静岡川柳たかねバックナンバー
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平成二十一年 五月十八日
定 例 句 会
於 アイセル21


席 題 「プラモデル」増田 信一 選
子らよりも夢中で妻に叱られる   二三子
プラモデルおもちゃの筈が武器兵器 のぶ男
夢語り親子で作るプラモデル    千恵子
父と子が寄り添い作る嬉しさよ   修 市
子供よりパパが夢中のプラモデル  三根子
ありあまる時間プラモで助けられ  洋 未
残業が減った時間でプラモデル   洋 未
子のプラモちょっと貸してが病みつきに 洋 未
不器用なパパが作ったプラモデル  由利子
引籠もる子に宛がったプラモデル  由利子
ビス一本取れ最初から組み直し   二三子
プラモデル親子競演気持ち溶け   のぶ男
貸してみなダメまたパパが作るから さとみ
ホビーショー大人のマニア賑わって 三根子
指先の器用さを問うプラモデル   由利子
応接間戦艦大和誇らしげ      由利子
しずおかがはばたいているホビーショー 弘
いつかはと夢みて作る豪華船    千恵子
プラモデル飾る部屋まで造らせる  好 子
ヒーローになる為に持つプラモデル 明 美
父ちゃんが子に聞いているプラモデル のぶ男
居住権求めています父の趣味    明 美
父と子の合作となるプラモデル    弘
プラモデル猫を隣の部屋へ追う   茂 瑠
プラモデル潰せる余暇として求め  茂 瑠
プラモデル晩酌抜きで組む夫    茂 瑠
ゴミでしょと夫婦喧嘩の元になる  明 美
おじさんの作品がある店が基地   さとみ
 五 客
ウサギ小屋に飾るお城のプラモデル  鰹
一人寝を慰めているプラモデル   輝 男
子供より大人をときめかすタミヤ   鰹
見る造るそして眺めて悦に入る   明 美
不景気でプラモデルさえ買えぬ父  のぶ男
 人 位
日曜のパパはプラモと引き籠もり   鰹
 地 位
プラモデル作っています呆け防止  千恵子
 天 位
プラモデル大和は美しく生きる   茂 瑠
 軸 吟
平和です親子で作るゼロ戦は    信 一


宿 題「ひ、で始まる句」谷口さとみ 選
火の車いつも運転する私      茂 瑠
ひと坪の庭に野菜のコンツェルト  千代見
引き際をわきまえバトン子に渡す  二三子
控え目な部下が言葉を返した日   廣 司
ひとしきり喋りまくったアマガエル 美智代
ひらひらのスカートで行く参観日  まさえ
日焼けして松崎しげる並みの黒   たかし
閃きは振り向きざまに消えました   薫
瞳キラキラ新入生の好奇心     穂々美
人寄せのたびに減っていく身内   明 美
日向ぼこ隣の猫も来て座る     敏 子
一口であんたのハート試食する   竹 水
ひどい人叩かれオトコ嬉しがる   静 枝
ビジネスと割り切るナイフ持ってない哲 也
PSで軽く病気のことに触れ    由 美
ひと休み空はでっかい勇気くれ   竹 水
秘密だが日本画美人僕の妻     のぶ男
引っ詰めた髪が意欲を見せている  二三子
火種持つ近くて遠い人といる    俊 枝
 人 位
ひんやりと何か何かが違う人    俊 枝
 地 位
秘め事を窓から覗くお月さま     鰹
 天 位
ひらがなが丸く我が家をかきまぜる さ き
 軸 吟
ひとことも言わず亭主はよく食べる さとみ


宿 題「手」表現自由 永田のぶ男 選
神の手を持った医師らの人助け   好 子
強欲を捨てれば壺の手が抜ける   由利子
手の内を秘めてネクタイ締め直す  千恵子
子の巣立つまでは手の内見せられぬ  弘
手の平で受けるいっぱい夏の恋   ふく子
飽食の手は祈りなど忘れてる    輝 男
手加減がきれいに溶かす嘘ひとつ  さ き
拍手に神は賽銭箱覗く       竹 水
手足だけ素直に聞いてくれるのは  信 一
老いて今良く動いた手だと撫でる  ぎ ん
政策は介護年金後手になり     修 市
定年後妻のお抱え運転手      信 一
手の届く位置におきたい子の育ち  千代見
手相見が料金分のことを言う    さとみ
不器な手で運を掴んだ事がない   輝 男
奥の手は孫を味方に仲直り      進
人の良い男だ荒れた手をしてる   アキラ
手にしたら直ぐになくなる給付金  のぶ子
母の手は小さくなっても温かい   明 美
お互いの傷のある手が庇い合う   太 郎
手の内を読まれゆっくり妥協する  しげる
お目出度い三本締めの手が赤い   好 子
手をふって見送ってくれ朝元気   たかし
初対面握手で探る腹の内      千恵子
日本国手形の期日せまってる    洋 未
手前みそ良い話にも嘘は入れ     亘
苦も楽も手慣れた介護板につき   まつ子
段差ある転ばぬように手を添える  千代見
絵手紙できたアジサイに逢いに行く 由利子
啄木の手の貧しさに蟹が逃げ    政次郎
手に職をつける他人の飯を食い   獏 沓
見えなくて見える目隠し手の温み  政次郎
 五 客
手の内を隠して忘れそのまんま   たかし
ボランティア無欲の手と手つなぎ合う 二三子
手相には出ない運勢落し穴     しげる
手土産の次に出された金のこと    鰹
社保庁へ貸した猫の手返らない    弘
 人 位
鮎の頃仕掛け作りの手が弾む    博 司
 地 位
不況風堪えた軍手を又洗う     重 雄
 天 位
手土産が走る千円里帰り      豊 子
 軸 吟
バンザイの手を挙げてから大誤算  のぶ男


宿 題 「無責任」  高瀬 輝男 選
うっかりを酒のせいとは無責任   二三子
老舗でも偽装で店を閉じる破目   重 雄
国債を増発あとは知〜らない     薫
それイイよ口癖のよう繰り返す   卓まる
無責任体に悪いタバコ売る     徳 子
責任者あなた以外にない筈よ    博 司
莫大なチャイナの無責任コピー   太 郎
無責任北朝鮮が打ち上げる     すみと
言いわけを考えながらゆく遅刻   玲 子
子のいない人の前でも子の自慢   ぎ ん
また彼奴言うだけ言って逃げて行く 晴 康
万歳の後は存ぜぬマニフェスト   豊 子
投票に行かず政治にブーイング   五 貫
ばら撒きのつけは話さずお役人   野次馬
わしゃ知らぬ秘書が勝手にやった事 長 仁
合コンの咲いてすぐ散る徒桜     進
効き目には個人差あるとハゲ薬   五 貫
衛星の美名ミサイル許せない    政次郎
書き替える賞味期限の曖昧さ    すみと
噂からウワサ尻尾が伸びていく   美佐緒
アメとムチどちらを使う思案どき  穂々美
三猿を決めて抗議の妻の乱     可 福
責任の無い署名ならすぐ書ける   廣 司
 五 客
成行きで産み御座なりの母性愛   由利子
実は僕 夜逃げの準備しています    鰹
その件は秘書が管理をしています  卓まる
核心に触れると横を向く夫     茂 瑠
責任の所在はいつも雲がくれ    博 司
 人 位
めくら判押す指先の無責任     敏 子
 地 位
子の躾学校側に押しつける     千恵子
 天 位
蝶ひらりひらりその気にさせといて  鰹
 軸 吟
自然破壊わたしもしてた野草狩り  輝 男


宿 題 「自由吟」  互 選
G嬉しさを何度もなぞる保存する  由利子
Fロスタイム人間らしさ取り戻す   進
E手話の手が踊って恋を弾ませる  アキラ
E今日からは肩の力を抜いて生き  三根子
D青空の下のぬかるみ避けられず  さとみ
D溜まるのはゴミと不満と脂肪だけ 信 一
C控え目にして波風を立てずいる  千恵子
C中流の意識に穴が多すぎる    茂 瑠
C殺虫剤持つには危険古希の乱   野次馬
B結ばれて紅い絆の綱渡り     さ き
B傷心の旅に土産を買わされる   哲 也
B終点に着くまで人はゲームする  豊 子
A東京のデートは老いも手をつなぎ 龍 狂
A一手間が良い味になる引き締まる 好 子
A雲一つないCGのような空    由 美
Aそれぞれの何かを探す夕間暮れ  和 枝
A受信拒否さてはトンズラする気だな 鰹
A居酒屋の別れ体をいとい合う   五 貫
A春うらら雲と遊んで暇つぶす   可 福
A喪服脱ぎほっと悲しみ湧いてくる 獏 沓
Aがま口へ吸い込まれてく給付金  ふく子
A四十年和音合わずに生きている  穂々美
A梅雨晴れ間人間たちが生き返る  千代見
Aだまされたふりこの辺が潮時か  洋 未
@ひとひらの花びら愛のメッセージ  弘
@嘘ついた舌の鱗を吐き出した   しげる
@思い出を語りみんなで泣き笑い  二三子
@懐かしく思い出すのは怒鳴り声  明 美
@許可がまだおりぬ薬をガン投与  のぶ男
@六十の体むちうつ山登り     徳 子
@惜しみなく尽くし手袋捨てられる 政次郎
@キリギリス値下げラッシュに落ち着けず 静 枝
@この涙あなたのせいです。かしこ 美佐緒
@ど根性ビルの谷間に咲くすみれ  義 子
@倒産の憂き目に明日の虹がない  敏 子


参加者(順不同)増田信一、曽根田しげる
小野修市、望月弘、藪ア千恵子、池田茂瑠
谷口さとみ、佐藤明美、望月満月、加藤鰹
尾崎好子、高瀬輝男、林二三子、畔柳晴康
川村洋未、佐野由利子、中野三根子、瀧進
永田のぶ男、長澤アキラ、小林ふく子、中
川司、鈴木まつ子、金田政次郎、内山敏子
岡村廣司、成島静枝、薗田獏沓、中矢長仁
芹沢穂々美、酒井可福、井口薫、石田竹水
川島五貫、鹿野太郎、加茂和枝、毛利由美
安田豊子、市川重雄、滝田玲子、山田ぎん
川口亘、戸田美佐緒、西垣博司、竹内さき
森田安心、市川重雄、石上俊枝、那須野正
明、鈴木千代見、山本野次馬、飯塚すみと
川口のぶ子、今井卓まる、提坂まさえ、徳
久竜司、川村美智代、恩田たかし、山田正
萩原まさ子、森下居久美

定例句会 | Link |
(2009/07/26(Sat) 14:27:46)

ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 だかし o(^0^)o

おまっちゃあわりいいたずらおよーやあ 市川 重雄
鍵かってぬくといプールいかい雲    今井卓まる
すまっこにごんどうたまりしかたんない 小林ふく子
おまっちも役はやらなきゃみずりゃあよ 谷口さとみ
いざこざはええら放っぽらかいておけ  加藤  鰹
しゃらくさいハズん黄いないくしょーして 鈴木まつ子
ひんずらしつるつる頭照り返す     鈴木まつ子
やんめーなそんなわるさはするでねー  畔柳 晴康
どうするだーこんだ一緒にいくずらなー 畔柳 晴康
そんなこたー知らすか君の過去の恋   瀧   進
ライバルにほめられ返事のんばめる   瀧   進
やりきってなんであんてえ褒めるずら  岡村 廣司
ぞんぜえな口利きゃがってしょんねえな 岡村 廣司
きょーびじゃあ五十青年だっちょーよ  中安びん郎
こきたねえなりで行くなよ参観日    西垣 博司
おまっちゃーとっとと仕事すませろや  西垣 博司
ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2009/07/26(Sat) 14:25:41)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「眼  鏡」        石田  竹水
絵に描いた餅にも賞味期限来る     静 岡
人を見る眼鏡を外すコップ酒
イケメンがニッコリ笑う非常口
自己主張させて静まる絵具箱


「自 由 吟」        鹿野  太郎
ポップコーンほうばっているジュリエット 仙 台
梅雨晴れを大皿に盛るお父さん
病室のベッドから湧くナトリウム
カロリーを弾き検算鬼と化す


「後  悔」        安田  豊子
うっかりと吐いた意見の風当り     浜 松
保証印押して眠れぬ夜が続く
根回しの口火切ったが回らない
CMを信じたばかり消えぬ悔い


「雨  季」        栃尾  奏子
さあ勝負今日初陣のてるぼうず     大 阪
一言が許せず二人梅雨の入り
雨の午後ページを繰っている惰性
微笑んだあなた長い雨季が終わる


「  母  」        松橋  帆波
暑いねで始まる母の電話口       東 京
上京の母へ地下鉄ややこしい
夏の夜も先には寝ない母がいる
母の背の記憶と裸電球と


「  母  」        篠原   久
飛び切りの笑顔を提げて母見舞う    四国中央
カサブランカ初夏の匂う母の部屋
鶴を折る母の哀れを見てしまう
四月一日生まれも母を恨まない


「自 由 吟」        竹内  さき
つゆの雨しきりと恋し母満ちる     浜 松
想い出を深くして恋しています
美女ありき眠れるバラのひとり言
遠き日に揺れ私にもある故郷


「六月の…」        新貝 里々子
あみだくじ恋から少しずつ離れ      袋 井
なぜだろう花子ばかりに雨が降る
さくらんぼ夢のつづきの中で熟れ
ぼやき癖つけた鉛筆尖らせる


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
出る予定ない日の雨は美しい       浜 松
名声も形はないが世襲です
極道のヒラで意味なく世を送り
付き添いの方が病人らしく見え


「最近の世相T」      金田 政次郎
親に孝どの子もプロを志す       静 岡
近道を探し探してくたびれる
近未来朧ぼろぼろ職探し
真相究明沒沒しています


「雑  詠」        石井   昇
雨上がり未練が消えて星が降り     蓮 田
心太押されて空のラッパ吹く
生きるって哀しいものさはぐれ雲
さようなら遊び疲れたゼロ番地


「健康診断」        濱山  哲也
診断に絶対来ない友がいる      つがる
バリュームを飲めば忘れる右左
日に一度ジョークを処方しています
目敏くも美女をとらえる健康だ


「  あ  」        戸田 美佐緒
棘ひとつ抱いて私は繭になる      さいたま
吐息つく私のように雨が降る
ルミノール反応だらけ傷だらけ
しきたりが無知な私を取り囲む


「出 る 杭」        岡村  廣司
叩かれる事を覚悟の強い杭       焼 津
出る杭を打つ程力つけたいな
出る杭が打たれぬ工夫思案する
愛想良く出てくる杭は打ちにくい


「今更の発見」       増田  久子
君が代は肺活量の要る歌だ       焼 津
蒔かぬ種咲きほこるのは草の花
たっぷりの時をくれてる大時計
氏神の森にカラスも鳩も住む


「自 由 吟」        酒井  可福
紫陽花の花も空梅雨艶もない      北九州
飛ぶ蛍酢っぽい水で我慢する
不景気に雨までケチる空模様
不景気の流れに僕も心太


「自 由 吟」        寺田  柳京
長生きへ二度目の不況こんにちは    静 岡
消費税の先取りをする物価高
潔く兜を脱いだ男前
ニッコリと迎えて呉れたチングルマ


「お 中 元」        小林 ふく子
人間でよかったお中元が来る       袋 井
人生の賭けをしているお中元
ゆとりある心を添えてお中元
お中元貰うリストに入れられる


「紫 陽 花」        成島  静枝
ピーポーが止まる紫陽花覗き込み    千 葉
ストレッチャーいずれ我が身か独居老
聴き上手だけどあなたは蝸牛
紫陽花が身の丈に合う七変化


「ひまわり」        提坂 まさえ
振り向いて足跡少し消しておく     静 岡
夫という他人しっかり描いてみる
ひまわりも落ち込むことがあるのです
開けてみて手遅れと知るマイハート


「初  夏」        石上  俊枝
明日こそは寝息が綴る陽を信じ     静 岡
雑草と紛争をする初夏の庭
解けない糸ポケットで重くなる
苦労して曲がったキューリ膳の上


「ほ ら ね」        川村 美智代
シルバー席ためらわないでよかったか 静 岡
給付金自動車税がお手をする
新空港立ち木を知事の涙飛ぶ
捜し物ほらねやっぱりあったじゃん


「勘 違 い」        萩原 まさ子
親切を好きと思われても困る      静 岡
マニフェスト実行される筈がない
年齢に目隠しをして赤を着る
うれしいなラマダンの夜が明けていく


「1 4 歳」        毛利  由美
14歳世の中的に問題児        つくば
iPod耳にとぼとぼ向かう塾
口数は減ってもたまにある笑顔
サッカーに始まり終わる君の春


「ルーヴル展」       井口   薫
ルーヴル展パリの空気に洗われる    袋 井
縁にルーヴルの格ずっしりと
婦像の前混んでいてほっとする
タッフの心労も見た美術展


「しぞ〜か弁川柳」     中西 びん郎
田植え終えみゃーんちゴロ寝昼寝だぜ  静 岡
暑くてもちっとぬくてーだけじゃんか
富士山へ登りてゃーけんこの腰じゃ
おまっちもこーなるだぜん年とりゃー


「  月  」        薗田  獏沓
月痩せて東の山に腰掛ける       川根本町
古城跡一本の松枝を張り
義理果し胸張る道を月照らす
急ぐけどゆっくり帰る月の道


「張  る」        芹沢 種々美
優等生ウサも晴らそう湿布薬      沼 津
桜の木咲いて終わって欠伸する
柏餅中のアンコが自己主張
ネギ坊主背比べして意地っ張り


「  雨  」        大塚  徳子
雨上がる傘を忘れる能天気       仙 台
雨上がる鱗飛び散る蝶が飛ぶ
雨上がる声高らかに山笑う
雨上がる地固まっている仲直り


「振り向く」        鈴木 恵美子
振り向けば初心の若き句が笑う   静 岡
立て直すチャンスをくれた技に誓う
原点に立って子育て練り直す
振り向けばいつも笑顔のボクがいる


「うっかり」        鈴木 千代見
うっかりと相づち打って誤解され    浜 松
うっかりと孫ない人に孫自慢
いま吸ったのは何だろうクリーナー
居眠りで美人の肩に寄りかかり


「意  外」        藤田  武人
肉じゃがが意外と美味い彼女です 大 阪
計画は見直す度に現実味
こっそりとおやつをカゴに入れるパパ
眼鏡掛け賢く見せて行く見合い


「行  楽」        川口 のぶ子
連休に流感絡み国が揺れ  藤 枝
行楽の行く手さえぎる風の神
行楽に安易な行動暗い影
缶詰にされて後悔する旅行


「雑  詠」        滝田  玲子
春風に乗ってルンルン踏むペダル   浜 松
ガラガラとはずれが踊る抽せん機
ロボットに職場追われて派遣切れ
過疎の町人情あって捨てられぬ


「インフル」        尾崎  好子
豚になり新になっての大騒ぎ  藤 枝
それだからマスク業界フル稼働
豚しゃぶやポークステーキ食べて良い
インフルにも嫌われちゃった高齢者


「椅  子」        馬渕 よし子
朽ちかけていても和める母の椅子   浜 松
椅子取りへパワー全開見せ付ける
この重み耐えてる椅子よありがとう
心地良い椅子を見つけて寿命延び


「たっぷり」        鈴木 まつ子
ふるさとの夕陽たっぷり溶く絵皿    島 田
森林浴気鋭あふれて甦る
たっぷりと情けがこもる母性愛
たっぷりと君に抱かれて生む絆


「  道  」        畔柳  晴康
遠い道地図に無い道人生道   浜 松
我が道の手本にするよこの出合い
遠回り爺は平らな道選ぶ
石段か女坂いや駕篭にする


「自 由 吟」        山本 野次馬
包帯の滲みをだれも気付かない   函 南
マティーニに恋愛運を試される
なすすべもなく見守るだけの夕日
百年に一度もう来ぬ出来事だ


「寄  道」        西垣  博司
少しだけ寄道をする切符買う    静 岡
人生に化粧心を少し副え
次の駅終点というアナウンス
単線のその先にある別れ路


「野  球」        内山  敏子
スタンドの声ピッチャーの耳を刺す 浜 松
炎天の空へ抜けてくホームラン
一点に笑う子泣く子甲子園
来年に賭け球場の土握る


「雑  詠」        飯塚 すみと
つり人が静かに向かう遊水地  静 岡
町内会班長引き受け妻まかせ
損か得百えん市に人の群れ
フロ水がやたら多いと妻小言


「薬 好 き」        中矢  長仁
毎食後寝る前も飲む欠かさずに  松 山
薬好き処方の通り欠かさない
忘れたら大変メモを付けている
拍子ぬけ医者は忘れて良いと言う


「雑  詠」        川口   亘
頼り甲斐ないと思えば愛想盡き   藤 枝
呪縛から放されて知る悩みふえ
ひと滴それでも赤くなるお酒
人前をとりつくろって云うお世辞


「自 由 吟」        山田  ぎん
長生きをして年金をもらい受け 静 岡
つばめの子大きな口で餌もらい
長生きし世話にならない気を付ける
ひこの手を取って遊ぶは老い大変


「町内会体育部長」     恩田 たかし
初めてのグランドゴルフ四苦八苦 静 岡
お弁当何がいいのか四苦八苦
川柳を考えながら四苦八苦
朝早くお昼過ぎまで四苦八苦


「メ ― ル」        中野 三根子
ケータイのメールはいつも待っている  静 岡
メールだけ心をつなぐ糸デンワ
ラブメール ハートが今日もあふれてる
ママからの届いたメール パパ元気


「幸せな旅」        真田  義子
幸せな旅です風が見えました  仙 台
うぐいすが去年と同じ声で鳴く
運命の朝がゆっくり開けてくる
バラ咲いて今日の運命決まる朝


「ロビーウーマン」     多田  幹江
時給ゼロのロビーウーマンです私 静 岡
私もこちらのネコになりました
ウーマンも沈んでしまう大広間
私を待ってたような試着室


「自 由 吟」        森下 居久美
紫陽花に元気をもらう雨が好き 掛 川
クッキーを焼こうか今日は雨予報
アルバムを静かにめくる雨が好き
この雨が上がればきっと虹が出る


「初  夏」        林  二三子
花粉過ぎ木々の緑が目にしみる    芝 川
緑のシャワー浴びて爽やかウォーキング
山肌の新緑に目が癒される
あじさいが雨を好んで咲きほこる


「身の足掻き」       永田 のぶ男
梅雨の絵を書き出す前に紅を濃く    静 岡
深呼吸空の蒼さを丸め込む
気取っても纏まりつかぬ身の足掻き
影だけになって羽田で別の便


「とりあえず」       山口  兄六
とりあえず恋は性病検査から     足 利
とりあえずお金を貯める離婚まで
とりあえず地名で呼んでいる彼女
とりあえず低反発の恋枕


「魔  性」        池田  茂瑠
濃霧から這い出て私堕ちました    静 岡
雨の日も芯の魔性が舞えと言う
姫鏡覗く炎が見えるまで
地下街のリード女が強く取る


「空  港」        増田  信一
静岡もやっと空港できました     焼 津
パスポートとってみたけど行き先が
高いとこ嫌いだけれど空は別
エアポート英語の方がロマンある


「思い出はイイことだらけ」今井 卓まる
ポケットに仕舞ったままのラブレター 浜 松
プリン食べ忘れたんだよ また会おう
飲みかけのカップ下げられ終わる恋
また会おうその時 涙 倍返し


「自 由 吟」        真 理 猫 子
金運もさらって逃げるすきま風  岡 崎
いい男だった昔が逃げていく
ゴキブリも出会い頭じゃバックする
ほんとうは私 逃げたい 私から


「雑  詠」        谷口 さとみ
包帯に私の癖を忍ばせる    伊 豆
とばっちり受けて売れないペアカップ
丈夫過ぎ割れるとホッとする食器
マヨネーズどこに入れよかさしすせそ


「百合の花」        佐野 由利子
逆境をバネに明日へ立ち上がる   静 岡
風乗せてぐるぐるメリーゴーランド
ポンと肩叩かれ見れば百合の花
疲れたと幸せそうな顔をして


「自転車に乗る」      小野  修市
道ゆずりよろけてゴミと相撲取る   静 岡
坂などと言えぬ登りでヒザ笑う
住みなれた街を走るが迷子です
おばあさんすいすい僕を抜いていく


「動  く」        長澤 アキラ
夢はどうなる飯はどうなる派遣です 静 岡
努力して尽いていればの話です
職安の蟹工船が動き出す
そして今最後の一字書き終える


「ル ー ペ」        藪崎 千恵子
長所だけみましょう嫁と持つルーペ 焼 津
身内には甘いルーペが孫を褒め
ちっぽけなこと大げさにいうルーペ
人様の粗を見るなと言うルーペ


「今  日」        川村  洋未
今日もまたあれそれこれで暮れていく 静 岡
今日からと見ればきのうも書いてある
今日だけとおやつのふたをゆるくしめ
今日くらいゆるゆる過す誕生日


「新 兵 器」        高瀬   輝男
記録破りの猛暑へギャグが通じない    焼 津
先ず軽くジャブを一発初対面
言い訳の理由に降った雨でない
天性の丸さりんごを責められぬ


「鉛筆の芯」        望月   弘
Fで書く手紙は真面目すぎないか    静 岡
Hから出る冗談が苦笑する
HBから友達の輪をつくる
4Bがふんわりと描く夏の雲


「初夏の恋」        加藤   鰹
初恋の記憶に凛とタチアオイ  静 岡
草いきれ入道雲と同化する
迎え火を見つめる愛の日がゆらり
梅雨空にまた違う人好きになる


「い び つ」        柳沢 平四朗
清濁を吊って不潔な水へ棲む    静 岡
いつまでの軈てか老いの自由形
世相なお歪善意の立ちくらみ
生きざまへ舌三寸のテクニック
虎竹抄 | Link |
(2009/07/26(Sat) 13:44:28)

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