静岡川柳たかねバックナンバー
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平成二十年 三月十五日 
    定 例 句 会
於 アイセル21


席 題 「印象吟」下のイラストを見て
  加藤  鰹 選
牛妻の痴漢と放火あなたでしょ  茂 瑠
完全な花粉対策汗をかく     茂 瑠
牛妻の痴漢と放火あなたでしょ   茂 瑠
完全な花粉対策汗をかく      茂 瑠
花粉症かしらマスクがよく似合う  三根子
いつ見れる手術の後の良い男    洋 未
こんな人よく交番で見かけるよ   三根子
証明用これで十年使えるな     さとみ
ヘイおまちなに花粉症だけでさぁ  さとみ
お父さん窒息だけはしないでね   茂 瑠
交番で性善説を塗り替える      弘
あの魔女よ耳輪外しているけれど  茂 瑠
今夜はねニンニク効かせ背を向ける しげる
花粉症お洒落マスクが出かけさせ  好 子
どこ行くのそんなに目立つ姿して  洋 未
完全武装メガネの奥の優しい目   由利子
生きるためたまには無口なる時も  しげる
お返しのホワイトデーにあるピース 好 子
郵便局マスクの客へ目が光り    輝 男
知らん顔うまく出来れば演技賞    弘
一人っ子の風太郎だよ父が好き   梨 絵
挨拶をされたがだれか解らない   茂 瑠
この男マスク取ったら出っ歯です  由利子
売れ出したスターマスクを離さない 輝 男
夜の顔昼間と違う腹の中      のぶ男
歯医者から不審な顔がにゅっと出る  弘
根っからの悪になれないオレの顔  梨 絵
帽子取りゃハゲでマスクを取りゃ出っ歯
                 由利子
女かも知れぬ痴漢に似た身なり   茂 瑠
顔がないそれでもあんたいい男   洋 未
喋り過ぎ大口たたくなれの果て   のぶ男
見つけたよ君からハズレ落ちたネジ さとみ
神経の図太さ花粉受けつけぬ    輝 男
三猿の教え一人で演じ切る     茂 瑠
タッキーか長瀬智也か 鰹です   由利子
 五 客
わざわいの元です口は見せません  輝 男
総入歯保険がきいてグーである   のぶ男
キャーイケメン目と鼻と口隠せばね さとみ
道ならぬ恋ですマスクして出かけ  輝 男
愛語る時にはマスク外してネ    輝 男
 人 位
私にハートと金を出しなされ     尚
 地 位
うっかりと笑えないから武装した  洋 未
 天 位
悟られまい漏らすまいでもバラしたい
                 さとみ


宿 題 「 中 」表現自由
            谷口さとみ 選
中心をずらした位置で見る日本   野次馬
空き部屋が頭の中に増え始め    廣 司
中立という逃げ道で摩擦避け    千恵子
魔女天使合わせ鏡の中に住む    美佐緒
中年のつもりでいようまだ傘寿   廣 司
中流が押し流される物価高     博 司
年度末何処もかしこも工事中    二三子
白黒をつけたがらない中の人    千代見
中心にいないと荒れるいじめっ子   弘
五 秀
中程は空いているのに混む電車    亘
ドングリの中で謀反を起こす人   梨 絵
真中が居心地悪い婿の椅子      進
中立という日和見の臭い旗     平四朗
保育器で大きな夢が育ってる     尚
 軸 吟
これなぁんだ差し出す手から青蛙  さとみ


宿 題 「し、で始まる句」 
           川村 洋未 選
尻尾など切り捨て生きる道選ぶ   輝 男
叱るからますます貝になっていく   弘
知らん振りして居る視線追ってくる しげる
知る権利家の憲法妻にだけ     信 一
「知らないの」カルテが怖い事を言う政次郎
叱られた息子が部屋の掃除する   可 福
信じようコイツはきっと物になる  泰 史
幸せは金に無縁の愛介護      亀 重
霜柱踏めば毀れた過去の音で泣く  豊 子
シール二倍つましい餌へまた走る   薫
死神に順番ですと肩をポン      尚
死んだ振りする私鬼出て困る    さ き
しつけ糸曲がったままで老いるのか 穂々美
しかたない俺が総理になったるか  哲 也
四という字悪くないのに悪者に   千代見
心機一転課長の顔に点を付け    しげる
仕合せを分けてやるからまずは飲め 竹 水
知り合いかい いえ知りません今日からは
                 信 一
舌先であやつられてるいい話    まつ子
塩加減だけでやさしい子に育て    弘
視界また広げ汚れてゆく私     茂 瑠
しみったれそんな貴方にもう飽きた 重 雄
下心抱いて蛇より低く這う     茂 瑠
 五 客
幸せな人だね愚痴をよくこぼす    鰹
死火山を妻がネジまく活火山    のぶ男
新人の大きな靴が威嚇する     哲 也
思考力薄らいできて点火せず    まつ子
知らん顔してりゃ三つも星くれた  さとみ
 人 位
幸せな家だ順番通り逝く      太 郎
 地 位
知らんふりする古傷に触れぬよう  徳 子
 天 位
皺だらけほんとの手相どれなんだ  廣 司


宿 題 「隠 す」  望月  弘 選
モザイクの中でアッカンベーをする 野次馬
匿名の投書人間試される      まつ子
内緒事一つ作った千鳥足      千恵子
繕いで隠す手もあり母の知恵    のぶ子
ヘソクリが貯まると何故か顔に出る 獏 沓
黒幕に覆われている永田町     敏 子
偽装した乳房を夫気付かない    野次馬
隠し事小さな胸で破裂する     和 枝
また父の隠した場所に戻す本    由 美
菜の花に隠すゴッホの黄色です   美佐緒
隠し事すると貴方はどもるのよ   長 仁
嫁が来る角を笑顔にとじこめる    尚
お互いに過去を隠してうまく行く  三根子
夫には隠し通した指輪の値     二三子
過去のこと今さら明かす気などない 由 美
いい仲間みんな持ってる隠し味   五 貫
百点は母が見そうなとこに置く   さとみ
匂わないように毒夫を背に隠す   茂 瑠
隠された草履やっぱり犬小屋だ   梨 絵
初恋を隠し切れないクラス会    太 郎
隠しても税務署の目が掘り当てる  竹 水
ヘソクリが貯まると何故か顔に出る 獏 沓
本棚の諭吉が行方不明だぞ      鰹
針千本飲んでも隠す事があり    由利子
湯煙の向うビーナス見え隠れ     進
善人が隠し持ってる不発弾     美佐緒
六ヶ月もう隠せないおろせない   さとみ
夫婦でもやさしいうそを隠し合う  三根子
摘発の墓穴を掘った裏帳簿     平四朗
欠点を隠したつもりが尻尾出す   安 心
見ちゃったよ恥ずかし月も顔隠す  重 雄
生きる為隠し続けた貝の口     由利子
鏡台に隠した紅が怒りだす     穂々美
秘密基地おとこの軍旗だへそくりは 哲 也
物置へ億二桁を隠す欲       好 子
 五 客
親離れし始めた子の秘密基地    二三子
隠れ家をすぐケータイに暴かれる   薫
答弁のしどろもどろが疑われ    輝 男
いつになく饒舌なにか隠してる   静 枝
引き出しの鍵へ思春期閉じこめる  平四朗
人 位
詐欺罪をカルテに隠す整形科    美佐緒
地 位
隠しても夫婦喧嘩を児が喋る    重 雄
 天 位
難病をかくし命の重み知る     のぶ男
 軸 吟
行間に隠されているミステリー    弘
 

宿 題 「自由吟」   互 選
Cリストラがこんな元気を遊ばせる 由利子
C現実に負けないように買う浮輪  美佐緒
Cやわらかくする体操で骨を折る  長 仁
Bおしどりに飽きた女房の大あくび 五 貫
Bカルテだけ大人あつかいしてくれる 尚
B知りたいが封を切ったらお別れね 洋 未
B年月を掛けて大きな器焼く    徳 子
Bぜいたくを割れば出てくる塩むすび太 郎
B春を呼ぶ籠に摘み込む初節句   重 雄
Aおかえりと言ってほしくてちょっと出る
                 さとみ
Aいつだってあと一押しが出おくれる梨 絵
Aイレギュラーしても戻れる家がある野次馬
A昭和史の弁当左手で隠し      弘
A曲がり角返し切れない恩の数   千恵子
A満タンに税が重たい給油口    博 司
A春先におんなじ所痒くなる    静 枝
A和紙の里紙が暮らしを包んでる  二三子
A紅梅の芯にひそんだ嫉妬心    穂々美
@白黒は問わぬ余生のなしくずし  平四朗
@胸の底乾いて蛇も動けない    茂 瑠
@ハプニング空はゆっくり晴れてくる和 枝
@初恋は稔らないのが素敵です   泰 史
@仕合せを揺すると涙が甘くなる  政次郎
@イケメンの医師に熟女が癒される  進
@悔いばかりでも生きていく老いの坂晴 康
@生き残る地球上でのうばい合い  亀 重
@健康な身体悩みも人並みに    可 福
@神様と約束をしてあきらめる   三根子
@空っぽの財布を拾い笑われる   びん郎
@事なかれ主義で妥協をすぐしちゃう廣 司
@ひねっても蛇口は愛語など吐かぬ 輝 男
@ドレスだけ褒めて別れた恋もある のぶ男
@夫への本命チョコは義理っぽい  由 美
@命の灯消さないように消えるまで 竹 水
@なごり雪出番待ってる春帽子   義 子
@納豆の糸だけ粘る余生です    よし子




参加者(順不同)池田茂瑠、曽根田しげる
尾崎好子、望月弘、佐野由利子、川村洋未
中田尚、堀場梨絵、中野三根子、高瀬輝男
谷口さとみ、永田のぶ男、加藤鰹、井口薫
金田政次郎、瀧進、畔柳晴康、柴田亀重、
薗田獏沓、岡村廣司、内山敏子、中矢長仁
大塚徳子、鹿野太郎、毛利由美、石田竹水
成島静枝、増田信一、西垣博司、林二三子
竹内さき、川島五貫、濱山哲也、安田豊子
戸田美佐緒、川口亘、加茂和枝、伊藤泰史
中安びん郎、山本野次馬、薮崎千恵子、提
坂まさえ、鈴木千代見、川口のぶ子、芹沢
穂々美、酒井可福、柳沢平四朗、石上俊枝
萩原まさ子、市川重雄、森田安心







定例句会 | Link |
(2008/05/26(Sun) 08:17:12)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳 

つえーのは見掛けでずでゃあよええやつ 西垣 博司
とっととしょうれわりゃーの話はまどろっけえ
                   西垣 博司
ボツのにゃあしぞーか弁がおりゃあええ 市川 重雄
いっぺんでええ言いてえの言わせろや  石田 竹水
あん時はえれえことしてわりっけや   石田 竹水
おまっちゃあ市民大会来てくりょう   榊原 偉男
やい餓鬼らおいごぜんはぁ食ったかぁ  寺脇 龍狂
もったないちいっとこそくりゃ使えるよ 鈴木まつ子
ええ天気たにょーまかずとおもうよー  鈴木まつ子
おらん子はだばあけていて手に負えん  岡村 廣司
わりいこたあ言わねえすぐに謝るさ   岡村 廣司
やいそこのひぼの裏っぽ引っ張れや   畔柳 晴康
ええなあーあんなええもん着てるだに  畔柳 晴康
十年目うっつかっつの嫁姑       瀧   進
やいやい又選挙かい気ぜわしー     瀧   進
しぞーかはつえー力士ん出にゃーなー  中安びん郎
三ケ日のみかんはうみゃーけんたきゃー 中安びん郎

▽博司さん、重雄さん、進さん。句碑建立記念句会にゃあえれ
え遠くまで来てくれて嬉しいっけや〜。月例句会にもいつでも
気軽に来てくりょうや。 しぞ〜か弁川柳も待ってるでね〜。
☆投句先☆ 〒421の2106 
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて
(受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)



ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2008/05/26(Sun) 08:27:12)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「雑  詠」             井口   薫
喝采を浴びた桜に風の恩            袋 井
独り旅佛に道を聴き歩く
独りです開脚立ちをして耐える
がらんどうだからリボンを掛けておく



「さ つ き」             小林 ふく子
鯉のぼり空気まずいかおいしいか        袋 井
新茶飲む腹の虫にも知らせとく
五月晴れここらで答出しましょう
すぐそこの夏をのぞいてみることに



「自 由 吟」             栃尾  奏子
覗きみて以来妬心をたぎらせる         大 阪
自尊心かき集めては狭い視野
路地裏を黒いルールが支配する
場違いなムードつま先から凍る


「雑  詠」              成島  静枝
姑の癖を夫も持ち合わせ            千 葉
私にはカチンと来たわ無言劇
ヨイショして男の面子らしきもの
シーソーの中で迷惑してる猫


「無 人 駅」             真田  義子
ゆっくりと春彩になる無人駅           仙 台
肩に星はらりと落ちた無人駅
草笛のこだまが返る無人駅
寅さんが帽子忘れた無人駅


「四  月」             毛利  由美
入園式ママはまだまだ美しい          つくば
新社員スーツ姿もスリムだね
エイプリルフール生まれのお友達
新しい試練 仕送りが始まる


「昆 虫 記」             濱山  哲也
引きこもり蓑虫だって羽がある          つがる
年とった僕にカマキリもう逃げぬ
浮気ムシ妻の視線が殺虫剤
お目当てはお隣ですよコガネムシ


「四 姉 妹」             戸田 美佐緒
おんなですどこを押しても非常ベル      さいたま
刃こぼれをしても女が転ばない
万華鏡くるりと戻す女の手
女が崩すポーカーフェイスの夜


「凸 と 凹」             加茂  和枝
辛いとは絶対言わぬ冬の花           岩 沼
土作り春の希望が膨らんで
凸凹の工事に使うエネルギー
わだかまりようやく消えて春の色


「文  字」             塚本  寄道
筆書きでベタぼめされたヘタな文字       長 泉
読めるけど書けなくなった現代人
必勝という文字ボクにのしかかる
好きですと書いた向こうに君がいる


「自 由 吟」             萩原 まさ子
悔恨を集めなおして明日の夢         静 岡
争いは中腰で聞く処世術
中流の胡坐崩していく格差
赤福の甘さ加減は藪の中


「雑  詠」              藪ア 千恵子
先人の話此の身も近くなる           焼 津
自信家に逆らっている肚の中
それぞれの暮らし個性が花ざかり
ほいほいと煽てに乗せる二言目


「自 由 吟」              安田  豊子
覆面を脱いでひとりの日向ぼこ         浜 松
冗談で済まぬ言葉が胃に溜る
ひたむきに走る車は語らない
七十の坂ひたすらに強い自我


「雑  詠」             滝田  玲子
いまポトリ散ると知ったか藪椿         浜 松
法話聞き己を悟る道広げ
輪の中に仕切り上手がいて平和
旅プラン練ってうかれる春の靴


「雑  詠」             芹沢 穂々美
紙風船しおれてからの怨みごと         沼 津
高いハードル越えて生きる気教えられ
恐い者知らずで行った敵の家
ミンチされわたくしの句が上手く出る


「  息  」             馬渕 よし子
老人を痛める国へ出る吐息           浜 松
悪巧みこの時だけは息が合い
鼻息の荒さ回りを寄せ付けず
休止符へ辿り着く前息が切れ


「  底  」             鈴木 恵美子
底抜けに明るい母の子育て記          静 岡
どん底で本当の愛に支えられ
底光りする勝手場に城を持つ
胸底にそっと沈めた過去の愛


「そして春」             新貝 里々子
そして春花子の人形目を覚ます         袋 井
春野菜コロコロ会話弾み出す
ある時は花より団子よもぎ摘み
そして春しだれ櫻を身に纏い


「ロケット」             柏屋 叶志秋
直ぐ切れる芸能人の赤い糸           山 形
日本の政治を変える奥座敷
食いだめができたら人は働かず
ロケットも神に祈って打ち上げる


「期  待」             増田  久子
コラーゲン加齢の加速には負ける        焼 津
大きめの園服に夢込めて着せ
幸運な朝だ卵に黄身二つ
胎教へくり返されるモーツアルト


「自  由」             酒井  可福
カミナリに泣く子あやしてヘソ踊り   北九州
家系図に頑固頑固と書いてある
一喝のカミナリ今も耳の奥
エアロビのリズムに合わぬトドの妻


「木 乃 伊」    石井   昇
木乃伊になりなさいとミイラが云った   蓮 田
古備前がぽつんと一つ置いてある
悔いはない二人で漕いだ舟だから
乱反射只ほど高いものはない


「春 帽 子」       大塚  徳子
さくらさいたらドナーカードに名を書こう   仙 台
おだやかに山懐に抱かれてる
おせんにキャラメルひとついかがと目を配る
ゆうやけこやけひとり佇む春帽子


「雑  詠」       内山  敏子
朝寝坊遅刻は春のせいにする   浜 松
旬を待ち旬を食する平和です
赤を足しとっても軽いローヒール
甲子園喜びの声天に抜け


「自 由 吟」       寺脇  龍狂
病み上り三坪の庭出足ならし  浜 松
見てみたい元大臣のム所暮らし
団塊が葬際族に衣替え
公害の元は油屋自動車屋


「雑  詠」      鈴木 千代見
箱の中りんご無言で腐ってく   浜 松
病院の梯子私も仲間入り
青い空邪魔っけの雲きっと彼
おばさんと声をかけられ向く私


「自 由 吟」       鈴木 まつ子
孫と居て平穏無事の小宇宙   島 田
端っこを捕っては批判するカラス
旨い汁口を拭って知らん顔
退いて暦もフリースケジュール


「花  嵐」       中矢  長仁
それぞれに咲いた便りを待っている  松 山
開花日は南からとは限らない
満開に心躍らせ旨い酒
花嵐一夜吹かれて乱れ散る


「雑  詠」       ふくだ 万年
よく見れば髪の毛細くなっただけ   松 原
薄着です風邪は怖いがウフフです
薄味と濃い味重ね夫婦味
義理のチョコ皮算用が埋めてある


「曖  昧」       岡村  廣司
曖昧な言葉がうまい日本人   焼 津
程程と言う曖昧が性に合い
うま過ぎる話曖昧さも交じり
曖昧な妥協するから残る悔い


「  湯  」       瀧    進
婿殿の愚痴も浮いてる終い風呂   島 田
バスタブがメタボな腹を排除する
ひとり旅一寸淋しい露天風呂
ダイエットできぬ分だけ湯が溢れ


「自 由 吟」       竹内  さき
わたくしを隠してみたい古都ローマ   浜 松
ありがとう又よろしくで生きている
まじないで心と語るひとりごと
いつの間に母色の飯たいている


「命買います」       金田 政次郎
分け売りの命まとめて吟味する   静 岡
首のない背筋がぴんと立っている
引き返す負けのリズムが口惜しい
いい風だ二人分買い妻を呼ぶ


「自 由 吟」       川口 のぶ子
ふところが春に目覚めて軽くなる   藤 枝
花粉症春にはきつい仕置き待ち
しっかりと春という季に遊ばれる
いかなごの何時もかわらぬ味とどく


「雑  詠」       山本 野次馬
フリーサイズ着て存在感を消す   函 南
アピールが下手で携帯すら鳴らず
片足へ義足を付けてジャンプする
的外れの矢が私を苦しめる


「人形供養」       畔柳  晴康
供養する嫁したむすめの雛人形   浜 松
役終えた人形供養読経する
香を焚くけむり人形軽く笑み
人形は逝く春共に永久の旅


「服  装」       薗田  獏沓
軍服がぴったり決まる独裁者   川根本町
ユニフォーム死力を尽くし砂まみれ
おしゃれ着にポケット無くて不自由し
軍服を着ると正義の貌になり


「  中  」       川口   亘
家中が寝坊する日を待ち侘びる   藤 枝
中位まだまだ甘い親の依胡
中毒になるから好きな酒は断つ
家の中支えて呉れる妻が居る


「音 キ チ」       中安 びん郎
音キチは三味線が好きソプラノも   静 岡
音キチはいつもスキャット唄ってる
音キチは数学は丙音楽は甲
音キチはテレビの洋楽全部聴く


「自 由 吟」             今井  卓也
午前様妻の尋問目が泳ぐ           浜 松
ちぐはぐな会話塞ぎて契り籠む
サボリーマン冴えた言い訳墓穴掘る
野良猫の腋をくすぐる初夏の草


 「  春  」             山田  ぎん
お茶席で着物姿のしとやかさ       静 岡
茶花ほめ掛軸読めぬ茶席着く
桜花ちらちら落ちて手に受ける
けしの花おし絵に作りプレゼント


 「御 用 心」          鹿野  太郎
鬼来ないようシャボン玉吹いている   仙 台
狩人になれない鯖のアレルギー
人の道から校長が踏み外す
深そうだ納豆食べるあの二人


 「自 由 吟」            松橋  帆波
大臣も苦手らしいなカタカナ語        東 京
新旧交代村の掟が邪魔をする
演出とヤラセ 政治とバラエティー
首都移転 そんな童話もありました


「宿題余句」             西垣  博司
ハイヒール毛皮で見切品値切り        静 岡
又ひとつわからぬ後期高齢者
家よりも立派な車庫で車寝る
蘊蓄が冴えて時計が動かない


 「切  符」             石田  竹水
笑わせるジョークとぼけた顔が効く    静 岡
躓いた石に笑われたくはない
おもかげの消えてく母の温い手よ
天国へ行ける切符の途中下車


 「約  束」          中野 三根子
指きりをしてもしっかり忘れてる    静 岡
忘れないつもりでいつも生きている
小指だけいつもあなたを覚えてる
約束のいつもの歌を口ずさむ


 「脳 ト レ」            林  二三子
何用か忘れて戻る元の位置          芝 川
知っている筈の言葉が出て来ない
孫と遊ぶ脳の活性化につなげ
脳トレにクイズ番組利用する


「隠 れ 虫」             山口  兄六
逆切れのチャンスに賭けるズルイ癖      足 利
喧嘩後に二人で積んでいるレンガ
手料理のまずさもちょっとした個性
着信の履歴に隠れ虫が居る


 「自 由 吟」             真理  猫子
哀しみが仮装行列する電車        岡 崎
掃除機が壊れてしまうほどの嘘
雨音が月光仮面を連呼する
石けんの小さな泡の中に春


 「雑  詠」          多田  幹江
品格の差問うまでもなくお里      静 岡
わたくしに無いもの一つ美女の面
アンテナが高過ぎ風も通らない
余所見しない人も何だかつまらない


 「鮎三昧・・・其の十九」      永田 のぶ男
炎天下傘だけ浮いて移動する         静 岡
足使い石の頭をみぎひだり
長袖と手こう虫よけ万全に
大切なマナー守って釣り修行


「雑  詠」             柴田  亀重
老い走る干した布団へ俄か雨         沼 津
ガン二回手術完治の運の良さ
笑う夢テンツクテンの幻か
姉米寿負けず楽しい明日の夢


 「自 由 吟」             中田   尚
青春がポンとはじける甲子園       浜 松
春の芽が弾けサクラが加速する
スタートは確かサクラが咲いていた
サクラの木親の見栄には苦笑い


 「エイプリルフール」      増田  信一
モテまくりフリまくってもモテまくる  静 岡
運が運 金が金呼び大富豪
招待状彼の世から来て目が覚めた
月世界食いまくっても無重力


 「泥  沼」            谷口 さとみ
ニンニクを抜いたあなたの猜疑心       伊 豆
袋菓子に手をつっこんで生きている
何したいそう聞く君と別れたい
君と会う会うだけだけど歯をみがく


「雑  詠」             川村  洋未
五分だけ昼寝また生きかえるから        静 岡
あたしにもあめ玉一つわけてよね
化粧した生きているかと確かめる
ありがとうその一言で軽くなる


「廻るすし」                池田  茂瑠
古き世を華麗に残す雨の古都        静 岡
回転のすしで埋まるか愛の溝
鶴一羽折って別れの手紙出す
許せない私を蹴散らした靴を


 「大 跨 ぎ」           佐野 由利子
ふてぶてと昼寝の夫 大跨ぎ      静 岡
気をつけていってらっしゃいさぁ昼寝
家系かなすぐ熱中し直ぐ冷める
野暮用は明日に回し桜花

 
 「  涙  」        川路  泰山
勇ましく生きて群青色を選る           島 田
赤鰹の素振り百遍背を研く
生きざまへ涙が集く八十路かな
目標の消えて寂しい男坂


「雑  詠」             高瀬  輝男
人間の策には勝てぬ鬼も居る          焼 津
爪のない指したたかに世を渡る
欲捨てず這いつくばって生きてやろ
四次元でさ迷いたくて酒を手に


「さ く ら」                 望月   弘
入学を果たして愛でるちりぬるを      静 岡
散りそうな人も花見の中にいる
踏みそうで桜の下を歩けない
金さんのDNAと花吹雪


 「エイプリル・メイ」       加藤   鰹
とりあえず嵌めた指輪が外れない     静 岡
やり直すべきか三面鏡に問う
クーデター頷いていた奴がグル
無礼講でいいよと上座から言われ

 
  顧  問  吟 
 「尾  鰭」          柳沢 平四朗
貸せたがる杖は苦汁を匂わせる          静 岡
過去は背に行末胸に日記濃い
小康の食卓へ置く自己批判
理髪やの椅子から尾鰭生えてくる



虎竹抄 | Link |
(2008/05/26(Sun) 08:37:12)

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