静岡川柳たかねバックナンバー
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▼静岡たかね川柳会前代表・平山虎竹堂氏は、本年九月二十五日、老衰により逝去いたしました
葬儀は九月二十七日、静岡市内の顕光院において、職場関係者、川柳界、町内外多数の参列者のもと厳粛に執り行われました。当会からも柳沢平四朗顧問をはじめ、望月弘副会長、曽根田しげるさん、望月満月さんらが参列して最後のお別れをして来ました。

献  句
永遠にたかねへ虎竹抄は生き 曽根田しげる
墨痕の鮮やかなりや虎竹堂   望月  弘
幾万の名句遺して竹は折れ   高瀬 輝男
虎の威はもう借りられぬ秋の雲 加藤  鰹
筆匠の天寿は円い川柳(うた)を埋め  柳沢平四朗

故人の生前のご交諠に対し、改めて厚く御礼申し上げます。
        静岡たかね川柳会



 平山虎竹堂川柳 珠玉抄
        加藤 鰹 整理

天地溌剌 大根の白と青
汽笛一声青虫のゆく山野
全艦出動かたつむり天を衝き
仕事仕事なんだこの汽車窓がない
針仕事の母は菩薩にどこか似る
偉大とは男に乳房あるごとし
砂糖さらさら粉雪さらさら子の眠り
鈴虫へ子なき夫婦の膝が冷え
酒ちびりちびり琥珀の詩を綴る
縄のれん空いているのは僕の席
セレナーデ絵になる月の道を酔い
妻だって僕が飲まなきゃ淋しそう
玉砂利の音で日本の夜が明け
金婚の蓼食う虫を笑いあう
腹心の部下を疑うとき落ち目
とある日のとある嘘から運がつき
今日生きる今日はどの面冠ろうか
虹のはしわたる行進曲を抱き
集団の威力保険屋束で来る
文鎮のようで会長それでよし
照る坊主ニッコと予報くつがえす
コスモスの窓 恋かしら恋かしら
どんなふに下駄がへろうと楽天家
赤とんぼドレミハに翔ぶ秋の唄
広重の葦のあたりをバスに揺れ
碧空の高さでキリン子と遊び
濁音がない与太郎の靴の音
水より青く空より碧く河童御機嫌
青鬼に無二の友あり赤い鬼
       句集「天地溌剌」「蓼食う虫」より


たかねバックナンバー | Link |
(2007/11/26(Sun) 08:17:12)

 平成十九年九月十五日(土)
  定例句会  於  アイセル21


▽席 題 「電 話」 谷口さとみ・選
父さんの帰るコールは当てにせず  由利子
電話する余裕ゆっくり豆を煮る   茂 瑠
電話また掛かる蜘蛛吐く糸のよに  茂 瑠
携帯の路傍返事をしてしまう    平四朗
妻に客あってすし屋へ電話する   茂 瑠
失恋をして電話代半分に      茂 瑠
留守電に口説き文句を入れておく  アキラ
糸電話よろこんだ子がニキビ顔    尚
留守電に話しかけてるひとりもの  三根子
 人 位
半世紀心に秘めた電話口      しげる
 地 位
罪多い電話二次会から掛ける    茂 瑠
 天 位
省エネの話で妻は長電話       鰹
 軸 吟
いちにっさん声を揃えて置く受話器 さとみ


宿 題「 真 」表現自由 長澤アキラ・選
真っ当に生きて生涯平社員      弘
口数が多く真実掴めない      竹 水
大真面目生ゴミに出すグチ集め   まさえ
駄馬なりに真摯な態度胸を打ち   まつ子
真心のない役人が許せない     ぎ ん
真実は一つ意見があり過ぎる    長 仁
真相は含み笑いの底へ見る     平四朗
真実は一つ重たい言葉だな     泰 史
真心のこもった今日の朝ごはん   三根子
不揃いの箸で真実掴めない      進
社保庁の壁に真っ赤な嘘を塗る   徳 子
真実が駅のトイレに書いてある   哲 也
真っ青な地球に重い血が流れ     尚
真っ白な子供の画布に9ある未来  由利子
真理子って誰なのゆうべ叫んでた  居久美
折り合いの陰で真実うずくまる   博 司
まだ六十路あってもいいね青写真  静 枝
五  客
真ん中は一番無事な隠し場所    さとみ
真ん中に母が座ると動き出す     薫
真実を待ちくたびれている微熱   美佐緒
真実をうまく操る泥の船      重 雄
真心をくれるだなんておお恐い   洋 未
人  位
泣き真似の巧い金魚に騙されて    鰹
   地  位
真心が写らないのねレントゲン   千恵子
   天  位
真ん中にあった私の探し物     由 美
   軸  吟
真白くなり切りたくて墨をする   アキラ


宿 題「さ、で始まる句」 池田 茂瑠・選
 支えられ幸せだった目に涙     俊 坊
 皿洗う嫁に感謝の味褒める     晴 康
 さわらせて呉れたハートの棘に泣く 竹 水
 ささやかな今の暮しに幸思う    春 江
 さようなら賞味期限が切れました  美佐緒
 皿割った嫁の口惜しさ良くわかる  廣 司
 さてさてと言うだけで腰まだ上げぬ びん郎
さりげなく云った言葉が身に返る  のぶ子
 再婚と云う出直しに要る妥協    獏 沓
才能が躓いているパチンコ屋     弘
さらさらの髪にそっとタッチする  三根子
さわやかに朝のあいさつできる人  三根子
さし歯でもリンゴがうまい元気です 洋 未
さわやかな風が木犀つれて来る   由利子
さぁチャンス奇策をポイと投げてみる輝 男
酸欠にならぬか妻の長電話     廣 司
侍が減りましたねえ城下町     哲 也
盃に見えすいている下心      由利子
作業着の汗お父さんありがとう    薫
三拍子揃って胸を張る男      安 心
咲き競う命が光る女の譜      泰 山
猿なのにチンパンジーになるたがる 哲 也
佳  作
さりげなく降りるふりして席譲り  二三子
サヨナラのメモひらひらと秋に舞う  鰹
サンマでもつついて明日を語ろうか  尚
再会に恋を射止める矢が欲しい   まつ子
人  位
参考書 男女の恋は教えない     竹 水
   地  位
三角の戯れ絵火傷の手で破る    平四朗
   天  位
三拍子揃っていても芽が出ない   千恵子


宿 題 「がっちり」 柳沢 平四朗・選
ヤブ医者が駐車代まで取りやがる   鰹
意気の合う友で三役固められ     弘
抜け目なく端金まで指図する    まつ子
立ち読みを十字の紐がガードする   栞
横槍へホームベースはガードする  竹 水
妄想が湧く頑丈な門構え       薫
子離れはしても手綱はゆるめない  二三子
子供らが親の財産視て介護     信 一
ハーモニーがっちり感がたまらない 和 枝
信頼に応える為の腕まくり      亘
がっちりと貯めて木魚が木霊する  草 園
呑み代はがっちり確保するお方   敏 子
家系図がしっかり者のピラミッド  太 郎
二度目の結婚 祝儀稼いでいる    可 福
年金へ張り付いてくる所得税    静 枝
只酒は飲んで会費に横を向き     亘
泣きべそががっちり貯めて兄に貸す 玲 子
未納バレ隠し財産暴かれる     野次馬
どう使うがっちり貯めた親の金   静 枝
交渉になると私の出番です     由 美
裏切りと固い握手の繰り返し    哲 也
通帳に入れたら二度と出しません  美佐緒
五  客
泣きたいが家族へ広い背をつくる  竹 水
鬼の手に尻尾掴まれ動けない    茂 瑠
子や妻にスクラム組まれ独りぼち  千恵子
肉はなしでもカロリーは二重丸    尚
母ちゃんが財布握って平和です    尚
   人  位
貧血に見てもらえない体つき    由 美
   地  位
現金と通帳妻の統治内       廣 司
   天  位
鉄筋をたっぷり使う天下り     アキラ
軸  吟
射程距離しかと野心の始発駅    平四朗


宿 題 「 自 由 吟 」 互 選
F素直っていいね風まで味方する  千恵子
E優しさはあなたとルビを振っておく美佐緒
Dいい話花の近くへ行きましょう  哲 也
D大皿に秋をたっぷり盛る月見   敏 子
Cこぼれ種土地の価格は気にしない 春 江
C生臭い奴に飲ませる生姜汁    野次馬
B副作用美人になると書いてある  洋 未
B一言のさざ波余波となるうねり  竹 水
B後悔が言葉の裏を縫い合わす   平四朗
Bこの銭も俺と離婚望むとか    輝 男
B尻尾振るだけの男に策はなし   廣 司
B最後まで優しい人は悪い人    さとみ
A失言が怖くて口が固くなる    安 心
Aケータイも地図も私を望まない   尚
A都会には縁なく訛だけで住み    栞
Aまだあなた振り向かせたい花筏   進
A作られた出来すぎだから続かない 政次郎
A手鏡に私の世界うごき出し    満 月
@魚屋のハンバーグなら気を許す  太 郎
@躊躇する僕がそんなに可笑しいか のぶ男
@家計簿へ値上げの風が吹いて秋  静 枝
@姦しい熟女が揃う指定席     玲 子
@向日葵が孤独を見せる裏の顔    薫
@おらが嫁三歩下がって尻を蹴る  可 福
@艶のある話へみんな耳を立て   しげる
@紫のコサージュ痩せた胸飾る   茂 瑠


▽参加者(敬称略)川村洋未・曽根田しげる
 池田茂瑠・高瀬輝男・川路泰山・中田尚・
 中野三根子・望月弘・佐野由利子・加藤鰹
 谷口さとみ・長澤アキラ・畔柳晴康・滝進
 柳沢平四朗・望月満月・堀井草園・川口亘
 岡村廣司・内山敏子・毛利由美・山田ぎん
 薗田獏沓・高橋春江・中矢長仁・鹿野太郎
 御田俊坊・成島静枝・真田義子・滝田玲子
 大塚徳子・増田信一・西垣博司・林二三子
 井口薫・金田政次郎・酒井可福・濱山哲也
 石田竹水・鈴木まつ子・石上俊枝・孝井栞
 戸田美佐緒・永田のぶ男・藪崎千恵子・中
 田きく子・加茂和枝・伊藤泰史・森田安心
 市川重雄・山本野次馬・中安びん郎・提坂
 まさえ・森下居久美・川口のぶ子

▼はるばる伊豆市から毎月電車に乗り継いで参加して下さる谷口さとみさんが初選者にチャレンジして下さいました。選句も披講も堂々たるもので、とても良かったですよ。
 軸吟もとてもいいですね。「いちにっさん声を揃えて置く受話器」はるか昔、そんな時代があったなあと・・・(笑)


定例句会 | Link |
(2007/11/26(Sun) 08:27:12)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳

子供っちサートモスリャーワザースル    谷口さとみ
ヨダラモナイバッチラガイがウザッたい   谷口さとみ
荒れたくる馬に人参ちょうらかし      堀井 草園
無礼講ヒョットコ踊りやんべ〜か      堀井 草園
うっちゃってしまわっかや〜こんな句は   井口  薫
気に入らぬそんなら儂におくんない     柳沢平四朗
こりゃあさーそんじょそこらに売ってやへんに高橋 春江
ええ嫁っこだ今日びにしちゃあ珍しいのー  鈴木まつ子
余計なもん買うもんでおっかーぶそりきれん 薗田 獏沓
かにしょーや客の前だでいばらしょー    瀧   進
おだっくい祭ぁ朝からよいたんぼ      瀧   進
ぶしゃったいもっとけっこいなりでこい   畔柳 晴康
悪りいこと言っちゃったっきかんしょうな  岡村 廣司
だばあけた野郎だぜにょう貸しょうだと   岡村 廣司
へそくりをちょっくらかじくりでゃあで来た 西垣 博司
がらいかだわざとじゃねえよかんべんな   西垣 博司
景気よくなると言うけんなんにゃーじゃん  中安びん郎
 たきゃー地をなむにゃーかってばかーみた  中安びん郎

▽しぞーか弁の投句たんと貰えて嬉しいだけえが↑これっぱかしか
スペースがにゃあもんで、ちいっとらっつしか載せられなくてかに
しょ〜や。だけえが戴いた原稿はちゃんと取ってあるでね〜
〒421‐2106 (受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて


ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2007/11/26(Sun) 08:37:12)

創 作  自薦句
    虎 竹 抄


「雑  詠」            高橋  春江
いい格好しすぎて衣はがされる         袋 井
傷ついた夢は春までそっとして
明日という頁へ好きな彩を溶く
ノータイになってほんとの空気吸う



 「本  音」            馬渕 よし子
コマ一つ進めてからの風当り          浜 松
意見書へ本音書けぬと書いておく
お利口な人に話の腰折られ
バランスを崩し欲張り見抜かれる



「生きる パートT」        山本 野次馬
羊水の流れ大河へ続くはず        函 南
産声で履歴のページ開く僕
期待だけ背負うカバンは重かった
胸の中火事になるほど君が好き


「自 由 句」            山本  トラ夫
鉛筆を削らなかった夏休み           長 泉
家柄も血統も無い猫の恋
戦いを終えるといつもある余力
寝て起きる起きなかったらどうしよう


「整  形」            松橋   帆波
似た顔のナースばかりの美容外科        東 京
整形外科に容疑者のデスマスク
ボツリヌス菌でスターの仲間入り
教科書の偉人へ鼻毛耳毛など


「太  陽」            真田   義子
太陽が大きく見えた旅立つ日           仙 台
秋の雲会いたい人がふと浮かぶ
自分史の夢を支えてくれた骨
ライバルのでっかい夢にしがみつく


「  秋  」             増田   信一
太るのはゼーンブ秋のせいにして        焼 津
初冬でも秋と思える温暖化
我年も紅葉中か西日です
彼岸花子供の頃が走馬灯


「  秋  」           井口   薫
紅葉前線前頭葉をはや通過          袋 井
恋多き木にちがいない落葉樹
音量を一段上げて受入れる
秋深し急速にくる電池切れ


「  笑  」            薮ア 千恵子
正直で作り笑いがすぐばれる         焼 津
バカ笑いしたら肩の荷素っ飛んだ
笑うだけ笑った後の虚脱感
最後には笑うしかない行き詰まり


「弱肉強食」            増田  久子
鶏小屋へ虎猫が来る三毛が来る       焼 津
早い者勝ちを制するのはミセス
左遷地で子ら山に馴れ川に馴れ
写メールの顔で見事に縁が切れ


「自 由 吟」             寺脇  龍狂
ケータイを持つと手紙が来なくなり      浜 松
諭しすぎ元も子もない角力部屋
市民税上げてもらって政令市
初恋の相手未だに原節子


「茫茫の中の影」         金田  政次郎
米櫃の一粒ならば生きやすい         静 岡
大振り小振りブランコの下の影
電池切れ音を忘れている木馬
延命のリフォームの旅風に舞う


 「雑  詠」            寺田   柳京
唯我獨尊僕はそんなに偉くない         静 岡
均整の美人へ腹を引っ込める
年金が痩せて俺まで痩せて来た
税金が追い上げて来る九十九坂


「雑  詠」            滝田   玲子
風呂敷に小さな義理も包みこむ     浜 松
欠点も個性のうちとあきらめる
昭和史に生きたもったいないも死語
ロボットの電池切れそう千鳥足


「雑  詠」            石井    昇
縁とは不思議なものよ酒肴         蓮 田
雨か嵐か横隔膜の微振動
平和ボケ漫画の蓋が開いている
瓢箪の底から喜劇転げ出す


「ボランティア」          成島  静枝
福祉協お食事会のボランティア        千 葉
老い孤独門もこころも鍵をかけ
訪ねれば嫌なオヤジが超気さく
美しい老いは国より難しい


「  秋  」            毛利  由美
あの夏がこの秋をひとしお秋に        つくば
番組改編メイクドラマは三ヶ月
内閣も秋の雰囲気漂わせ
鍋をして先取り感のある手抜き


「政治なんて・・・」         戸田 美佐緒
ストライクゾーンがぶれてくる野心     さいたま
悪党のDNAが足りません
リハーサル通りにいかぬ猫じゃらし
はみ出したドラマが消える永田町


「家  族」             鹿野  太郎
ひんやりの下着に寄って来る小バエ      仙 台
茶柱が立って波立つ午前午後
愛一つされど呪文は百通り
姿見の前で葛藤する水着


「そ の 先」            岡村  廣司
その先は言うな誰にもわかってる       焼 津
その先を言ったら困るのはお前
その先を言わねばならぬのが掟
その先が言えず男は去ってゆく


「  波  」            鈴木 恵美子
浸食の浜辺に波の声を聞く          静 岡
浜育ち褐色の肌波に乗り
傷心を癒してくれる波といる
波長合う友と充電旅に出る


「雑  詠」            江川 ふみ子
もう少し引っぱらないで阿弥陀さま      函 南
火を貸して下さい心が寒いので
口下手が言うから本当だなと思い
女です鏡に眉を描き続け


「雑  詠」             西垣  博司
なべ底の恋はタワシで引き裂かれ       静 岡
喜寿過ぎて尚華のある女文字
気短かな男の長い自己弁護
日めくりが風邪引きそうに痩せて―秋


「米軍ミサワ基地」          濱山  哲也
米軍が冠に付く日本の地            つがる
ヘイ敗戦国笑顔の奥が言っている
郷に入りては郷に従う日本人
戦闘機見上げてみんな拍手する


 「執  着」             辻    葉
さり気なく咲いて零れたい白萩       大 阪
夕焼けの田んぼから秋が揺らめく
秋に生まれて無性に秋が絡み付く
秋冷を分け哲学の道をゆく


 「フリーハグ」            大塚  徳子
国技とやビックリガッカリと呆れてる     仙 台
厚化粧落としてビックリ別人だ
抜け道のパイプが巡る天下り
フリーハグそんなはやりに騙されて


 「染 ま る」             小林 ふく子
木の家に住み紅葉の山を待つ         袋 井
喜怒哀楽四肢に染めて生き上手
今日の画布しあわせ色に染めました
葉が染まり少し魔力が失せていく


「似ている」             中矢  長仁
似てきたか夫婦でしぐさ顔までも       愛 媛
生き様が親に似てきた困ったな
古時計手入れ良いのかよく動く
定年後夫婦同じの時間表


  「自 由 吟」            ふくだ 万年
マラソンの選手になれとお履き初め       大 阪
介護靴はいてズシリと老いを知る
賑やかな声の数だけ並ぶ靴
昼飯は諭吉で釣りと決めている


「神も仏も」            酒井  可福
パソ壊れデーターの無事神頼み        北九州
ご利益がある神ならば大歓迎
仏壇のおはぎが一つ消えている
神無月車の傷は神不在


  「ライバル」            畔柳  晴康
ライバルがジロリこちらを睨んでる       浜 松
ライバルに負けるものかと胸を張る
ライバルに笑顔会釈のこの余裕
汗ゆぐい今日の勝ち負け引き分ける


「雑  詠」             瀧    進
移り気な恋が解けない乱数表          島 田
昇降舵引いて逆風迎え撃つ
子に帰る老母の思い出蜃気楼
人の世を映す仏の掌


  「ぐし縫い」              芹沢 穂々美
雑布の運針やけにヒステリー          沼 津
運針のハートの形愛がある
おみくじは末吉で良し恋しい日
運針の乱れに何か見抜かれる


  「不 揃 い」            鈴木 まつ子
フルマラソン老いも若きも競い合い        島 田
不揃いのナスでも味覚保証つき
葉は花に逢えぬ運命や彼岸花
見比べて異彩を放つ大家の絵


  「追  憶」            安田  豊子
かやぶきの里に活きづく食文化         浜 松
絵手紙の素朴にこころ囚われる
味わって呑めば昔が揺れる猪口
追憶をゆっくり回す万華鏡


「さ が す」              新貝 里々子
何色かとさがす会話の糸口        袋 井
ツールバーとは路地裏にありますか
歩きながらのメールは打てません
この部屋になにをさがしにきたのだろう


  「雑  詠」             内山  敏子
運動会子供見るより親の会         浜 松
包帯を巻くと泣き止むかすり傷
ありのままに写った鏡を憎めない
倦怠期初心にかえりお茶を点つ


  「不 揃 い」            薗田  獏沓
分け隔てなく育てたが此の違い        川根本町
半分に切って大小この不思議
飼い猫と野良猫鋭い目が違う
縦横と墓の形よ墓地迷路


  「雑  詠」             山田  ぎん
秋の空鳩が飛んでる茜雲            静 岡
涼と風九月になって心地良い
家の前花色々に咲いている
曾孫笑み生えた可愛い歯が二本


「果たして?」             川口   亘
吸血鬼云って呉れるな採血車       藤 枝
昨日から考え過ぎて悩む今日
旧交も老令過ぎて話題消え
記名して偽名が騒ぐ元となり


  「台  風」              川口 のぶ子
台風が去って暑さの置き土産       藤 枝
一寸した事でも転ぶ歳になり
真っ直ぐに歩ける筈の曲る足
落ち着けと充分胸に云い聞かせ


  「自 由 吟」             御田  俊坊
愛想よく威張らず頭低い人           高 畠
世のために尽くす心に頭下げ
嬉しいと手紙を読んで出る涙
最後には元気に暮らせ来る手紙


  「赤い服のくまさん」         山田 フサ子
健康を楽しみながら行く余生          袋 井
支え合い楽しく生きる老いの春
奇麗に生きよう戻らぬ日を抱いて
行く余生趣味の料理の腕ふるう


「雑  詠」              堀井  草園
無駄骨で得した俺のレントゲン       静 岡
公約が避難袋の底が抜け
火遊びが好きで火傷に気付かない
音沙汰のないのが無事か土左衛門


  「原 油 高」             中安 びん郎
原油高また松根油堀りましょか         静 岡
原油高自転車乗れば健康に
原油高ウォーキングは金不要
原油高大八車油差す


「運 動 会」             林  二三子
応援に組んだスクラム崩れない          芝 川
棒倒し騎馬戦もないハラハラも
てっぺんはスマートな子で組体操
ビデオ手に我が子を追って親走る


「円  周」             池田  茂瑠
重い荷へ風を味方にして励む          静 岡
白旗を上げれば事は済みますが
反論へ円周だけは固めよう
濁流へ未練の残り捨ててきた


 「雑  詠」              多田  幹江
噂の根穿る元気なシャベルたち         静 岡
指切りの軽さジワジワ付けが来る
アンチエイジング青〜いシャツ着てさ
きのうを捨てる私を捨てる冬支度


  「第42回県大会ボツ句」       中田   尚
カップめん待つ三分の長いこと         浜 松
両国にモンゴルの風吹き荒れる
福の神わが家の地図を忘れたな
森光子でんぐりがえりまだ続け


「どきどき」            塚本  寄道
真夜中に近づいてくる砂利の音        長 泉
一発逆転ホーム目指して駆け抜ける
授業中指名をされて目を覚ます
初めてのどきどき忘れ街に住む


「ま ぶ す」              石田  竹水
口下手が言葉に笑顔足している         静 岡
握り飯塩か砂糖かまぶす腹
竹光で奇麗な首が切れますか
合鍵の腹が読めない薄笑い


「夏の終わり」            谷口 さとみ
夏まつり後は探されないお面          伊 豆
シミになる心配もないほどの恋
秋風が吹いて萎んでゆくプール
つまらないものを食べたときみは言う


  「秋  風」             中野 三根子
さわやかに笑って風を受け止める        静 岡
コーヒーの香りに私走り出す
心まで秋風の音しみ渡る
風だけが私の心知っている


「雑  詠」            川村  洋未
足腰が弱い列からはずされた         静 岡
幸せが歩いた跡を踏み固め
ドアノブで待ち続けてた恋心
はじかれて味方もいない敵もなし


「上  品」              佐野 由利子
長生きを疎まれる日がきっと来る        静 岡
順調に進む話が気に食わぬ
上品に振舞う人に肩が凝り
スタートに遅れて輪には入れない


「ログアウト」           真理  猫子
割り切りで交際中の元夫婦          岡 崎
沢庵を切る手元から嫉妬心
今夜こそ左脳と縁を切ってやる
優しさは売り切れましたログアウト


  「思うままに」           堀場  梨絵
息抜きの散歩こころの色直し        静 岡
ピーマンの空洞にある無の時間
太陽が好き縁側の回り椅子
場を読んで納得をするわたし


「な ま ず」       長澤 アキラ
家具止めた止めてないのは僕と妻     静 岡
非常食備蓄したのは酒ツマミ
犬小屋の下に置いてる貴重品
断層の左右で夫婦ちがう夢


  「風 の 櫛」            川路  泰山
風櫛の女あくまでも妖艶で         島 田
残り香に何を秘めしや磯の花
忘れ得ぬ出合い生れた七月一日
一九七一を生年月日として置こう


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
生意気な靴にマンネリ指摘され        焼 津
お目出度い話家計簿そっぽ向く
混沌の世だから恥もすぐ忘れ
弾除けはごめん先頭には立たぬ


「そして秋」                望月   弘
予報士がてんてこ舞いの秋の空       静 岡
穂を渡る風が乾いてそして秋
人肌の燗と語らうそれも秋
ソーランで日本の秋を埋めつくす


 「野 良 猫」            加藤   鰹
野良猫が「一万円でどう」と言う     静 岡
年老いたチンチラ過去にしがみ付き
三毛猫と山田うどんで飲むビール
酔った目で自殺未遂を語るノラ


   顧  問  吟 
 「右  脳」             柳沢 平四朗
子の帰省ああ引き算のお出迎え         静 岡
単細胞ヒトの右脳へ喰いさがる
偶然はもう他人事へ老い二人
人情に怪我をしそうな端がある




虎竹抄 | Link |
(2007/11/26(Sun) 08:47:12)

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