平成二十年 七月十九日 定 例 句 会 於 静岡市民文化会館会議室
席 題 「大貧乏」 川村 洋未 選 破産して妻に逃げられ蜂刺され 信 一 大貧乏だけど空気に困らない 輝 男 税金の還付市長が言って来る アキラ 貧乏が貧乏揺すり癖にする 信 一 金落し詐欺に掛かって失業し 信 一 貧乏も此処まで来ると笑うのみ 輝 男 極めるぞ大がつくまで貧乏を さとみ 気がつけば貧乏神と同居する 三根子 ほんとうの大貧乏は気楽です しげる 出来るだけ一日中を寝て過す アキラ 俺なんか貧乏神に見捨てられ 信 一 大貧乏いても将軍知らんぷり 由利子 パニクって貧乏神に神だのみ さとみ これ以上下がる事ない笑い合う 二三子 ウナギ屋の前でオカユを二三杯 尚 地についた貧乏正しい系図です 輝 男 穴のない靴下探すのが苦労 鰹 熱帯夜簡易サウナと子に教え 卓まる 貧乏と大声で言うお金持ち さとみ 貧乏神見捨てないでよ友だろう 信 一 天カスを貰ってうどん引き立てる 穂々美 ゴキブリに生き抜く術を教えられ アキラ 借金も桁が違えば大物よ 信 一 電気ガス止められてないまだいいか 二三子 住みついたノラの上前あてにする アキラ 両隣りが金持ちだから尚つらい 二三子 集積所から拾われたチビた靴 弘 借金は財産だよとノー天気 信 一 詐欺も来ずペンペン草も生えません 信 一 生まれつき慣れているから怖くない 二三子 秀 句 昨日から貧乏神も寄りつかぬ 弘 銀行をつぶす借金ある度胸 のぶ男 大貧乏花火ぐらいは覗かせて 茂 瑠 貧乏もまじめにやると奥深い さとみ 貧乏の世界にもあるランキング さとみ 貧乏に可哀相だと言われます 信 一 赤貧を通り抜けたら仙人に 信 一 特 選 句はできたのに句会費が払えない 弘
宿 題 「 目 」表現自由、字結び可 中野三根子 選 初対面互いに肚を探る目に 廣 司 結び目が解けて戻らぬ下戸の酒 進 いい話薄目を開けて待ってます 薫 心の目ひらきまあるい輪にとける 敏 子 自画像に細く優しい目を入れる 徳 子 年重ね縫い目が少し踊り出し ふく子 目標へ進む小さな旗だけど 茂 瑠 目の届く位置で夫を遊ばせる 弘 街中を魚眼ズームが監視する 野次馬 目をつむることにも慣れた年の功 しげる 子と目線あわせしゃがめば子もしゃがみ 由 美 焦点をいつもわが子に母は向け 博 司 独りいて目から鱗が飛ぶばかり 豊 子 目が合えばあうんの仲で加熱する まつ子 目印に自分でつけた穴に落ち 亘 目立たない席で一矢を抱いている 博 司 内心はかぶってみたい目出し帽 薫 澄んでいる嘘の言えない目をしてる 千代見 五 客 ひいき目で見て良しとする子のテスト二三子 目覚めいい今日の命を確かめる 穂々美 母さんの目が優しくて切り出せぬ アキラ 目線下げプライドも捨て出直すか 信 一 澄んだ目が大人の違反見つめてる 廣 司 人 位 痛い目にあって覚えた思いやり 二三子 地 位 大見得を切った目線が落ち着かず 千恵子 天 位 本当の物を見たくて目に力 和 枝
宿 題 「ビール」 加藤 鰹 選 生きている証ビールが旨すぎる アキラ 特上の汗をかいたらさあビール 和 枝 明日への給油帰りのビアホール 薫 こんなにもビールが旨い梅雨晴れ間 二三子 梅雨寒のビールはおちょぼ口で飲み 博 司 一杯目ならば発泡酒も旨い 二三子 偽者めされど愛しき発泡酒 進 メタボとは親戚なんだビール腹 弘 腰パンも止むを得ませんビール腹 由 美 ビールやめメタボの腹もペッチャンコ安 心 とりあえずなんてビールはムッとする 弘 取り合えず品書き見ずにまずビール 可 福 乾杯はビールの泡の有る内に 廣 司 乾杯のジョッキに泡のフラダンス 五 貫 政権はかんけいねえとビール党 徳 子 枝豆とビールがあればチョーうまい 三根子 炎天の喉へビールを音で呑む 平四朗 絵手紙のビールの泡に唾が出る 穂々美 勝ち試合泡さえ旨い廻し呑み さとみ 呑めんでも一度はしたいビールかけ 享 史 一杯のビールで本音出てしまう 三根子 酌ぎたしたビール本音が喋れない 竹 水 缶ビール如きに裏は見せられぬ 薫 ビール好きだとは小癪な三才児 由利子 ビール濃く匂う堕落の道筋に 茂 瑠 鼻先の泡で化粧が欠けた蝶 のぶ男 和解するビールの泡が慌て出る しげる 我が恋がビールの泡のはかなさよ 修 市 五 客 タクシーでもらったビール苦かった 洋 未明日の汗かくために飲む麦の水 アキラ 冷や汗も嘘もビールで流し込め 卓まる エコライフうちわ片手に生ビール さとみ 腹の子もビールたしなめ式祝う 卓まる 人 位 金運とビールの泡はすぐに消え 修 市 地 位 第4のビールもじきに出る予感 哲 也 天 位 大ジョッキ話はでかい方がいい 輝 男 軸 吟 ビール腹いいえ中身は発泡酒 鰹
宿 題 「ぐらぐら」 望月 弘 選 長電話お鍋ぐらぐら踊り出す 敏 子 ぐらぐらと煮込めばうまい芋煮会 のぶ子 ぐらぐらと暑中を見舞う土石流 徳 子 パニックは活断層の大欠伸 平四朗 午後十時たこ焼き提げて父帰る 居久美 妻と母その真ん中で揺れる僕 鰹 怒ってるらしい地球がまた揺れた 廣 司 深酒のたびに離婚の夢をみる 五 貫 ぐらぐらと動き始めた親知らず 千代見 ぐらぐらの鍋に邪心を入れて茹で ふく子 大票田地盤ぐらつくスキャンダル 進 信念が寝たり起きたりして困る アキラ ぐらぐらのハートを叱る夏花火 まさえ 電球をかえてるあなた弱い人 洋 未 罪抱いて荒れた女の海に浮く 茂 瑠 噛み付いた相手が悪く歯が痛い アキラ ぐらぐらときて故郷が消えていく まさ子 切り札を持つと却って落着かず 豊 子 だれも見ぬ場所で拾った一万円 さとみ 肉かんだ奥歯無言でいなくなり 尚 倒れたら終る粗末なコマだけど 茂 瑠 反発の声にぐらつく理想論 竹 水 骨抜きへ定年までは振る尻尾 野次馬 ダンプカー通ると揺れる兎小屋 廣 司 国会が晴雨を問わず揺れている のぶ男 金券で揺れるハートを二つ三つ 尚 ぐらついて人も心も操作され まつ子 誘われて女心が揺れている 由利子 地境の杭ぐらぐらと抜かれそう 獏 沓 五 客 横からの風に一本気が揺れる 平四朗 校長が留守で生徒が揺れ動く しげる 綱渡り国がロープを細くする 哲 也 リフォームもとどかぬ家に猫といる まさえ ライバルに先を越された棒グラフ 輝 男 人 位 キビ団子一つ貰って旗を変え 輝 男 地 位 この人で良いのか心揺れている 二三子 天 位 休肝日狙って届く生シラス 鰹
宿 題 「自 由 吟」 互 選 G合鍵がだんだん錆びてくる予感 義 子 F幸せはほんの近くにそっとある 三根子 E許そうと思う心の海がある アキラ D半熟の社長が道を踏み外す しげる C待つときの私の時計なまけもの さとみ C大嘘をついてしまった胃のもたれ 由利子 Bゆっくりと染まっていくわ貴方色 穂々美 Bユーモアを聞くとほっぺが歌い出す安 心 B追伸の中にじわりと書く本音 千恵子 B何時までもあると思うなカレールー太 郎 B湖に税金捨てた三日間 尚 B欲張りで何だかんだと汗が出る 和 枝 B階段で健康チェックされている 弘 B老らくの恋が覗いた万華鏡 進 Bそれなりの幸せに酔う夫婦箸 敏 子 A内緒だが洞爺湖テロは止めさせた のぶ男 A本心を見抜かれていた爪楊枝 豊 子 Aまたひとつ歳を重ねて鏡見る よし子 A評論家人の財布で飯を食う 洋 未 A不甲斐ないせがれの嫁に目をつぶる好 子 A不器用で八方美人にもなれず 廣 司 Aフィルターを外し大気と同化する 野次馬 @火のつかぬ焼け棒杭になる八十路 平四朗 @探しもの無いや昭和へ旅に出る 五 貫 @爺と婆介護天引きまた痩せる 晴 康 @家の前花が見事に咲き競い ぎ ん @向日葵の元気に負けず夏を食う 竹 水 @鍋に行く玉葱泣いて送られる 博 司 @枯れ果てぬ青春に遇う古日記 可 福 @夕焼ける母に手の海忙しい さ き @聖徳太子よりも大事な近代史 由 美 @億という巨万の富をもつ不安 まつ子 @星くずを集めて脳を冴えさせる ふく子 @梅雨晴れ間逢えぬ想いに風を入れ 静 枝
参加者(順不同)中野三根子、芹沢穂々美 曽根田しげる、加藤鰹、高瀬輝男、望月弘 中田尚、今井卓まる、池田茂瑠、増田信一 佐野由利子、永田のぶ男、恩田享史、瀧進 長澤アキラ、柳沢平四朗 谷口さとみ、提 坂まさえ、川村洋未、尾崎好子、成島静枝 大塚徳子、岡村廣司、川島五貫、畔柳晴康 小野修市、内山敏子、井口薫、金田政次郎 真田義子、中矢長仁、薗田獏沓、石田竹水 安田豊子、酒井可福、西垣博司、毛利由美 鹿野太郎、川口亘、鈴木まつ子、竹内さき 加茂和枝、濱山哲也、石上俊枝、塚本寄道 山田ぎん、小林ふく子、鈴木千代見、森田 安心、山本野次馬、薮崎千恵子、松浦和彦 川口のぶ子、萩原まさ子、森下居久美、那 須野正明、市川重雄、中川司、伊藤泰史
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