静岡川柳たかねバックナンバー
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自 由 吟
  虎 竹 抄


「2009 夏」    森下 居久美
オーシィツクツク 食べ損なったかき氷  掛 川
チンチロリン 延期のままのバーベキュー
リーンリーン 出番の来ないかもめーる
ガチャガチャガチャ ブルーシートが乗ったまま


「暮らし向き」     増田  久子
来年のバザーの品を買うバザー      焼 津
給付金使った記憶ないが無い
夢枕には千匹を超す羊
中古車を買って三回目の車検


「スタート」      井口   薫
リモコンの気配総理の背後から      袋 井
閣僚の記念撮影お急ぎを
マニフェスト リボン解いたら白煙が
チルドレン賞味期限は四年なり


「気 疲 れ」      成島  静枝
丸ノコが黙るコードも切るダンナ     千 葉
働くと威張る丸ノコ ヨイショする
殿様は良きに計らえ後始末
秋めいた空へ血圧深呼吸


「生 き る」      大塚  徳子
ホイホイと生まれてヤレヤレと生きる   仙 台
父の死す日も朝御飯食べていた
生かされて喘ぎ喘ぎ生きている
一言がキラリと光るありがとう


「雑  詠」      馬渕 よし子
貧乏の筈だが何故か脂肪肝        浜 松
評判の味へわたしの舌が拒否
夏草のいたちごっこもやっと終え
意気込んだ食べ放題へ胃が怯え


「参  加」      小林 ふく子
参加する川柳なのに席がない       袋 井
曖昧な返事参加とみなされる
あの人が参加するならやめておく
多数決多い方へと参加する


「オバタリアン」    濱山  哲也
ガハハハと男トイレになだれ込む     つがる
町銀座まけろまけろと吠え歩く
二枚目と涙にもろいオバタリアン
無料バス途中で止めて消えました


「虎 竹 抄」      真田  義子
この山を越えたらきっと見える海     仙 台
ふんぎりをつけたら見えた青い空
サスペンス好きな女のサングラス
トゲのある言葉奥歯で噛み砕く


「現  実」      新貝 里々子
おばあさんの溢れる街ですっと溶け    袋 井
体型が無理だと言っている下着
情熱の赤は赤でも昭和かな
裏通り記憶はたしかこのあたり


「  猫  」      川口 のぶ子
ミニ畑のきゅうりうっかりメタボなり   藤 枝
朝取りのトマトの味の甘いこと
猫の手を借りたい時にいない猫
猫なでの声が気になる落し穴


「  い  」      戸田 美佐緒
いまはまだノックしないで爪を咬む    さいたま
柔らかな顔になるまで湯に沈む
お土産にあの日の雨を持っていく
戻れない夜へ真昼の月が哭く


「恋愛マニュアル」   栃尾  泰子
キスひとつ恋の魔法をかけられる     大 阪
愛されているうちは淑女の仮面
紅強くひいて戦士になる乙女
崖っぷち魔女も悪女も解き放つ


「  恋  」      松橋  帆波
勝手だが妻より妻にしたい人       東 京
メモリーへ男名前で棲む子猫
矛盾まで愛しい君と居る時間
君の名がカフェインよりも効く夜更け


「願  い」      鹿野  太郎
人になるハードボイルド小野田塾     仙 台
ようやっと見つけた技術家庭塾
妻の前のたうち回るかすり傷
訳ありとネット市場に出す娘


「  旅  」      内山  敏子
満月と枝豆つまむビール党        浜 松
秋風へ旅をひろげるスニーカー
鈍行で里の温さを拾う旅
秋風へ誰かに電話したくなる


「夏だねぇ」      西垣  博司
鍋底を叩いて蝉の夏祭り         静 岡
ゴキブリの逃げ足の良さただ見とれ
砂浜で大地を知った土踏まず
殺虫剤夏の家計にのしかかる


「雑  詠」      安田  豊子
諍いの余寒無言の茶をすする       浜 松
七十路の残り火を消す夢芝居
苛立ちを宥めて覗く万華鏡
三色で足るひとり居の彩選ぶ


「自 由 吟」      竹内  さき
風やみて恋も静かに秋実る        浜 松
赤トンボ茜の夕陽数見せて
しっとりとコーヒーをのむいい時間
幻か秋も深もよドラマ旅


「ヒロイン」      提坂 まさえ
イチロー風 もの凄いことさり気なく    静 岡
キリギリスよく貯えてよく歌い
脇にいて時々くっている主役
ひまわりの花終えてなお立ち尽くす


「忘 れ る」      川村 美智代
苦しみを忘れるために泣いてみる     静 岡
今日もまた忘れっぽくて浮いている
痛い足少し忘れて花を買う
忘れるを流れにまかせ老い二人


「  道  」      藤田  武人
肩並べ夢を描いた並木道         大 阪
閻魔から帰れと言われ道迷う
畦道で案山子相手に影を踏む
道端で踏まれて耐える丸い石


「自 由 吟」      酒井  可福
腹の虫泣いて止めますダイエット     北九州
揺れました壊れる物は何も無い
肩書きがあって政治に幅が出る
日焼けする暇も無かった夏休み


「秋 の 風」      毛利  由美
給食を恋しがらせる昼ごはん       つくば
アナログな夏を楽しむ扇風機
夏休み明けて休校などごめん
そしていま流感にかかるのも手か


「病院通い」      中谷  長仁
病院へ今日も仲良く老夫婦        松 山
タクシーが覚えてくれて直ぐに来る
待合で名医ですよと噂する
院長も川柳が好き持って行く


「走  る」      山本 野次馬
向かい風妻の背中で耐えている      函 南
命日へひたすら走るだけの事
バッテリー切れて惰性の日が暮れる
突っ走る若さが欲しい五十代


「雑  感」      川口   亘
背負いして呉れると云って効かぬ孫    藤 枝
配給の言葉忘れて今日を生き
つい先を読む気にさせる電子辞書
失敗が有って人間らしくなり


「雑  詠」      芹沢 穂々美
投げ役になってボールの品定め      沼 津
おにぎりの中の梅干情が濃い
篭の中 初で無垢とは大誤算
中立で世間の風になびかない


「残 り 火」      鈴木 まつ子
ときどきはスパークをする恋の仲     島 田
打ち込めば不平不満も取り消され
惜しみない川柳が好き人も好き
めくるめく愛の残り火揺れやまず


「自 由 吟」      寺脇  龍狂
そんな世にフントになるか新政府     浜 松
教え子も世話子もなくて生きている
大勝へ負けてやれよとビールいう
耳鳴りも白内障も知らず戦友は逝き


「自 由 吟」      滝田  玲子
新型は夏も好きです白マスク       浜 松
新米と秋刀魚で残暑くぐり抜け
ひと雨がほしいと案山子こうべたれ
不況風リストラ化する夏花火


「く  せ」      鈴木 恵美子
梱包の几帳面さに信用し         静 岡
ごね得が立派な家に独り住む
八方美人言われたくない律義者
けちんぼの母出すものはいさぎよし


「男 と 女」      石井   昇
にくらしい いとおしい男と女       蓮 田
矢印をたよりにゆけば行き止まり
悩むより閃きで書く点と線
仕方なく生きて怠惰な灯をともす


「踊  る」      篠原   久
阿波へ来て一度は阿呆になるつもり    四国中央
地唄舞奥の深さに動と静
炭起しスルメ躍らせ一人旅
踊らない風は路地裏通り抜け


「  根  」      薗田  獏沓
枝ぶりも良いが根張りはもっと良い    川根本町
正直に曲がった松の根の姿
根の強さ岩の割れ目で生きてゆく
「さあ来いと」根っこしっかり張った松


「  風  」      加茂  和枝
小休止やりたい事が山ほどに       岩 沼
爽やかな風は素顔で受け止めて
どしゃぶりに笑顔が消えた太陽で
山を見て本音で話す人が好き


「ベ ル ト」      瀧    進
別腹がベルトの穴を追いかける      島 田
バイキング ベルトの穴も味方する
ダイエット心ベルトにたたら踏む
両輪のベルト弛んだ倦怠期


「有 頂 天」      岡村  廣司
有頂天なると自分を見失う        焼 津
お世辞とも気付かずなった有頂天
有頂天つい気遣いを忘れてた
落し穴気付く筈なし有頂天


「宴  会」      鈴木 千代見
箸袋細かく畳み好きでした        浜 松
注ぎ足しの酒に本音をのぞかせる
三次会ついてゆく人ゆかぬ人
カラオケの分厚い本が回りくる


「自 由 吟」      萩原 まさ子
若返り整形したら夢語ろう        静 岡
美しく偽る鏡あったらな
マドンナに聞けないままの後日談
父さんに残す枝豆冷えている


「憧  れ」      石上  俊枝
マネキンに予約しました我が望み     静 岡
ああしたいこうもなれたらいいのにな
希望から理想の花が芽生え出す
憧れと現実 口は一文字


「秋のミルーク」    恩田 たかし
とめどなく色んな思い現れる       静 岡
哀愁を知らず背中で語ってる
別れあり新たな門出 出会いあり
秋になり飽きない商い空きになる


「後期高齢」      畔柳  晴康
赤い血も老化したのか燃えて来ぬ     浜 松
のぞみなし惚れる薬も期限切れ
メタボ腹偽装するのに苦労する
後期だな遠慮もするが威張ってる


「雑  詠」      飯塚 すみと
登校日世間もなにか明るみに       静 岡
裏の人どくだみほしいと頼みくる
換気扇家族の留守にそうじする
合成酒低サラリーに買いやすい


「91甲子園(常葉橘)」 尾崎  好子
春夏や初出場と賑やかい         藤 枝
菊川は弟 橘お兄ちゃん
神様を頂く天理智弁PL
洗練をされたチームと褒めちぎる


「セ ― ル」      佐藤  明美
オフになり二足新調夏の靴        三 島
半額の靴のサイズが大きすぎ
半額でつい買い過ぎるお惣菜
バーゲンに自分サイズの服がない


「涼  風」      林  二三子
来年も咲いてほしいとお礼肥え      芝 川
心地よくなり寝過ごしてしまいそう
店頭には食欲そそる物並び
温かいものが恋しくなってきた


「自 由 吟」      小熊  カズ
思い出す暗い夜道で苦笑い        菊 川
露天風呂壁の向こうに君がいる
晩ご飯考えながら朝ご飯
朝起きる時計片手に二度寝する


「半  分」      中田   尚
半そでが少々さむい秋の入り口      浜 松
リンゴ半分秋が半分同居する
半分を割って日本が大慌て
どの人とペアになっても損をする


「09 おにぎりの夏」 和    一
おにぎりの夏思い出を独り占め    伊豆の国
真ん丸の握り具合に見える顔
梅干しの口に広がるメッセージ
むせ返る夏を頬張る塩かげん


「還  暦」      増田  信一
還暦がうれしいような無いような     焼 津
還暦をもう一度とは欲張りか
還暦を過ぎても会社行ってます
還暦でちゃんちゃんこなど要りません


「他人ごと」      永田 のぶ男
美の壷を画鋲で止めて安堵させ      静 岡
蹴った石雑草と畔仲良すぎ
叩かれたトウモロコシは仇討ち
他人ごと地震水害爪の後


「物言わず」      小野  修市
冬瓜が煮えて無口な酒となる       静 岡
負けたとは言えぬ口元への字なり
安心と言えぬどんぐりまなこかな
妻と居て声には出さず胸の中


「タイミング」     谷口 さとみ
思い出を濾過する役をする時間      伊 豆
ズボラにも信念がつく歳になり
事故にあい便利と恐さ知る車
どう言うかよりタイミング難しい


「パラシュート・ガール」今井 卓まる
満月の夜までキスを我慢する       浜 松
空き缶を蹴りたくなったハイヒール
涙ごと焦げてしまった夏休み
じゃあまたね 君との日々を深呼吸


「ぷんぷん」      高橋  繭子
ネガティブな会話にウツが寄ってくる   大河原
ヤな仕事バケツリレーでぶん回す
お忘れでしょうね社員の心など
こっそりと専務がブログ書いている


「愚  直」      多田  幹江
いい加減に生きるって大変なこと     静 岡
拝まれて北の大地の支店長
音無しの構えはとてもできません
報知器の愚直サンマを焼かせない


「そして秋」      勝又  恭子
夏限定少し正直ですわたし        三 島
このときとばかりにはしゃげ夏祭り
輝いていたね真夏の一ページ
夏の日の思い出残すロゼワイン


「三 日 月」      中野 三根子
三日月が大好きになる旅の空       静 岡
つらい時見上げた空に月がいる
彼とみたあの三日月が気にかかる
ねむれない夜の三日月語り合う


「過ぎる季節」     池田  茂瑠
体温の違う愛だが固めねば        静 岡
一季節過ぎる答をきけぬまま
私も青い飼う蛇なを青い
一歩退く仮面の裏が読めたから


「ノスタルジー」    真 理 猫 子
初恋は舟木一夫で思い出す        岡 崎
生け垣に隠しておいたラブレター
帰省したような気分になるローカル線
忘れたいことを浚ってゆく夕陽


「掲 示 板」      山口  兄六
口元のホクロが目立とうと光る      足 利
似顔絵の君はやっぱり僕好み
暇人が暇人を呼ぶ掲示板
コメントは不要単なるボヤキです


「たりない」      川村  洋未
身長がたりない分は横はばで       静 岡
イケメンがそろわぬ時はお笑いで
日本酒がたりない時は料理酒で
メンバーがそろわぬ時はライバルも


「虫メガネ」      石田  竹水
読めていた 先が読めない虫メガネ     静 岡
レッテルを賞味している通の舌
嘘っぽい話興味の耳を呼ぶ
目に見えぬ棘ほど痛くなる言葉


「勇  気」      薮ア 千恵子
大方は○と×とにふるい分け       焼 津
失敗を笑い話にする勇気
成り行きの結果を良しとする勇気
外見に格差出ている喜寿の会


「老いた犬」      長澤 アキラ
忘却の後期が歌うわらべうた       静 岡
修羅の面はずして眠る老いた犬
女房とは出合い頭の事故だった
夏終る前に本当のビール飲む


「イ ビ キ」      佐野 由利子
内緒だがわたしもイビキ掻くらしい    静 岡
上品に振る舞う人は見栄っ張り
オッパイが垂れた女の悪足掻き
気の合った友達と行く小旅行


「正  論」      高瀬  輝男
正論が詰まらせている非常口       焼 津
正論も複数あると知る非才
迂闊にも正論という舌に負け
私の意見これこそ正論だ


「気 配 り」      望月   弘
労力でなく能力を派遣する        静 岡
洋食へ箸一膳を添えてある
直線にかかれば鞭は当ててない
一言をがまんをすれば風は無い


「自 由 吟」      加藤   鰹
カモミールティーと優しい秋の海     静 岡
逗子葉山ちょっとリッチな風に触れ
避雷針 君が頼りと背負わされ
ろくでなし達のトラックターミナル


「不 本 意」      柳沢 平四朗
真実を掘り下げすぎて夢が消え      静 岡
ほほ杖の窓へ自嘲が転げこむ
軋ませて不本意な戸も少し開け
一度広げた風呂敷は畳まない
虎竹抄 | Link |
(2009/10/09(Thu) 09:26:17)

平成二十一年 八月十五日
定 例 句 会
於 アイセル21


席 題 「震える」  池田 茂瑠 選
ビルの窓掃除の人が揺れている   三根子
さよならを言って震えている心   アキラ
ぶるぶるとしている割に目が据わる 信 一
何気ない一言だけど震えてる    しげる
老い猫が揺れに合わせている地震  明 美
深呼吸震えを止めていざ勝負    恭 子
サヨナラを無言で伝える震える手  卓まる
緊張を隠しきれない手の振え    恭 子
初恋の出会いは確か震えてた    のぶ男
言い訳はしどろもどろの震え声   由利子
ケータイが振え門限近づいた    洋 未
覚醒剤蒼いうさぎが震えている    鰹
初めての振りして震え喜ばす    卓まる
宝くじ十番違いでも震え      信 一
総裁の失言 党が青くなる      弘
署名する誓いの言葉指震え     和 一
五 客
言い訳の声が震える午前様     和 一
ロボットがガタガタ震え電池切れ  のぶ男
地震より妻の噴火の方恐い     信 一
隠してもダメだよまぶた震えてる  恭 子
駿河路に寝起きの悪い鯰いる     弘
 人 位
手の震え文字にならないラブレター 和 一
 地 位
震度六揃いのカップ真っ二つ    好 子
 天 位
宿帳へ妻と書き込む手の震え     弘
 軸 吟
強烈な震えのパンチ受けた朝    茂 瑠


宿 題 「マイッタ」 増田 信一 選
弱点の臍を握っている女      美佐緒
マイッタないくら飲んでもまだ飲める のぶ男
別れたい女が産むと言い始め    由利子
大声で内緒話もままならぬ     千代見
盆休み豆台風がやってくる      鰹
端っこを捕っては批判するカラス  まつ子
政治家が足を引っ張る手本見せ   廣 司
三人の娘揃って彼氏無い      博 司
マイッタね男と女分からない    和 枝
妻の留守醤油の場所がわからない  さとみ
名人もまいりましたと母の味    洋 未
ボーナスと交換長い夏休み     明 美
優しいね恐いね私どちらだろ    まさえ
腹が鳴り妻に白旗また揚げる    哲 也
何度でも読まされ絵本疲れ果て   玲 子
冗談が的中ピンと張る空気     五 貫
幼児用化粧セットがあろうとは   博 司
大げさに見せてルーペの泣き上手  美佐緒
ハイキング弁当開けて箸が無い   長 仁
来るたびにパワーアップをしてる孫 静 枝
内輪揉めペラペラ孫が喋りだす   千恵子
マイッタな雑魚寝の相手情が濃い  穂々美
箱入りの娘ガードが堅過ぎる     進
一匹の蚊に悩まされ悩まされ     薫
そっぽむく女心の複雑さ      香 織
カタカナと略語に爺は孫に負け   晴 康
マイッタな方程式で解けぬ恋    穂々美
マイッタな何て言ってる自慢顔   恭 子
バタンキューマムシドリンク効かぬ夜 和一
土砂くずれすべて流して土砂残る  のぶ男
ひとのみにしたのが疑似餌だったとは 薫
先を読み親を持ち上げレジを出る  俊 枝
 五 客
正直なハカリにいつもしてやられ  ふく子
マイッタと今日一日を閉めて幕   アキラ
切る言葉見つからぬまま長電話   二三子
勲章が邪魔して羽根を使えない   茂 瑠
なけなしの知恵をカラスに見抜かれる太 郎
 人 位
新築のローン残して土石流     可 福
 地 位
槽糠の妻が起こしたストライキ    進
 天 位
老いるとはこういう事か又忘れ   ふく子
 軸 吟
親小言 子が文句言い 妻が愚痴    信 一


宿 題 『蝉しぐれ』 曽根田しげる 選
蝉しぐれ熱中症にご用心      由 美
負けないで背中押すよと蝉しぐれ  洋 未
補聴器をはずし悠然蝉しぐれ     弘
蝉しぐれ好きだと言われ聞きのがす ふく子
終戦忌蝉の読経の啼き止まず    廣 司
蝉しぐれうるさいと妻おまえこそ  信 一
弾む声一緒にはしゃぐ蝉しぐれ   さとみ
蝉しぐれ駆け込み寺のあるところ  美佐緒
蝉しぐれ私の夏を自己主張     和 枝
夏の朝目覚まし代わり蝉しぐれ   香 織
幼稚園元気を競う蝉しぐれ     重 雄
無人駅むかえてくれた蝉しぐれ   玲 子
雨上がり安心したか蝉しぐれ    のぶ子
蝉しぐれ防音装置つける森     穂々美
蝉しぐれ慰め呉れる待ちぼうけ   晴 康
勤行の僧に負けじと蝉しぐれ     進
宿題は終わったのかと蝉しぐれ    鰹
初めてのデートの彼と蝉しぐれ   三根子
蝉しぐれわずかな命クーデター   敏 子
駄々っ子の泣き方まるで蝉しぐれ  千恵子
蝉しぐれ蝉もとどろに百万遍    まつ子
立ち話伴奏入れる蝉しぐれ     晴 康
不況風止めよと叫ぶ蝉しぐれ    竹 水
蝉しぐれ今年は聞いてすぐに秋   修 市
世間とは何故にうるさい蝉しぐれ  徳 子
候補者へ腹で声援蝉しぐれ     重 雄
蝉しぐれ水琴窟が聞こえない    長 仁
耳鳴りとデュエットで聴く蝉しぐれ 静 枝
思い切り鳴いて浮き世の蝉しぐれ   亘
選挙カーうぐいす嬢がセミになる  千恵子
一生を太く短く蝉しぐれ      敏 子
甲子園予選の後の蝉しぐれ     修 市
口下手の命をうたう蝉しぐれ    和 一
蝉しぐれ消えた合図で君と会う   卓まる
きのう今日あしたへ命蝉しぐれ   好 子
ため息も愚痴もかき消す蝉しぐれ  和 一
 五 客
短命を謳歌している蝉しぐれ    由 美
蝉しぐれ芭蕉の耳になっている    弘
ペチャクチャと女三人蝉しぐれ   由利子
蝉しぐれ今輝いている命      アキラ
妻の愚痴シャンシャンシャンと降りそそぐ 鰹
 人 位
繁華街ワインと踊る蝉しぐれ    のぶ男
 地 位
椅子取りの政治が止まぬ蝉しぐれ  竹 水
 天 位
かみさんと良い勝負する蝉しぐれ  アキラ
 軸 吟
金魚の墓 孫の涙へ蝉時雨      しげる


宿 題 「そわそわ」 望月  弘 選
誰を待つ目立たぬように駐車場   卓まる
切り札を秘めて勝負の舞台裏    アキラ
バスツアートイレに並ぶ長い列   二三子
四苦八苦落ち着き無いと野次が飛ぶ 晴 康
人の字を呑んでそわそわ初舞台   千恵子
老らくの恋浮き浮きと杖忘れ     進
ライバルが先に十八番を歌いそう  太 郎
聞こえないはっきり好きと言ってみて 茂 瑠
あちこちで椅子が揺れだす異動時期 千恵子
母でんと父そわそわと子のデート   薫
婚約か彼氏を連れて来ると言う   竹 水
初デート勝負パンツの準備よし    鰹
地震には弱い我が家の揺れ具合    亘
隠し事しているらしい目を逸らす  長 仁
デビュー戦ビキニの彼女すぐそこに 洋 未
エンジンの音が止まった初デート  野次馬
マニフェスト落ち着いてなどいられない 静 枝
待合の椅子で結果を待つカルテ   美佐緒
マドンナが横に座ったクラス会    薫
たい焼きの白さになぜか落ち着かぬ 修 市
分娩室いまか今かと待っている   由利子
 五 客
ビアガーデン幹事は雲と睨めっこ  竹 水
プロポーズ今度こそはと待っている 三根子
そわそわと新婚初夜は無重力    哲 也
決算期人事異動が気にかかる    明 美
そわそわと花から花へ目が移る   徳 子
 人 位
きっと手が込んでいるんだ誕生日  太 郎
 地 位
待ちぼうけ駅の時計は合っている  のぶ男
 天 位
へそくりの近くで妻が掃除する   信 一


宿 題 「自由吟」  互 選
G急がない次の電車も明日もある  獏 沓
Fこんな時笑顔作れるのが取り得  茂 瑠
Eなごやかな気持で書いた丸い文字 博 司
D夏祭り足の先から阿呆になる   アキラ
C家族にも本音を言うときらわれる  尚
C入れ知恵が邪魔をしている仲直り 千恵子
Cおはように返答がない死刑だな  五 貫
C正直に生きると向かい風が吹く  恭 子
C又会える人さよならがさりげない 敏 子
B方言で口説かれたからついてきた さとみ
B近頃の雨は短気に降ってくる    弘
B意思曲げずラセン階段登り詰め  竹 水
A母に似てうちの野菜も真ん丸い  哲 也
A吊橋の真ん中へんで貝になる   由利子
A爪に火を灯す昔に戻れない    可 福
A快復へ化粧の窓に灯が点る    ふく子
A追い風を待っているのに向い風  和 枝
Aお隣の犬が我が家の番もする   由 美
A腹七分 薬の分をあけておく   のぶ男
@もう駄目は言わないにするまだ出来る 二三子
@観覧車二人で乗った空が好き   三根子
@まばたきをする間に伸びる梅雨の草 千代見
@蝉の殻マンションまでの道しるべ 穂々美
@今を翔ぶ帽子かぶって闊歩する  まつ子
@ぐったりのキュウリ息づく如露の水 玲 子
@平泳ぎばかりで飽きる熱帯魚   義 子
@ピチャピチャとはしゃいでみせる金魚鉢 野次馬
@ポリープがあると言われて凍りつく 長 仁
@コンビニも油断しないで行く娘  太 郎
@貼るだけで効かぬ公約用がない  重 雄
@魂が乾くと形相まで変わる    廣 司
@吸った息止めてメタボは臍回り  静 枝
@色恋もあって人生花を添え     進
@十六も違うまつ毛に一目ぼれ   卓まる


参加者(順不同)今井卓まる、長澤アキラ
増田信一、山下和一、勝又恭子、佐藤明美
佐野由利子、川村洋未、池田茂瑠、中田尚
尾崎好子、中野三根子、望月弘、石田竹水
永田のぶ男、加藤鰹、曽根田しげる、瀧進
成島静枝、畔柳晴康、岡村廣司、大塚徳子
林二三子、内山敏子、小野修市、中矢長仁
鹿野太郎、加茂和枝、薗田獏沓、西垣博司
毛利由美、佐藤香織、川島五貫、市川重雄
井口薫、鈴木まつ子、滝田玲子、酒井可福
小林ふく子、川口亘、真田義子、濱山哲也
芹沢穂々美、鈴木千代見、藪崎千恵子、中
川司、山本野次馬、谷口さとみ、戸田美佐
緒、川口のぶ子、提坂まさえ、川村美智代
石上俊枝、萩原まさ子
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(2009/10/07(Tue) 15:44:31)

ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 ふんとけぇ?

のでゃあらの望月さんにやあに来た    西垣 博司
博司さんこんだ牛妻来てくりょう     加藤  鰹
そっちん方しょぶいてくりょや皺くちゃだ 谷口さとみ
秋場所はぎゃーじん組ん大あばれ     中安びん郎
ぬくといなあつぼったいのやんめしな   畔柳 晴康
のーやすみとんじゃかないしょ休耕田   瀧   進
道ぐろへよけてえめんぞ落ちちゃった   小林ふく子
忘れるだに そうだに 嫌だに としだに   新貝里々子
めめずんばのたくりまわりいきれる日 鈴木まつ子
吹いてきたちゃあっと終えてきゃあるべえ 芹沢穂々美
送り火にたわえもなしに出る涙      岡村 廣司

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(2009/10/07(Tue) 14:49:01)

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