静岡川柳たかねバックナンバー
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平成二十年 十二月十四日
三 社 合 同 句 会
於 有東公民館2F集会室


宿 題  「悔 恨」 長澤アキラ 選
泥かぶり株は魔物と思い知る    昭 洋
深酒がボディブローの様に効く   亜季浩
はしゃぎ過ぎ自信無くした勇み足  竹 水
後悔を余生の杖にして歩き     まさし
悔やんでも出した言葉は返らない  周 二
悔恨の情が励みの道しるべ     志づ江
早とちり疑った事恥かしい     由利子
蓮根のくびれで止まる悔いの種   のぶ男
子育てを悔やみ続いた野良仕事   は な
浅はかなわたしを責める水子塚   輝 男
通夜の席母への介護自問する    博 司
人生の悔いまた一つ石を積み     進
みみず字で返事のこないラブレター 安 心
告発をされて暖簾を閉じる悔い   泰 史
かけ過ぎた子にマザコンというおつり 才 男
墨たっぷり含んだ筆が汚点つけ   穂々美
モノクロに写し出される悔いの影   光
消しゴムでそっと消したいあのことば 三根子
悔やんでも所詮わたしの通過点   梨 絵
一押しが足りずにバラを奪われる  輝 男
線香が詫びております親不孝     進
もう一歩出ればよかった愚図な足  茂 瑠
だまし絵の下で夫婦の今日あした  泰 山
守備範囲妻の鎖が長過ぎる     のぶ男
教科書の墨に謝罪をしていない    弘
 五 客
一目惚れした日は乱視だったかも   鰹
冗談が誤解をされて笑えない    竹 水
あの道を歩めば悔いはいつもある  修 市
悔いしきりまだ時効にはしてくれぬ 梨 絵
意地張った分だけ重くなる扉    亜季浩
 人 位
軸足の所為にして来た転びぐせ   幹 江
 地 位
今ならば父の味方になれたのに   三根子
 天 位
甘やかしすぎた気がする我が背骨  まさえ


宿 題  「満 足」 増田まさし 選
胴上げに監督満ちた顔で舞い    あ い
初物へご先祖様もごまんえつ    輝 男
友達も家族も有って日々元気    竹 水
物忘れこれでいいのだ我が海馬   まさえ
趣味からも楽しさ貰う日々愉快   竹 水
健やかに一人暮らしの満足感    歳 江
満がんの旅で夫婦はむつみ合い   梨 絵
努力家が満足しない銀メダル    亜季浩
仇敵に送った塩が生かされる    のぶ男
神様も時々そっと味方する     三根子
健康で妻も美人で職もあり     洋 未
衣食住足りて健康医者いらず    のぶ男
ファイナルにトリプル二回真央の笑み 恵美子
満足の腹へメタボとにらめっこ   昭 洋
満足を小さな枠にはめて生き     光
健やかな妻の寝相がいとおしい    進
田舎出が裸一貫マイホーム     安 心
やせ蛙寝酒一合あればよし     泰 山
柳界の友と出会って脳研ぐ     安 心
満ち足りて心に愛が埋まらない    進
ライバルを抜き昇進の辞令受け   輝 男
満ち足りた食事に飢餓の子が笑う  アキラ
満足の度合いを語る共白髪     泰 山
来世もと天寿待つ身が笑い合い   博 司
いま此処に居るだけで良い窓の椅子 幹 江
 五 客
満足の線が引けない欲の皮     澄 江
満たされて鳴かず飛ばずの三代目  幹 江
満ち足りた気持ちに欲が水を差す   光
満足か母に訊きたやわが介護    博 司
満足へ物指の無い人の欲      昭 洋
 人 位
消しゴムも修正ペンもなく生きる   弘
 地 位
満ちたりた乳房安堵の子の寝息   才 男
 天 位
煩悩と妥協した日をよく眠る     弘
 軸 吟
姑の糠味噌の味嫁が継ぎ      まさし
宿 題  「 指 」 山田 迷泡 選
神経はまだ感じます指の先     穂々美
節くれた指に男の詩がある     アキラ
絡めてる女の指は武器になる    昭 洋
いい目覚め五本の指をパッと開け  志づ江
マジシャンの五指の隙間に住む魔法 才 男
水割りを世の中知った指でまぜ   修 市
決め事に指名に強い妻が出る    安 心
ケータイが息子の声で指図する   博 司
錠剤にリストラされた薬指      弘
白魚の指が踊っているピアノ    周 二
末っ子が我慢している足の指    幹 江
グーチョキパーさせる施設のリハビリ は な
泣き真似の指のすき間の空っ風   幹 江
指人形男コロリと罠に落ち     輝 男
三つ指をついてた時もある私    幸 子
マニキュアに縁なき丸い爪を見る  恵美子
石橋を叩いた指の瘤笑い      あ い
指きりに時効ないのか女房殿     光
指先で私のハート抜き取られ    信 一
指先のエロス女の骨を抜く     泰 山
合掌の指から落としてならぬもの  梨 絵
癌の子に指切りでつく重い嘘    泰 史
もう会えぬかも知れない指のぬくもり 歳 江
指切りのその後の夢が食い違う   由利子
指切りもウソの約束騙されて    孝 一
五 客
躓いた指の痛さへ染みた年     昭 洋
親指が退化していく民主主義     弘
思い出が無くて無傷でいる小指    光
複眼で覗けば青い指だろう     茂 瑠
指ほどの魚で酒を二杯のむ     亜季浩
 人 位
押えても鳴らぬ横笛まだ蕾     才 男
 地 位
花火ばかり揚げる少年の指     輝 男
 天 位
干されたくなければこの指に止まれ  鰹
 軸 吟
氷点下羅漢の指は曲がらない    迷 泡


参加者(順不同)提坂まさえ、佐野由利子
村松周二、西垣博司、山田迷泡、大村利朗
石田竹水、松永昭洋、設楽亜季浩、望月弘
斉藤才男、伊藤泰史、松永澄江、多田幹江
瀧進、増田まさし、川村洋未、中野三根子
芹澤穂々美、豊泉光、森田安心、市川重雄
川路泰山、高嶺歳江、松永幸子、中村はな
青木あい、寺田志づ江、加藤鰹、堀場梨絵
高瀬輝男、増田信一、池田茂瑠、市川孝一
永田のぶ男、長澤アキラ、鈴木恵美子、曽
根田しげる、小野修市(38名)

☆合 点 賞
一位・望月  弘
二位・斉藤 才男
三位・多田 幹江
四位・高瀬 輝男
五位・松永 昭洋
六位・豊泉  光
七位・設楽亜季浩
八位・加藤  鰹
九位・中野三根子
十位・西垣 博司

▽十二月は毎年末恒例の「むなぎ、八幡、たかね川柳会合同句会」。今年はむなぎ川柳会のお世話で楽しいひとときを過ごすことが出来ました。ありがとうございました。



定例句会 | Link |
(2009/02/26(Wed) 12:39:54)

つま先で歩く銀河に触れながら     赤松ますみ
万歩計牛歩で一歩初春の夢       秋本トヨ子
初春の懐にある夢のいろ        浅野 滋子
解散を反芻してる麻生牛        阿部闘句郎
ゆっくりとだが着実に丑の年      安藤 紀楽
春の詩に一粒赤い実を添える      池田 茂瑠
モウなんて言わずとことん反芻し    井口  薫
先輩の後ろをのそり行く私       石上 俊枝
初詣で牛にひかれてよっこらしょ    石井  昇
戦より平和を愛す牛であれ       いしがみ鉄
ありがたし今年の酒も笑い好き     石田 一郎
闘牛にされまい加護の破魔矢買う    石田 竹水
バッファローさんをメールで唆す    石田 柊馬
青銅の牛もことりと動き出す      石部  明
火を浴びて夏を語らう冬の鮎      五十川 操
べこ進め例え一日一歩でも       板垣 孝志
一年の幸を求めて牛を追う       市川 重雄
恙無いあなたに先ずはありがとう    一戸彼句吾
一点にしぼる天然色の夢        伊藤 我流
七度目の丑のんびりとゆっくりと    伊藤 正紀
川柳は老化防止のストレッチ      伊藤 泰史
良いことがありそう明日もあさっても  伊藤 マコ
おい命牛歩の真似でいいんだよ     伊藤三十六
目標は百歳いいえ百五歳       犬塚こうすけ
牛歩でも自分探しを怠らぬ       岩淵 黙人
丑と知りああ子だったと思う暮れ    植竹 団扇
公開日記滑って転んで本になる     上野 楽生
春の土もうやわらかきみどり抱く    梅崎 流青
勝算があってゆっくり牛歩む      江尻 麦秋
七光無縁ひたすら四股を踏む      遠藤 正静
七めぐりの丑にひかれて初詣      遠藤みゆき
田打へと牛が犂引く霜柱        遠藤 木犀
時々は牛もジャンプの夢を抱く     近江あきら
牛の背で行くと道理が良く見える    大石 一粋
のんびりと行こうよ明日のある限り   大坂 斗昇
歳月を重ね類呼ぶ良き仲間       太田紀伊子
ゆっくりと大地を歩く牛になる     大塚 徳子
闘牛も牛モーと鳴く牛も牛       大野 風柳
八十坂まだ鉛筆に夢がある       大橋 政良
一匹と一人へ丑も笑顔見せ       岡部 美雄
貧相な顔はしられぬ松の内       岡村 廣司
人生は牛歩我が家に福を待つ      荻原 典呼
川柳の杖は牛歩というペース      奥田 一星
鈍牛の歩み六十路のくらしむき     奥林五津夫
あわよくばイチロー引退までも生き   尾崎 好子
改まる年へ踏み出す歩のひびき     笠原 高二
何時の世も背なを押してる母である   風間なごみ
晴れてくるホルスタインを見るだけで  門脇かずお
離陸する姿勢で拝む初日の出      鹿野 太郎
八度目の漫歩に丑の捻子を巻く     金田政次郎
人生は牛歩ぐらいが丁度いい      川上 大輪
のんびりで牛歳なのかよく云われ    川口  亘
足早な不況牛歩で押し返す       川島 五貫
牛の背に揺られ高齢の渦の中      河内沙智子
牛一頭食って力をつけておく      川村 洋未
耕して運んで家族だった牛       菊地 克二
今年また初心に返るかたつむり     北村 吾朗
シクラメンは祈りのかたちして     木本 朱夏
牛の背に揺られて行こう六十路坂    熊谷 岳朗
二人三脚家族の笑顔応援歌       葛岡ヒデ子
丑の年スローライフに目が覚める    桑原 元義
牛の背で笛吹く僕がいた初春よ     小島 蘭幸
賽銭が無くても神に祈る鈴       孝井  栞
いい年をして正月をうれしがる     児玉ヒサト
牛歩でも行かねばならぬ不況風     小林信二郎
今年こそ牛っと手綱を引き締めて    小林ふく子
牛歩でも福と笑いを望む初春      小林 良恵
虹掴む日まで牛歩を信じきる      駒木 一枝
骨太に生きる 牛乳ラッパ飲み     小俣 麻子
初詣願いは牛の底力          酒井 可福
生かされて秘佛を拝む御開帳      桜井 閑山
モー然と駆けてみたくて角磨く     提坂まさえ
蛇口から銀河こぼれるまで洗う     ひとり 静
団らんに赤べこの首よく動く      佐藤 明美
氏素性牛は何にも答えない       佐藤 孔亮
勇壮なラッパもうすぐ古希の丑     佐藤 灯人
みどり野で牛とゆっくり夢を食む    佐藤美枝子
窓を開ければ風の挨拶         佐藤 美文
富士拝むわたしの部屋の初明かり    佐竹 観光
新しい絵筆で新春のでかい夢      佐野由利子
昨日とは違う私よ初山河        真田 義子
古希に来て燃えているもの消えたもの  猿田 寒坊
今年還暦良いことがありそうな     四分一周平
牛ですが黙れば貝になれますか     嶋澤喜八郎
元旦の計へ防腐剤が効かぬ       島田 駱舟
今年こそギューとステーキ食べる夢   新貝里々子
いつからか左に傾いて座る       杉山 太郎
あっけらかんと牛の角から日が昇る   須田 尚美
牛の歩も何時かは届く富士の峰     妹尾 安子
飲むたびに川柳ぶとり良しとする    芹澤穂々美
赤べこと夢語りつつ屠蘇を酌む     薗田 獏沓
マイバッグ持参わたしは地球人     高瀬 霜石
もう少しファイトを出せと風が責め   高瀬 輝男
犇いているものぐさの遺伝子よ     高田寄生木
気をつけて気を付けていく回り道    高橋はじめ
牛歩から学ぶ余命の歩み方       瀧  正治
あの頃の夢を反芻して歩む       竹内ゆみ子
つらいけどしんどいけれど恵比須顔   田中 新一
牛の絵をのんびり描いてきた空だ    千島 鉄男
明日またがんばればいい陽は昇る    塚本 寄道
モオーと鳴くのであけてみる窓     辻   葉
モウ一巡を視野に置く年男       津田  暹
気付いたら牛の惑星だったのか     てじま晩秋
元日の心の中に君がいる        寺田 柳京
誕生日忘れないのは彼女だけ      寺脇 龍狂
港にはやさしいものが干してある    徳永 政二
愛されて花は優しく強くなる      栃尾 奏子
あー無情牛です馬で派遣です      長澤アキラ
牛の目に産地偽装が許せない      中島 和子
後期への一歩踏みだすはるの酒     中田たつお
カプセルを一つ増やして明日へ翔ぶ   中田  尚
変哲な格差社会の歪み節        永田のぶ男
今ならば父の味方になれたのに     中野三根子
神に誓って牛は偽装をしていません   浪越 靖政
アクセルを踏む老春の心意気      成田 弧舟
牛歩く悟りの型を描きながら      西潟賢一郎
牛歩への喝采これからの歩幅      西來 みわ
反芻はやめてひらめき宗とする     萩原まさ子
濡れた眸のベコにいやしをもらう初春  長谷川酔月
不況をばねにきっと良くする世界地図  畠山 軍子
不況など知らずのんびり草を食む    林 二三子
丑年の歩みゆっくり余生行く      樋口 一杯
猛牛の意気で憂き世を駆け抜ける    菱木  誠
父祖の寿命に面目もない余生      尾藤 三柳
ふわふわの布団で天の恵み知る     ふくだ万年
一年の計はすこやかすこやかに     藤沢 岳豊
道草を牛歩のままで初日の出      増田 久子
元気です無駄な鉄砲撃ってます     松尾 冬彦
今年こそ今年こそはと屠蘇を酌む    松川多賀男
市況欄みなドナドナを聞きながら    松橋 帆波
妻の注ぐおとそに酔って牛になる    松田 順久
全身へパワー滾らせ初日の出      馬渕よし子
絵馬ひとつ鬼に笑われそうな夢     真弓 明子
春ざんざ私探しは牛歩から       丸山 健三
生きてるといろんな音が出るもんだ   丸山  進
斑点も角もわたくし自身です      水品 団石
軸足のにぶりに拍車かけている     水橋 秋子
焦らずにゆっくり歩む丑の年      御田 俊坊
しあわせを生きたい牛歩だとしても   宮村 典子
新春と良い年丑に相乗りで       村田 雅範
オアシスも油田も国境線がある     本村 靖弘
ことしこそ手綱をぎゅっとのろのろと  望月 邦昭
今年こそダルマを選ぶ目を持とう    望月  弘
生かされてゆっくり歩く丑の足     森島 寿惠
今年こそ牛のよだれに牛歩漬      森田 安心
初笑い詩嚢もピンと若返る       八木田幸子
生かされて幸せを汲む初春の水     薮ア千恵子
ドナドナのリズムで亀と寝正月     山口 兄六
円高の波から望む初日の出       山口 早苗
喜寿のはる牛にまたがりのたりゆく   山崎 蒼平
銀世界風の模様は人模様        山田 不及
わがあばら蛍を飼いし冬景色      山田 迷泡
初雪や良い子の順にならびなさい    山田ゆみ葉
この国にまだ菜の花は咲いている    山本トラ夫
ぎゅうぎゅう詰めの幸せお分け致します 山本野次馬
牛歩でも理想の丘を目指す春      湯沢 艶子
四十を富惑と名のる齢になり      横田輪加造
元旦の顔も昭和も遠くなり       横村 華乱
初春くれば春のいのちの腑に触れる   横山 昌利
牛に乗り換えるときめて寝正月     若山 大介
撫牛をなでて今年の計とする      渡辺  梢
モ〜烈な谺で専守防衛す        渡辺たかし
 ☆この他、たくさんの賀状ありがとうございました。
年頭吟 | Link |
(2009/02/26(Wed) 12:36:35)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「地デジ反対」       濱山  哲也
泣くほどに徳光ギャラがアップする   つがる
モナモナとするな仕事をホされるぞ
若いまま健作歳をとっている
細木数子ちょっと小枝が多過ぎる


「自 由 吟」        今道  偲映
初夢が未だに覚めぬ寝正月        大 阪
逆風の時代をつなぐ凧の糸
ひび割れた餅でも丸く膨らんだ
カタカナが似合うハケンもケータイ


「雑  詠」        石井   昇
陰干しのままでいいのと母の愛     蓮 田
夢追ったああ蛍雪のリンゴ箱
可能性求めて海に出た金魚
欲得と離れた独楽でよく廻る


「自 由 吟」        内山  敏子
肩書きの取れた名刺がかぜを引く    浜 松
割り込んだ椅子に冷たい目が刺さる
平和ですこんな素敵な初日の出
献立のタネは立ち読みから仕入れ


「不 思 議」        岡村  廣司
飲み屋にも駐車するとこ有るなんて   焼 津
外国の基地が日本に有る不思議
持ち主が無いのに鯨なぜ捕れぬ
神の名の基にいくさをする不思議


「なあ酒よ」        松橋  帆波
マルクスはまだ生きているハイボール  東 京
その先を言ったか下戸に問い質す
千鳥足二人アカペラしてござる
過去形が多すぎないか なあ酒よ


「雑  詠」        西垣  博司
血液がさらさらすぎてコクがない    静 岡
核家族核分裂の離婚沙汰
歳月の鉋が削る曲線美
唇に火種のようなルージュひく


「雑  詠」        山本 野次馬
リセットなどない人生をまっしぐら   函 南
指輪置く勇気が持てず米を研ぐ
ぎくしゃくな空気吸ってる金魚鉢
ニニロッソ聞けば夕日が鳴り止まぬ


「セレナーデ」       真田  義子
も一人の私をうつす水たまり       仙 台
せせらぎの音が奏でるセレナーデ
旅に出て少し大きなあくびする
幸せを夢見て赤いバラを買う


「自 由 吟」        ふくだ 万年
天国の妻の目掠め旅ひとり       大 阪
恋せよと喜寿の男に賀状書く
富士の山我が家の庭に胡坐かく
見え見えがこぼれ落ちてる酒場の娘


「新  春」        毛利  由美
初詣 筑波山から富士拝む        つくば
結局は夫婦で片付けるお節
切るに切れない賀状だけのご縁
寒中見舞い喪中の友を温める


「元  気」        小林 ふく子
庭の隅 冬の命が燃えている       袋 井
北風と遊ぶ洗濯物の端
恋の冬カイロで元気つけてます
転んでもタダでは起きぬ姫だるま


「  傘  」        芹沢 穂々美
気が合うね相合い傘の下心       沼 津
傘の骨武骨だけれど意地っ張り
蛇の目傘悩んだ恋の言い逃れ
ジャンプ傘抱かれていたい人が去る


「  星  」        安田  豊子
満点の星を数えて遠い日よ       浜 松
行く末を問えばまたたく冬銀河
煩悩を捨てると透けてくる微罪
私は山羊座じっくり放つ終の里


「冷 た い」        鈴木 千代見
バラのトゲ美人が薄ら笑いする     浜 松
冷たい言葉一人前になれという
冬の月 心が凍りつきそうだ
霜柱大地をそっと持ち上げる


「  顔  」        薗田  獏沓
片腕と言われ二番手顔を出す      川根本町
温か味無いね整い過ぎた顔
丸い鼻如何にもお人好に見え
時々は自分を癒す無駄遣い


「枯れすすき」       金田 政次郎
チクタック未だ正確な針で生き     静 岡
整頓が滞り無い寒い部屋
ラムネ玉すぽっと遠い音で鳴り
泣けて来る俺は河原の枯れすすき


「カレンダー」       大塚  徳子
カレンダー丸めて覗く未来像      仙 台
オレオレのカモが巣鴨に寄ってくる
カマキリの鎌に掛からぬ黙秘権
日捲りに春の出会いを予約する


「自 由 吟」        竹内  さき
シナリオにない冬の靴脱ぎ捨てて    浜 松
恋をして昭和に染みた影二つ
何もかも朱色の傘に納まって
出遅れて私の海で賽をふる


「パンの耳」        栃尾  奏子
再生を誓ってパンの耳を噛む      大 阪
母さんが命吹き込むパンの耳
お蔭様ですパン耳は残さない
パン耳を君とかじった頃の幸


「家  族」        鹿野  太郎
人の世の綾なす道でいい出会い     仙 台
ハンディーの足跡がある滑走路
何時までも三原色のサユリスト
階段の足跡父に打ち明ける


「自 由 吟」        藤田  武人
爺ちゃんが隠した肉を釣り上げる    大 阪
今の僕寝正月にした結果です
三が日A定食の御節のみ
正月も鍋の相手は発泡酒


「近  況」        川口   亘
氣ばかりが勝って体を置き忘れ     藤 枝
見た目だけ追えばすぐにも日を忘れ
記念日と決めた今日の日何の日か
知らないで居るのが楽と決めたい日


「初  夢」        中矢  長仁
七並べ僕が切り札持っている      松 山
富士山が見たいが募り夢に見た
半世紀紡いで来たな赤い糸
頂上はまだまだ先の雲の上


「雑  詠」        滝田  玲子
絵手紙で届いた甘い柿の色       浜 松
人並みの暮らしも暗い超不況
夢破れ帰る田舎は過疎の村
傷心を優しく癒やす露天風呂


「自 尊 心」        瀧    進
自惚れてプライドばかりよく育ち    島 田
自我我執こねくり返す自尊心
あなた好きだけど私の方が好き
プライドの未練たらたら千日手


「雑  詠」        馬渕 よし子
寒風が今夜は鍋と決めてくれ      浜 松
この歳になってもやはり鯖を読み
割り込んだお尻をぐっと押し返し
マニュアルに逆らい個性磨いてる


「好きなアニマル」     増田  久子
漁師なら高値をつける三毛のオス    焼 津
下手すぎる絵でも兔とわかる耳
留守がちの隣の犬を手懐ける
アサヒよりサッポロよりもいいキリン


「新  年」        鈴木 まつ子
初詣で変わりばえせぬ願い事    島 田
暗き世に春待つ心しきりなり
クラス会着ていく服が決まらない
今年また今年のバリア華を添え


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
湯島宮最初で最後の除幕式   浜 松
賀状から軍歌の友が消えちゃった
忘れない程度に拉致が持ち出され
取っといた菓子が一番まずかった


「自 由 吟」        中安 びん郎
リハビリで伸びた嬉しい試歩の距離   静 岡
リハビリに行くにはいつも杖を持ち
リハビリにとても良くない酒タバコ
リハビリに何時か大勢仲間出来

「  波  」        加茂  和枝
白波が私の元気誘い出す    岩 沼
一秒を大事に生きる波頭
茫洋と大波小波許される
穏やかな波間にしたい事がある


「新  春」        酒井  可福
門松の番兵立てる家が夢   北九州
三が日布団が僕を離さない
新春に海老省略の雑煮食う
正月を迎えて暗いニュース聞く


「アナログ」        井口   薫
アナログと鏡の隅に出ています   袋 井
デジタルへ変換のギア入らない
流れとはいえどアナログ鬱鬱と
鮮明が過ぎれば肩の凝ることも


「自 由 吟」        成島  静枝
泣き言を言えず優勝する箱根  千 葉
前向きに疲れときどき後ろ向く
風袋の所為さ体重増えている
雍容に女正月事始


「雑  詠」        飯塚 すみと
曖昧な気持でいる時鍋こがす  静 岡
アイロンもかけず気らくに行く内科
姪の家みかん頼みに山に入る
お情けで寄ってる店がアブナイゾ


「ダンスパーティー」    畔柳  晴康
パーティーだ派手と言われた服を着る  浜 松
組んだ腕スロークロック曲に乗る
タンゴ曲歳に似合わぬ元気出る
疲れても笑いたやさぬルンバ曲


「雑  詠」        川口 のぶ子
のら猫が留守の我が家の番をする 藤 枝
名を借りて猫の云うのもひと理屈
背に腹は変えられないという蛙
菜園のレタスにバッタ穴をあけ


「お 正 月」        鈴木 恵美子
丑年ヘスローライフのプラン練る    静 岡
百態の丑のっしのっしと押し寄せる
半纏に若さが跳ねている初荷
停年のない主婦の座の事始め


「箱根駅伝」        尾崎  好子
感動は胸腸にしみわたる      藤 枝
名門を背中にしょったど根性
留学生脚の長さへ牛蒡抜き
正月の二日三日と血も熱か


「自 由 吟」        山口  兄六
初恋が忘れられずに模倣品      足 利
肩組めば震えるみんな人なんだ
面接で内定僕は演技賞
似顔絵の君はやっぱり僕好み


「正月雑詠」        多田  幹江
風鎮のことりともせず年明ける  静 岡
重箱の隅まで主張するお節
年玉へ埋蔵金が狙われる
マヌカンを脱がせて買った初春の服


「過 保 護」        池田  茂瑠
指切りの構図自制の枠を出る  静 岡
過保護の過一つ花嫁吊してる
寛ぐと被った過去の泥匂う
手紙焼く煙に咽た胸の鬼


「久しぶり」        新貝 里々子
久しぶり一歩二歩引くほめ言葉  袋 井
久しぶり整体師にはあごにひげ
久しぶり老いたと思うお互いに
久しぶり牛ステーキを持て余し


「元  気」        石田  竹水
無添加の僕に誘いの調味料   静 岡
捨て石に成ろうと努力する余生
七人の敵が味方になるオセロ
も一人の僕と元気で生きて居る


「おしゃべり」       中野 三根子
自販機もカーナビさえもよく喋る 静 岡
お隣と噂ばなしに花が咲く
ケータイを忘れて今日は一人居る
兄弟の思い出話盛り上がり


「自 由 吟」        林  二三子
年一度賀状で友の安否問う      芝 川
良い事が有るようデカイ熊手買う
千両が日陰で凛と自己主張
ろう梅がひと足早い春を告げ

「自 由 吟」        藪崎 千恵子
丑年もあっという間の三ケ日  焼 津
ゆったりと大地踏みしめずっこける
だいそれた自己研鑽の旗を上げ
丁寧が好きでみんなに笑われる


「パクパク」        今井 卓まる
君の過去パクパク食べて忘れよう   浜 松
キリがない金魚パクパク求む愛
久しぶりパクパク食べた君の声
パクパクと恋を諭している金魚


「自 由 吟」        真 理 猫 子
牛年というのに時計遅れない     岡 崎
給料が社外研修中らしい
金がないけれど平穏無事な牛
にんげんもゴミも一緒に洗う海


「雑  詠」        谷口 さとみ
大みそか全部煮込んで鍋料理    伊 豆
オムレツがスクランブルで立ち往生
アリバイを九割作り会いに行く
ホイホイと洗い終えると雨が降る

「料理教室」        長澤 アキラ
食べ頃になるまで男天日干し      静 岡
もち網の上で男をきつね色
メタボ腹はらから炙り絞り取る
ぐつぐつとガラ迄煮込み出汁を取る


「鮎友釣り三昧・・・其の二十八」永田 のぶ男
水温み港にみえる淡い群れ       静 岡
逆らわず大波小波敵をよけ
白子網稚鮎引いたらバケて出る
宿命の一年魚の悲喜の旅


「  食  」        川村  洋未
ただのケチ手料理が良いと言う君   静 岡
コラーゲンたっぷりとってあでやかに
好ききらい無いというのにやせっぽち
かすみでも食えと言うのか永田町


「酢味噌和え」       佐野 由利子
フィーリングぴったり合った酢味噌和え 静 岡
五線譜に踊る真っ赤なサクランボ
あの方と心合うまでチューニング
不器用で溶けそこなった角砂糖


「妻と年の暮れ」      小野  修市
大掃除やせるチャンスと妻は言う   静 岡
肩揉ませ腰を揉ませて妻はねる
食べるだけ食べて飲んでるやせ薬
ありがたい愚痴をこぼせる妻がいて


「虎 落 笛」        川路  泰山
寒空へ問答無用派遣切り    島 田
権力の猛威で蟻を踏み潰す
ぬくぬくと冬越しをする政財官
虎落笛地球全土に吹き荒れる


「幸  せ」        増田  信一
幸せの位置が上がって出る不満 焼 津
年重ね幸せの色変えてみる
温暖化幸せ温度下げてみる
平凡が幸せなのと今わかる


「自 由 吟」        中田   尚
昭和史を生きた話に花がさき    浜 松
銃口に平和がやせていくばかり
背中にも眼のある母をだませない
ああこわいタクシー電車遊歩道


「自 由 吟」        高瀬   輝男
とは言うが本音は朱い花望む    焼 津
人間の弱さを知っている風だ
飢える国富める国あり民主主義
忠告も聞く耳持たぬかたつむり


「正月の風」        望月   弘
ふるさとの風の便りと酌んでいる    静 岡
孫の風嫁のDNAもある
ささやかにハローワークの風で生き
牛の背で議論をされる不況風


「リーマン」        加藤   鰹
プロセスはいいから結果出しなさい 静 岡
笑いたくないのに今は笑わねば
酒追加アサリが砂を吐きそうだ
肩書きが消えたらハエも蚊もシカト


「  変  」        柳沢 平四朗
帳尻はとうに相殺古だたみ     静 岡
パソコンもバベルの塔の案内図
仙人になれぬ「変」の字どう繋ぐ
老老介護浪花節だと言わせない
虎竹抄 | Link |
(2009/02/26(Wed) 12:12:18)

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