自 由 吟 虎 竹 抄
「めんどくさ」 谷口 さとみ 二十歳って言っても怒る五十代 伊 豆 インスタントのくせに小袋六つある エンジェルが方向音痴ややこしい 詳細はホームページからどうぞ
「義 理」 鹿野 太郎 義理堅いリアルな顔を崩せない 仙 台 写メールの青空義理へ添付する センサーを切って酌する義兄弟 兄弟というシャボン玉飛んでゆく
「ラブソング」 戸田 美佐緒 綿ぼこり身辺整理すれば秋 さいたま 古椅子の足に絡んだラブソング 秋風に乗せてコスモス色の恋 ろっこつの骨が一本自惚れる
「自 由 吟」 寺田 柳京 旨そうに盛り付けてあるマニフェスト 静 岡 産め産めと言うあなたこそ産みなさい 補聴器へ何とうるさい蝉 其の他 野に落ちて海が恋しい貝釦
「仮 面」 安田 豊子 リバーシブル今日の仮面は裏にする 浜 松 ひょっとこを付けてストレス癒してる 嵌らなくなった仮面がずり落ちる 持て余す仮面を捨てる里の川
「雑 詠」 井口 薫 切れ味の悪い同士で怪我もなし 袋 井 雑音を拾った耳が病んでいる 失言がチクリチクリと眠らせず よく出来た人に接ぎ木の跡が見え
「オジタリアン」 濱山 哲也 家庭ではペットの部類オジタリアン つがる 「このスケベ」触って蹴られまた触る 好きなもの巨人と酒とカブト虫 ぼんやりと夕焼け小焼け歌ってる
「愛の行方」 栃尾 奏子 変わりゆく愛を貫く難しさ 大 阪 逆鱗に触れようクライマックスへ オンザロック氷溶ければまた独り 逆らわず生きて明日の風に乗る
「 肩 」 篠原 久 両肩を下げると楽に生きられる 四国中央 ニッポンを覗いて見せる肩車 リハビリの二、三歩妻の肩借りる ハローワークで待ってる間肩が凝り
「2009秋」 毛利 由美 そういうこっとっでー しんちゃんが木霊する つくば 運動会日和インフルエンザ無し 総裁が総理であったのは昔 休日が続き仕事で一休み
「祭 り」 中谷 長仁 騒音規制祭り音頭が聞こえない 松 山 いまどきの神輿静かに練り歩く 申し合い四角八角鉢合わせ 神輿追い声を嗄らしたのは昔
「自 由」 滝田 玲子 お詫びする上司揃って頭が高い 浜 松 ロボットも休暇取りたい五連休 財布だけ年中スリムメタボ腹 さわやかな風に押されてペダル漕ぐ
「夕 陽」 小林 ふく子 消えそうな我に夕陽が来て溜る 袋 井 見飽きない夕陽わたしを抱きしめる 歩道橋上の夕陽に君がいる 夕焼けが今日のドラマを包み込む
「雑 詠」 西垣 博司 コメントは控えておこう妻のミニ 静 岡 一ぱいの茶の仲人で話の座 衣着て小鯵が泳ぐフライパン 共白髪つるべ落としにサンマ焼く
「 妻 」 松橋 帆波 妻という母と 夫という他人 東 京 ヨン様に飽きても僕を見てくれず カラオケで妻は中島みゆきなど 聞こえないように女房へ礼を言う
「明 日」 勝又 恭子 五線紙の明日へブレスつけておく 三 島 五線紙へ明日の私ラララララ 新しいキャンバス広げ待つ明日 明日こそ自分の空を翔んでみる
「自 由 吟」 竹内 さき 呼んでいるシャイな風これ恋かしら 浜 松 せかせかと恋をしながら米洗う 燃えつきて女心に月の雨 占うてコーヒー浮かすバラの花
「義 理」 提坂 まさえ 顔なしでもたんぼの案山子大笑い 静 岡 栗拾う迷いを一つ置いてくる あやかって付けた名前を返したい 消毒液あちこちに立ち新学期
「 秋 」 萩原 まさ子 食欲orノット食欲ケセラセラ 静 岡 お彼岸ににょきにょきと出る曼珠沙華 清水のもみじ舞台を盛り上げる 寄せ鍋に投入しちゃえ期限切れ
「空 気」 酒井 可福 正論を吐いて空気の薄いこと 北九州 どんよりと重い空気の倦怠期 僕が浮く空気の重い座談会 雨上がり晴れた空気の旨いこと
「自 由 吟」 寺脇 龍狂 四年間肩を寄せ合う自民党 浜 松 売れっ子はみんな服んでる吸っている 東名で田園調布の町ができ 百円のベルトで締めるメタボ腹
「 空 」 藤田 武人 風呂敷を纏いガキ大将空へ 大 阪 おかえりと揺れる稲穂と茜雲 錦雲は甘いと今も信じてる オニヤンマわが者顔で秋の天
「祈 り」 奥宮 恒代 鐘三つ鳴らして天へ昇ろうか 森 町 ぺしゃんこになるたび灰汁が強くなる アバンチュール真面目なお面はずさなきゃ 輝いていたい小さなガラス玉
「或 る 日」 川口 亘 少しずつ追い詰められて行く世相 藤 枝 変り栄えこれから腕の見せ処 気にしても移り変りのある世相 大波に揺れて動きを変える舟
「 秋 」 芹沢 穂々美 ゴキブリを見ないと前に進めない 沼 津 秋だから祭り半纏浮かれだす 好きだった過去形だけの人に会う 直進の矢印曲げて回り道
「あこがれ」 川村 美智代 あこがれを手にしてみればなんのこと 静 岡 憧れるいつも静かな笑みを持ち 憎まれず好かれずそっと逝くあの世 空の雲 風 花 小鳥喋ろうか
「自 由 吟」 石上 俊枝 おでん種好みよく知る母の鍋 静 岡 鍋つつく一緒で仲を深くする ネギの下そっと牛肉我が家計 不景気で僕も立ちたい社会鍋
「パ ン チ」 瀧 進 フェイントとジャブに本心試される 島 田 ジャブなめて痛いフックのボディブロー ストレート過ぎて相手に躱される 意地っ張り同士のクロスカウンター
「未 病」 新貝 里々子 長旅の疲れを計る体温計 袋 井 遠い日の流れるジャズをビタミンに 恋の日の少女たしかにわたしです 涼風に敏感未病揺れている
「爪 の 角」 成島 静枝 爪の角文句あるらし尖る秋 千 葉 角の乱ストッキングをひきつらせ 天高く乾燥肌へちちろ鳴く 庶民派のクリームを塗る爪の角
「雑 詠」 真田 義子 生きていく為のタクトを探してる 仙 台 木漏れ陽を集めて私蝶になる 鮮やかに描く私の人生論 メガネ拭く昨日の悔いを拭くように
「悩 む」 畔柳 晴康 おでこ寄せ同じ悩みで策を練る 浜 松 チラシ見て品と値段で悩んでる 打ち明けりゃ笑い飛ばさる我が悩み 世は広いロダンの像もまた悩み
「 薬 」 鈴木 千代見 葉の裏に虫の楽園垣間みる 浜 松 眼科でもバッタリ会って苦笑い ほどほどの酒が胃袋洗ってる よく笑う人に薬は似合わない
「ゆうやけこやけ」 大塚 徳子 大空をいつか飛びたい両の腕 仙 台 団欒の遅れて笑う母ひとり ゆうやけこやけ涙こらえている港 ゆうやけこやけ散骨してと書いておく
「 愛 」 鈴木 恵美子 愛情の要やっぱり母の膝 静 岡 頬打った父の情けを知る二十歳 母かばう子等の瞳は澄んでいる 肝っ玉の母で気配りかくし持つ
「何 く そ」 薗田 獏沓 何くそが功を奏したダイエット 川根本町 竹節を越えてまた節かたつむり 小気味よい啖呵一喝Uターン 何くそが過ぎて可愛くない女
「品の良さ」 鈴木 まつ子 皇后さま聖母マリアのようなかた 島 田 お帽子にのぞく横顔品の良さ 品性の美しさ溜息がもれ 愛される皇室素顔さりげなく
「鈍 感」 岡村 廣司 鈍感な耳で噂を聞きもらす 焼 津 疑似餌だと気付かなかったとは鈍い 数字にも鈍く得した事がない 鈍感と言われているが当ってる
「時 間」 加茂 和枝 小旅行自分見つけて家に着く 岩 沼 探し物たっぷり時間楽しんで 苦も楽も峠を越えてまた登る それからの自分見つけてまた汗が
「自 由 吟」 稲森 豊 髪を切り新たな一歩踏み出そう 静 岡 ばっさりと遅れをとった夏モード 星の無い夜空に願いかけてみる 陽も暮れて行方くらます影模様
「91甲子園(雨・地震)」尾崎 好子 また雨に勝ち持ってかれノーゲーム 藤 枝 考える人になったぜ如水館 橘のナイスゲームに燃えた夏 頂点は大泣きしてた二は笑い
「自 由 吟」 内山 敏子 一病と薬が無二の友になる 浜 松 神様もほんのり染まる縁結び つまづいて他人の痛さよく解り ランドセル宇宙飛んでる月曜日
「雑 詠」 飯塚 すみと 楽しみの山のテレビが変更に 静 岡 すず虫の声を近くに爪を切る お買得買ったリンゴが硬かった 今はもう彼岸のおはぎ作らない
「ほくほく」 川口 のぶ子 ほろ苦いゴーヤが好きと言う夫 藤 枝 ほくほくと芋栗ふかし秋を食う 聞き飽きた言葉にそっと耳に蓋 体力に限りも出たか皺もふえ
「 風 」 馬渕 よし子 半世紀夫婦してますもう無風 浜 松 ふり向けば外れた足跡風が消し あの人が来るとたちまち旋風 ご無沙汰へ風の便りが訃を知らせ
「 石 」 石井 昇 哀しみをぎゅつと握って石にする 蓮 田 ごんぎつねハイやけざけでございます 屑籠へ捨てた未練をまた拾う 失業の苦海で溶けてゆく案山子
「 秋 」 宮崎 勝登志 空高く玉ごろがしの孫跳ねる 静 岡 空高くリレーの孫に目を据える 秋晴れの鎮守の杜に響く笛 鯉跳ねて池に映る秋の空
「自 由 吟」 山本 野次馬 のんびりと茶葉の生い立ち聞いている 函 南 山茶咲く白さにこころ描くだけ 長居してカラ茶がそっと顔を出す 湯治場に番茶が似合うふたり連れ
「故郷は今」 小野 修市 故郷の友達少しいなくなり 静 岡 故郷は子供でいたい所だな 身の丈にあわせヤドカリ寝ぐら変え 故郷の酒で酔って唄う歌
「き も ち」 石田 竹水 綿菓子をクルクル巻きにした噂 静 岡 追い風が怖い仕合せ過ぎるから 股のぞきして世の中を変えて見る 二人三脚妻にチョッピリ寄り掛る
「酒場にて」 山下 和一 酒が恋第一章を語りだす 伊豆の国 不器用な所詮黒衣の恋でした 溜め息が悲しい酒を弾き語り 酒を呑む理由を探す酒を呑む
「ヘルパー」 恩田 たかし 初介護 畑が違いわしゃ迷子 静 岡 ヘルパーの資格とったが基礎だけよ 朝食を家族で食べる有り難さ 夜の風呂子供と入るゆとりでき
「理 想」 多田 幹江 裏年の柿は理想を語らない 静 岡 ご笑味下さい私の描いた餅 夕ざれや理想の妻を持て余し 明け方の夢つっぱって偏頭痛
「運 動 会」 林 二三子 孫が持つ背よりも高い応援歌 芝 川 大器晩成信じ遠くから応援 選抜リレー家じゃ見られぬ顔を見る テープ切る拍手喝采されながら
「自 由 吟」 藪崎 千恵子 十月の暦ぎっしり○印 焼 津 ウォーキング途中で止める長話 新米が旗がなびかせてやってくる 神様のお灸怖いぞ黒い腹
「愛犬パル」 森下 居久美 食欲の秋に勝てないメタボ犬 掛 川 満月が右に左に散歩道 ひとり言君が小首をかしげてる 日だまりにうたた寝君は平和だな
「雑 詠」 山口 兄六 夕焼けに抱く赤信号の夜に 足 利 ここで雨 ハートが洗えればいいな さようなら ありがとう さようなら 次 お一人様で気取るリベンジの約束
「 秋 」 真 理 猫 子 大群の羊を連れて秋が来る 岡 崎 水戸黄門歌って向かう秋祭 もうちょっと質素でいたいチョコバナナ 無人駅 祭り太鼓が乗る列車
「バンバンバン」 高橋 繭子 完璧なアリバイ崩す深い秋 大河原 不幸だという人の手がぷくっぷく 大好きな相手に「お手」を繰り返す 人の振りみて我が振り直す秋である
「ルシアン・ヒルの上で」今井 卓まる 日報に書けない夕焼けの赤さ 浜 松 幸せのリベンジ抱いて起きる朝 ピアニシモ ハートの奥に降った雨 ありがとう さよなら 風になってみる
「自 由 吟」 中田 尚 ザクザクとハート切りさく秋の風 浜 松 封筒を開けたらパンチ飛んできた いい人がラッピングして私書箱に 景品はみーんなポストの中にいる
「 星 」 中野 三根子 星空がきれいにみえる夜が好き 静 岡 あの星がきっとあなたを呼んでいる 秘密まで話してしまう星の夜 届くかな星に願いをかけた人
「下 心」 川村 洋未 ゴミ出し日 男燃やしたカスも捨て 静 岡 猫に鈴 今じゃあたしが猫だった 名は無いがくせのある文字残す時 鉛筆をとがらせて丸一つ書く
「そして菌」 永田 のぶ男 温暖化菌繁殖の先を読む 静 岡 生物の最後に残る菌の群れ 菌からの生物キンに亡ぼされ 最強の宇宙に優る菌はない
「共 白 髪」 佐野 由利子 飴一つしゃぶって友と仲直り 静 岡 絶対に言えぬ秘密を持っている 早起きの空気がうまい万歩計 健やかに労わり合って共白髪
「雑 詠」 長澤 アキラ 孫が来て金欠病をこじらせる 静 岡 振り方の下手な尻尾で生きづらい 乗りごこち確かめてみる霊柩車 葬送の風はただ背を押すばかり
「罠 の 中」 池田 茂瑠 消せぬ火へこの信号も赤かった 静 岡 青い実を食べ沈み込む罠の中 眠れそな穴だ男を追い出そう 緩んでた結び目 星へ締め直す
「常 識」 高瀬 輝男 常識の範囲で今朝も陽は昇る 焼 津 難民だ飢餓だ地球も多忙だな 一期一会バラも何時かは散るだろう アルバムへ一期一会の顔の数
「里 の 秋」 望月 弘 落ち栗をカラスと猿で分けている 静 岡 貴腐ワイン ガラスコップの見栄っ張り バス停が息をしている朝と夕 ひと声を合鍵にする里の村
「秋から冬へ」 加藤 鰹 そして秋 急に冷たくなった人 静 岡 君からのメールを待って酔い潰れ 逢えぬ理由ナンダカンダと秋深む 覆水は盆に返らず やがて冬
「彫 る」 柳沢 平四朗 丸腰の意見で遊ぶ縄のれん 静 岡 秋灯へ老いの回顧は着飾って 断言をすればワケアリ深く彫る 魂のプールへ輪廻浮き沈み
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