豊子・川口澪子・林二三子 鈴木まつ子・山本野次馬・川口亘・川口の ぶ子・中安びん郎・藪崎千恵子・伊藤泰史 加茂和枝・酒井可福・濱山哲也・塚本寄道 芹沢穂々美・柳澤平四朗・那須野正明
▼東部、長泉や函南から団石さん、棋人さん、トラ夫さんが飛び入り参加して下さりビックリ&嬉しい賑やかな句会となりました。 また、遠く浜松(旧浜北)から中田尚君や 伊豆市から谷口さとみさんも元気に参加して下さいました。さんきゅ〜♪
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