静岡川柳たかねバックナンバー
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 平成十九年七月十六日(土)
  定例句会  於  アイセル21


▽席 題 「大丈夫」 堀場 梨絵・選
大丈夫細いスネなどかじらない  洋 未
坂道で温い右手がのびてくる    尚
自家製の野菜で客のおもてなし  輝 男
お隣りの家はセコムが付いている 団 石
内情を胸におさめてお付き合い  のぶえ
異常なし医者に云われてもう元気 のぶえ
再婚の望みは捨てず子をあやす  茂 瑠
貧乏でも愛さえあれば大丈夫    鰹
たかね句会若手が仕切り安堵する しげる
ドライブも好きな人なら大丈夫  しげる
心配は要らぬ美貌で勝負する   茂 瑠
年令の差は気にしない甘く添う  茂 瑠
鮎戻る支流の清い流れです    茂 瑠
ほどほどの年金元気な妻がいる  しのぶ
大丈夫見た目通りに生きるから  洋 未
大丈夫万札ならば任せとけ    アキラ
毒見役これは安心夫に上げ    しげる
信号は赤ポリさんは見ていない   弘
来年の仕事も保証天下り     輝 男
日本のキャベツの虫は生きている トラ夫
CTに脳の健康保証され     輝 男
病名が付いて笑顔になりました  団 石
大丈夫腹の底まで見せてある   アキラ
 佳 作
懐の諭吉が歌をうたい出す    トラ夫
親よりも子がしっかりとしています団 石
今朝はまだ妻の名前を覚えてる   弘
お手前の背筋が有無を言わせない トラ夫
オーマイゴッドそれは単なるポリープだ
                団 石


軸 吟
大丈夫日にいく度も我に聞く    梨 絵


宿 題「かく」表現自由 望月  弘・選
ひらがなの優しさ辞引すてました  春 江
絵に画いて字に書き日本美しい   獏 沓
砂に書く文字はほんとの事ばかり  和 枝
地球儀にサタンが描くテロの爪   政次郎
年輪を描くと漏らした苦楽の日   満 月
核心にせまったチャック錆びていた 草 園
父の字を大きく書いて子に示す   のぶ男
地球儀の黒い部分にひそむ核     鰹
核兵器使った国と仲がいい     棋 人
言い訳は頭掻き掻き考える     寄 道
痒いとこ掻いてあげるよ下心    由利子
鈍角を鋭角にする人の口      寄 道
発言は核廃絶の渦の中       しげる
復讐と書いたが勝てぬやめとこう  廣 司
核の傘しょうがないなと消えてゆく 徳 子
嬉しさに心の頁書きとめる     晴 康
格言の横に大きな無理が添う    茂 瑠
角砂糖溶けてカップル恋に酔う   竹 水
腹の立つ日向で叫ぶ格差論     五 貫
核家族子の躾には飴ばかり     千恵子
書くことで埋める記憶のキャパシティ由 美
ニッポンも核を持ちたくなる恐怖  泰 史
恥をかくそれも愛嬌好奇心     竹 水
自画像へ剥れぬ傷はしかと書く   豊 子
元気だよだけでいいから便りくれ  二三子
核家族箍のゆるみへ刺さる戯画   しのぶ
禁酒から男の義理が一つ欠け    平四朗
追伸へさらり本音を走り書き    豊 子
格式にこだわっている祖父の意地  千恵子
遺産分け知ったかぶりが掻き回す  二三子
遺言の翻意を知った濃い日付け   平四朗
愛しいと書いて心を赤く染め     亘
五  客
かいた汗しっかり吸ったナス トマト  薫
帳尻をあわせる言葉書き加え    洋 未
各論も総論も呑む丸い月      美佐緒
漢検で頭に汗をかいてみる      尚
マニフェスト凄くでっかい餅を画く 輝 男
    人  位
核兵器よりも怖いよ温暖化     信 一
    地  位
真実を書くペン先が刃物めく     鰹
    天  位
ボランティア真珠のような汗を掻き 廣 司


宿 題「も、で始まる句」 加藤  鰹・選
毛筆の手紙読めたが意味不明    大 鯉
桃一つ漂う胸の川岸を       茂 瑠
もう少し恋人でいる天の川     美佐緒
もんじゃ焼きまだ早いかな誘おかな さとみ
桃のようつるんと剥けた肌になる  穂々美
門限に叛き大人になっていく     弘
儲かるならセールス君よ君がやれ  静 枝
森理世をじっくり見てはいけません 哲 也
モー娘。を覚えた途端またチェンジ 信 一
「儲かりますよ」彼方じゃなくてこの私
                  哲 也
 物好きがどこにも顔を出したがる  しげる
黙祷に不戦誓った原爆忌       進
喪が明けて女のびのび羽伸ばす   徳 子
持ちたいなブランド泣かす自己主張 香 織
もの好きがきて横道へゆく話    梨 絵
もったいない昭和の母の語りぐせ  玲 子
申し分ない人だから物足りぬ    博 司
もの知りが溺れた浅瀬青く澄む   竹 水
モザイクが息子の興味唆す     可 福
もののけの話で暑さ凌ぐ夜      亘
桃太郎鬼退治には行きません    のぶ男
もっともな話をごもっともに聞く  団 石
モザイクが想像力を刺激する    しのぶ
モアイ像故郷のある空を見る    アキラ
猛烈に生きて明日がまだ見えぬ   アキラ
もの腰は柔らか芯は強い母     由利子
文句なく年金は詐欺国家です    のぶ男
もっての外年金記録闇の中     しげる
問題はいつもながらに金のこと   トラ夫
門前で娘を待つ父の背が丸い     尚
もくもくと父の日後ろめたく居る  平四朗
物怖じをしない化粧が逞しい    トラ夫
模様替えしてゆく街に馴染めない  二三子
もろもろの花に囲まれ孤独です   輝 男
目的地いやそれよりも現在地    由 美
五  客
捥ぎ立てのまま缶詰になった妻   太 郎
喪の家へ毎度有りいと来た出前   廣 司
持ち上げるヒップにバスト顔のしわ 洋 未
勿論よあなたとならば地獄へも   輝 男
持っている人に集まる不公平    長 仁
人  位
模様替えまた終ったな妻の恋    五 貫
地  位
モザキクがかかるとだるま動き出す さとみ
天  位
文字バケが起きていますねマニフェスト
                 団 石


宿 題 「  氷  」高瀬  輝男・選
思考力無くしてしまうかき氷    由利子
流氷が春一番を告げにくる     しげる
許そうか溶けない氷ないものを   洋 未
香水の匂いの中の花氷       ぎ ん
氷詰め保存したいな今日の愛    長 仁
低血糖氷砂糖を持ち歩く      俊 坊
ぶっかきがすぐに溶けだす甲子園  静 枝
氷原でタローひたすら主を待つ   澪 子
冷凍魚海が恋しと反ったまま    春 江
かき氷音が呼び込む夏の午後    のぶ子
ティタイム二人の氷解けました   和 枝
温暖化を叫ぶ氷河の先端が      薫
温暖化北極ぐまの悲鳴きく     春 江
新サンマ氷抱かされ秋を呼ぶ    敏 子
アイスキャンディー好きなお方の胃に解ける
                 徳 子
美人だが氷の様に冷たい目     獏 沓
暑い夜は氷の音に耳を貸す      亘
焼き芋も氷も売れてエビス顔    びん郎
オンザロック味の決め手となる氷  竹 水
氷砂糖溶けて梅酒も飲み頃ね    二三子
初恋も夢も流氷と同じだ      安 心
身ぶるいの氷雨不倫の闇に佇ち   平四朗
氷山の一角急所ついてくる     まつ子
  五  客
ねぇちょっと聞いた?と主婦のかき氷 鰹
南極でペンギンと食うかき氷    洋 未
社保庁に氷にされた人数多     哲 也
恋心オンザロックに嗤われて     鰹
太古から無気味氷河の動く音    獏 沓
   人  位
プライドが氷柱の如く下に伸び   哲 也
   地  位
薄氷の上に私は立っている     トラ夫
天  位
真夏でも総理の上に降る氷雨    野次馬
   軸  吟
氷壁へ挑む男の生涯と       輝 男


宿 題 「 自 由 吟 」 互 選
H帰りたくない人もいる終電車   トラ夫
E致死量で噂の風が吹いてくる   美佐緒
E昭和史を開くと風が生臭い    豊 子
D突然の雨にシナリオ間に合わず  義 子
D噛み合わぬ義歯にいちゃもん付けられる
                 千恵子
D朝採りのキュウリも妻も刺がある  鰹
C納得をされて出来なくなる否定  由 美
Cセピア色の写真にいまだある火種 しのぶ
C熊鈴を付け思春期の部屋に行く  太 郎
B国境線女が胸に太く引く     茂 瑠
B風と樹のつぶやきを聞く森の朝  敏 子
Aふさわしい空間に置く丸い椅子  政次郎
A廃校の知らせを自転車がちりん  団 石
A人褒めてばかり本心掴めない   由利子
A美しい国の事務所は磨りガラス  五 貫
A骨無しの魚が好きで世に溺れ   竹 水
A餅となる為には米も叩かれる   博 司
Aバーコード手首に巻かれ泣く介護 玲 子
@すがりつく年金の樹が朽ちていた  薫
@天と地がひとつになれる地平線   弘
@欲深く生きて間口はあけたまま  春 江
@海の子がプールで泳ぐ保護者付き 廣 司
@美しい国へ黄砂がきにいらぬ   草 園
@親馬鹿の眼鏡曇らす娘のビキニ  可 福
@知り過ぎて疑心暗鬼の深い中    進
@夕顔がパッと開いた庭の景    梨 絵
@へそ曲げる夫ハンストだけは避け 静 枝
@眩しいねミニスカートにハイバスト長 仁
@山頂で両手羽ばたく青い空    徳 子



▽参加者(敬称略)水品団石・山本トラ夫・
 曽根田しげる・中前棋人・望月弘・中田尚
 川村洋未・堀場梨絵・市川重雄・森田安心
 永田のぶ男・長澤アキラ・堀内しのぶ・
 谷口さとみ・佐野由利子・池田茂瑠・瀧進
 金田政次郎・畔柳晴康・望月満月・加藤鰹
 成島静枝・堀井草園・岡村廣司・薗田獏沓
 山田ぎん・大塚徳子・内山敏子・佐藤香織
 中矢長仁・御田俊坊・高橋春江・毛利由美
 戸田美佐緒・増田信一・滝田玲子・井口薫
 鹿野太郎・西垣博司・石田竹水・堀場大鯉
 川島五貫・安田豊子・川口澪子・林二三子
 鈴木まつ子・山本野次馬・川口亘・川口の
 ぶ子・中安びん郎・藪崎千恵子・伊藤泰史
 加茂和枝・酒井可福・濱山哲也・塚本寄道
 芹沢穂々美・柳澤平四朗・那須野正明

▼東部、長泉や函南から団石さん、棋人さん、トラ夫さんが飛び入り参加して下さりビックリ&嬉しい賑やかな句会となりました。
 また、遠く浜松(旧浜北)から中田尚君や
 伊豆市から谷口さとみさんも元気に参加して下さいました。さんきゅ〜♪


定例句会 | Link |
(2007/09/26(Tue) 08:27:12)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳

さっさくさーところとっぱち聞き齧り    瀧   進
この道と思ったけえが違かった       谷口さとみ
おらと早めそめそするな行かずらよ     山田 ぎん
買被りなむない買ったブーイング      柳澤平四朗
古い傷おーぼったいで雨ずらよ       畔柳 晴康
ぞんざえてばっかやっきりこいちまう    中川  司
そんな遠くへ座りゃー話も出来へんやー   高橋 春江
あちいなあひゃっけえ水にひとっ風呂    芹沢穂々美
生ぬりいトマトなんかあ食われにゃあ    芹沢穂々美
やっかいな人で仕事も半ちくりん      鈴木まつ子
川柳が良くてくすがりこんでみる      鈴木まつ子
おとましいこたあ言わずにしておくう    岡村 廣司
あばらって貰ったけえが還さずや      岡村 廣司
いやな奴しゃっつらにきい上司です     西垣 博司
まっとクロ歩けわりゃあ轢かれるぞ     西垣 博司
瀬戸際に立った脈拍おとましい       堀井 草園
安倍かーの花火わしらの鎮魂祭       堀井 草園
地震来ると言ってるけーが来にゃーじゃん  中安びん郎
 美しい国にしるなーふんとかな       中安びん郎

▽今年の夏は暑くてやっきりだっけね〜。皆さん体調崩していま
 せんか?だけえが、しぞーか弁川柳は絶好調。常葉菊川もベスト
 4、立派立派♪またええのん出来たら送ってくりょうや〜
〒421‐2106 (受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて


ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2007/09/26(Tue) 08:23:12)

「けったいな人々」         松橋  帆波
その上にクサヤまで焼くゴミ屋敷        東 京
マヨネーズ党のルールが解らない
やっていて空しくないかエアギター
神様と喧嘩している発明家



 「セ  ミ」            井口   薫
凄まじい告白ですね蝉時雨           袋 井
夏バテの私へ蝉の勝ち名乗り
蝉時雨に脳の回路を狂わされ
抜け殻の美学と蝉の末期とを



「夏 模 様」            毛利  由美
監督もノック空振る地区予選      つくば
コールドで負けて終わった夢ひとつ
UVカット塗り少年はサッカーへ
涼し気なサラリーマンの手に日傘


「自 由 句」            山本 トラ夫
遊んで儲かると迷惑なメール         長 泉
雨漏りの為の缶カラ持っている
野菜なんか食わなくたって勝手でしょ
ちょっとだけ猫も見ていたエロサイト


「娑  婆」            岡村  廣司
笑えない喜劇が娑婆に多過ぎる         焼 津
完璧を捨てれば娑婆も住み易い
娑婆だから想定外が次次と
なる様になればいいのさ娑婆だから


「雑  詠」            内山  敏子
上品に西瓜を食べるむつかしさ         浜 松
ふさがった手に有りがたい自動ドア
給料の運び屋でよし明るい灯
禁煙を説く先生も喫煙家


「自 由 吟」             酒井   可福
軒先に職に溢れた軍手干す          北九州
妻も子も神が与えた試練かも
年金の老後のプラン夢となる
民主民意自民民意蝉時雨


「空 の 旅」           真田  義子
月見草今もあなたを待っている        仙 台
風鈴の音色に引かれ途中下車
スイッチを入れ換えてみる旅の空
白い地図持って再び旅に出る


「若 返 る」            川口 のぶ子
観覧車若き二人の初デート          藤 枝
思い出が何よりくすり若返る
考えのとどかぬ先に見るあかり
画面より老いた私を削除する


「みぞおち」            戸田 美佐緒
人間の虚飾を舐めるキリギリス       さいたま
蜩のまだ鳩尾を離れない
縫い針の喜怒哀楽を売りに出す
約束の指ゆっくりと酸化する


「レクイエム」            濱山  哲也
岸壁で友に口笛レクイエム           つがる
ヒロシマとナガサキ想いかき氷
同窓会みんな違った歳で来る
盆過ぎてやっぱり過疎は過疎になる


「女  偏」           高橋  春江
錯覚の街でわたしは未だ乙女         袋 井
密やかにラップに包む愛もあり
厚化粧しても値札つけられず
高笑い今日もわすれた女偏


 「  穴  」            薗田  獏沓
落し穴避けて平地でよく転ぶ        川根本町
現場では高所恐怖の落し穴
大損をしても懲りない穴狙い
虫も穴出たよ連れ出す車椅子


「自 由 吟」           寺脇  龍狂
原発へウチワと火鉢に戻りたい     浜 松
ヘソ出しのスポーツプロもアマもない
選挙負けほんに口惜しい夏休み
ボチボチと治ってほしい雅子さま


  「雑  詠」            瀧    進
へそ曲がりだけど個性が捨て難い      島 田
鄙の宿地酒に訛り良く似合う
モナリザの流し目俺に向いている


「は ね る」            塚本  寄道
応援の親が一番よく跳ねる          長 泉
暴言が心の中を跳ね回る
嘘をつく跳ね返ること知りながら
彼女OKだってそっとひと跳ね


「跳 ね る」           新貝 里々子
よく跳ねる乳房でおとこ釣りあげる      袋 井
亀だって跳ねて見せますどっこいしょ
中華鍋揺すると跳ねる男の譜
O脚も弾んだ青春を持っている


「暇つぶし人生」          堀場  大鯉
豚児なら豚児でいいさ気楽だよ        焼 津
陰日向なく働くと損のよう
待つこころ失せて季節も早回り
暇つぶし人生だって顔洗う


「雑  吟」            江川 ふみ子
ひとり芝居最後の幕がむずかしい        函 南
七ころび八起青山まだ見えず
受け皿もなく老々が介護する
ひと言が過ぎて世論の火を浴びる


「お  金」            中田   尚
ご利息はあめ玉一つサヨウナラ        浜 松
年金を預けてプリン返される
税上がりパチンコ屋では羽根がつく
五円玉重いユキチは軽いのに


「残  る」            小林 ふく子
レモンの香かすかに恋が残ってる       袋 井
あなたへのスイッチ残りありますか
リサイクルわたしの場所を残しとく
自分史に乗換切符まだ残る


「敬老の日 九十三歳九ヶ月」    金田 政次郎
年寄りの日に年寄りになっている       静 岡
周平に溺れています蝉しぐれ
夫婦だけ落着く場所の話する
節操を曲げぬ語録が未だ書けぬ


「得 意 気」             鈴木 まつ子
得意技此れ見よがしと網の意地        島 田
売れっ子のところ得顔に水着燃え
ことさらに自慢たらしく武勇伝
鬼の首取ったようです手前味噌


「初めての川柳」           海野   満
白球に思いをよせてラヂオきく         静 岡
蝉時雨宇治金時を旨くする
発情期寝ている妻は倦怠期
帰り道麦わら帽に赤とんぼ


 「自 由 吟」            藪ア 千恵子
口先の情に縋っている愚か         焼 津
二番手で金魚の糞のようにいる
お人好しですねと笑う泣き黒子
大丈夫薄命などと言えぬ顔


 「永  遠」             鈴木 恵美子
車座で唄った青春の賛歌           静 岡
子守唄背のぬくもりは忘れない
惜しみない汗で土と生き続け
終章を飾る言葉を探さねば


 「新  盆」             成島  静枝
新盆の手引きお寺が敷くルール         千 葉
みそ萩の役目供物へ水をかけ
新盆の明かり沼津を向いている
実印を持って集まる孟蘭盆会


「昭  和」            安田  豊子
追憶は善くも悪くも昭和の絵         浜 松
返しても昭和の砂が散る時計
リニューアルしても醸しでる昭和
急激な渇きへ遠くなる昭和


  「  か 」           川口   亘
書いた仮名我流で読むに危ぶまれ        藤 枝
格式の高い敷居は縁うすい
確実か念押されてもすぐ忘れ
格好の餌食にされる浮気虫


「雑  詠」            馬渕 よし子
大の字になって制覇の気に浸る        浜 松
雑音の中で特ダネ拾う筆
なぞなぞの答えが今日も解けぬまま
動揺を押え余裕の化粧見せ


  「自 由 吟」            芹沢 穂々美
アサガオの横芽が伸びて反抗心         沼 津
おかめの面つけた相手に騙される
曲り瓜品質保証付いてます
骨だって悲鳴をあげた骨密度


「晩  夏」             辻    葉
自然体で朽ちたのですキリギリス        大 阪
ありがたいけど残暑の中の三部経
もうすぐ秋ね満月も笑ってる
山びこがまだ返って来ない晩夏


  「自 由 吟」              堀内 しのぶ
生き地獄死んで地獄を見る家族         焼 津
生きてます死んだふりする処世術
年金で生きよとお国そっけない
耳鳴りも生のあかしか昼寝覚


  「無  題」            鹿野  太郎
馴初めの秘密むすめの友が知る          仙 台
青空を何度も運ぶ介護の手
汗流すサクラの演技買ってみる
おねだりの子猫ぱちくりがぶり寄る


  「自 由 吟」            ふくだ 万年
入湯税払い露天の妻を見る           大 阪
有るんです聞く耳無いが飾る耳
賽銭を半分入れて手を合わす
娘の為に百歩譲って今やもめ


「動  く」              加茂  和枝
自分にもたくさんあった動く場所     岩 沼
前進へ時々止まる右左
汗流すそれが私の結果です
アジサイが笑ってくれるそれで良い


  「自 由 吟」             御田  俊坊
来客に笑顔で迎え旨いお茶         高 畠
来客に接待上手い話好き
幸せが薬となってよく笑う
全盲の歌の絶唱日本一


  「  夢  」            中矢  長仁
何時までも幸せなんて夢ですよ         愛 媛
ふさふさと育毛剤で生えてきた
皆笑う喜寿というのに恋をした
宝物僕の愛しい妻ですよ


  「ジャンケン」            大塚  徳子
ジャンケンで勝っても言えぬ本音ある      仙 台
ジャンケンで決めてる一つ皿洗い
ジャンケンで勝って雑巾掛けをする
ジャンケンで勝っても譲ることもある


「  汗  」              畔柳  晴康
夏空を恨めし睨み汗を拭く        浜 松
汗のシャツ脱ぎすて素肌扇風機
ひと仕事額の汗を手でぬぐう
笑み浮べ踊るパーティー友も汗


  「つ く す」              山本 野次馬
ナンパされおんなゆっくり髪を梳く    函 南
ある日から君に溺れた蝶になる
結局はあなた次第のおんなです
団塊へ尽す時代は終りです


  「雑  詠」             山田  ぎん
夕食の曾孫の笑顔見る楽し           静 岡
家の前花色々と咲いている
松の実がころりと落ちて老拾い
つばめの子みんな育って飛んでいる


  「自由吟プラス四句」         西垣  博司
絵に書いた餅だからこそ追いかける       静 岡
絵の餅が頭の中で皿に載る
絵の餅を書いて明日の糧とする
絵に書いた餅でも箸を用意する


「炎 の 橋」              山田 フサ子
美容院美しくなってどうしよう       袋 井
炎の橋を渡った頃がなつかしい
歩いた歩いた語り乍ら毎晩のコース
ふと思うも一度だけ逢いたい


  「癌 疑 惑」             中安 びん郎
癌疑惑医者に言われて寝も遣らず        静 岡
一週間後悔しづめ癌疑惑
わが寿命これで尽きるか癌疑惑
癌疑惑解けてすっ飛ぶ妻の元


「鮎三昧・・・其の十一」       永田 のぶ男
友竿を置いたままでの昼寝どき          静 岡
鼻カンの囮へ鴉急降下
その威力釣竿までも持ち上げる
天高くカラスにまでも馬鹿にされ


「マニフェスト」           増田  信一
マニフェスト前を後では格差あり         焼 津
マニフェスト透かして見れば赤い舌
マニフェストあぶり出したら○が×
マニフェスト直球と見せ後カーブ


 「初  盆」              林  二三子
心はき出し新しい風入れ換える         芝 川
千の風に乗せて不幸を吹き飛ばす
時間という良医に心癒される
初盆を孫・ひこたちが明るくし


  「雑  詠」             寺田  柳京
眼鏡屋が何で白衣を着るのかな         静 岡
感謝して返すきれいな免許証
痣があるから善人を守り抜く
蝉がうるさいから補聴器を外す


「  夏  」            滝田  玲子
キリギリス声も聞こえぬ夏休み        浜 松
蝉時雨読経に合わせ姦しい
麦わら帽トンボ追う子も現れぬ
もぎたてのトマトが旨い炎天下


「思いがけないこと」          増田  久子
世が世ならなんて自慢は無視しよう       焼 津
ご好意で借りた洋傘ひらかない
一生のローンで建ててこの程度
握手する気の手へガムが乗って来る


「バースデイ」            中野 三根子
母に今感謝している生まれた日         静 岡
還暦の祝いは母の形見分け
今年から届かぬ母のプレゼント
ローソクが多くてケーキ悩み出す


  「自  由」             川村  洋未
先着順いつでも僕の前で切れ          静 岡
雨チャンス君と二人で入る傘
隠れみのこの頃穴があいてきた
耐火金庫買ったら金がなくなった


「風  鈴」            佐野 由利子
軒下の風鈴チリンおやつです         静 岡
教育勅語まだスラスラとお爺ちゃん
のろのろとじれったいなあ蝸牛
居心地が良いのかカラス帰らない


「雑  詠」              堀井  草園
休養の出鼻挫かれきな臭い           静 岡
肩で風切るロードは蒸し暑い
病めるだけ病み満月に身を晒す
知らんぷり噂が見えたつむじ風


「雑  詠」            多田  幹江
自打球と思えば軽い胸の傷          静 岡
バタバタしない負け犬の空威張り
胃の腑にも欲しい国境警備隊
きのうを仕舞う私を仕舞う小抽出し


  「ほ つ れ」            池田  茂瑠
戻らないものが笑いの底にある        静 岡
捨てられた私のほつれ月へ縫う
羽根のない私が沈む風の隅
縫い合わす私の中身出ぬように


「盛  る」       石田  竹水
義理人情空揚げを盛るお持て成し    静 岡
狂いたい時も耐えてた腕時計
茨道越えた元気な土踏まず
でかい夢小間切れにして日々食べる


  「か  さ」            長澤 アキラ
自惚れを抱いて一人の旗をあげ       静 岡
のど仏ことさら隠すやぶれ傘
百均のかさで家族を守り抜く
あの人の日傘が前を横切った


「秋 茄 子」            真理  猫子
マンションは豊作 少子高齢化        岡 崎
秋茄子を食べてみたくて離婚する
悩みごとインテグラルで処理をする
ボケ茄子も高貴な色を身に纏い


  「  夏  」            谷口 さとみ
計画表だけは完璧夏休み           伊 豆
惜し気なく肌を出しても汗まみれ
枝豆を冷やし浴衣で彼を待つ
会議室悠然といる蚊取り豚


「夏の魔法」       山口  兄六
風鈴の魔法で眠る夏の午後       足 利
熱帯夜 歌い足りないネオン蝉
どちらから手に触れたのか夏祭り
夕立ちが一緒に泣いてくれた恋


  「自我の天」            川路  泰山
美しく生きよう芋の皮を剥く        島 田
足腰の金属疲労鰻食う
舌先が笑う天然うなぎだな
窓越しに深ぶかと見る自我の天


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
ご自由に評価わたしの素顔です        焼 津
とは言うが今も逆転機を狙う
勝つために規約にはない手も使う
その時へ蹴飛ばしてゆく予定表


「オノマトペ」               望月   弘
パッと咲く夏の夜空へ淡い恋        静 岡
ジリジリと残暑見舞のハガキ来る
音もなくポトリと落ちる目の鱗
ショボショボとヨロヨロ僕のオノマトペ


 「震 源 地」            加藤   鰹
片ピアスすったもんだを招き入れ     静 岡
投票率五割 行かない人五割
金出さぬ奴に限って口を出す
地震かと思えばブートキャンプかよ


   顧  問  吟 
 「多  情」             柳沢 平四朗
なべとふた神の悪戯を憎めない         静 岡
波紋には触れず多情の避雷針
回想が肥える対話のコレクション
花筏に積むシナリオが座礁する




虎竹抄 | Link |
(2007/09/26(Tue) 08:22:12)

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