静岡川柳たかねバックナンバー
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平成二十年 十月十八日 
定 例 句 会
於 静岡市アイセル21


席 題  「 血 」 長澤アキラ 選
血の濃さか姉妹の絆強すぎる    由利子
国会にやたらと二世幅利かせ    修 市
吸血鬼俺の年金吸っていく     由利子
血ぐらいはやろうせっかく来た虫だ さとみ
献血の有難さ知る手術室      輝 男
血税を湯水の様に流される     好 子
貧血の振りをしながら抱きついた  信 一
貯金ゼロだけど輸血で賞を受け   輝 男
子がグレて互いの血筋なすり合い   鰹
血の巡り少し悪いが生きるこつ   信 一
 五 客
血縁と初めて会ったお葬式     由利子
血の雨はもとはあなたの不倫です  信 一
大出血しても儲かるパチンコ屋   さとみ
血を分けた肉親裂いた拉致悲し   修 市
すぐ怒るママに献血すすめよう   さとみ
 人 位
血迷うた酔った勢い妻を抱く    信 一
 地 位
厨房を投げ出し無血クーデター    弘
 天 位
血税をトイレに流す年度末      鰹


宿 題 「じ、で始まる句」
加藤  鰹 選
爺さんと呼ばれうっかり返事した  廣 司
実印の痛さを知った保証人     由利子
じっと目を凝らして肉の厚さなど   薫
持参金見せても魚食いつかず    安 心
次男坊極楽トンボ進化する     のぶ男
自慢話子の無い人に控えてる    ぎ ん
実力に運も加わり翔んでいる    千恵子
持久力つけて生きぬく平成を    修 市
地酒だようちの米からこしらえた  洋 未
ジーパンの穴が美学になるなんて  輝 男
時効まであと数日を捕えられ    好 子
ジャムを塗るバターナイフでジャムを塗る さとみ
ジロジロとみられたわけはごはんつぶ 三根子
焦れったい私からしたプロポーズ  好 子
自信家は目鼻と口が超でかい    安 心
自信作これと思うがすべて没    たかし
自信ある偽装した年顔身体     信 一
邪恋の芽太く豊胸から伸びる    茂 瑠
G8ごとに総理が変わる国     由 美
浄土説く和尚も浄土まだ知らず   廣 司
自慢げな孫の話へ人が退き     好 子
自画自賛してる政策穴だらけ    修 市
自慢気に妻をちょっぴりけなしてる  弘
じっくりと味がしみ込む手前味噌  玲 子
自衛隊いざともなれば後ずさり   のぶ男
重箱の隅つつき合う嫁姑      玲 子
充電中です雨音を聞いてます    輝 男
磁力だな吸い付けられる君の笑み  五 貫
自分だけ薄目につくる三杯目    卓まる
弱点は見ないで居ようそれでいい  すみと
じいちゃんのサーフボードに追い抜かれ アキラ
饒舌な妻にセールス敵わない    二三子
地を這って生きて雑草引き抜かれ  政次郎
時価という寿司は恐くて頼めない  長 仁
自分から求めて出世から降りる   獏 沓
自慢した昨日の嘘に風邪もらう   さ き
じらされて恋の甘味が渋くなる   竹 水
ジーパンの数がメタボの成長記   哲 也
地金出てやっと阿吽の仲となる   信 一
 五 客
時価ばかり食べる彼女に腰が浮き  博 司
自転車のタイヤがへこむ秋盛り   可 福
実話にも少しおまけの匂いする   しげる
Jポップ聴いて昭和が船を漕ぐ   太 郎
じゃが芋のような人ですあったかい 由利子
 人 位
自販機の音だけ響く街に住む    アキラ
 地 位
時差ボケを一週間も自慢する    さとみ
 天 位
磁石なら北です僕は君に向く    竹 水


宿 題 「秋の味覚」 曽根田しげる 選
も〜い〜かぃまーだだよーとラフランス 鰹
自然薯の味で夫婦の溝埋める    茂 瑠
松茸をげっぷ出るほど食べたいな  信 一
葡萄狩りしてる皆が空おがむ    修 市
全力で秋を掴んだ姫りんご     ふく子
秋の旬ほろにがくする物価高    博 司
松茸を食べた食べたと言いふらし  ぎ ん
皮肉かなマツタケ入れるおでん種  穂々美
サンマ焼く路地の奥からくるかおり のぶ子
七輪の秋そのままが煙を出す    可 福
柿ひとつしっかり秋の味を噛む   晴 康
イチジクの甘さがケンカの元となり すみと
秋の味覚柿も私も熟れている    徳 子
栗御飯少しは芋を混ぜてみる    洋 未
ヘソ団子栗のご飯で月を見る    晴 康
狂う世の秋の味覚を夏に知り    重 雄
焼きイモの匂ひに負ける女子高生  すみと
栗をむく二時間ドラマけりがつき  まさえ
松茸で全員集合させる父      まさ子
絵手紙に松茸でかく描いて出す   由利子
肝臓も胃の腑も秋を待ち兼ねる    弘
松茸がブランドの傘そっと開け   まさえ
秋刀魚にも備長炭と言い聞かす   アキラ
落ち鮎の眼を見ぬ様にして食べる  廣 司
京料理もみじに心奪われる     千代見
秋ナスの生姜醤油は至福だな    穂々美
新米の飯ならオカズいらないよ   泰 史
やわらかく柿も女も熟れる秋    茂 瑠
凡人の舌で果実を選ばない     美佐緒
許す気がサンマの骨をスッと抜く  俊 枝
 五 客
栗ご飯いつも母ちゃん指に傷    卓まる
松茸を食べたかマイク向けられた  洋 未
旬の秋メタボ気にする喉仏     竹 水
お隣りは松茸家はシメジ茸     可 福
南伊豆伊勢エビ踊る秋を食う    好 子
 人 位
いも煮鍋人の笑顔で温まる     俊 枝
 地 位
新そばがつるりと喉を楽しませ   千恵子
 天 位
新米の湯気に命が背伸びする    アキラ
 軸 吟
巨峰一つ舌におどらせ秋の味    しげる



宿 題  「演 技」  望月  弘 選
悪役が嵌まりすぎてる演技力    千恵子
名演技だったね妻のしおらしさ   美佐緒
定年になるまで妻のふりをする   由 美
火花散るトップ女優の芸が冴え   まつ子
タレントの天然らしいお馬鹿キャラ 静 枝
生きる為演じた過去の語り草    豊 子
欲しいもの手に入る迄の児の仕草   亘
仲の良さを演じています老夫婦   長 仁
善人を真似する演技すぐ疲れ    廣 司
廻る寿司薄い松茸カラ回り     たかし
土瓶むしつまむ蓋から秋の贅    敏 子
とろろ汁真白く誘う母の膳     さ き
選挙戦パフォーマンスで勝負する  千恵子
作れない演技造花に似た私     茂 瑠
呆けた真似迫真過ぎて特養へ    信 一
コスモスとピエロの顔で難のがれ  和 枝
言い訳の演技を見抜くすまし顔   竹 水
一身上今日は貧者を演じます    輝 男
演技とも思える書家の筆はこび   二三子
パグを抱く美女の演出隙が無い   哲 也
目いっぱい女まぶして通り抜け   洋 未
さっきした指切り演技かもしれぬ  ふく子
強がりを言って空咳一つする    アキラ
笑うのも泣くのも生きる為の技   竹 水
白線の中での慎ましい演技     茂 瑠
劇場の外へ出てからわかる意味   まさ子
いい人をとうとうやめる停年日   まさえ
オーバーに斬られてやるか孫の太刀 可 福
路地裏を台本通り迷う振り     卓まる
お小遣い孫の演技に乗せられる    進
やめておく拍手をくれる人もなし  洋 未
男慣れ演技上手を疑われ      重 雄
生きる為ネオンの街で演技する   博 司
 五 客
喪服着て蝋人形になった妻     野次馬
ウーロン茶だけで酔ってる下戸の靴 美佐緒
ゴタゴタが去るまで死んだ振りでいる 鰹
花道でだんまりとなる天下り    政次郎
この頃は女らしさを演技する    三根子
 人 位
大粒の涙をすぐに出せる妻     由利子
 地 位
ネールアート今日は女でいたいから 野次馬
 天 位
母さんにあげよう主演女優賞    アキラ
 軸 吟
外面はどこから見ても愛妻家     弘


宿 題 「自 由 吟」  互 選
D脈ありと徐々に持ち出す隠し玉  千恵子
C仏には詫びて神には願い事    さとみ
C自家製の梅干し朝が動き出す   由利子
C生きるため肩の力も抜いてみる  三根子
Bりんご剥くお国なまりの声がする 千代見
B煮え切らぬ気持ちの侭で従いてゆく 獏 沓
B今生きるペン走ったり止まったり ふく子
B若作りしてもBCGの跡     由 美
B届かない返事待ってる秋の月   和 枝
A秋の虫うわさ話を夜明け迄    修 市
Aわたくしは一雨ごとに弱くなる  太 郎
A靴買いに行きます余命歩きたく  博 司
A気負わずに風に任せてゆくひとり 豊 子
A父ちゃんの平和女房の風次第    進
A新しい雲に乗れるか膝に訊く   五 貫
A一匹の蝶閉じ込めている胸の奥  義 子
@百円を使うに苦労する格差    美佐緒
@煮崩れた愛はお玉で掬えない   穂々美
@職業欄主夫と書きたい無職です   薫
@過労死をギネスが憂うみのもんた 静 枝
@絵手紙へ紅葉を描く母の秋    敏 子
@攻めてくる敵も勝利を信じてる  廣 司
@ゆっくりと決めたい力溜めている 徳 子
@その顔が良いね檸檬が歯にしみる 政次郎
@両親のラブコメディーの中にいる 哲 也
@なめくじの涙は乾く暇がない   アキラ
@荒波がみやみに舵を重くする   安 心
@ミステーク小さいうちに頭下げ  すみと
@束の間の主役もみじが燃え盛り  輝 男
@店先に手の出ぬ味覚並べられ   ぎ ん
@価値観の違い食事の席に出る   洋 未
@躓いた小石を空へ蹴り返す    野次馬
@耳ダンボ口はおちょぼで腹メタボ 信 一
@満腹だ許しておこう秋だから   しげる
@七転び八起き早起きなのは妻   兄 六
@矢面に立たされ踊らされる影   野次馬
@ちょっとだけストレスも入れ旅支度 まさえ


参加者(順不同)飯塚すみと、谷口さとみ
小野修市、高瀬輝男、池田茂瑠、尾崎好子
曽根田しげる、加藤鰹、増田信一、望月弘
中野三根子、森田安心、瀧進、佐野由利子
長澤アキラ、井口薫、市川重雄、畔柳晴康
大塚徳子、中矢長仁、岡村廣司、川島五貫
内山敏子、成島静枝、真田義子、毛利由美
薗田獏沓、鹿野太郎、西垣博司、石田竹水
林二三子、竹内さき、川村洋未、安田豊子
滝田玲子、川口亘、金田政次郎、山田ぎん
加茂和枝、濱山哲也、酒井可福、石上俊枝
伊藤泰史、小林ふく子、恩田たかし、中田
きく子、鈴木まつ子、芹沢穂々美、中川司
鈴木千代見、戸田美佐緒、馬渕よし子、那
須野正明、永田のぶ男、山本野次馬、萩原
まさ子、提坂まさえ、川口のぶ子、中田尚
薮ア千恵子、今井卓まる、柳沢平四朗
定例句会 | Link |
(2008/12/25(Wed) 16:20:31)

ちゃっきりしぞ〜か弁川柳


 もうあんたひとっていっとんないやー   小林ふく子
 うっちゃった恋の傷口こじる連れ     今井卓まる
 ひんずらしいイルミネーション十二月   那須野正明
 オグシオが辞んめだなんて惜しいやあ   寺脇 龍狂
 給付金何でもええで早よくれやい     寺脇 龍狂
 年寄りと子供に二万っつ呉れるげな    薗田 獏沓
 おらんとこ祭りょうさかいに柿食い頃   薗田 獏沓
 柿食ったしゃっつらにきいカラスだや   西垣 博司
 とびっくらなら一番だうちの孫      西垣 博司
 儀助さんおみゃーふんとにええ人だ    鈴木まつ子
 えんぺつぁーそこらにあるで探いてみょー 鈴木まつ子
ダメじゃんかあれほどやんめゆっただに  畔柳 晴康
 おどけたなぁいやらしいことばっかゆう  畔柳 晴康
 耐震はやぶせってえがしょんねえな    岡村 廣司
 つまんねえ事ずらむきにんりゃがって   岡村 廣司
 いらんこんこくな笑顔もやだくなる    瀧   進
 かじくってちみくる愛もあなた故     瀧   進
 おだくって稼ぐな年を考ぎゃーよ     中安びん郎
 買ったけんひっぱずれたよ宝くじ     中安びん郎

ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2008/12/25(Wed) 16:18:41)

自 由 吟
  虎 竹 抄



「未   練」        新貝 里々子
あの頃は信号みんな青だった      袋 井
ダイエットすればこの服着られそう
泣いて笑っておとこをひとり消去する
逢いにゆく音符ひとつを握りしめ


「雑  詠」        石井   昇
盃の底に小さなおれがいる        蓮 田
資本論蟹工船の灯が暗い
信念を持てば行くのはけもの道
真っ赤っか今日を納めて陽が沈む


「  緑  」        栃尾  奏子
愛してる言葉だけでは救われぬ     大 阪
後少し待とうか時雨から氷雨
冬の海臨み再会待っている
嗚呼ここでひとつに戻る分岐点


「年 の 暮」        岡村  廣司
切り札を使い果たした年の暮      焼 津
年の暮喪中と転居やたら来る
高速道車で埋まる里帰り
何もかもご破算したい大晦日


「少し困ったこと」     増田  久子
留守電が間違い電話一つ受け      焼 津
おすそ分け生きてる鰻もらったが
文字通り粗品タオルの色が落ち
手おくれのように健康講座聴く


「雑  詠」        西垣  博司
余命の差女房はまだ紅をひき      静 岡
毒舌をたしなめている喉仏
大恐慌知るや知らずや蟻は這う
舞台からとび降りて買う秋の旬


「自 由 吟」        内山  敏子
ボーナスをジングルベルが煽りたて   浜 松
おおような顔でへそくり貯める母
咄家の笑い薬に酔うひと日
孫が来るパッと明るくなる茶の間


「漫  画」        濱山  哲也
冠が少年である週刊誌         つがる
教養は教科書よりもマンガ本
四百円おかしなことをいう総理
立ち止まり天を仰いでする風刺


「シナリオ」        真田  義子
言い勝った日いつもより早く寝る    仙 台
ワレモコウ恋の余白は開けておく
人生のシナリオを書き直したい
もう少し飛び続けたいブーメラン


「自 由 吟」        ふくだ 万年
間違えて妻の貯金に振り込んだ     大 阪
正座して初めて解る気の弱さ
医者の技一度で治さず通わせる
酒タバコ止めてメタボで早く逝く


「日常生活」        恩田 たかし
ポニョポニョと歌をうたいて腹つまむ  静 岡
ダジャ関を考えてると句が浮かぶ
川柳を考えてるとダジャ関が
仕事しろラジオにメールしてばかり


「  風  」        馬渕 よし子
木枯しが骨の髄まで痛めつけ      浜 松
風向きが変わらぬ内に逃げ帰る
わだかまり解けて風まで心地良い
孫が来て夫婦の風を入れ換える


「  夢  」        安田  豊子
拭っても笑んでも消えぬ泣きぼくろ   浜 松
離れたい影がしつこく付きまとう
陽の温み包まれ母と逢う夢路
七十の夢にもちゃんと色がある


「振り向けば・・・・」   金田 政次郎
子は大将妻元師で俺伍長        静 岡
合掌す仏は見えず妻過ぎる
相棒は貸し借りが無い良い仲間
本当に幸福なんだ我が家の灯


「四季 喜怒哀楽」      小林 ふく子
冬の日に小さな孫の重さ知る       袋 井
春の日に遍路で自分省みる
夏の日に足へ車がおんぶした
秋の日に試歩で台地の温さ知る


「ぼろぼろ」        大塚  徳子
モッタイナイダンナの古着妻が着る   仙 台
真っ直ぐな道にもあった水溜り
髪染めてナンパされそう予感する
ぼろぼろと年月零す飯こぼす


「寒 と 私」        竹内  さき
落ちつかぬ恋をしている師走時     浜 松
ハーハッとかじかんだ手に一句舞う
恋しくて石焼芋の愛を抱く
北風に負じと行こう寒の坂


「人を見る」        薗田  獏沓
先生の目を引く為に悪さする      川根本町
六法を盾に素人人裁く
白い歯をキラリ人を信じさせ
年なりの地味なプライド漂わせ


「重  大」        鹿野  太郎
甲高い声が巨人のキーワード      仙 台
小遣いが減らないようにゴミ減らす
慎重に止める規制のベルト穴
物作り大国を揺さぶるキャリア

「  風  」        畔柳  晴康
待ち兼ねた涼風こんど寒い風      浜 松
吹く風は名物なれどからっ風
ウン決めた墓に入らず千の風
墓参り千の風とか留守でした


「好 奇 心」        鈴木 千代見
飲んだふり彼の心はどっち向き     浜 松
いけないと分ってメールそっと見る
居酒屋に背のびしている未成年
襖越し気になる話息を詰め


「  濁  」        藤田  武人
この愛を告げる瞳に濁り無し      大 阪
純真な心が濁ったら大人
悪友と徹夜で飲もう濁り酒
老兵が濁った空を見上げては


「ガラクタ」        井口   薫
困るだろうなこんなガラクタ置いてけば 袋 井
ガラクタも無ければ風邪を引きそうで
想い出を見せてガラクタ命乞い
よれよれの地図に迷ったあとばかり


「  夢  」        毛利  由美
いい夢見てるね幸せな寝顔       つくば
つかの間の再会果たす夢のなか
再会のシチュエーションが変 夢だ
アラームが鳴る 現実なのか夢なのか


「自 由 吟」        山本 野次馬
反論の知恵沸いて体力使い切る     函 南
小波抱く母なる海が騒がしい
数式へ時々首の空回り
前を向くことしか出来ぬ零の位置


「車で旅行」        中矢  長仁
満タンにしたらのんびり出掛けよう   松 山
のんびりの旅の筈だが飛ばす道
飛び回る北海道のでかい道
お土産が一杯になり帰ろうか


「自 由 吟」        鈴木 恵美子
肩凝りをほぐしてくれるもみじの手   静 岡
夕焼けの男のロマン背に秘める
満ち足りて古巣で趣味に生きる日々
晩年は心鍛える真剣味


「時 事 吟」        寺脇  龍狂
天国も神無月なら降りてこい      浜 松
立候補せぬが解散気にかかり
アフガンに一粒の麦蒔いて逝き
大エースホームラン王いてチームビリ


「秋の画布」        加茂  和枝
もうちょっと ちょっとの時間大事です 岩 沼
ありがとう細い絆が切れました
たくさんの夢を見ましたこれからも
自分流本気で描いた秋の画布


「雑  詠」        滝田  玲子
派手を着て熟女パワーに燃える秋    浜 松
脈がないと見たかセールス腰浮かす
口先の強がり犬もお見通し
永田町背後で派手に動く金


「  小  」        川口   亘
小才効き其の場凌ぎの知恵で逃げ   藤 枝
小咄が間合のぬけた座を救う
小半刻孫の相手に飽きる頃
小兵よく大きな者に食い下がる


「汚   染」        芹沢 穂々美
青虫に食い尽されて認知症    沼 津
空気汚染青虫にまで飛び火した
汚染米食べた毛虫の面汚し
カタツムリ環境汚染察知した


「老   猫」        成島  静枝
孫が来ていじくりまわすうちの猫 千 葉
テリトリー面子にかけてする威嚇
豊漁の秋刀魚に猫も膳につく
年だねえ目やにを拭いて引っ掻かれ


「雑  詠」        飯塚 すみと
例のアレそうそう私もそれにする 静 岡
水を眺めて写生うまくゆき
子の見合い期待はせぬが受けてみる
歯の治りょう女医のやさしき声があり


「高  い」        鈴木 まつ子
エリートが高飛車になる身のこなし 島 田
プライドが高くなるほど傷がつき
身の丈がすらりとポーズ超美人
届かない高嶺の花に遠眼鏡


「いの一番」        瀧    進
夫唱婦随黙って俺について来い     島 田
栄転のメール女房にいの一番
陳情書まずはお土産見比べる
勝馬に乗って駆け出す金と欲


「  つ  」        川口 のぶ子
積立も出来ない悩み年金者     藤 枝
つきなみの答も出ない今ピンチ
通販があの手この手で押してくる
つめ込んで横にそれたか出ぬ答


「自 由 吟」        酒井  可福
いじめだな今更メタボ扱いは   北九州
のろのろと走る車に飛ばす眼
行き先も告げずに父の旅支度
食い過ぎを残す子供のせいにデブ


「骨   折」        伊藤   理
ラッシュでもそこのけそこのけ松葉杖 東 京
上半身きたえてやるさ松葉杖
ここどうぞ車窓も霞む松葉杖
駆けまわる夢の枕は松葉杖


「自 由 吟」        山田  ぎん
濡れるのも良し此の人と傘をさす   静 岡
老い歌う酒飲軍歌肩を組む
朝夕は涼しく虫の声を聞く
官僚は人の金でも我の金


「真っ赤だな」       照山  紅葉
真っ赤だな恋する婆の艶姿     秩 父
真っ赤だな佛舞い降る巾着田
真っ赤だなハワイの土産マカダミア
真っ赤だな巣鴨のパンツ真っ赤だな


「不 眠 症」        中安 びん郎
生まれ付き悪くもないが眠られぬ 静 岡
不眠症千数えても眠られぬ
老妻はいつでも側で高鼾
不眠症夜は無料の警備員


「王 さ ん」        尾崎  好子
ホームラン三十本へバット置き  藤 枝
テロップで事ある如におどかされ
手術後の体調みんな気遣った
王さんのラストゲームが儘ならぬ


「自 由 吟」        石上  俊枝
新米の湯気に苦労の汗消える  静 岡
嫁姑役者見ている我が息子
コップ酒一期一会で盛り上がる
猪口も手も胸のバリアも眠くなる


「自 由 吟」        堤坂 まさえ
アドレス帳もっと探せと芋のツル  静 岡
栗をむく二時間ドラマけりがつき
桃太郎洗濯機から飛び出した
神様が留守だ大いに楽しもう


「まつりごと」        松橋  帆波
食の安全を言うと残飯が笑う     東 京
背景は平和ではない平和賞
戦争を知らない居酒屋のホッケ
昭和史が苦手で困る金バッヂ


「霜  月」        増田  信一
温暖化半袖裸足霜月に        焼 津
霜月も季節の色が薄くなり
霜焼けも皸無い霜月に
干し柿も汗を掻いてる霜月に


「  手  」        中田   尚
人の手に癒されてまた使われる     浜 松
不運しか掴んでいない手が二つ
白い手がハートに触れて助けられ
票つかむでかい右手が肩透かし


「  秋  」        林  二三子
色づいた森に流れる秋時間       芝 川
トンボ見つけ思わず指を立ててみる
黄金色の棚田芸術品に見え
渋皮煮じっくり煮てる秋夜長


「自 由 吟」        藪ア 千恵子
特売の鮭の切身が薄すぎる       焼 津
勢いに釣られて奢る羽目となり
懐メロが青春の日々誘い出す
登下校見守っているボランティア


「約  束」        石田  竹水
老い先は聞くなよ俺はまだ米寿   静 岡
有り得ない事が地球に起きている
青空に平和の鳩が黒過ぎる
五分前約束守る人だった


「還  暦」        小野  修市
定年へ支えた妻の手弁当        静 岡
還暦の疲れが溜るが金はない
年金をあてにしていたお人好し
六十と言えども若い夢も見る


「普通のサラリーマン」   今井 卓まる
昇る陽にタイマーかける沈む時    浜 松
いわし雲ツマミ食いしてサボる午後
飲むだけと言ったじゃないの嘘つきね
おむすびに混ぜた黒ゴマ呪文あり


「東   京」        川村  洋未
皇居前ビルに輝く月静か      静 岡
浅草のレシートが出る土産買う
青い目と交番さがす雷門
地下鉄を乗り継ぎ雨と知恵比べ


「キ  ス」        谷口 さとみ
おはようもおやすみなさいもキスで言う 伊 豆
気持ちいいことは気の合う人とする
ひっそりと歳だけふえる誕生日
キスだけは喧嘩中でもしようよね


「秋 の 音」        真 理 猫 子
指揮者だけ笑顔で踊るシンフォニー   岡 崎
冬枯れの夫婦いろりの火は熱く
のこぎりを引く我慢したこと数え
落ち葉踏む音イタイイタイヨサヨウナラ


「ロータス」        山口  兄六
ハリケーンその真ん中にいるオバマ   足 利
フル稼働させる失恋洗濯機
悲しみをためて映画を見て泣こう
言い訳は無用ごめんで事足りる


「鮎友釣り三昧・・・其の二十六」永田 のぶ男
鮎絵皿いつも一緒に泳いでる      静 岡
香の鮎をしばらく焼かず皿の上
焼き鮎に猫もうっとり足竦む
塩焼きの鮎は笑顔か泣き面か


「悪 い 癖」        長澤 アキラ
触りたい所にバストが付いている    静 岡
午前二時妻を騙したドアを開け
募金箱 素通りできぬ悪い癖
誰にでも傘を差し出す悪い癖


「ご 時 世」        川路  泰山
山吹の花が似合いか議員さん       島 田
兜虫ばかり集めた組閣だな
投資家の闘志乱れる乱降下
皺寄せの波に呑まれる蟻の列


「マドンナ」        多田  幹江
マドンナにカーブ投げ合うエイジング 静 岡
姫老いて緩いカーブにひっかかり
宴更けて元マドンナの肩を揉む
塩漬けの夢食べ頃をとうに過ぎ


「白い旗と帆」       池田  茂瑠
大まかな妻で女が欠けている    静 岡
白旗の白は染めずに残します
頷いて去る背に白い帆を貸そう
過脂肪の妻の背後で生きてます


「淡  心」        佐野 由利子
だんだんと趣味でなくなる趣味の会   静 岡
謎ひとつ方程式にない答え
人間の脆さを隠す頬っ被り
好きなのに反発ばかり淡心


「気が弱く」        高瀬  輝男
また妥協悔いているのはパンの耳    焼 津
陽が沈むその一ときの走馬灯
効用書なるほどよくも調べたな
雑草の生きる権利を奪っちゃった


「山の便り」        望月   弘
前略で猪が出ますお大事に       静 岡
ふるさとは硲で隣り呼んでいる
美しい国です水に戻したい
矍鑠に猪突猛進だった傷


「十 二 月」        加藤   鰹
ぬる燗がいいねお酒も抱擁も      静 岡
半額になるまで君のこと待つよ
白い息吐いてあなたが駆けてくる
冬銀河そうっと肩に手を回す


「沸   く」        柳沢 平四朗
つるべ落しへ甘い妥協を強いられる 静 岡
自惚れがKYの眼に届かない
陽だまりのベンチへ沸いている徒党
天引きがポックリ寺へ愚痴を塗る

虎竹抄 | Link |
(2008/12/25(Wed) 15:33:01)

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